年に一度の旦那様

五十嵐

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47 北の外れの邸へ

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***ようやく過去のパートを書き終わった、と思います。たまに出てくるかもしれませんが。***



レイチェルとノアの結婚報告パーティは盛大に行われた。

マクレナン侯爵領に近い貴族家、取引のある貴族家、有力商家、それは如何に侯爵家が力を持っているのか知らしめるものでもあった。招待客はそれだけに留まらない。侯爵領の一部が接している隣国からも辺境伯家と仕える騎士伯達がやって来る程だった。

しかしその場にすらクリスタルはいなかった。侯爵の考え通り、全ての負担が排除されているからだ。
そして、この後はレイチェルという負担が取り除かれる。クリスタルが過ごすこの邸でレイチェルが共に静養する許可を侯爵が出すはずがない。しかも、その理由の一端がノアの愛人問題なのだ。人が増えることで、何が何処でクリスタルの耳に入るか。

クリスタルの体を、心を守る侯爵は負担を減らすどころか端から多くの者すら近付けないようにしているのだから、この邸にレイチェル一行は不要だ。

領地を管理する為の侯爵家の文官達とクリスタルの居住空間は切り離され、使用人も一部しかクリスタルと接することはない。その使用人もクリスタルの為に侯爵が子爵家から連れてきた者。クリスタル専用の庭を手入れする庭師も子爵家から引き抜いてきた。
そこまで管理されているクリスタル為の箱庭にレイチェルのスペースを作るわけにはいかなかった。

結婚前にレイチェルの静養を侯爵が渋った理由は言うまでもなく、これが原因だった。
だから、この後レイチェルはマクレナン侯爵領の北の外れにある小さな邸に向かうことになっている。

多少筋書き通りにいかないことはあったが、ロイにとって一番重要だったレイチェルを伯爵家とノアから出来る限り遠ざけることはこれで叶う。次の問題は今後どれだけその生活をレイチェルに送らせることが出来るかだった。
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