48 / 90
46 積み重なる楽しいこと
しおりを挟む
かおるが家に着いて少しした頃、樹からメッセージが届いた。
『時間が出来たら連絡が欲しい』
画面の文字を見ながら、かおるは樹が今どこにいるのだろうかと考えた。そして直接電話するよりは、メッセージを送り返しワンクッションおくことにしたのだった。
『樹さんは今どちらにいますか?わたしは家ですので、ご都合を教えていただければ連絡します。』
メッセージを送り終わるとすぐに掛かってきた電話は樹からだった。
『お疲れ。』
「お疲れ様です。今、どちらですか?」
『ん、会社出たとこ。』
「もう少ししてから掛けましょうか?」
『いい、このままかおるの声を聞きながら歩くから。あのさ、明日、一緒に食事しよ。えっと、夕飯。明日は何があっても会社を7時に出るようにするから、7時半スタートくらいで。』
「分かりました。わたしも7時には出れるように、あの、ここは言わせて下さい。努力、します。」
『オレの為の努力は歓迎するよ。ところで今日はどうだった?』
「相変わらず、皆さん親切でした。先週同様お夕飯もご一緒させていただきました。」
『そっか。いいなぁ、オレもかおると一緒にメシしたかったな。』
「あの、わたし、…出張前の最後の夕食を、その、樹さんと一緒に食べれるの楽しみです。ううん、樹さんと一緒にいられる時間が楽しみです。」
『…ごめん、今、オレにとって凄く都合のいい返事が返ってきた気がしたんだけど、幻聴じゃないよな。』
「誰と一緒に食べるのか、…重要ですよね。樹さん、この間、そういうこと言ってました。だから、わたしの思っていることを全部伝えたくて。」
『ヤバいんだけど。ここ、公道なのに、嬉しくて叫びそう。』
「子供みたい。」
『なんとでも言ってくれ。嬉しいものは嬉しいんだから。』
こんなにも毎日は楽しくなるものなんだと思いながら、かおるは樹との会話を続けた。
恭祐の言動、感情を中心として回っていたかおるの毎日。それが、会社を辞めると恭祐に伝わったときから、本来の持ち主であるかおるに再び戻ってきたようだった。それをかおるが心の底から望んでいるかどうかは別として。
『時間が出来たら連絡が欲しい』
画面の文字を見ながら、かおるは樹が今どこにいるのだろうかと考えた。そして直接電話するよりは、メッセージを送り返しワンクッションおくことにしたのだった。
『樹さんは今どちらにいますか?わたしは家ですので、ご都合を教えていただければ連絡します。』
メッセージを送り終わるとすぐに掛かってきた電話は樹からだった。
『お疲れ。』
「お疲れ様です。今、どちらですか?」
『ん、会社出たとこ。』
「もう少ししてから掛けましょうか?」
『いい、このままかおるの声を聞きながら歩くから。あのさ、明日、一緒に食事しよ。えっと、夕飯。明日は何があっても会社を7時に出るようにするから、7時半スタートくらいで。』
「分かりました。わたしも7時には出れるように、あの、ここは言わせて下さい。努力、します。」
『オレの為の努力は歓迎するよ。ところで今日はどうだった?』
「相変わらず、皆さん親切でした。先週同様お夕飯もご一緒させていただきました。」
『そっか。いいなぁ、オレもかおると一緒にメシしたかったな。』
「あの、わたし、…出張前の最後の夕食を、その、樹さんと一緒に食べれるの楽しみです。ううん、樹さんと一緒にいられる時間が楽しみです。」
『…ごめん、今、オレにとって凄く都合のいい返事が返ってきた気がしたんだけど、幻聴じゃないよな。』
「誰と一緒に食べるのか、…重要ですよね。樹さん、この間、そういうこと言ってました。だから、わたしの思っていることを全部伝えたくて。」
『ヤバいんだけど。ここ、公道なのに、嬉しくて叫びそう。』
「子供みたい。」
『なんとでも言ってくれ。嬉しいものは嬉しいんだから。』
こんなにも毎日は楽しくなるものなんだと思いながら、かおるは樹との会話を続けた。
恭祐の言動、感情を中心として回っていたかおるの毎日。それが、会社を辞めると恭祐に伝わったときから、本来の持ち主であるかおるに再び戻ってきたようだった。それをかおるが心の底から望んでいるかどうかは別として。
0
お気に入りに追加
64
あなたにおすすめの小説
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。
海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。
ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。
「案外、本当に君以外いないかも」
「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」
「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」
そのドクターの甘さは手加減を知らない。
【登場人物】
末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。
恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる?
田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い?
【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】
最後の恋って、なに?~Happy wedding?~
氷萌
恋愛
彼との未来を本気で考えていた―――
ブライダルプランナーとして日々仕事に追われていた“棗 瑠歌”は、2年という年月を共に過ごしてきた相手“鷹松 凪”から、ある日突然フラれてしまう。
それは同棲の話が出ていた矢先だった。
凪が傍にいて当たり前の生活になっていた結果、結婚の機を完全に逃してしまい更に彼は、同じ職場の年下と付き合った事を知りショックと動揺が大きくなった。
ヤケ酒に1人酔い潰れていたところ、偶然居合わせた上司で支配人“桐葉李月”に介抱されるのだが。
実は彼、厄介な事に大の女嫌いで――
元彼を忘れたいアラサー女と、女嫌いを克服したい35歳の拗らせ男が織りなす、恋か戦いの物語―――――――

初恋の呪縛
泉南佳那
恋愛
久保朱利(くぼ あかり)27歳 アパレルメーカーのプランナー
×
都築 匡(つづき きょう)27歳 デザイナー
ふたりは同じ専門学校の出身。
現在も同じアパレルメーカーで働いている。
朱利と都築は男女を超えた親友同士。
回りだけでなく、本人たちもそう思っていた。
いや、思いこもうとしていた。
互いに本心を隠して。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
ダブル シークレットベビー ~御曹司の献身~
菱沼あゆ
恋愛
念願のランプのショップを開いた鞠宮あかり。
だが、開店早々、植え込みに猫とおばあさんを避けた車が突っ込んでくる。
車に乗っていたイケメン、木南青葉はインテリアや雑貨などを輸入している会社の社長で、あかりの店に出入りするようになるが。
あかりには実は、年の離れた弟ということになっている息子がいて――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる