年に一度の旦那様

五十嵐

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61 頭痛の種

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一晩寝ても頭は痛いまま。
今更ながら、ノアはレイチェルの体調不良とは何だったのだろうかと思った。薬師が隔離と言ったということは感冒か何かだったのだろうか。だとすると、感染ってもおかしくない。

街道沿いの医師よりは、侯爵家の手医者の方が腕は良いだろう。ノアはアレクに言い、休憩を最低限にし王都へ向かうよう命じた。その甲斐あってか、予定よりは若干早めにタウンハウスに到着したのだった。

その日の夜、ノアは久しぶりに熱を出した。直ぐに呼ばれた主治医は薬を処方し、後は栄養価の高いものを食べ良く休むことくらいしか対応策はないと言い診察を終えた。
医師の対処が良かったのかどうかは分からないが、ノアは大事には至らず三日程で回復したのだった。


「父上、ご心配をお掛けして申し訳ございませんでした。もしかするとレイチェルが原因かもしれません。」
「レイチェル?」
「はい。わたしが訪れた時、調子を崩して臥せっていたのです。何か病気を持っていた可能性が考えられます。」
「分かった。ロイにレイチェルの調子を確認する手紙を送っておこう。」
「実は、今までもレイチェルは体調不良でわたしはまともに夫婦として過ごせておりませんでした。ここまで病弱だと、レイチェルに子を成すことが出来るのか疑問が残ります。」

ノアは敢えて夫婦として過ごせていないと侯爵へ伝えた。対面すらしていないと言わず。顔を見にも行っていないと言えば、侯爵に何の為にレイチェルの元へ行ったのか問われるのが面倒だと思ったのだった。

「ノア、もう大丈夫?」
「寂しかったわ。」
ノアが回復すると違う意味での頭痛の種となりつつあるアナベルとナタリアが部屋にやって来た。そして、どちらが共寝するか病み上がりのノアの前で言い争いを始めたのだった。

「止めてくれ、二人とも。当分、一人で寝るから部屋に戻ってくれ。」
「あなたが五月蝿いから、ノアが、」
「あなたこそ、回復したばかりのノアの前だというのに、その香水はなんなの!」
「二人ともいい加減にしないか。当分一人にしてくれ。」

醜い言い争いは非情に困ったものだが、ノアは助かったと思った。何となく自信が無かったのだ。カントリーハウスを出てから、ふにゃっとしたままで硬くなる気配がない男性器に。
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