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願いと約束3ー7
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「飛ばしたのは服の水だ。」
レイヴァンの言う通り、アルメリアの服は乾いていた。
さっき迄水中に居たとは思えない程。
そして、体から水が抜けた感じは無いが、服と一緒に髪は八割、水を飛ばして乾かしてくれたようだった。
「元より、俺の風魔法は体の中の水分まで奪うものではない。」
魔力を奪う魔法を知らなくは無いが……。と意味深な言葉を付け加えながら、けれどその魔法を使う気が無いのか、レイヴァンは自分の発言を鼻で笑っていた。
「……タオルは必要無さそうですね。」
「あ…!」
二人の様子をアルメリア用のタオルを持って見ていたジェラルド。
眉を下げて仕方が無いと言うような半笑いを浮かべていた。
レイヴァンの風魔法によって乾いてしまった体に、さっきタオルを使う予定だったアルメリアは何だか申し訳無かった。
「ジェラルド、悪いがアルメリアと話があるから少し外してくれ。」
「承知致しました。終わりましたらお呼び下さい。」
ジェラルドは何時ものようにレイヴァンに一礼して、その場を少し離れる。
その時、軽い騒音と共に滝の真ん中で水飛沫が上がった。
「「―――!?」」
レイヴァンとアルメリアは滝へ顔を向けた。
歩いていたジェラルドも、脚を止めて振り向き、腰の剣に手を添えていた。緊張が走る。
(…さっき迄あんなに静かだったのに)
アルメリアは緊張を少しでも軽くする為か、胸元に手を当てる。
チラッとレイヴァンの横顔を盗み見れば、目を細め瞬きせずに滝を見ていた。
滝の上で寛いでいた筈の野生の竜達も驚いてか、立ち上がっているようだった。
「…腕…?」
竜の様子に注目していると、レイヴァンの呟きが聞こえた。
滝の方へ視線を戻せば、水飛沫の上がった滝から肘から先の腕が一本伸びていた。
「誰だ…何者だ!?」
レイヴァンの声が響く。同時にジェラルドがレイヴァンの真横まで走って来た。
ザーッザザー……ポタッ……ポタッ…
(え……女の人……?)
腕の持ち主が滝から姿を見せた。
ジェラルドの光魔法に照らされて姿を見せたのは、金髪の女性。
但し、肌表面が淡く光っていた。そして滝から姿を見せたのに髪は濡れている様子が無かった。
(この人、もしかして妖精族…?)
「!…レイラ」
「え?」
アルメリアが注意深く観察していると、レイヴァンから名前が漏れた。
(レイヴァン様、知り合いなのかしら?)
現れた金髪の女性とレイヴァンを交互に見ながらも、アルメリアは女性の行動を眺めていた。
「割りと狭いのね……あ、見付けたわ王子…!」
滝から姿を見せた金髪の女性は、軽く水を払う仕草をすると、自分を凝視しいたレイヴァン達に気付いたようで、レイヴァンを見ると軽く表情が和らいだ。
横に居るジェラルドとアルメリアきは気にも止めていない様子。
「レイラ、ここで何を……」
「何って、 王子が予定時刻に来ないから探しに来てあげたのよ」
有り難く思って?―――と女性の口から表情よりも上からな物言いが響く。
「レイヴァン様」
「ん?」
「あの、お知り合いですか?」
横柄な態度を気にして無さそうなレイヴァンに、アルメリアは怖ず怖ずと話し掛けた。
このレイラと呼ばれた女性はレイヴァンの知り合いか。そして、レイヴァンより地位が上なのかも気になった為。
「あぁ、彼女はレイラ。妖精族で知り合いだ。態度は大きいが」
「左様で。」
アルメリアが頷く前に、隣で耳を欹てていたジェラルドが先に納得していた。
剣に添えられていたジェラルドの手が離れる。
「もしかして……その娘が、王子の言っていた拾い物の人魚かしら?」
アルメリアとジェラルドの存在に気付いたのか、レイラはレイヴァンとジェラルドをチラッと見た後、アルメリアを舐めるように上から下迄観察した。
自身の顎に手を当てて、食い入るように見詰めて来るレイラに居心地が悪く、アルメリアはレイヴァンの後ろへと半分身を隠す。
隠れたアルメリアを気にしつつレイヴァンはレイラへ視線を向けた。
「確かに。先日話した人魚は彼女だ。レイラ、あまり脅かさないでやってくれ」
アルメリアを気遣ってレイヴァンはレイラに釘を刺す。
レイラはレイヴァンの言葉を気にせず、レイヴァンの後ろへ隠れたアルメリアを今だにジッと見ていた。
「フーン。王子が言った通り脚があるのね。それに……私の行動区域では見ない顔だわ。」
(……………何が言いたいの?)
ゾワッとアルメリアの心にモヤが広がった。
レイラの視線と言葉はアルメリアの背中を逆撫でするような感覚だった。
“人魚の森”にも棲んでいる妖精族は多種多様だが、レイラのような者は見た事が無い。
レイヴァンの知り合いの妖精族だと分かっていても、今のアルメリアにはレイラの物言いが不快に感じた。
せめてもの抵抗の意味を込めて、アルメリアはレイラと合わせた視線を外らさなかった。
「私がよく見る人魚は綺麗だけど残酷。」
けれど、貴女はどちらかと言うと可愛いタイプの人魚のようね―――レイラの言葉にアルメリアは唇をギュッと結んだ。
「ねぇ、人魚の貴女。貴女の棲む場所の人魚達は皆、脚を持っているの?」
レイラからの質問にアルメリアは直ぐには答えなかった。
レイラが信用出来る妖精族と判断出来無いアルメリアは迷っていた。
「言葉が話せない?」
「おい、レイラ…」
流石に不味いと思ったレイヴァンが口を挟む。
「………その質問は、何の意味があるのですか?」
「あら、話せるじゃない。私が見る人魚達は脚を持たないのよ。それに髪の色も違うわ……だから棲息地は違うと思ってる。」
「…………」
「貴女の仲間を探そうと思っているけれど、手掛かりとして貴女の仲間は皆、脚を持っているのか知りたくて…ね。」
迷うアルメリアの心を知ってか知らずか、レイラは面白そうに鼻で笑った。
「無理も無いわ。信用出来なくて当然。妖精族だって多種多様。それに、もし私が逆の立場なら簡単に口は割らない。」
(そこまで分かっていながら、何故……)
レイラの言葉は、尚更アルメリアを混乱させた。
レイヴァンの知り合いでも此処は答えない方が良いのではないか。
「けれど、王子は貴女を助けたいと思っているよう。私は王子の為なら手を貸すわ。……それと、貴女だって早く帰りたいのでしょ?」
「……皆が皆そうでは無いと思います。私の姉は脚を持ちません。」
迷ったアルメリアが口を開いた。
―――帰りたいのでしょ?
その言葉に背中を押されたからでは無い。レイヴァンの為なら手を貸すと言い切ったレイラの瞳は、上からな物言いとは違い真剣差を宿していた。
その思いに賭けてみようとアルメリアは思った。
どちらにしても人魚の森の誰かに此処に自分が居る事を知らせなければならない。
ネルが知らせに戻っていたとしても、それは人魚達の誰かへでは無いかもしれないからだ。
(………ネルは無事に戻って居るかしら……)
すっかり忘れていたアルメリアは、倒れる前に来ていたネルの事を思い出し気になった。
「…アルメリアにはお姉さんが居るのか。」
瞼を一瞬伏せた所で、レイヴァンの声に顔を上げた。レイヴァンに頷くアルメリア。
「髪の色は、貴女と同じ色?」
アルメリアは首を横に振った。
「そう、分かったわ。あ、それと王子。橋の件、後でちゃんと来るのよ?」
忠告をすると、レイラは滝の中へと消えて行った。
「アルメリア、安心しろ…と言ってもあの態度だと難しいだろうな。レイラはあれでも約束は破らない。だから必ずアルメリアの仲間を探してくれる筈だ。」
「はい…」
アルメリアの心を探るように言葉を選ぶレイヴァン。
苦笑いを浮べて話す彼を、アルメリアは頷きつつジッと見詰めた。
レイヴァンの言う通り、アルメリアの服は乾いていた。
さっき迄水中に居たとは思えない程。
そして、体から水が抜けた感じは無いが、服と一緒に髪は八割、水を飛ばして乾かしてくれたようだった。
「元より、俺の風魔法は体の中の水分まで奪うものではない。」
魔力を奪う魔法を知らなくは無いが……。と意味深な言葉を付け加えながら、けれどその魔法を使う気が無いのか、レイヴァンは自分の発言を鼻で笑っていた。
「……タオルは必要無さそうですね。」
「あ…!」
二人の様子をアルメリア用のタオルを持って見ていたジェラルド。
眉を下げて仕方が無いと言うような半笑いを浮かべていた。
レイヴァンの風魔法によって乾いてしまった体に、さっきタオルを使う予定だったアルメリアは何だか申し訳無かった。
「ジェラルド、悪いがアルメリアと話があるから少し外してくれ。」
「承知致しました。終わりましたらお呼び下さい。」
ジェラルドは何時ものようにレイヴァンに一礼して、その場を少し離れる。
その時、軽い騒音と共に滝の真ん中で水飛沫が上がった。
「「―――!?」」
レイヴァンとアルメリアは滝へ顔を向けた。
歩いていたジェラルドも、脚を止めて振り向き、腰の剣に手を添えていた。緊張が走る。
(…さっき迄あんなに静かだったのに)
アルメリアは緊張を少しでも軽くする為か、胸元に手を当てる。
チラッとレイヴァンの横顔を盗み見れば、目を細め瞬きせずに滝を見ていた。
滝の上で寛いでいた筈の野生の竜達も驚いてか、立ち上がっているようだった。
「…腕…?」
竜の様子に注目していると、レイヴァンの呟きが聞こえた。
滝の方へ視線を戻せば、水飛沫の上がった滝から肘から先の腕が一本伸びていた。
「誰だ…何者だ!?」
レイヴァンの声が響く。同時にジェラルドがレイヴァンの真横まで走って来た。
ザーッザザー……ポタッ……ポタッ…
(え……女の人……?)
腕の持ち主が滝から姿を見せた。
ジェラルドの光魔法に照らされて姿を見せたのは、金髪の女性。
但し、肌表面が淡く光っていた。そして滝から姿を見せたのに髪は濡れている様子が無かった。
(この人、もしかして妖精族…?)
「!…レイラ」
「え?」
アルメリアが注意深く観察していると、レイヴァンから名前が漏れた。
(レイヴァン様、知り合いなのかしら?)
現れた金髪の女性とレイヴァンを交互に見ながらも、アルメリアは女性の行動を眺めていた。
「割りと狭いのね……あ、見付けたわ王子…!」
滝から姿を見せた金髪の女性は、軽く水を払う仕草をすると、自分を凝視しいたレイヴァン達に気付いたようで、レイヴァンを見ると軽く表情が和らいだ。
横に居るジェラルドとアルメリアきは気にも止めていない様子。
「レイラ、ここで何を……」
「何って、 王子が予定時刻に来ないから探しに来てあげたのよ」
有り難く思って?―――と女性の口から表情よりも上からな物言いが響く。
「レイヴァン様」
「ん?」
「あの、お知り合いですか?」
横柄な態度を気にして無さそうなレイヴァンに、アルメリアは怖ず怖ずと話し掛けた。
このレイラと呼ばれた女性はレイヴァンの知り合いか。そして、レイヴァンより地位が上なのかも気になった為。
「あぁ、彼女はレイラ。妖精族で知り合いだ。態度は大きいが」
「左様で。」
アルメリアが頷く前に、隣で耳を欹てていたジェラルドが先に納得していた。
剣に添えられていたジェラルドの手が離れる。
「もしかして……その娘が、王子の言っていた拾い物の人魚かしら?」
アルメリアとジェラルドの存在に気付いたのか、レイラはレイヴァンとジェラルドをチラッと見た後、アルメリアを舐めるように上から下迄観察した。
自身の顎に手を当てて、食い入るように見詰めて来るレイラに居心地が悪く、アルメリアはレイヴァンの後ろへと半分身を隠す。
隠れたアルメリアを気にしつつレイヴァンはレイラへ視線を向けた。
「確かに。先日話した人魚は彼女だ。レイラ、あまり脅かさないでやってくれ」
アルメリアを気遣ってレイヴァンはレイラに釘を刺す。
レイラはレイヴァンの言葉を気にせず、レイヴァンの後ろへ隠れたアルメリアを今だにジッと見ていた。
「フーン。王子が言った通り脚があるのね。それに……私の行動区域では見ない顔だわ。」
(……………何が言いたいの?)
ゾワッとアルメリアの心にモヤが広がった。
レイラの視線と言葉はアルメリアの背中を逆撫でするような感覚だった。
“人魚の森”にも棲んでいる妖精族は多種多様だが、レイラのような者は見た事が無い。
レイヴァンの知り合いの妖精族だと分かっていても、今のアルメリアにはレイラの物言いが不快に感じた。
せめてもの抵抗の意味を込めて、アルメリアはレイラと合わせた視線を外らさなかった。
「私がよく見る人魚は綺麗だけど残酷。」
けれど、貴女はどちらかと言うと可愛いタイプの人魚のようね―――レイラの言葉にアルメリアは唇をギュッと結んだ。
「ねぇ、人魚の貴女。貴女の棲む場所の人魚達は皆、脚を持っているの?」
レイラからの質問にアルメリアは直ぐには答えなかった。
レイラが信用出来る妖精族と判断出来無いアルメリアは迷っていた。
「言葉が話せない?」
「おい、レイラ…」
流石に不味いと思ったレイヴァンが口を挟む。
「………その質問は、何の意味があるのですか?」
「あら、話せるじゃない。私が見る人魚達は脚を持たないのよ。それに髪の色も違うわ……だから棲息地は違うと思ってる。」
「…………」
「貴女の仲間を探そうと思っているけれど、手掛かりとして貴女の仲間は皆、脚を持っているのか知りたくて…ね。」
迷うアルメリアの心を知ってか知らずか、レイラは面白そうに鼻で笑った。
「無理も無いわ。信用出来なくて当然。妖精族だって多種多様。それに、もし私が逆の立場なら簡単に口は割らない。」
(そこまで分かっていながら、何故……)
レイラの言葉は、尚更アルメリアを混乱させた。
レイヴァンの知り合いでも此処は答えない方が良いのではないか。
「けれど、王子は貴女を助けたいと思っているよう。私は王子の為なら手を貸すわ。……それと、貴女だって早く帰りたいのでしょ?」
「……皆が皆そうでは無いと思います。私の姉は脚を持ちません。」
迷ったアルメリアが口を開いた。
―――帰りたいのでしょ?
その言葉に背中を押されたからでは無い。レイヴァンの為なら手を貸すと言い切ったレイラの瞳は、上からな物言いとは違い真剣差を宿していた。
その思いに賭けてみようとアルメリアは思った。
どちらにしても人魚の森の誰かに此処に自分が居る事を知らせなければならない。
ネルが知らせに戻っていたとしても、それは人魚達の誰かへでは無いかもしれないからだ。
(………ネルは無事に戻って居るかしら……)
すっかり忘れていたアルメリアは、倒れる前に来ていたネルの事を思い出し気になった。
「…アルメリアにはお姉さんが居るのか。」
瞼を一瞬伏せた所で、レイヴァンの声に顔を上げた。レイヴァンに頷くアルメリア。
「髪の色は、貴女と同じ色?」
アルメリアは首を横に振った。
「そう、分かったわ。あ、それと王子。橋の件、後でちゃんと来るのよ?」
忠告をすると、レイラは滝の中へと消えて行った。
「アルメリア、安心しろ…と言ってもあの態度だと難しいだろうな。レイラはあれでも約束は破らない。だから必ずアルメリアの仲間を探してくれる筈だ。」
「はい…」
アルメリアの心を探るように言葉を選ぶレイヴァン。
苦笑いを浮べて話す彼を、アルメリアは頷きつつジッと見詰めた。
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