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時刻は深夜1時。新月の今宵は、墨を流したかのような夜だった。
トイレの為に覚醒した王都の民がふと窓の外を見る。愛猫の黒猫が、黄色い瞳を闇に浮かべて空を見上げていたからだ。
風の切る音がしただろうか、いやきっと、ただの風鳴りだ。寝ぼけたその人は未だまどろみの中にある脳を完全に休まそうとベッドへ横になる。その窓の前を黒い風が横切った。
王都の夜は静かだ。特にこんな宵闇の深い日は。アデルは闇色の黒装束に身を包み、家々の屋根を音もなく伝い走っていた。
目深に被った黒いフードと口元を覆い隠す黒い布は一体となっている。その隙間から、エメラルドの瞳が獲物を狙う鷹のように細められた。目指すは本日の獲物、財務大臣のギュースターの私邸だ。
王都の外れにあるそこは、蔦薔薇で覆われた小さな城だった。どこか、寂れた古城というより廃墟が近いかもしれない。あの派手好きで知られるギュースターの趣味ではないと思われるが……。
こういうきな臭い会合の為に用意したのだろう。およそ人が住めるとは思えない程崩れかけた城壁を軽々と乗り越えて、アデルはゆっくりと城の周りを一周した。
(あったわ。)
目を凝らしていると、城の根本に人一人通れるか否かくらいの狭い扉を見付ける。アデルは躊躇することなくそこへ耳を付けた。
(……話し声ね。)
最も、そこから更に奥に部屋があるのだろう、くぐもっておりよく聞き取れない。
アデルは装束の中から細い針金を取り出した。扉の鍵を探り当て、手で形状を確認する。初歩的な鍵だ、造作もない。
アデルは暗闇の中で針金を鍵穴に通した。一瞬で鍵がカチャリと小さな音を立てる。古い城なので扉がギイギイと煩くては敵わない。アデルは集中して音を立てない様に扉の隙間を少し開けた。
……会話が鮮明になった。
『いや、わたくしどもダウザー商会に便宜を図って下さりありがとうございます。』
『ははは、なんのなんの。良いのだよ、その代わり……わかっているよね?』
『ははーっ。大臣の仰せの通りにいたします。』
『これからも君の商会を贔屓にしているからね。……それから、例の銀鉱山の話だが……。』
『ええ、ええ!もちろんですとも、利権の一部を大臣個人宛てにお譲りいたしますとも!』
『なんとなんと、悪いね~。』
(真っ黒も真っ黒、黒中の黒じゃない。)
アデルは呆れかえって言葉にならない。今夜はギュースター大臣とダウザー商会の個人的な繋がりを公にすることが任務だったが。
アデルは1時間ほどその場へ佇み、会話に聞き耳を立てた。
これは、帰ったら報告することがたくさんあるではないか。古城からの帰り道、アデルはげんなりとしながら家の屋根を思いっきり蹴って飛び上がった。
脳内で二人の会話を反芻する。真っ黒の会話は聞いただけで胸糞の悪くなるような内容だった。
ふわりと空中に浮いた身体は隣の家の屋根に向かって音もなく着地する。
ふと、小さな違和感を感じて腰のダブルタガーヘ手をかけた。瞬間、待ち構えたかのように左から白刃が飛んで来る。
左目ギリギリの所、タガーで刃を受ける。あまりの力の強さにいなすので精一杯だった。ビリビリと痺れの残る腕で、タガーを構える。
(わたくしの耳が物音ひとつ拾わなかっただなんて――。)
慢心し過ぎただろうか。そうでなければと思い背筋が凍る。アデルと同じ黒装束に身を包む刺客……力の強さから男だろう。この刺客はアデルがここを通るのを最初から知っていたことになる。
ふざけている。アデルは冷や汗を拭う事もできず刺客に対峙した。刺客が白銀に光るサーベルを構えながら殺気立つ。刺客が動いた、来る。
力では敵わない、分が悪い。咄嗟にアデルはタガーの柄から筒を引き抜くと刺客の目の前で筒を弾けさせる。閃光弾だ。ゼロコンマ何秒だろう、ほんの一瞬刺客が目を覆う前に目が合った。
弾けた閃光弾にすぐさま目を逸らしアデルは闇に消える。刺客が追ってくる気配は無かった。
息を吐く間も無く最大スピードで走り抜け、コルベット伯爵邸の裏門から身体を滑り込ませる。
待ち構えたように従僕が鉄製の扉を物々しい音を立てて閉めた。
「お嬢、お帰りなさいませ……ってどうしたんです?顔色滅茶苦茶悪いじゃないですか。」
従僕のイアンが差し出すランドリーバスケットに、フードを外して投げ入れる。
一つに括った長い金褐色が見事なウェーブを描いて揺れた。イアンが顔を顰めさせてクンクンと鼻を鳴らす。
「お嬢……もしかしてだけど、襲撃に会いました?」
イアンが茶色の髪を逆立て、子犬のようなオレンジ色の瞳を揺らしてアデルの周囲を嗅ぎ回る。いつ見ても、犬みたいだ。
彼は嗅覚に人一倍優れている為、アデルが閃光弾を使った事に気付いたのだ。手を差し出してタガーを寄越せとジェスチャーしてくる。
「……その通りよ。しかもかなりの手練れだったわ。」
待ち伏せされたみたいなの、とアデルが言うのを聞いてイアンが深刻そうに表情を歪めた。
「お嬢を待ち伏せ……って。なんだそいつ、何者だ?」
イアンがそう言いながら素早くアデルのタガーに閃光弾を詰め直す。こういった武器への細工も得意なので、アデルはイアンを重宝していた。
「分からないわ……。お父様は?」
「旦那様は早くに休まれましたよ。何でも明日早くに来客があるから、って。」
「そう、わたくしも早起きしてお父様に今日の報告をしなくてはね。……アンナはどこ?」
「おじょーさま、アンナはここでーす!」
ぴょこりとアデルの前に飛び出たのは侍女のアンナ。イアンとそっくりの顔で、三つ編みにメイド服が可愛らしい。
ちなみにイアンとアンナは双子で15歳だ。アンナもイアンと同様鼻が利く。クンクンとアデルの周囲を嗅ぎ回った。
「おじょーさま、今日は~、ラベンダーとリンデンフラワー、カモミールにレモンバームってところかな!」
「まぁ、そう。全部なのね。」
「えへへ、そうなの~全部なのっ!おじょーさま、いやしが必要。とっても疲れてるの~。」
しゅんとしたようにアデルの腕に絡みつき、アンナはこてりと顔を傾げた。
「おじょーさま、だいじょーぶ?ソイツ、アンナとイアンで消す?アンナ、そいつの匂い少し分かる。今なら追えるよ?」
アデルの間の抜けた話し方とは裏腹に、その眼は瞳孔が開いてギラギラとしている。イアンも真剣な目をしてアデルを見遣った。
アデルは微笑んで二人の茶色い頭を撫でる。二人は揃って気持ちよさそうに目を細めた。
「大丈夫よ、アンナ。……それをお決めになるのはお父様だわ。」
アデルが優しく諭すと、アンナはしょんぼりとしてしまう。
「アンナとイアンが弱いから?」
不服そうにアンナがじゃらりと鎖鎌を取り出した。イアンも何処から出したのか、手甲鉤を片手に嵌めている。
二人を拾ったのがアデルだったからか、とても懐いてくれているのだ。ありがたいが、二人を諫める。
「アンナもイアンもとーっても強いわよ。でも今は、深追いする時じゃないの。さあ、アンナ。わたくしの為にハーブ浴の準備をして頂戴。イアン、わたくしのタガーをありがとう。」
アンナとイアンは目を見合わせて仕方がないという様に肩をすくめ合った。
「おじょーさま、アンナがピカピカにしてあげる。」
「ありがとう、わたくし仕事後のお風呂でアンナに磨いて貰うのが大好きなのよ。」
「えへへ、アンナ、頑張る。」
アンナに腕へ絡みつかれながら自室へ向かう。イアンにダブルタガーを放ると、イアンがキャッチして刃こぼれのチェックを始めた。
入浴後、アデルは寝室で双子が準備してくれたハーブティーの香りを嗅いで癒されていた。因みに双子の部屋はアデルの寝室のすぐ隣にある。
緩く三つ編みにして、サイドに垂らした髪を撫でながらハーブティーに口を付けた。あの刺客……。アデルは一瞬交わった目線を思い、首を傾げる。
どこか既視感を拭えないのだ。だが、思い出せないということはその程度の事なのだろう。アデルは深く考えるのを止めたのだった。
時刻は深夜1時。新月の今宵は、墨を流したかのような夜だった。
トイレの為に覚醒した王都の民がふと窓の外を見る。愛猫の黒猫が、黄色い瞳を闇に浮かべて空を見上げていたからだ。
風の切る音がしただろうか、いやきっと、ただの風鳴りだ。寝ぼけたその人は未だまどろみの中にある脳を完全に休まそうとベッドへ横になる。その窓の前を黒い風が横切った。
王都の夜は静かだ。特にこんな宵闇の深い日は。アデルは闇色の黒装束に身を包み、家々の屋根を音もなく伝い走っていた。
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王都の外れにあるそこは、蔦薔薇で覆われた小さな城だった。どこか、寂れた古城というより廃墟が近いかもしれない。あの派手好きで知られるギュースターの趣味ではないと思われるが……。
こういうきな臭い会合の為に用意したのだろう。およそ人が住めるとは思えない程崩れかけた城壁を軽々と乗り越えて、アデルはゆっくりと城の周りを一周した。
(あったわ。)
目を凝らしていると、城の根本に人一人通れるか否かくらいの狭い扉を見付ける。アデルは躊躇することなくそこへ耳を付けた。
(……話し声ね。)
最も、そこから更に奥に部屋があるのだろう、くぐもっておりよく聞き取れない。
アデルは装束の中から細い針金を取り出した。扉の鍵を探り当て、手で形状を確認する。初歩的な鍵だ、造作もない。
アデルは暗闇の中で針金を鍵穴に通した。一瞬で鍵がカチャリと小さな音を立てる。古い城なので扉がギイギイと煩くては敵わない。アデルは集中して音を立てない様に扉の隙間を少し開けた。
……会話が鮮明になった。
『いや、わたくしどもダウザー商会に便宜を図って下さりありがとうございます。』
『ははは、なんのなんの。良いのだよ、その代わり……わかっているよね?』
『ははーっ。大臣の仰せの通りにいたします。』
『これからも君の商会を贔屓にしているからね。……それから、例の銀鉱山の話だが……。』
『ええ、ええ!もちろんですとも、利権の一部を大臣個人宛てにお譲りいたしますとも!』
『なんとなんと、悪いね~。』
(真っ黒も真っ黒、黒中の黒じゃない。)
アデルは呆れかえって言葉にならない。今夜はギュースター大臣とダウザー商会の個人的な繋がりを公にすることが任務だったが。
アデルは1時間ほどその場へ佇み、会話に聞き耳を立てた。
これは、帰ったら報告することがたくさんあるではないか。古城からの帰り道、アデルはげんなりとしながら家の屋根を思いっきり蹴って飛び上がった。
脳内で二人の会話を反芻する。真っ黒の会話は聞いただけで胸糞の悪くなるような内容だった。
ふわりと空中に浮いた身体は隣の家の屋根に向かって音もなく着地する。
ふと、小さな違和感を感じて腰のダブルタガーヘ手をかけた。瞬間、待ち構えたかのように左から白刃が飛んで来る。
左目ギリギリの所、タガーで刃を受ける。あまりの力の強さにいなすので精一杯だった。ビリビリと痺れの残る腕で、タガーを構える。
(わたくしの耳が物音ひとつ拾わなかっただなんて――。)
慢心し過ぎただろうか。そうでなければと思い背筋が凍る。アデルと同じ黒装束に身を包む刺客……力の強さから男だろう。この刺客はアデルがここを通るのを最初から知っていたことになる。
ふざけている。アデルは冷や汗を拭う事もできず刺客に対峙した。刺客が白銀に光るサーベルを構えながら殺気立つ。刺客が動いた、来る。
力では敵わない、分が悪い。咄嗟にアデルはタガーの柄から筒を引き抜くと刺客の目の前で筒を弾けさせる。閃光弾だ。ゼロコンマ何秒だろう、ほんの一瞬刺客が目を覆う前に目が合った。
弾けた閃光弾にすぐさま目を逸らしアデルは闇に消える。刺客が追ってくる気配は無かった。
息を吐く間も無く最大スピードで走り抜け、コルベット伯爵邸の裏門から身体を滑り込ませる。
待ち構えたように従僕が鉄製の扉を物々しい音を立てて閉めた。
「お嬢、お帰りなさいませ……ってどうしたんです?顔色滅茶苦茶悪いじゃないですか。」
従僕のイアンが差し出すランドリーバスケットに、フードを外して投げ入れる。
一つに括った長い金褐色が見事なウェーブを描いて揺れた。イアンが顔を顰めさせてクンクンと鼻を鳴らす。
「お嬢……もしかしてだけど、襲撃に会いました?」
イアンが茶色の髪を逆立て、子犬のようなオレンジ色の瞳を揺らしてアデルの周囲を嗅ぎ回る。いつ見ても、犬みたいだ。
彼は嗅覚に人一倍優れている為、アデルが閃光弾を使った事に気付いたのだ。手を差し出してタガーを寄越せとジェスチャーしてくる。
「……その通りよ。しかもかなりの手練れだったわ。」
待ち伏せされたみたいなの、とアデルが言うのを聞いてイアンが深刻そうに表情を歪めた。
「お嬢を待ち伏せ……って。なんだそいつ、何者だ?」
イアンがそう言いながら素早くアデルのタガーに閃光弾を詰め直す。こういった武器への細工も得意なので、アデルはイアンを重宝していた。
「分からないわ……。お父様は?」
「旦那様は早くに休まれましたよ。何でも明日早くに来客があるから、って。」
「そう、わたくしも早起きしてお父様に今日の報告をしなくてはね。……アンナはどこ?」
「おじょーさま、アンナはここでーす!」
ぴょこりとアデルの前に飛び出たのは侍女のアンナ。イアンとそっくりの顔で、三つ編みにメイド服が可愛らしい。
ちなみにイアンとアンナは双子で15歳だ。アンナもイアンと同様鼻が利く。クンクンとアデルの周囲を嗅ぎ回った。
「おじょーさま、今日は~、ラベンダーとリンデンフラワー、カモミールにレモンバームってところかな!」
「まぁ、そう。全部なのね。」
「えへへ、そうなの~全部なのっ!おじょーさま、いやしが必要。とっても疲れてるの~。」
しゅんとしたようにアデルの腕に絡みつき、アンナはこてりと顔を傾げた。
「おじょーさま、だいじょーぶ?ソイツ、アンナとイアンで消す?アンナ、そいつの匂い少し分かる。今なら追えるよ?」
アデルの間の抜けた話し方とは裏腹に、その眼は瞳孔が開いてギラギラとしている。イアンも真剣な目をしてアデルを見遣った。
アデルは微笑んで二人の茶色い頭を撫でる。二人は揃って気持ちよさそうに目を細めた。
「大丈夫よ、アンナ。……それをお決めになるのはお父様だわ。」
アデルが優しく諭すと、アンナはしょんぼりとしてしまう。
「アンナとイアンが弱いから?」
不服そうにアンナがじゃらりと鎖鎌を取り出した。イアンも何処から出したのか、手甲鉤を片手に嵌めている。
二人を拾ったのがアデルだったからか、とても懐いてくれているのだ。ありがたいが、二人を諫める。
「アンナもイアンもとーっても強いわよ。でも今は、深追いする時じゃないの。さあ、アンナ。わたくしの為にハーブ浴の準備をして頂戴。イアン、わたくしのタガーをありがとう。」
アンナとイアンは目を見合わせて仕方がないという様に肩をすくめ合った。
「おじょーさま、アンナがピカピカにしてあげる。」
「ありがとう、わたくし仕事後のお風呂でアンナに磨いて貰うのが大好きなのよ。」
「えへへ、アンナ、頑張る。」
アンナに腕へ絡みつかれながら自室へ向かう。イアンにダブルタガーを放ると、イアンがキャッチして刃こぼれのチェックを始めた。
入浴後、アデルは寝室で双子が準備してくれたハーブティーの香りを嗅いで癒されていた。因みに双子の部屋はアデルの寝室のすぐ隣にある。
緩く三つ編みにして、サイドに垂らした髪を撫でながらハーブティーに口を付けた。あの刺客……。アデルは一瞬交わった目線を思い、首を傾げる。
どこか既視感を拭えないのだ。だが、思い出せないということはその程度の事なのだろう。アデルは深く考えるのを止めたのだった。
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