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次の日は、式で会えなかった兄二人に会うべくコルベット伯爵邸へ出向いた。
一番上の兄の名はショーン。短いプラチナブロンドの髪に切れ長のヘーゼルの瞳の美丈夫で、25歳だ。
社交界では快活で爽やかな好青年で通っているのだが、こう見えて≪梟≫の次期筆頭である。その姿は次期筆頭に相応しく、冷静沈着で非情だ。
ちなみに既婚者で、幼い一人息子がいる。妻と子を溺愛しているのだが、子は既に≪梟≫としての頭角を現していると、つい最近親馬鹿ぶりを発揮していた。
二番目の兄の名はライル、22歳。髪と瞳の色は兄と同じであったが、長髪を緩く一つに結んで気怠げな垂れ眼である様は、口元の黒子の位置も含めて母ミーアにそっくりであった。勿論漂う色気も同じである。
社交界ではいつも違う令嬢を侍らせており、性に奔放だともっぱらの噂になっていた。しかし、≪梟≫としての顔は、先程まで睦言を囁き合い愛を確かめ合った女をその夜の内に殺してしまえる程には残虐である。
つい昨日まで隣国へ長期の任務で離れていた二人が帰ってきたという訳で、顔見せである。アデルは久方ぶりの兄達との再会に思いを馳せた。
そして、例の如くコルベット伯爵邸のサンルームでは穏やかなアフタヌーンティーが催されていた。家族水入らずで話すときは大体ここと決まっている。
本日も召使や給仕、双子たちも含めた側近を下がらせて、家族だけの会話を楽しんでいた。
「アデル、元気そうでよかった。結婚が決まったと聞いた時には本当にびっくりしたよ。父上もよく、こんな短期間での結婚をお許しになったものだな。」
「そうですよねぇ。」
ショーンが紅茶の入ったカップをゆっくりと持ち上げながら最初に口を開いた。続いてライルが少し間延びした物言いで相槌を打つ。
ライルは魅惑的な赤い舌で、カップから最後の一滴を受け止めていた。
「貴方達は結婚式に来られなくて、本当に残念だったわね。アデルちゃん、女神様みたいに綺麗でしたのよ。」
当然のような顔で兄妹に混じるのは母、ミーアだ。頬に手を当て、うっとりとした表情で結婚式を思い出している。
「アデルちゃんがお嫁に行ってしまった夜、わたくし寂しくて寂しくて。久しぶりに、マイケルと温め合いながら過ごしましたわ。」
両親の床事情なんて聞きたくなかった。アデルがふぅと溜息をついて紅茶を一口飲む。それに気づいたミーアが、そういえば、と口を開いた。
「アデルちゃんそういえば、……下着は役に立った?初夜は辛くなかったかしら?」
いきなり何を言う、この母は。アデルはお茶でむせて、ゴホゴホと咳をした。噴き出さなかっただけ誉めて欲しいものだ。
「うーん、母上。これは、まだのようですねぇ。生娘の匂いがする。」
ライルが顔を近付けてスン、と鼻を鳴らした。失礼な。人の匂いで勝手に判断しないで欲しいものだこの兄は。
「まぁまぁ。しかし可愛いアデルが可愛いアデルのままでよかったよ。」
ショーンがにこにことしながら両手に顎を預けて首を傾けた。
「ショーンお兄様、わたくしは肯定も否定もしておりませんわ。」
言いたい放題の家族に、アデルは頬を引き攣らせた。ここで何かを言ってしまってはこの人達を喜ばせるだけだと分かっている。しかし、何も言わなくても勝手に盛り上がってしまう。
当たり障りのない会話を目指さなくては。
「わっ、わたくしのことはさておき。お兄様方、遠方のお勤め、ご無事の帰還で何よりですわ。」
口元だけで笑って兄二人に話題を振った。話を逸らすに限る。両手を擦り合わせて兄達へ話題を変えましょうという意味をこめて視線を送った。
「ははは、今さら何を言っているんだい、アデル。私たちが遠方の任務に就くなんてそう珍しい事では無いだろう。なぁ、ライル?」
「ええ、そうですねぇ。任務の内容は、家族とは言え父上以外に報告してはならないですしぃ。俺たちの土産話よりもアデルの話の方が余程興味深いと俺は思いますよぉ。……なんせ、アデルが結婚したのは曰く付きの第三王子ですからねぇ。」
ライルが目を光らせてアデルを見つめた。
話を逸らす作戦は失敗であった。アデルは内心嘆息する。
「それこそ、いくら家族とは言えわたくしの口から申し上げることは出来ませんわ。」
「第三王子は死にぞこないではなかっただろう?それは知っていたんだよぉ。」
「そうそう。隣国で暴れ回っていたのも知っているさ。我々は≪梟≫だよ?」
アデルの言葉に兄二人はあっさりと第三王子の内情を言い当てた。ミーアは口元へ微笑みを張り付けながら新しいティーポットに茶葉を入れている。
こういう時、父マイケルのアルカイック・スマイルは大変参考になった。
「私たちが心配しているのは、件の第三王子がアデルに見合う男かどうか、ってところだよ。どうなんだい?君が妻となるに相応しい男かな?」
「俺と兄上は、どちらかというとアデルが可愛いからねぇ。」
「それではそのように仰ればよろしいのでは?何故わたくしの閨事情などお気になさりますの?」
アデルの言葉に兄二人がきょとんとした表情をして、お互いに顔を見合わせた。そしてケラケラと笑い始める。
(……何かおかしなことを言いましたかしら?)
今度こそ、こめかみにビキビキと青筋が立った。その様子を俯瞰していた母が、ふふ、と笑って新しい紅茶をティーカップに注いだ。
「アデルちゃん、怒らないで頂戴ね。わたくしも、ショーンも、結局愛する人と結ばれているでしょう?ライルは好い人がいるのかはわからないけれど。……けれど、アデルちゃん。貴女は政略結婚をすることになってしまったわ。」
新しいティーカップを差し出した母と、視線が合った。
「わたくしたちは、せめて、殿下が貴女を大切になさっているのか、見極めたいだけ。」
優しく微笑まれてしまえば、アデルの毒気もすっかり抜けてしまった。
「まぁ、アデルの表情を見る限り、今のところは合格……かな?」
ショーンがそう言って悪戯っぽく微笑んだ。アデルは自身の表情と言われて、何が顔に出ていたかと不思議に思う。口元で笑うか、青筋を立てるかのどちらかしか無かったと思うのだが。
「俺は、殿下の不能を疑いますがねぇ。こんなに可愛い子を前にして……信じられないなぁ。」
続いてライルがアデルの金褐色の髪をくるくると指に巻き付けて嘯いた。
「…………実は、わたくしから抱いて欲しいと言わなければ、抱かないと宣言なさいましたわ。」
もういっその事話してしまった方が楽なのかもしれない、とアデルは判断した。すると三人が一気に固まる。
(……あら?失敗したかしら?)
「ア、アデルは何と答えたのかしら?」
固まった空気を破ったのは母ミーアだった。母の言葉を受けて妹が何と答えるのか。兄二人が固唾を飲んで見守る。
「殿下の御心のままにと申しましたわ。……でも、殿下はわたくしが怖がっているから、と。」
殿方の考えていることは図りかねますわ……と、言葉尻は小さくなって消えた。兄二人は顔を見合わせてお互いに首を振っている。ミーアは、まぁ、と声を上げた。
「少なくとも、殿下はアデルを尊重しようとなさっているのではないかしら?まぁ、そこはなるようになるものよ、絶対に。」
母のきっぱりとした物言いに、アデルは首を傾げる。「殿下の御心のままに、」と言う以外になんといえば良いのか。
仕事一筋で色事に疎かったアデルに「抱いてください」と言うだなんてレベルの高い事を求められても困るというものだ。
「そうだな、なるようになるさ。でも、私はもしばらく、アデルにはこのままでいて欲しいと思うよ。」
「殿下は必死に耐えているのだから、お前からも、もう少し歩み寄ってあげてもいいんじゃないかと俺は思うよぉ。」
兄二人からそれぞれ、アドバイスにも何もならないことを言われてしまった。
歩み寄り方が分かっていればアデルはとうにジルベルトの求める答えを言えているはずだった。
「…………善処いたしますわ。」
結局、釈然としないまま実家を後にしたアデル。最後の兄と母の生暖かい目が、どうしようもなく居たたまれなかった。
次の日は、式で会えなかった兄二人に会うべくコルベット伯爵邸へ出向いた。
一番上の兄の名はショーン。短いプラチナブロンドの髪に切れ長のヘーゼルの瞳の美丈夫で、25歳だ。
社交界では快活で爽やかな好青年で通っているのだが、こう見えて≪梟≫の次期筆頭である。その姿は次期筆頭に相応しく、冷静沈着で非情だ。
ちなみに既婚者で、幼い一人息子がいる。妻と子を溺愛しているのだが、子は既に≪梟≫としての頭角を現していると、つい最近親馬鹿ぶりを発揮していた。
二番目の兄の名はライル、22歳。髪と瞳の色は兄と同じであったが、長髪を緩く一つに結んで気怠げな垂れ眼である様は、口元の黒子の位置も含めて母ミーアにそっくりであった。勿論漂う色気も同じである。
社交界ではいつも違う令嬢を侍らせており、性に奔放だともっぱらの噂になっていた。しかし、≪梟≫としての顔は、先程まで睦言を囁き合い愛を確かめ合った女をその夜の内に殺してしまえる程には残虐である。
つい昨日まで隣国へ長期の任務で離れていた二人が帰ってきたという訳で、顔見せである。アデルは久方ぶりの兄達との再会に思いを馳せた。
そして、例の如くコルベット伯爵邸のサンルームでは穏やかなアフタヌーンティーが催されていた。家族水入らずで話すときは大体ここと決まっている。
本日も召使や給仕、双子たちも含めた側近を下がらせて、家族だけの会話を楽しんでいた。
「アデル、元気そうでよかった。結婚が決まったと聞いた時には本当にびっくりしたよ。父上もよく、こんな短期間での結婚をお許しになったものだな。」
「そうですよねぇ。」
ショーンが紅茶の入ったカップをゆっくりと持ち上げながら最初に口を開いた。続いてライルが少し間延びした物言いで相槌を打つ。
ライルは魅惑的な赤い舌で、カップから最後の一滴を受け止めていた。
「貴方達は結婚式に来られなくて、本当に残念だったわね。アデルちゃん、女神様みたいに綺麗でしたのよ。」
当然のような顔で兄妹に混じるのは母、ミーアだ。頬に手を当て、うっとりとした表情で結婚式を思い出している。
「アデルちゃんがお嫁に行ってしまった夜、わたくし寂しくて寂しくて。久しぶりに、マイケルと温め合いながら過ごしましたわ。」
両親の床事情なんて聞きたくなかった。アデルがふぅと溜息をついて紅茶を一口飲む。それに気づいたミーアが、そういえば、と口を開いた。
「アデルちゃんそういえば、……下着は役に立った?初夜は辛くなかったかしら?」
いきなり何を言う、この母は。アデルはお茶でむせて、ゴホゴホと咳をした。噴き出さなかっただけ誉めて欲しいものだ。
「うーん、母上。これは、まだのようですねぇ。生娘の匂いがする。」
ライルが顔を近付けてスン、と鼻を鳴らした。失礼な。人の匂いで勝手に判断しないで欲しいものだこの兄は。
「まぁまぁ。しかし可愛いアデルが可愛いアデルのままでよかったよ。」
ショーンがにこにことしながら両手に顎を預けて首を傾けた。
「ショーンお兄様、わたくしは肯定も否定もしておりませんわ。」
言いたい放題の家族に、アデルは頬を引き攣らせた。ここで何かを言ってしまってはこの人達を喜ばせるだけだと分かっている。しかし、何も言わなくても勝手に盛り上がってしまう。
当たり障りのない会話を目指さなくては。
「わっ、わたくしのことはさておき。お兄様方、遠方のお勤め、ご無事の帰還で何よりですわ。」
口元だけで笑って兄二人に話題を振った。話を逸らすに限る。両手を擦り合わせて兄達へ話題を変えましょうという意味をこめて視線を送った。
「ははは、今さら何を言っているんだい、アデル。私たちが遠方の任務に就くなんてそう珍しい事では無いだろう。なぁ、ライル?」
「ええ、そうですねぇ。任務の内容は、家族とは言え父上以外に報告してはならないですしぃ。俺たちの土産話よりもアデルの話の方が余程興味深いと俺は思いますよぉ。……なんせ、アデルが結婚したのは曰く付きの第三王子ですからねぇ。」
ライルが目を光らせてアデルを見つめた。
話を逸らす作戦は失敗であった。アデルは内心嘆息する。
「それこそ、いくら家族とは言えわたくしの口から申し上げることは出来ませんわ。」
「第三王子は死にぞこないではなかっただろう?それは知っていたんだよぉ。」
「そうそう。隣国で暴れ回っていたのも知っているさ。我々は≪梟≫だよ?」
アデルの言葉に兄二人はあっさりと第三王子の内情を言い当てた。ミーアは口元へ微笑みを張り付けながら新しいティーポットに茶葉を入れている。
こういう時、父マイケルのアルカイック・スマイルは大変参考になった。
「私たちが心配しているのは、件の第三王子がアデルに見合う男かどうか、ってところだよ。どうなんだい?君が妻となるに相応しい男かな?」
「俺と兄上は、どちらかというとアデルが可愛いからねぇ。」
「それではそのように仰ればよろしいのでは?何故わたくしの閨事情などお気になさりますの?」
アデルの言葉に兄二人がきょとんとした表情をして、お互いに顔を見合わせた。そしてケラケラと笑い始める。
(……何かおかしなことを言いましたかしら?)
今度こそ、こめかみにビキビキと青筋が立った。その様子を俯瞰していた母が、ふふ、と笑って新しい紅茶をティーカップに注いだ。
「アデルちゃん、怒らないで頂戴ね。わたくしも、ショーンも、結局愛する人と結ばれているでしょう?ライルは好い人がいるのかはわからないけれど。……けれど、アデルちゃん。貴女は政略結婚をすることになってしまったわ。」
新しいティーカップを差し出した母と、視線が合った。
「わたくしたちは、せめて、殿下が貴女を大切になさっているのか、見極めたいだけ。」
優しく微笑まれてしまえば、アデルの毒気もすっかり抜けてしまった。
「まぁ、アデルの表情を見る限り、今のところは合格……かな?」
ショーンがそう言って悪戯っぽく微笑んだ。アデルは自身の表情と言われて、何が顔に出ていたかと不思議に思う。口元で笑うか、青筋を立てるかのどちらかしか無かったと思うのだが。
「俺は、殿下の不能を疑いますがねぇ。こんなに可愛い子を前にして……信じられないなぁ。」
続いてライルがアデルの金褐色の髪をくるくると指に巻き付けて嘯いた。
「…………実は、わたくしから抱いて欲しいと言わなければ、抱かないと宣言なさいましたわ。」
もういっその事話してしまった方が楽なのかもしれない、とアデルは判断した。すると三人が一気に固まる。
(……あら?失敗したかしら?)
「ア、アデルは何と答えたのかしら?」
固まった空気を破ったのは母ミーアだった。母の言葉を受けて妹が何と答えるのか。兄二人が固唾を飲んで見守る。
「殿下の御心のままにと申しましたわ。……でも、殿下はわたくしが怖がっているから、と。」
殿方の考えていることは図りかねますわ……と、言葉尻は小さくなって消えた。兄二人は顔を見合わせてお互いに首を振っている。ミーアは、まぁ、と声を上げた。
「少なくとも、殿下はアデルを尊重しようとなさっているのではないかしら?まぁ、そこはなるようになるものよ、絶対に。」
母のきっぱりとした物言いに、アデルは首を傾げる。「殿下の御心のままに、」と言う以外になんといえば良いのか。
仕事一筋で色事に疎かったアデルに「抱いてください」と言うだなんてレベルの高い事を求められても困るというものだ。
「そうだな、なるようになるさ。でも、私はもしばらく、アデルにはこのままでいて欲しいと思うよ。」
「殿下は必死に耐えているのだから、お前からも、もう少し歩み寄ってあげてもいいんじゃないかと俺は思うよぉ。」
兄二人からそれぞれ、アドバイスにも何もならないことを言われてしまった。
歩み寄り方が分かっていればアデルはとうにジルベルトの求める答えを言えているはずだった。
「…………善処いたしますわ。」
結局、釈然としないまま実家を後にしたアデル。最後の兄と母の生暖かい目が、どうしようもなく居たたまれなかった。
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