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ファルコール手前の町9 予定変更という計画
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オリアナがサブリナへの手土産に選んだのは、美しい意匠の織物から作られたストール。勿論サブリナを王都へ連れ帰る途中で自分の物にするつもりで選らんだ。しかし時間を掛け吟味したストールを奪い取るにも、これからが重要になってくる。言ってしまえば、ここまではファルコールへ向かうというただの移動。すればいいだけのことだったが、ファルコールを前にオリアナは頭を使いやらなければならないことがある。
ストール、ジャスティン、成功報酬を受け取るには知恵を絞り上手く実行しなければならない。
王都とファルコールを往復する為の旅費、サブリナへの贈り物、それに大切な娘であるオリアナの為に父が付けてくれたのは商会の中でも商品輸送時に護衛を担っている者達。その中でも体格の良い二人だった。誰が選ばれるかまでは分からなかったが、これもオリアナの狙い通り。同じ従業員でも、事務作業の者よりは普段から護衛を担っている者の方が有り難かった。腕っ節が強そうな方が、オリアナの後ろに控えた時にサブリナへ与える圧も大きくなるはずだから。
それに、内部で商会の頭脳として働く者ではオリアナがこれからしようとしている『予定変更』に少なからず疑問を持つだろう。けれど護衛担当の様に、普段から言われた仕事に従う者であればオリアナが決める『予定変更』にも従うはずだ。あとは、『予定変更』を聞いたとしても簡単に納得するであろう状況を作ればいい。
「いよいよ明日はファルコールに到着ね。今日はここまでのお礼も兼ねてちょっと贅沢な夕食にしましょう。勿論、お酒も沢山飲んでちょうだい。今日はわたしが個人的に払うから、お父さんから持たされているお金には手を着けないで」
好都合なことに、この日の宿泊地には早めに到着した。その分、夕食を早めに始めることにしたのだが、終わりまでを早めるつもりはない。今までよりも長い食事時間で、二人にはたっぷりと酒を飲んでもらい気分を良くしてもらわなくては。
そしてオリアナは頃合いを見計らって二人に迷惑を掛けたサブリナへ謝罪する為にファルコールへ行くが、それだけでいいのか悩んでいると伝えた。
「実はここまでサブリナ様に言葉で謝るだけではなく、何か出来ることはないか考えていたの」
オリアナは申し訳なさそうな表情を浮かべながら、二人に切々と語った。ファルコールにいる間に離縁させられてしまったサブリナだが、ジャスティンを心から愛していたと。本当はそんなことは言いたくないが、ジャスティンの為だと思えばオリアナの口は滑らかだった。
「どうかしら、サブリナ様をオランデール伯爵家へ連れて行ってあげるのは?貴族のご令嬢だもの、きっと一人で王都へは戻れないわ。平民のわたしですら、お父さんにお願いしてあなた達を付けてもらったくらいなのに」
「勝手にそんなことをしては…」
「大丈夫。わたし、実は、オランデール伯爵家のクリスタル様とはサブリナ様の侍女だったこともあって、それなりに仲がいいの。クリスタル様もサブリナ様に会いたがっていた。伯爵家のご令嬢の希望を叶えることにもなるから、謝るだけでなくサブリナ様を王都へ連れて行ってあげましょう」
この計画の先にはジャスティンがいると思いながら、オリアナは二人に満面の笑みを見せたのだった。
ストール、ジャスティン、成功報酬を受け取るには知恵を絞り上手く実行しなければならない。
王都とファルコールを往復する為の旅費、サブリナへの贈り物、それに大切な娘であるオリアナの為に父が付けてくれたのは商会の中でも商品輸送時に護衛を担っている者達。その中でも体格の良い二人だった。誰が選ばれるかまでは分からなかったが、これもオリアナの狙い通り。同じ従業員でも、事務作業の者よりは普段から護衛を担っている者の方が有り難かった。腕っ節が強そうな方が、オリアナの後ろに控えた時にサブリナへ与える圧も大きくなるはずだから。
それに、内部で商会の頭脳として働く者ではオリアナがこれからしようとしている『予定変更』に少なからず疑問を持つだろう。けれど護衛担当の様に、普段から言われた仕事に従う者であればオリアナが決める『予定変更』にも従うはずだ。あとは、『予定変更』を聞いたとしても簡単に納得するであろう状況を作ればいい。
「いよいよ明日はファルコールに到着ね。今日はここまでのお礼も兼ねてちょっと贅沢な夕食にしましょう。勿論、お酒も沢山飲んでちょうだい。今日はわたしが個人的に払うから、お父さんから持たされているお金には手を着けないで」
好都合なことに、この日の宿泊地には早めに到着した。その分、夕食を早めに始めることにしたのだが、終わりまでを早めるつもりはない。今までよりも長い食事時間で、二人にはたっぷりと酒を飲んでもらい気分を良くしてもらわなくては。
そしてオリアナは頃合いを見計らって二人に迷惑を掛けたサブリナへ謝罪する為にファルコールへ行くが、それだけでいいのか悩んでいると伝えた。
「実はここまでサブリナ様に言葉で謝るだけではなく、何か出来ることはないか考えていたの」
オリアナは申し訳なさそうな表情を浮かべながら、二人に切々と語った。ファルコールにいる間に離縁させられてしまったサブリナだが、ジャスティンを心から愛していたと。本当はそんなことは言いたくないが、ジャスティンの為だと思えばオリアナの口は滑らかだった。
「どうかしら、サブリナ様をオランデール伯爵家へ連れて行ってあげるのは?貴族のご令嬢だもの、きっと一人で王都へは戻れないわ。平民のわたしですら、お父さんにお願いしてあなた達を付けてもらったくらいなのに」
「勝手にそんなことをしては…」
「大丈夫。わたし、実は、オランデール伯爵家のクリスタル様とはサブリナ様の侍女だったこともあって、それなりに仲がいいの。クリスタル様もサブリナ様に会いたがっていた。伯爵家のご令嬢の希望を叶えることにもなるから、謝るだけでなくサブリナ様を王都へ連れて行ってあげましょう」
この計画の先にはジャスティンがいると思いながら、オリアナは二人に満面の笑みを見せたのだった。
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