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第二章 クリスタルエレメント
第58話 クリスタルエレメント”アクア”
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クリスの目の前に突如現れた空間は、天井がどこまでも上に伸びた広い真四角の部屋だった。
壁四面に通路への入り口があり、部屋の中央には金色に光る台座があった。
台座の上には、黒く丸い石が置かれている。バレーボールほどの大きさのその石は、光の加減によって青く光った。
向かいの通路からやってきたグレンが、その石を見るや否や「おお!」と感嘆の声を上げた。
左手の通路からはボラルクが、右手の通路からはダルミアが兵士とともに入ってきた。グレンは回り込んでクリスの隣に立った。
『これが水のクリスタルエレメント、アクア・・・』
ゴクリと唾を飲み込んだグレンは、血走った目でその黒い石を見つめた。
『これがクリスタルエレメント・・・』
そう呟いたボラルクが、何かに取り憑かれたようにふらふらと台座に近づいていった。手を伸ばして石に触れようとするボラルクに、グレンが怒鳴った。
『いけません!』
ビクッと体を震わせて、ボラルクはとっさにその手を引っ込めた。振り返ったボラルクに、グレンは首を振った。
『水の超竜アラルゴンの生命エネルギーを封じ込めたクリスタルエレメントです。選ばれし者でない者が、封印が解かれる前に不用意に触れてはいけません』
ボラルクは『すみません』と謝って、首をすくめながらクリスのうしろに回り込んだ。
『それではクリスさん、お願いしてもよろしいですか?』
クリスタルエレメントを見据えたまま、首だけ回してグレンが要請した。
『ええと、何をしたらいいんですか?』
『封印を解いていただきたいのです』
興奮しきったグレンは、待ちきれない様子でそう言った。しかし、そうは言われても何をしたらいいのかクリスには分からなかった。
マーティスから教えてもらったのは、ルーベラピス発動のカンターメルだけだ。封印を解く方法を教わったわけではない。
ぎらついた目でグレンに睨めつけられてクリスが戸惑っていると、不意に聞き覚えのあるダミ声が響いた。
『それが水のクリスタルエレメントか』
その場にいる全員がうしろを振り返った。
クリスのやってきた通路から、多数の兵士を引き連れて入ってくる大柄な男がいた。ガイオンだった。
『ガイオン陛下・・・』
ガイオンの姿を目にしたグレンは、驚きを隠せない様子で口を開けたまましばらく固まっていた。
他の通路からもぞろぞろと兵隊がやってきた。その中には、オエノボスの姿もある。部屋の壁一面が、アトライオスの兵隊に埋め尽くされた。
『なぜ・・・?』
自問するように、グレンがつぶやいた。
『なぜここが分かったかって?』
ガイオンがにやりと笑った。
『ラムナス!』
ガイオンが叫ぶと、グレンと行動を共にしていたひとりの兵士がガイオンの元に駆け寄った。兵士はガイオンの隣に立つと、回れ右をして振り返った。
『まさかお前が』
信じられないという表情で、グレンはその兵士を見つめた。
ラムナスと呼ばれた兵士は、表情を崩すことなく正面を向いたまま微動だにしなかった。
『ついにこの時がきたぜー!』
ガイオンとグレンが睨みあう中、突然オエノボスが叫び声を上げて走り出した。そして台座の上に載ったアクアを掴むと、頭上に掲げた。
『これで、俺様が海の頂点に君臨することができる・・・』
高らかに叫んだオエノボスだったが、みるみる内にその体が溶けていった。
『あれ・・・?』という声を最後に、オエノボスの姿は完全に消滅して、クリスタルエレメントが地面に転がった。
『馬鹿野郎が。欲を出しやがって』
転がったクリスタルエレメントを見つめて、ガイオンが舌打ちをした。それから、再び顔を上げてグレンを睨みつけた。
『アルメイオンはどうした?』
ガイオンのその言葉を聞き、クリスは不審に思った。アルメイオンは、ガイオンに呼ばれて帰ったとグレンは言っていた。
グレンに対する疑念が、クリスの中で再び湧き起こった。そしてグレンに疑いの眼差しを向けたときだった。
突然胸倉を掴まれ、力ずくで引っ張られた。抵抗する間もなく、クリスはグレンの腕の中で首を絞められていた。
壁四面に通路への入り口があり、部屋の中央には金色に光る台座があった。
台座の上には、黒く丸い石が置かれている。バレーボールほどの大きさのその石は、光の加減によって青く光った。
向かいの通路からやってきたグレンが、その石を見るや否や「おお!」と感嘆の声を上げた。
左手の通路からはボラルクが、右手の通路からはダルミアが兵士とともに入ってきた。グレンは回り込んでクリスの隣に立った。
『これが水のクリスタルエレメント、アクア・・・』
ゴクリと唾を飲み込んだグレンは、血走った目でその黒い石を見つめた。
『これがクリスタルエレメント・・・』
そう呟いたボラルクが、何かに取り憑かれたようにふらふらと台座に近づいていった。手を伸ばして石に触れようとするボラルクに、グレンが怒鳴った。
『いけません!』
ビクッと体を震わせて、ボラルクはとっさにその手を引っ込めた。振り返ったボラルクに、グレンは首を振った。
『水の超竜アラルゴンの生命エネルギーを封じ込めたクリスタルエレメントです。選ばれし者でない者が、封印が解かれる前に不用意に触れてはいけません』
ボラルクは『すみません』と謝って、首をすくめながらクリスのうしろに回り込んだ。
『それではクリスさん、お願いしてもよろしいですか?』
クリスタルエレメントを見据えたまま、首だけ回してグレンが要請した。
『ええと、何をしたらいいんですか?』
『封印を解いていただきたいのです』
興奮しきったグレンは、待ちきれない様子でそう言った。しかし、そうは言われても何をしたらいいのかクリスには分からなかった。
マーティスから教えてもらったのは、ルーベラピス発動のカンターメルだけだ。封印を解く方法を教わったわけではない。
ぎらついた目でグレンに睨めつけられてクリスが戸惑っていると、不意に聞き覚えのあるダミ声が響いた。
『それが水のクリスタルエレメントか』
その場にいる全員がうしろを振り返った。
クリスのやってきた通路から、多数の兵士を引き連れて入ってくる大柄な男がいた。ガイオンだった。
『ガイオン陛下・・・』
ガイオンの姿を目にしたグレンは、驚きを隠せない様子で口を開けたまましばらく固まっていた。
他の通路からもぞろぞろと兵隊がやってきた。その中には、オエノボスの姿もある。部屋の壁一面が、アトライオスの兵隊に埋め尽くされた。
『なぜ・・・?』
自問するように、グレンがつぶやいた。
『なぜここが分かったかって?』
ガイオンがにやりと笑った。
『ラムナス!』
ガイオンが叫ぶと、グレンと行動を共にしていたひとりの兵士がガイオンの元に駆け寄った。兵士はガイオンの隣に立つと、回れ右をして振り返った。
『まさかお前が』
信じられないという表情で、グレンはその兵士を見つめた。
ラムナスと呼ばれた兵士は、表情を崩すことなく正面を向いたまま微動だにしなかった。
『ついにこの時がきたぜー!』
ガイオンとグレンが睨みあう中、突然オエノボスが叫び声を上げて走り出した。そして台座の上に載ったアクアを掴むと、頭上に掲げた。
『これで、俺様が海の頂点に君臨することができる・・・』
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『あれ・・・?』という声を最後に、オエノボスの姿は完全に消滅して、クリスタルエレメントが地面に転がった。
『馬鹿野郎が。欲を出しやがって』
転がったクリスタルエレメントを見つめて、ガイオンが舌打ちをした。それから、再び顔を上げてグレンを睨みつけた。
『アルメイオンはどうした?』
ガイオンのその言葉を聞き、クリスは不審に思った。アルメイオンは、ガイオンに呼ばれて帰ったとグレンは言っていた。
グレンに対する疑念が、クリスの中で再び湧き起こった。そしてグレンに疑いの眼差しを向けたときだった。
突然胸倉を掴まれ、力ずくで引っ張られた。抵抗する間もなく、クリスはグレンの腕の中で首を絞められていた。
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