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1 退社報告
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「人事から連絡を受けた。辞めるそうだな、9月末に」
いつもより数段冷たく感じられる恭祐の声、表情。冷遇に慣れているとは言え、かおるの全ての動きは停止した。思考さえも。
けれど、慣れとは恐ろしい。動揺するかおるとは別の、表面を繕う冷静なかおるがすぐさま適切な返事をしたのだった。数年で培われた反射神経を駆使して。
「はい。今までありがとうございました。引き継ぎと後任に関しては既に人事部と秋山さんを交えて相談しています。若林さんにご迷惑をお掛けすることは恐らくありません」
「分かった。樹が関わっているなら問題ないだろう。が、恐らくという言葉は聞かなかったと理解していいんだろうな、三上」
「はい、申し訳ございませんでした」
かおるの事前予想通り、恭祐が退職理由を尋ねることなど勿論なかった。
今までだってかおるに関する事を恭祐が質問したことなど一度もないのだから、当然と言えば当然なのだが。
今のこの状況だってそうだ。直属の上司である恭祐が、かおるの退社を知ったのは人事部からの連絡。何年も共に働いていたというのに、二人の関係が希薄なのを物語っている。
それを裏付けるのが、恭祐の次の言葉。職場なのだから当然のことだが、確認事項が終わったら、次の事案に移るだけだった。
いつもより数段冷たく感じられる恭祐の声、表情。冷遇に慣れているとは言え、かおるの全ての動きは停止した。思考さえも。
けれど、慣れとは恐ろしい。動揺するかおるとは別の、表面を繕う冷静なかおるがすぐさま適切な返事をしたのだった。数年で培われた反射神経を駆使して。
「はい。今までありがとうございました。引き継ぎと後任に関しては既に人事部と秋山さんを交えて相談しています。若林さんにご迷惑をお掛けすることは恐らくありません」
「分かった。樹が関わっているなら問題ないだろう。が、恐らくという言葉は聞かなかったと理解していいんだろうな、三上」
「はい、申し訳ございませんでした」
かおるの事前予想通り、恭祐が退職理由を尋ねることなど勿論なかった。
今までだってかおるに関する事を恭祐が質問したことなど一度もないのだから、当然と言えば当然なのだが。
今のこの状況だってそうだ。直属の上司である恭祐が、かおるの退社を知ったのは人事部からの連絡。何年も共に働いていたというのに、二人の関係が希薄なのを物語っている。
それを裏付けるのが、恭祐の次の言葉。職場なのだから当然のことだが、確認事項が終わったら、次の事案に移るだけだった。
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