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第2章 学院編
第15話 試験開始
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翌日。
緊張を滲ませながら校門へと続く並木道を通っていた。
「それにしても凄い人の数だな」
例年千人近くが受験するらしい。
そのうち合格者は二百にも満たないほどだそうだ。
「そうね」
並木道は人でいっぱいになっている。
中には、緊張を解こうと周りと会話をする者。
或いは、深呼吸して心を落ち着かせようとする者。
程なくして全員が広大な校庭へと集められた。
すると、豪奢な衣装に身を包み、立派な髭を生やしたおじさんが朝礼台の上に立った。
校庭に集まった受験者達を見回すと、咳払いしてから口を開く。
「受験者の諸君。本日はよくぞ集まってくれた。私はこのラムザルノ統合王都学院の現校長、シャビエル・フェルナンデスである。──」
「緊張してるか?」
ルイスは隣にいるオレンジ色の長髪少女を揶揄うように言った。
「べ、別に。どうってことない──?!」
少年はカーネルの手を取る。
すると、みるみるうちに彼女の顔が赤面する。
「な、何するのよ!」
周りには聞こえない声で。
だが羞恥を含んだ怒声がルイスの耳を打った。
それに対し少年は満面の笑みで応え、視線を校長の方へと戻す。
(ず、ずるいっ!)
一人悶えるカーネルであった。
校長の挨拶が終わると、次に試験内容の説明に移った。
要約してみるとこうだ。
・それぞれが八人のブロックに分けられる
・ブロックの中でバトルロイヤルを行う
・最後に残った一人だけが合格
また、惜しくも敗れた二番目の人達の中でそれぞれ五人のブロックに分けられ、先と同様最後に残った一人も合格の切符を手に出来るというルールがある。
試験は数日に及ぶそうで、自分がいつになるかは当日張り出される対戦組み合わせ表を確認しないといけないので、毎日ここに来なければならない。
その後今日の組み合わせを確認したが、ルイスとカーネルの名はどちらもなかったので、軽く他の所を覗いてから帰路に就いた。
自室のベッドに腰を下ろしたルイスは、ある一人の人物を思い出していた。
それは、今日の第二試合で合格を手にした女性。
透き通るような銀色の髪を短く整えた彼女は、か弱そうな容姿とは裏腹に開始早々目にも止まらぬ一太刀を以って、場内の者の意識を刈り尽くした。
思わず試験官も固まってしまう程に見事な剣技。
勝敗が告げられた時、彼女がこちらを見ていた気がしたのは勘違いだったのだろうか。
今日試験の様子を見て、簡単にはいかないことを理解した。
だが、学院に通うために必死に頑張ったのである。
絶対に受かってやると。
再び強く心に刻んで、眠りにつくルイスであった。
緊張を滲ませながら校門へと続く並木道を通っていた。
「それにしても凄い人の数だな」
例年千人近くが受験するらしい。
そのうち合格者は二百にも満たないほどだそうだ。
「そうね」
並木道は人でいっぱいになっている。
中には、緊張を解こうと周りと会話をする者。
或いは、深呼吸して心を落ち着かせようとする者。
程なくして全員が広大な校庭へと集められた。
すると、豪奢な衣装に身を包み、立派な髭を生やしたおじさんが朝礼台の上に立った。
校庭に集まった受験者達を見回すと、咳払いしてから口を開く。
「受験者の諸君。本日はよくぞ集まってくれた。私はこのラムザルノ統合王都学院の現校長、シャビエル・フェルナンデスである。──」
「緊張してるか?」
ルイスは隣にいるオレンジ色の長髪少女を揶揄うように言った。
「べ、別に。どうってことない──?!」
少年はカーネルの手を取る。
すると、みるみるうちに彼女の顔が赤面する。
「な、何するのよ!」
周りには聞こえない声で。
だが羞恥を含んだ怒声がルイスの耳を打った。
それに対し少年は満面の笑みで応え、視線を校長の方へと戻す。
(ず、ずるいっ!)
一人悶えるカーネルであった。
校長の挨拶が終わると、次に試験内容の説明に移った。
要約してみるとこうだ。
・それぞれが八人のブロックに分けられる
・ブロックの中でバトルロイヤルを行う
・最後に残った一人だけが合格
また、惜しくも敗れた二番目の人達の中でそれぞれ五人のブロックに分けられ、先と同様最後に残った一人も合格の切符を手に出来るというルールがある。
試験は数日に及ぶそうで、自分がいつになるかは当日張り出される対戦組み合わせ表を確認しないといけないので、毎日ここに来なければならない。
その後今日の組み合わせを確認したが、ルイスとカーネルの名はどちらもなかったので、軽く他の所を覗いてから帰路に就いた。
自室のベッドに腰を下ろしたルイスは、ある一人の人物を思い出していた。
それは、今日の第二試合で合格を手にした女性。
透き通るような銀色の髪を短く整えた彼女は、か弱そうな容姿とは裏腹に開始早々目にも止まらぬ一太刀を以って、場内の者の意識を刈り尽くした。
思わず試験官も固まってしまう程に見事な剣技。
勝敗が告げられた時、彼女がこちらを見ていた気がしたのは勘違いだったのだろうか。
今日試験の様子を見て、簡単にはいかないことを理解した。
だが、学院に通うために必死に頑張ったのである。
絶対に受かってやると。
再び強く心に刻んで、眠りにつくルイスであった。
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