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第2話 「呪いのSNS」

2-03 ジレンマ

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仕切り屋の弓月が段取り良く予約しておいたカラオケボックスに皆を引率する、受付で人数を確認、10人部屋に補助のクッション椅子を追加して計12人を詰め込む事になった

参加メンバは
横田(男子)不良グループ(頭)、この中ではリーダ
真島(男子)不良グループ(No2)、藤塚狙い
渡辺(男子)イベント好き、と言うか女好き、結構イケメン
会津(男子)ブラバン部、歌好き、と言うか女好き
葛西(男子)アイドルオタク、藤塚の写真狙い
弓月(女子)クラスの仕切り屋、このイベントの発起人
東郷(女子)スキンシップOKな人懐っこい人気者
佐島(女子)横田の彼女、結構大人びた美人、化粧濃し
それと藤塚、高野、朋生、僕という面々である

席順は、コの字型のソファーに、左4人列、右3人列、奥の3人列、の陣形

会津:「折角だからさ、男女交互に座らない?」
弓月:「良いけど、エッチな事しないでよね、」

  渡辺、東郷、会津、弓月
佐島
横田  テーブルテーブル   モニター
??  テーブルテーブル   機械 
真島
  金平、高野、葛西  補助椅子

横田と真島の間に微妙に隙間が空けてあって、この狭い隙間に藤塚を座らせる目論見らしい、当然僕は補助椅子の予定

藤塚:「私、補助椅子で良いよ、北条クン席に座って、」……学園のアイドルが和やかに提案し
横田:「藤塚は良いから来いって、今日はお前の歓迎会なんだから、」……学園の裏ボスが冷ややかに却下する

佐島:「タカ(横田鷹臣)、アンタ藤塚さんに変な事しようとか考えてないでしょうね?」……学園の裏ボスの彼女ナイスツッコミ!
横田:「しねえよ、俺は(真島)純の為を思ってだな、」……学園の裏ボスも彼女には頭が上がらない?

佐島:「ふーん、じゃあ純の隣に座ってもらえば良いじゃん、タカの居ない側、」
朋生:「此処も詰めれば4人座れるぜ、カズっち此処入んなよ、」……朋生、自分の左隣の角をパンパン叩く、高野、チェシャネコの如くニヤニヤする

と言う訳で、最終的な陣形はかく如くに落ち着いた

  渡辺、東郷、会津、弓月
佐島
横田  テーブルテーブル   モニター
真島  テーブルテーブル   機械 
藤塚
 北条(僕)、金平、高野、葛西

藤塚、これ以上無い愛想笑いしながら一番奥の席に着く、さり気無く真島との間にポーチを置いている

弓月:「それじゃあ、ドリンクバー頼む人?」
藤塚:「あっ、私行こうかな、喉乾いちゃった、」……藤塚、可愛らしく手を上げるが、

横田:「藤塚は良いって、誰かに持って来させれば良いんだよ、」

藤塚としては少しでもこの窮屈な状況から抜け出したいと言う狙いだったのだろうが、目論見は辛くも失敗、代表で葛西と高野が皆の分の飲み物を取りに行く事になった

横田:「コップに氷入れてコーラ3分の1だけ注いで来い、3人分な、」……変な注文だ

弓月:「後、何か食べるもの頼みたい人居る?」
渡辺:「俺、オニオンフライ~、」
東郷:「ちょっとお腹空いちゃったね、私も何か頼もうかな、」
佐島:「ここの豆腐サラダ結構いけるよ、」
会津:「チョコレートバスケットとミックスピザ、」

高野:「あのさ、ドリア食べてみたいんだけど、朋生半分こしない?」

皆の耳がピクリ!と動く、

弓月:「あらあら、貴方達いつの間にそういう関係?」
金平:「えっ、別に普通じゃん、なあ、カズっち!」……いきなり僕にふるか?
東郷:「じゃあさ、こっちもカルボナーラみんなで分けない?」
渡辺:「良いよ~、」

真島:「文華は何か食べないのか?」

一瞬心臓が押し潰されそうな錯覚に襲われる、何故だか誰も突っ込もうとはしない、こんな風に暗黙の既成事実が積み上げられようとしている、つまり此処はそう言う場所なのか?

藤塚:「どうしよっかなぁ、」……藤塚は下の名前を呼び捨てにされたにも拘らず、嫌がる素振り一つ見せずにメニューを捲る、

藤塚:「じゃあ、たこ焼き!」……あくまでも「カワイコぶりっこ路線」では無い「キャラ」を演出しているらしい

弓月:「北条クンは何か頼まないの?」……アカラサマに元気の無さそうな僕に弓月が気を利かせてくれる
一貴:「それじゃ…キャラメルポップコーン、」

全員分のオーダーを取りまとめて弓月が電話でフロントに注文する、抜け目なくメモっている所が流石仕切屋

藤塚は真島とのトークに花を咲かせている、何の話をしているんだろうか?まあ僕には関係のない事だ、そして恐らく藤塚自身にとってもどうでも良い事に違いなかった、僕にとっての火急の課題は、……むしろ健全な青少年の健康的な肉体反射の方だった、薄暗い室内のお蔭で上手く誤魔化せているから良い様なモノの、さも無ければ不自然に窮屈で不自然に火照った僕の顔が衆目の下に晒されていたのは間違いない

その原因の一つは藤塚の匂いだ、藤塚の身体からは甘い不思議な匂いがする、それは初めて嗅いだ女の子のシャンプーの匂いにも似ていて不安とか憂鬱とか諸々を「どうでも良い事」に変えてしまう、あっと言う間に確固たる自分の決意も尊厳すら手放し見失っても彼女の言いなりに成る事を心の底から望んでしまいそうになる、そんな麻薬の様な匂いが僕の脳髄をさっきからずっと不自然に揺さぶり続けていた

そしてもう一つの原因はテーブルの下に潜んでいた、もともと藤塚は真島に対して少しでも距離を取る為に限界迄僕の方に身体を寄せて座っていた、そして真島の方に上半身だけを向けてつまり僕には背中を向ける格好で座っている、テーブルの上では見た目に違和感は無いのだけれど、テーブルの下で藤塚の下半身は殆ど僕の方を向いていて、長くてスラットした藤塚の脚は膝を組んで完全に僕の脚と絡まっていた、脹脛の柔らかな感触が熱を帯びて僕の全触覚を占領し、机の上ではどんなに平静を装っていてもテントを張って膨れ上がったズボンの表面にシミが拡がって行くのを抑えられない訳で……



ーーー
やがて音楽が流れ出して、ブラバン部=会津の美声が部屋中に響き渡る、一応女子が囃し立てるが、本当の所誰一人として会津の歌を聴いている者等いない、乾きモノの料理が運び込まれて来る中で会津は「孤独」に熱唱を続ける

東郷:「会津クン、上手い!」
会津:「センキュ!」……で、曲と曲との間の僅かなやり取りが、この場の主旨を正当化しようとする

横田:「おい、会津、持って来たか、」
会津:「あっ、有るよ……、」……会津が不自然に大きな鞄から飲み物の缶を取り出した

ビール?

横田と真島それに佐島は、3分の1のコーラのグラスにビールを注いで行く

横田:「やっぱり、これが無いと始まらねえよな、」

なるほど三枝が言っていたのはこういう事だったのだろう、これで帰宅途中に誰かが補導されたりすれば、芋弦式に参加者全員の「内申書」が決定的なダメージを受けるのはまず間違いない

真島:「文華も飲んでみる?」
藤塚:「えっ、私は良いよ、それにお酒は良くないと思うよ、」

一瞬まるで街中でばったりUMAにでも遭遇したミタイな呆気にとられた顔で場が凍り付く、不良グループの真島の「命令」を拒否する事、不良グループの真島に対して「意見」する事、そんな発想は中学高校時代を横田・真島の伝説と共に過ごして来た者達にとっては到底出現しない筈の選択肢だったからだ、そんな事をしようモノなら直接的な不良グループからの因縁被害は勿論の事、一般生徒からの間接的な嫌がらせ、無視、無記名でのネットでの晒し、それこそ残りの学園生活を全部棒に振ってしまう様な面倒臭い苛めの日々を送る事になるのはまず間違いない

しかしだからこそ真島の反応は滑稽だった

真島:「そうかな、でも一寸位なら平気じゃないか?」……まるでそこらの善良な生徒と変わらない? 寧ろ草食系??

でも真島が「そんな風に自分に対等に意見してくれる藤塚」との心的距離を、他の誰かよりも近い特別な物だと錯覚してしまったとしてもそれは無理からぬ事かも知れない、真島は明らかに満更でも無い表情を浮かべていた



ーーー
やがて残りのメニューが運び込まれて来て、一斉に間接キス大会が始まった

東郷:「渡辺くん、先に食べて、」
渡辺:「俺、後で良いよ~、東郷サン、先に食べて、残ったら頂戴~、」
東郷:「ほんと? フォーク一個しか無いけど、私の使ったので良い?」
渡辺:「全然、問題ない~、」

真島:「たこ焼き一つもらっても良いか?」
藤塚:「ええ、どうぞ、北条クンも食べる?」

一瞬、僕は藤塚から名前を呼ばれてドキッとするが、チラッと背の高い真島が藤塚の頭上から僕に高圧的な視線を送ってきて、

一貴:「僕は、いいや、」……で、黙ったままモシャモシャとポップコーンをシガミ続ける



ーーー
それから、メアド交換合戦

真島:「文華のメアド教えてくれる?」
藤塚:「チョット待って、自分で覚えてないの、今見るね、」……藤塚が、ポーチから可愛らしいピンクの携帯を取り出す

弓月:「じゃあさあ、折角だから、此処に集まった皆のアドレス交換しない?」……で、次々に赤外線通信やら空メールの送信が始まる

真島:「アドレス帳用に、文華の写真撮らせてよ、」
藤塚:「えー?今日こんな格好して来ちゃったから恥ずかしいよ、」
真島:「良いって、取り敢えず今日の格好で、又別の日に撮り直せばいいから、」
藤塚:「上手に撮ってよ、」……藤塚、照れながらも然りげ無くポーズ、当然それはファッション雑誌の「読モ」顔負けなショットな訳で、

葛西:「藤塚さん! 僕も、写真撮らせてもらって、良いっすか?」……葛西、何故だか鞄からゴツくて黒い「デジタル一眼レフ」を取り出す、しかもカメラ本体に負けない巨大なフラッシュを装着、
東郷:「何それ! 凄~い、私も撮って!」
葛西:「じゃあ、僕、写真係やります、皆の撮りたいポーズで撮りますね、帰ったら写真はメールで皆みんなに送りますから、」……と言う流れで「カップル写真合戦」が始まった



ーーー
弓月:「次、三次会行くヒト~!」

既に時計の針は夜の21時30分を過ぎていたが何人かは未だ騒ぎ足りないらしい、どうやら朋生と高野は早速姿を眩ませてるようだ

佐島:「藤塚さん、此れから純も一緒に別行動すんだけど、貴方も来る?」
藤塚:「ゴメン、私お母さんと約束有るから今日は帰るね、」……藤塚が可愛らしく笑いながら誘いを断っている
佐島:「そう、無理には誘わないけど、」……佐島、チョット困り顔、

佐島から事情を聞いた真島が藤塚の元に駆け寄って来る

真島:「文華、GW中に予定有る?」
藤塚:「うん、明日からイギリスのお父さんの所に遊びに行くの、」
真島:「そうか、じゃあ暫く会えないか、」
真島:「遅いから、家迄送って行こうか、」
藤塚:「ありがとう、でも私の家、北条クンの家の直ぐ近くだから北条クンに送ってもらうよ、」

一貴:「え?」……そんな話僕は聞いた事も無かった

真島が不審そうな目で僕の事を睨みつける

横田:「おい!純、行くぞ!」……横田が大声で真島を呼びつける

それで真島は僕を睨め付けた侭、ゆっくりと横田の方へと戻って行った

弓月:「じゃあ、今日はお疲れした!」

弓月の号令で銘銘カラオケ屋の前で「適当な別れの挨拶」を交わして解散!

藤塚:「じゃ、北条クン行こっか、」……和やかに藤塚が僕に話し掛けてきて
一貴:「あっ、うん、」……思わず胸が締め付けられる様に「キュン」となる



ーーー
少し先を歩く藤塚に追いつこうと早歩きしながら、ポツリと聞いてみる

「藤塚さんの家って僕の家の近くなんだ、」
「何夢見てんの? そんな訳無いでしょ、」

「えっ、」
「それにアンタ何詰まんない事で話し掛けてんのよ、」

一瞬で「本性の藤塚文華」に戻ってる

「ごめん、」

藤塚は立ち止まり、振り返って僕を睨みつける

「チッ!」……そしていつもの舌打ち、

「喉乾いたから、なんか飲み物買って来て、」

自動販売機を見ながら藤塚が僕に指示を出す

「あっ、うん分かった、何が良い?」
「それぐらい自分で考えられないの?」

苦虫を噛み潰した様な表情で藤塚が僕を睨みつける

「ごめん、」
「私、彼処の公園に居るから、」

そう言うと藤塚は人気の無い夜の児童公園に向かって歩き出した



ーーー
僕は自動販売機で100%果汁のベリージュースを購入した、何だか藤塚に似合いそうな気がしたからだ、早足で公園に入ると、藤塚はベンチに腰掛けて待っていた、僕は黙った侭ジュースのペットボトルを藤塚に差し出す

「何これ? 美味しいの?」
「ごめん、飲んだ事無いけど、多分美味しいと思うよ、」

「まあ、良いわ、」

藤塚はひったくる様に僕からペットボトルを受け取って

「あの真島って奴やたら私の手を触ろうとするし、私の飲んでたウーロン茶飲ませろって取ってくから、その後気持ち悪くって飲めやしない、ホント最悪!」

藤塚はゾンザイにペットボトルのキャップを開けると行成りベリージュースをラッパ飲みする、僕はその振る舞いのギャップに思わず釘付けになって……

「何よ、飲みたいの?」

不意に藤塚はペットボトルを僕の方に突き出して来た、

「えっ、」
「何? 私の飲んだ後じゃ飲めないって言うの?」

「そんな事は、飲むよ、」

僕は恐る恐る受け取って、ペットボトルの飲み口に口を付ける、

何だか甘酸っぱいベリージュース一緒に、藤塚の一部が僕の口の中に広がって行く様な気がして、今日一日の辛い事が全部報われた様な変な錯覚に囚われる

「ちょっと!誰も全部あげるとは言ってないわよ、」
「ごめん、」

藤塚はペットボトルを引ったくると、残っていた4分の1程のジュースを一気に飲み干した

「明日からイギリスに行くんだ、」

僕は痛い沈黙に耐えきれずに話しかけ、

「馬鹿なの?あんなの嘘に決まってるじゃない、」

藤塚はまるでアッサリとバッサリと会話を終わらせる

「そうなんだ、」

「後でバレたら、…大変じゃない? 家の事とか、」
「別に、どうせGW明けたら私居なくなるし、」

「えっ、」

藤塚が居なくなる、僕を蠱惑するこの妖しい美少女がそう遠く無い内に僕の前から姿を消す、それは一体僕にとってどういう意味を持つのだろうか? 僕は藤塚が、藤塚の事が恐らく「怖い」と思っている、一方で僕は堪らなく藤塚に「惹かれ」ている、これはもう認めざるを得ない事実だった

「本当なの?」
「私が、嘘ついてるって言うの?」

「でも、さっき、家が近いとか、イギリスとか、嘘だって言ってたし、」
「私が、何時アンタに嘘ついた事が有るって言うのよ?」

僕は何もかも信じられなくなって解らなくなって混沌に沈む、藤塚文華って一体何者なんだ?

「まあ、良いわ、」

そして、藤塚がベンチから立ち上がる

僕の事を見つめる藤塚の眼差しは何故かしら少し憂いを帯びている様にも見えて、

「もう、どうでも良い、居なくなるって言うのは本当よ、」

そう言うとポーチからピンク色の携帯を取り出して、

「だから、こんな物ももう要らない、」

そしてソレを公園のゴミ箱に投げ入れた



藤塚文華って一体何者なんだ?

経歴を詐称し、クラスメイトを欺き、よく解らない危険な仕事をして、得体の知れない敵と戦っている、そして僕にだけはその本性を曝す

僕はどうしても知りたかった
藤塚文華にとって僕は一体何なんだ?

「藤塚さん教えて、藤塚さんって一体何者なの?」

僕の決意に、藤塚文華が一瞬ビクッと萎縮する

「それって、命令なの?」

藤塚文華の視線が、僕の喉元に突き刺さる

「命令?」
「忘れたの? 私は、アンタの奴隷よ、」

藤塚文華の視線がミルミル内に哀しみと畏れに揺らめいていく



ーーー
あの夕暮れの神社での出来事が脳裏に蘇る、ここ数日何度も何度も思い返そうとしていた記憶、本当はあの時何が有ったのか、本当は藤塚文華とは何者だったのか

「だって、あれは、ただの遊び、」
「アンタがどんな風に考えていようと関係ないわ、あの時にアンタと私の関係は決まってしまったの、そして二度とは覆らない、」

瑠璃色がかった濡烏の長い髪、華奢で黄金比なスタイル、神の贔屓としか思えない美貌、そんな絶世の美少女が「私はお前の奴隷だ」と告白する

「気が済んだ?なら、私は帰るわよ、」
「ちょっと、待って、」

立ち去ろうと歩き出した藤塚文華が立ち止まる

「まだ 何か用なの?」
「どうして、居なくなるの?」

「私に関わらない方が、アンタの身の為よ、」

背中を向けたまま、藤塚が囁く様な小声で呟いた

「それなら、どうして僕の前に現れたのさ。」

藤塚文華が振り返る

「アンタ、なんか調子に乗ってない?」……殺気を帯びた眼差しに、
「ゴメン、」……一瞬で気圧されて、僕は俯いてしまう、

「でも、…どうしても、知りたいんだ。」
「どうして僕にだけ、冷たくするの、」
「どうして僕にだけ、」……言葉が続かない、

どうして僕には身体を寄せ合っても平気なの? どうして僕となら同じボトルでジュースを分け合っても平気なの? どうして僕にだけ心を許すの? そんな事口に出して聞ける訳がない

「それは「質問」なの?それとも「命令」なの?」

藤塚がじっと僕の目を睨みつけたまま抑揚の無い声で尋ねる

「命令じゃない、質問だよ、そんな、命令して無理矢理言う事をきかせるのなんて嫌だよ、」

「チッ!」……藤塚が、僕から目を逸らして舌打ちする

「だったらアンタなんかに答える必要は無いわ、」

それからそう言って藤塚は再び僕に背中を向けて、

「もう二度と「質問」なんかしないで、」

そして僕は、夜の公園に一人取り残された
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