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サブリナは結婚する前からのことを含め、時系列に沿って事実だけを話してくれた。淡々と、分かり易く、感情を表すことなく、まるで他の誰かの話をするように。
気持ちを整理する為にも話したいと言ったサブリナ。しかしその様子から、薫にはサブリナが大方の整理を終わらせているように見えた。だから結果が出たのだろうし。
「これであなたが見せてくれた報告書の行間が埋まるのではないかしら。でも、それでは事実が詰まっていくだけ。だから、わたし、サブリナという心を通した話をするわ。まず、ジャスティン様から婚約を打診された時、わたしはとても嬉しかった。あの時は彼が好きだからというより、自分が認められて嬉しかった」
女性があまり認められない世界で、サブリナの能力を認めてくれたジャスティン。しかも子爵家よりも爵位が上の伯爵家のジャスティンが認めてくれたことにサブリナは最初とても驚いた。しかし、本当に驚きくらいだった、サブリナが抱いた感情は。
そしてその感情は時間経過と共に変化していった。先ずは驚きから警戒。何故ジャスティンがサブリナに近付いてくるのか、そこに何か裏があるのではないかと。ところが、ジャスティンはただサブリナを認めるだけではなかった。どの能力が秀でているか具体的に評価したのだ。
具体的。それが決め手だった、驚きや警戒からサブリナがジャスティンに好意的になったのは。サブリナは考えたのだ、ジャスティンはサブリナを知ろうとしてくれていると。
「婚約の打診の時に言われたの。君のその高い能力で僕を支えて欲しいって。今なら良く分かるわ、彼はわたしを喜ばせる言葉を巧みに操っただけだったのね。馬鹿ね、わたしったら」
けれどもその時のサブリナはその言葉を素直に受け入れ、自分を選んでくれたジャスティンの為にオランデール伯爵家で頑張ろうと思った。最初の一年は次期伯爵夫人になる為の勉強、そして自分の立場というものを学んだ。子爵家からやってきた自分が表にしゃしゃり出て何かすることはオランデール伯爵家内では好ましくないと。
そうこうしている内にジャスティンにサブリナは言われたのだった、現オランデール伯爵に認められる何かをしたいと。そしてその時に、オリアナの実家の商家に相談するのも良いかもしれないとアドバイスされたのだった。
「オリアナのお父様がわたしの語学力ならば、隣国との取引を始めるのはどうかと提案してくれたの。ジャスティン様が認めてくれていたわたしの能力の一つが語学力だったから、その話に飛びついたわ。当時オリアナもわたしの評価が上がることが侍女として嬉しいと色々協力してくれた。その一つがわたしの書いた手紙を実家に届けることだったけれど、今思えば外出する口実を与えていたに過ぎないわね」
行間が埋められた報告書に、サブリナが色を付け始めたのだった。
気持ちを整理する為にも話したいと言ったサブリナ。しかしその様子から、薫にはサブリナが大方の整理を終わらせているように見えた。だから結果が出たのだろうし。
「これであなたが見せてくれた報告書の行間が埋まるのではないかしら。でも、それでは事実が詰まっていくだけ。だから、わたし、サブリナという心を通した話をするわ。まず、ジャスティン様から婚約を打診された時、わたしはとても嬉しかった。あの時は彼が好きだからというより、自分が認められて嬉しかった」
女性があまり認められない世界で、サブリナの能力を認めてくれたジャスティン。しかも子爵家よりも爵位が上の伯爵家のジャスティンが認めてくれたことにサブリナは最初とても驚いた。しかし、本当に驚きくらいだった、サブリナが抱いた感情は。
そしてその感情は時間経過と共に変化していった。先ずは驚きから警戒。何故ジャスティンがサブリナに近付いてくるのか、そこに何か裏があるのではないかと。ところが、ジャスティンはただサブリナを認めるだけではなかった。どの能力が秀でているか具体的に評価したのだ。
具体的。それが決め手だった、驚きや警戒からサブリナがジャスティンに好意的になったのは。サブリナは考えたのだ、ジャスティンはサブリナを知ろうとしてくれていると。
「婚約の打診の時に言われたの。君のその高い能力で僕を支えて欲しいって。今なら良く分かるわ、彼はわたしを喜ばせる言葉を巧みに操っただけだったのね。馬鹿ね、わたしったら」
けれどもその時のサブリナはその言葉を素直に受け入れ、自分を選んでくれたジャスティンの為にオランデール伯爵家で頑張ろうと思った。最初の一年は次期伯爵夫人になる為の勉強、そして自分の立場というものを学んだ。子爵家からやってきた自分が表にしゃしゃり出て何かすることはオランデール伯爵家内では好ましくないと。
そうこうしている内にジャスティンにサブリナは言われたのだった、現オランデール伯爵に認められる何かをしたいと。そしてその時に、オリアナの実家の商家に相談するのも良いかもしれないとアドバイスされたのだった。
「オリアナのお父様がわたしの語学力ならば、隣国との取引を始めるのはどうかと提案してくれたの。ジャスティン様が認めてくれていたわたしの能力の一つが語学力だったから、その話に飛びついたわ。当時オリアナもわたしの評価が上がることが侍女として嬉しいと色々協力してくれた。その一つがわたしの書いた手紙を実家に届けることだったけれど、今思えば外出する口実を与えていたに過ぎないわね」
行間が埋められた報告書に、サブリナが色を付け始めたのだった。
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