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王宮では48
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知りたかったが、知ってしまった後では知らない方が良かったと思える黄緑とペリドットの意味。それはスカーレットという当事者がダニエルに話した内容に過ぎない。これが事実なのか確かめるには、もう一人の当事者に尋ねる必要がある。しかしそんな必要はない。今更スカーレットがこんな作り話をする必要はないからだ。
スカーレットが婚約者から王子妃となり、幸せな秘密を幼い日の美しい思い出として語る必要がないように。
幸せな秘密だったから守られていたことが、美しくもないただの過去になったから明かされただけのこと。最初に破ったのはアルフレッドだろう。これも推測の域を出ることはないが、スカーレットの記憶は正しいはず。あの日ペリドットで作られた見事な首飾りがシシリアの胸元を彩ったということは。
答え合わせをする為にはアルフレッドに聞くしかない。しかしジョイスは分かっている、アルフレッドは答えやしないと。
ジョイスが特注品に関して尋ねた時、アルフレッドは確かに言った『ペリドットは、黄緑は約束の色だったんだ、俺達の』と。
もう一人の当事者の話を聞いてしまったジョイスには、黄緑は裏切りの色に思える。幸せな秘密を、本来守るべき二人の内の一人が一方的に裏切りからぶち壊した時の象徴の色に。そんなペリドットを約束の色と表現するには無理がありすぎる。ジョイスを誤魔化してまであの特注品をスカーレットに贈りたかったアルフレッドの真意は何だろうか。
母はジョイスに『贈り物はどういう役割を果たすのかしら?』と問うた。そして教えてくれた、難しく考えることなく喜ばせることが重要だと。しかし、スカーレットを喜ばせることなく悲しませたアルフレッドの贈り物に関しては深く考えなくてはいけない。決して当人から理由は聞けないと分かっているのだから。
ダニエルは屑ペリドットでは中央を飾れない、それが贈り物の意味だと信じたいと言っていた。しかし、アルフレッドが作らせた特注品だ。屑ペリドットでも美しいに違いない。それはファルコールを出て、中央で見ても。
ジョイスにとり、これまで宝石はただの美しい石だった。それぞれ違う色を持つ。けれど、アイスブルーダイヤのカット見本を見た時に思った。技術により、美しい石は輝く宝石になるのだと。
本当に屑ペリドットなのだろうか。ジョイスはアルフレッドがスカーレットに贈った実物を見たいと思った。誰かが自分の愛する人に贈ったものを。
そろそろ中庭を出てアルフレッドの執務室へ戻ろうとした時だった、ジョイスが忘れたくても忘れられない過去を思い出したのは。
アルフレッドの執務室へ戻るのはジョイスが側近だから。そして側近としてスカーレットにどういう言葉を浴びせたのか。ジョイスもまたアルフレッドが裏切ることに加担した一人なのだ。その場にいなかっただけで、当事者の一人であることには変わりないのだと。
スカーレットが婚約者から王子妃となり、幸せな秘密を幼い日の美しい思い出として語る必要がないように。
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答え合わせをする為にはアルフレッドに聞くしかない。しかしジョイスは分かっている、アルフレッドは答えやしないと。
ジョイスが特注品に関して尋ねた時、アルフレッドは確かに言った『ペリドットは、黄緑は約束の色だったんだ、俺達の』と。
もう一人の当事者の話を聞いてしまったジョイスには、黄緑は裏切りの色に思える。幸せな秘密を、本来守るべき二人の内の一人が一方的に裏切りからぶち壊した時の象徴の色に。そんなペリドットを約束の色と表現するには無理がありすぎる。ジョイスを誤魔化してまであの特注品をスカーレットに贈りたかったアルフレッドの真意は何だろうか。
母はジョイスに『贈り物はどういう役割を果たすのかしら?』と問うた。そして教えてくれた、難しく考えることなく喜ばせることが重要だと。しかし、スカーレットを喜ばせることなく悲しませたアルフレッドの贈り物に関しては深く考えなくてはいけない。決して当人から理由は聞けないと分かっているのだから。
ダニエルは屑ペリドットでは中央を飾れない、それが贈り物の意味だと信じたいと言っていた。しかし、アルフレッドが作らせた特注品だ。屑ペリドットでも美しいに違いない。それはファルコールを出て、中央で見ても。
ジョイスにとり、これまで宝石はただの美しい石だった。それぞれ違う色を持つ。けれど、アイスブルーダイヤのカット見本を見た時に思った。技術により、美しい石は輝く宝石になるのだと。
本当に屑ペリドットなのだろうか。ジョイスはアルフレッドがスカーレットに贈った実物を見たいと思った。誰かが自分の愛する人に贈ったものを。
そろそろ中庭を出てアルフレッドの執務室へ戻ろうとした時だった、ジョイスが忘れたくても忘れられない過去を思い出したのは。
アルフレッドの執務室へ戻るのはジョイスが側近だから。そして側近としてスカーレットにどういう言葉を浴びせたのか。ジョイスもまたアルフレッドが裏切ることに加担した一人なのだ。その場にいなかっただけで、当事者の一人であることには変わりないのだと。
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