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結局甘い雰囲気の会話からは離れてしまったが、デズモンド、リアム、サブリナがそれぞれを知る良いお茶会になった。王都の社交の場ではまず不可能な本音トークに、情報漏洩。布石を打つためには重要なことばかりだった。
「今日のことを踏まえてお父様へ手紙を書くわ。安心して、手紙はどんな方法よりも確実に早くお父様に届く。だからもう一度だけ確認させて欲しい。サビィ、本当にいいのね?」
この世界で離縁は女性に大きなダメージを与える。しかも、確実にサブリナが離縁出来るよう取る手段は最低の方法だ。
「ええ、お父様からオランデール伯爵へ謝罪という体で離縁の話をしてもらいましょう。わたしがファルコールで今までのことを反省し、これ以上オランデール伯爵家に迷惑を掛けてはいけないと思ったと」
「そのスタンスで良いと思う。オランデール伯爵には謝罪としての離縁だと思わせた方が上手くいく。サブリナ夫人に迷惑を掛けられたのだから、前リッジウェイ子爵が頭を下げるのが当然と考えるタイプだ」
「その通りだわ、デズさん。オランデール伯爵はわたしという存在に内心うんざりしていたはず。今回スカーレットの話し相手になることで微力もいいところだけど漸く役に立ったと思っているでしょうね。ただ…わたしは当分王都へは戻らないから誰かに何を言われようと構わないけれど、お父様やお母様には申し訳ないわね」
「話を聞く限りサビィのご両親はどんな状況でも君を守ることを選ぶはずだ。きっと申し訳なさを感じてもらうよりも、楽しい毎日を過ごして欲しいんじゃないかな」
「そうよ、安心してサビィ。第一わたしが手紙を送る相手はあなたのお父様の友人であり、あのキャストール侯爵なのよ。だから大丈夫」
前世では兎に角自力で何とかしなくてはいけないと思い続けてきた薫。実の母にも負担を掛けてはいけないと、頼るという言葉を忘れていた。けれど今はそれが間違いだったと分かる。頼るというのは、自分の声を上げること。分かってもらうことだったのだ。流石に何でもかんでも頼るのは良くないが。
それに重要な局面で頼られる相手は理解していたようだ。AもBも今ファルコールにいるのはそういうことだろう。
Aが運んできた報告書。そして、Bはその後のアクションをキャストール侯爵に伝える為に薫が手紙を用意さえすれば、直ぐに王都へ向かうことになっている。偶然の産物だが、サブリナの離縁の意思はキャリントン侯爵の晩餐会前に十分間に合う。
それにしてもデズモンドは前世ならばプロファイラーになれたに違いない。付き合いのないオランデール伯爵の為人を情報から読み解くとは。だからこそ、定期的にやってくる業務連絡を利用してキャリントン侯爵が晩餐会参加者に関してデズモンドの握る情報と想像出来る繋がり等を照会してきたのだろうが。そして今回サブリナから知らされたオランデール伯爵家の事実をデズモンドはどう使うのだろうか。
話すことでオランデール伯爵家との繋がりを切ったサブリナ。そしてサブリナも既に理解している、デズモンドの人を見る力を。情報をどう利用するのかは、それこそこの山間の町ファルコールで文字通り高みの見物をすればいいだけだ。ここに居ても二大侯爵家のお陰でそれぞれの側面から見た情報が入ってくるのだから。
その夜、薫は早速キャストール侯爵への手紙を用意した。離縁がサブリナにとって善になると信じ。そして、夢を見たのだった。しかし、今までとは違う夢。あの日何があったのか現実を知る為の夢だった。
「今日のことを踏まえてお父様へ手紙を書くわ。安心して、手紙はどんな方法よりも確実に早くお父様に届く。だからもう一度だけ確認させて欲しい。サビィ、本当にいいのね?」
この世界で離縁は女性に大きなダメージを与える。しかも、確実にサブリナが離縁出来るよう取る手段は最低の方法だ。
「ええ、お父様からオランデール伯爵へ謝罪という体で離縁の話をしてもらいましょう。わたしがファルコールで今までのことを反省し、これ以上オランデール伯爵家に迷惑を掛けてはいけないと思ったと」
「そのスタンスで良いと思う。オランデール伯爵には謝罪としての離縁だと思わせた方が上手くいく。サブリナ夫人に迷惑を掛けられたのだから、前リッジウェイ子爵が頭を下げるのが当然と考えるタイプだ」
「その通りだわ、デズさん。オランデール伯爵はわたしという存在に内心うんざりしていたはず。今回スカーレットの話し相手になることで微力もいいところだけど漸く役に立ったと思っているでしょうね。ただ…わたしは当分王都へは戻らないから誰かに何を言われようと構わないけれど、お父様やお母様には申し訳ないわね」
「話を聞く限りサビィのご両親はどんな状況でも君を守ることを選ぶはずだ。きっと申し訳なさを感じてもらうよりも、楽しい毎日を過ごして欲しいんじゃないかな」
「そうよ、安心してサビィ。第一わたしが手紙を送る相手はあなたのお父様の友人であり、あのキャストール侯爵なのよ。だから大丈夫」
前世では兎に角自力で何とかしなくてはいけないと思い続けてきた薫。実の母にも負担を掛けてはいけないと、頼るという言葉を忘れていた。けれど今はそれが間違いだったと分かる。頼るというのは、自分の声を上げること。分かってもらうことだったのだ。流石に何でもかんでも頼るのは良くないが。
それに重要な局面で頼られる相手は理解していたようだ。AもBも今ファルコールにいるのはそういうことだろう。
Aが運んできた報告書。そして、Bはその後のアクションをキャストール侯爵に伝える為に薫が手紙を用意さえすれば、直ぐに王都へ向かうことになっている。偶然の産物だが、サブリナの離縁の意思はキャリントン侯爵の晩餐会前に十分間に合う。
それにしてもデズモンドは前世ならばプロファイラーになれたに違いない。付き合いのないオランデール伯爵の為人を情報から読み解くとは。だからこそ、定期的にやってくる業務連絡を利用してキャリントン侯爵が晩餐会参加者に関してデズモンドの握る情報と想像出来る繋がり等を照会してきたのだろうが。そして今回サブリナから知らされたオランデール伯爵家の事実をデズモンドはどう使うのだろうか。
話すことでオランデール伯爵家との繋がりを切ったサブリナ。そしてサブリナも既に理解している、デズモンドの人を見る力を。情報をどう利用するのかは、それこそこの山間の町ファルコールで文字通り高みの見物をすればいいだけだ。ここに居ても二大侯爵家のお陰でそれぞれの側面から見た情報が入ってくるのだから。
その夜、薫は早速キャストール侯爵への手紙を用意した。離縁がサブリナにとって善になると信じ。そして、夢を見たのだった。しかし、今までとは違う夢。あの日何があったのか現実を知る為の夢だった。
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