114 / 119
桃野郎が君臨するぞ編
99、黄金の泉にて邂逅
しおりを挟む
タオジンの桃野郎と雄々しくヤり遂げたぞ。
俺の貞操でダンジョンが守れたのだ。
ちょっと誇らしげな気分で眠りに落ちる。
眠りの中で、ピカピカ金色に輝く水を湛える場所を見つけた。黄金の泉とでも呼ばれていそうな雰囲気だ。
周りは何も無い。
ただそこには無駄に神々しい非現実的な泉があるだけだ。金色に光るとか有り得ないだろ。
仙女でも出てきて落とした斧の種類を問われそうだなと思ったけど、だから何だという気分。
どうしてだか、とても気怠い。現在、俺の頭は深く考えることを拒否している。
ただただボヘ~としていると、霞がかった頭の中へ、「おーい」と聞き覚えのある声が響く。
「おーい、おいおい、おーい」と繰り返すしつこい声。と同時に、泉の中心が渦巻いて、金髪の美丈夫が舞台装置よろしくせり上がってきた。
やんだこれ、やんだ。親父じゃねえかこれ、やんだ。相変わらず無駄にイケメンな親父だ。
「眠ってまで寝ぼけんなよ。俺の可愛い可愛い可愛い可愛い息子よ」
何度も可愛い言うな。ちょっと見ない間にボケたのか親父。
「可愛い息子よ、あんまり元気に見えんな」
だって桃野郎がアレコレアーッで一方的に激しいことしやがるんだもん。今は情事後の深い眠りの最中ってやつだろう。
頭の中すっごくぼやけているけれど、己の状況くらい理解しているぞ。
「処女喪失おめでとう」
嫌味か。
「ホモもゲイもバイも見慣れてるだろ。周りの環境のおかげで」
それな。性的オープン変態筆頭の父親がこれだ。
異世界に来てから会う奴ら、どいつもこいつもホモ野郎ばかりで驚くわ。とうとう俺までホモったわ。
「処女喪失おめでとう」
二回も言うな。嫌味すぎるだろこの野郎。
「皇子に抱かれた感想は?」
誰が言うかボケェ!
「で、抱かれた感想は?」
しつこいぞボケ親父。
「大事なことだからな。皇子の恋が実るかどうかでティリン・ファ皇国の命運が決まるから」
そこまで重要なこと?!
「皇子は皇妃の腹の中に居る頃から巨大な力を持ってたろ。俺が何とか抑えつけて外に出したんだけどさ」
おう、それで親父どこか逝ったんだよな。どこぞへ逝った親父と、こうやって会話しているのはおかしな気分だ。
頭ボ~としているから夢なんだろうけど。
「夢でもし逢えたら素敵なことだろ」
古い歌を持ち出すなあ。
「知ってるお前も懐メロ好き」
施設には古いプレイヤーと懐メロしか無かったからだ。でも、まあ、確かに流行りの曲に余り興味はなかったかな。
「歌の話はどうでもいいんだ。抱かれた感想を言え」
ちっ、忘れてくれんのかい。
「皇子あれで初体験だったんだ。愛撫は夢中でしつこくて、入れてからの余裕のなさヤバかったろ。お前イけてねーし。不完全燃焼で落ちて行くから、仕方なく、ここに招いたんだぞ感謝しろ」
うえぇぇいいいいツッコミどころがいっぱいあるぞどうしたらいいんだチクショウ! とりあえず息子の情事を覗くんじゃねえ変質者! おまわりさんこいつです!
「しょうがねえだろ。俺は全竜力を皇子に使ったんだ。縁が結ばれて俺の後継者になっちまって、ついでにピーチスキルが芽生えて称号『;/$ END』持ちになっても、しょうがねえことだよな」
親父、今なんつった……? 文字化けのところの発音が聞き取れない。もう一回言ってくれ。
「皇子は黄金竜の後継者。俺の後継者。で、元より大桃李の精霊の血族だから、変にくっついて超絶チートなピーチスキルや『GOD END』が爆誕した。おっけーぇ?」
今度は聞こえた。
『GOD END』……ゴッドエンド……神殺しって意味だよな。
道理で、神獣であらせられる麒麟まで、あっさりやられるわけだ。赤鬼の推察も当たったな。完全なる神特攻じゃねえか……。
そんな強力無慈悲チートを無責任に与えておいて、「しょうがない」の一言で終わらすなボケ親父はもう一回逝ってくるといい。
そして成仏してくれ。二度と蘇りませんように南無阿弥陀仏。
「おいおい経を唱えるなよ。心地良いじゃねえか」
お経効くの?! そこに驚くわい。宗派どころか世界が違うのに効くなんて……この変態! もおホント、変態親父が残念だようぴええぇぇんん!
「夢の中でも泣くなよ。皇子のアレは気持ち良かったんだろ? 余裕のない童貞が、がっついただけじゃねえか。赦してやれよ」
あーあー、聞こえねえ。
「気持ち良かったんだろ? お前ら相性バッチリだからな。今度は一緒にイけるといいな」
うっせえ。セクハラ親父。
俺はもやもやする頭を抱えて眠りたくなった。既に寝ているのにまだ眠いとはこれ如何に。
「疲れてんだよ。気にせず寝ちまえ。皇子が全部責任とってくれっから。お前は気にせず寝ちまえ」
無責任な親父の言葉が、子守歌のように眠気を誘う。
言われずとも寝る気は満々だ。
目を閉じる。
闇の微睡の中をふわふわ漂っていると、黄金に輝くあたたかな光が俺の全体を包み込み、そのままどこかへと導いてくれるのであった。
行き先は極楽浄土かなあ。
俺の貞操でダンジョンが守れたのだ。
ちょっと誇らしげな気分で眠りに落ちる。
眠りの中で、ピカピカ金色に輝く水を湛える場所を見つけた。黄金の泉とでも呼ばれていそうな雰囲気だ。
周りは何も無い。
ただそこには無駄に神々しい非現実的な泉があるだけだ。金色に光るとか有り得ないだろ。
仙女でも出てきて落とした斧の種類を問われそうだなと思ったけど、だから何だという気分。
どうしてだか、とても気怠い。現在、俺の頭は深く考えることを拒否している。
ただただボヘ~としていると、霞がかった頭の中へ、「おーい」と聞き覚えのある声が響く。
「おーい、おいおい、おーい」と繰り返すしつこい声。と同時に、泉の中心が渦巻いて、金髪の美丈夫が舞台装置よろしくせり上がってきた。
やんだこれ、やんだ。親父じゃねえかこれ、やんだ。相変わらず無駄にイケメンな親父だ。
「眠ってまで寝ぼけんなよ。俺の可愛い可愛い可愛い可愛い息子よ」
何度も可愛い言うな。ちょっと見ない間にボケたのか親父。
「可愛い息子よ、あんまり元気に見えんな」
だって桃野郎がアレコレアーッで一方的に激しいことしやがるんだもん。今は情事後の深い眠りの最中ってやつだろう。
頭の中すっごくぼやけているけれど、己の状況くらい理解しているぞ。
「処女喪失おめでとう」
嫌味か。
「ホモもゲイもバイも見慣れてるだろ。周りの環境のおかげで」
それな。性的オープン変態筆頭の父親がこれだ。
異世界に来てから会う奴ら、どいつもこいつもホモ野郎ばかりで驚くわ。とうとう俺までホモったわ。
「処女喪失おめでとう」
二回も言うな。嫌味すぎるだろこの野郎。
「皇子に抱かれた感想は?」
誰が言うかボケェ!
「で、抱かれた感想は?」
しつこいぞボケ親父。
「大事なことだからな。皇子の恋が実るかどうかでティリン・ファ皇国の命運が決まるから」
そこまで重要なこと?!
「皇子は皇妃の腹の中に居る頃から巨大な力を持ってたろ。俺が何とか抑えつけて外に出したんだけどさ」
おう、それで親父どこか逝ったんだよな。どこぞへ逝った親父と、こうやって会話しているのはおかしな気分だ。
頭ボ~としているから夢なんだろうけど。
「夢でもし逢えたら素敵なことだろ」
古い歌を持ち出すなあ。
「知ってるお前も懐メロ好き」
施設には古いプレイヤーと懐メロしか無かったからだ。でも、まあ、確かに流行りの曲に余り興味はなかったかな。
「歌の話はどうでもいいんだ。抱かれた感想を言え」
ちっ、忘れてくれんのかい。
「皇子あれで初体験だったんだ。愛撫は夢中でしつこくて、入れてからの余裕のなさヤバかったろ。お前イけてねーし。不完全燃焼で落ちて行くから、仕方なく、ここに招いたんだぞ感謝しろ」
うえぇぇいいいいツッコミどころがいっぱいあるぞどうしたらいいんだチクショウ! とりあえず息子の情事を覗くんじゃねえ変質者! おまわりさんこいつです!
「しょうがねえだろ。俺は全竜力を皇子に使ったんだ。縁が結ばれて俺の後継者になっちまって、ついでにピーチスキルが芽生えて称号『;/$ END』持ちになっても、しょうがねえことだよな」
親父、今なんつった……? 文字化けのところの発音が聞き取れない。もう一回言ってくれ。
「皇子は黄金竜の後継者。俺の後継者。で、元より大桃李の精霊の血族だから、変にくっついて超絶チートなピーチスキルや『GOD END』が爆誕した。おっけーぇ?」
今度は聞こえた。
『GOD END』……ゴッドエンド……神殺しって意味だよな。
道理で、神獣であらせられる麒麟まで、あっさりやられるわけだ。赤鬼の推察も当たったな。完全なる神特攻じゃねえか……。
そんな強力無慈悲チートを無責任に与えておいて、「しょうがない」の一言で終わらすなボケ親父はもう一回逝ってくるといい。
そして成仏してくれ。二度と蘇りませんように南無阿弥陀仏。
「おいおい経を唱えるなよ。心地良いじゃねえか」
お経効くの?! そこに驚くわい。宗派どころか世界が違うのに効くなんて……この変態! もおホント、変態親父が残念だようぴええぇぇんん!
「夢の中でも泣くなよ。皇子のアレは気持ち良かったんだろ? 余裕のない童貞が、がっついただけじゃねえか。赦してやれよ」
あーあー、聞こえねえ。
「気持ち良かったんだろ? お前ら相性バッチリだからな。今度は一緒にイけるといいな」
うっせえ。セクハラ親父。
俺はもやもやする頭を抱えて眠りたくなった。既に寝ているのにまだ眠いとはこれ如何に。
「疲れてんだよ。気にせず寝ちまえ。皇子が全部責任とってくれっから。お前は気にせず寝ちまえ」
無責任な親父の言葉が、子守歌のように眠気を誘う。
言われずとも寝る気は満々だ。
目を閉じる。
闇の微睡の中をふわふわ漂っていると、黄金に輝くあたたかな光が俺の全体を包み込み、そのままどこかへと導いてくれるのであった。
行き先は極楽浄土かなあ。
1
お気に入りに追加
18
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜
きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員
Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。
そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。
初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。
甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。
第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。
※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり)
※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り
初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。
悪役令息の七日間
リラックス@ピロー
BL
唐突に前世を思い出した俺、ユリシーズ=アディンソンは自分がスマホ配信アプリ"王宮の花〜神子は7色のバラに抱かれる〜"に登場する悪役だと気付く。しかし思い出すのが遅過ぎて、断罪イベントまで7日間しか残っていない。
気づいた時にはもう遅い、それでも足掻く悪役令息の話。【お知らせ:2024年1月18日書籍発売!】

飼われる側って案外良いらしい。
なつ
BL
20XX年。人間と人外は共存することとなった。そう、僕は朝のニュースで見て知った。
なんでも、向こうが地球の平和と引き換えに、僕達の中から選んで1匹につき1人、人間を飼うとかいう巫山戯た法を提案したようだけれど。
「まあ何も変わらない、はず…」
ちょっと視界に映る生き物の種類が増えるだけ。そう思ってた。
ほんとに。ほんとうに。
紫ヶ崎 那津(しがさき なつ)(22)
ブラック企業で働く最下層の男。悪くない顔立ちをしているが、不摂生で見る影もない。
変化を嫌い、現状維持を好む。
タルア=ミース(347)
職業不詳の人外、Swis(スウィズ)。お金持ち。
最初は可愛いペットとしか見ていなかったものの…?

王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?
名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。
そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________
※
・非王道気味
・固定カプ予定は無い
・悲しい過去🐜のたまにシリアス
・話の流れが遅い

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる