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ゆるっとダンジョン構築編
38、やっとオープン三階層目
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攻略されちゃって全俺が泣いたので、朝飯が喉を通らなかった。折角マザーが作ってくれたご飯なのに……ぐすん。
「美味しいです。おかわり下さーい」
逆にバカバカ食べるのが橙鬼くんだ。体小さいのに、よく入るな飯五杯は食っているぞ。
「うふふ、いっぱい食べてね。シオちゃんの分も」
あああマザーに嫌味言われた。どうせ俺は朝食が喉を通らずソファーでごろごろ不貞寝しているよ。
「この魚、ハルが焼いてくれたんか?」
「あら、わかる?」
「分かるに決まってら」
「ありがとダーリン♡」
あっちはあっちで朝からラブラブだし。まあ、橙鬼くんも、あんなの毎朝見せつけられ、昼も夜もやっぱりイチャコラしている家には、居づらいわな。
同情はするが攻略された恨みは忘れん。
黄金郷クエストの書き付けを読み込み、弱点を探すのだ。モンスターも罠もぬるい。もっと増やす。幽霊系を追加して攻略を面倒にしてやる。
そう、第三階層は俺と冒険者たちの頭脳戦なのだ。
「ご馳走様です。あの、主様、本日はどこへ行きますか? お供します!」
めっちゃ意欲を見せる橙鬼め。攻略したならアイデア出さんかい。
「第三階層のテコ入れに決まっとろおがダボが。てめえに攻略されてブチ切れ寸前じゃ。もう誰にも攻略されんようアイデア出しやがれボケカス」
「し、シオちゃんが、悪い子になっちゃったわ……!」
「どっちかというと893っすね」
「じゃけえ風の人ね。広島風お好み焼き食べたいわ。焼きそばが恋しいの」
「おっと焼きそばに嫉妬しちまうぜ」
「やだわ。あなたが作った焼きそばが恋しいの♡」
「俺の味を覚えててくれて嬉しいぜハニー」
「ああん♡ ダーリンもちろんよ。あなたの味を忘れるわけないわ」
やってろ。けっ。ぺっ。
橙鬼くんも、すん、とした顔している。
マザーは「仲良しさんねえ」と余裕の笑顔だ。
俺は知っている。親父が時々、夜這いにきていることを。
俺は知っている。親父が稀に、朝帰りしていることを。
俺、良い子だから胸に秘めておくんだ。すん。
「シオさーん、昼はジェイのとこで鉄板焼きに決まりましたー」
素晴らしい。ぜひお邪魔させてもらおう。昼飯はジェイラル宅でベーベーキュウと、頭にメモしておく。
俺はひとつ頷いてから、「ハルネラさん、相棒はクラフトコーラで頼みます」と、精一杯の渋顔で決めてから、橙鬼を拉致った。
「こき使ってやる」
こうなったらもう、橙鬼を参謀にして、どの階層にもテコ入れ可の権限を与えよう。
絶対、俺よりいいものつくれよ!
「おわーい! 本当にここ、住んでいいのですか?」
樹上シティは、ほぼ空き家だからな。ツリーハウスホテルにするつもりで作ったのもあって、快適なワンルームをお約束しよう。
「好きな部屋に住めばいい。カードキーはこうやって使う」
ツリーハウス全室が、カードを使った完全オートロック機能で管理されているので、これの使い方が一番肝心なのだ。
「中にあるモニターにハウスAIが映るから、館内案内やら視聴しておけよ。藻スラ卵は一日一個支給される。支給品や購入品はそこの魔法陣に届く。
温泉はベランダにある。隣のハウスからは見えないよう工夫してあるから安心して裸になれ。古代遺跡の街並みを上から眺めれるから景色はサイコーだぞ。
で、だ、ここは本来、クリアした冒険者が泊まるご褒美施設なんだから、冒険者が来たらお前が率先して案内するように。あと、ここの使い心地とか意見よこせ」
「はい! やっぱり主様は凄いですね。僕、こんなにわくわくしたの初めてです」
なんのこっちゃと思ったら、昨日の冒険のことだった。
「何言ってんだ全攻略しちまったくせに。とんだ頭脳チートだよ。どこが才能ないだ。才能ありまくりじゃねえか」
「いえっ、本当に鬼として僕は駄目ダメなんです。冒険は楽しかったです。でも、僕にあの発想はないのです。最後に温泉に辿り着くなんて、最高にイカした演出でした。このツリーハウスも面白いですし。僕には、そこにあるものをいじることはできても、最初から生み出すのは不可能です。主様の発想と創造は、素晴らしい才能なのです!」
えーなんか、めちゃ褒められたぞ。朝から、ささくれていた気持ちがどんどん上向きになっていく。
落とされたのこいつのせいなのに、上げられたのもこいつかよ。
やだこの橙鬼、たらしだわ。
この後、にこにこ笑顔で橙鬼の住む場所を整え、三階層のテコ入れを頑張るのだった。
そして数日後には三階層がオープン。オープン日を宣伝していたので、初日から大盛況だったが、その日のクリア者は無し。
ふっ、勝った。
橙鬼が特殊なだけで、一般冒険者なんぞ、所詮ただの脳筋の集まりよ。この調子で不敗の三階層の名を轟かせてやるわ。
ここぞとばかりに、ご褒美の【黄金の湯】のCMを打ち、冒険者たちの悔しがり羨ましがる顔を見て溜飲を下げた。心の狭い俺である。
あ、鉄板お好み焼き大会は楽しかったです。
お好み焼き、焼きそば、ぐるぐる巻きソーセージにトウモロコシと、クラフトコーラに合うものばかりで、サイコーの気分を味わった。
「野菜も食え」と赤鬼にピーマンの肉詰めも渡されたが、機嫌が良かったので食べた。普段の俺なら食べないんだからねっ。
ピーマン嫌い。
湖畔の別荘でBBQとか、なんて贅沢セレブなんだ。またやりたい。今度は夜にやってもいい。
綺麗な星空を用意しておこう。
「美味しいです。おかわり下さーい」
逆にバカバカ食べるのが橙鬼くんだ。体小さいのに、よく入るな飯五杯は食っているぞ。
「うふふ、いっぱい食べてね。シオちゃんの分も」
あああマザーに嫌味言われた。どうせ俺は朝食が喉を通らずソファーでごろごろ不貞寝しているよ。
「この魚、ハルが焼いてくれたんか?」
「あら、わかる?」
「分かるに決まってら」
「ありがとダーリン♡」
あっちはあっちで朝からラブラブだし。まあ、橙鬼くんも、あんなの毎朝見せつけられ、昼も夜もやっぱりイチャコラしている家には、居づらいわな。
同情はするが攻略された恨みは忘れん。
黄金郷クエストの書き付けを読み込み、弱点を探すのだ。モンスターも罠もぬるい。もっと増やす。幽霊系を追加して攻略を面倒にしてやる。
そう、第三階層は俺と冒険者たちの頭脳戦なのだ。
「ご馳走様です。あの、主様、本日はどこへ行きますか? お供します!」
めっちゃ意欲を見せる橙鬼め。攻略したならアイデア出さんかい。
「第三階層のテコ入れに決まっとろおがダボが。てめえに攻略されてブチ切れ寸前じゃ。もう誰にも攻略されんようアイデア出しやがれボケカス」
「し、シオちゃんが、悪い子になっちゃったわ……!」
「どっちかというと893っすね」
「じゃけえ風の人ね。広島風お好み焼き食べたいわ。焼きそばが恋しいの」
「おっと焼きそばに嫉妬しちまうぜ」
「やだわ。あなたが作った焼きそばが恋しいの♡」
「俺の味を覚えててくれて嬉しいぜハニー」
「ああん♡ ダーリンもちろんよ。あなたの味を忘れるわけないわ」
やってろ。けっ。ぺっ。
橙鬼くんも、すん、とした顔している。
マザーは「仲良しさんねえ」と余裕の笑顔だ。
俺は知っている。親父が時々、夜這いにきていることを。
俺は知っている。親父が稀に、朝帰りしていることを。
俺、良い子だから胸に秘めておくんだ。すん。
「シオさーん、昼はジェイのとこで鉄板焼きに決まりましたー」
素晴らしい。ぜひお邪魔させてもらおう。昼飯はジェイラル宅でベーベーキュウと、頭にメモしておく。
俺はひとつ頷いてから、「ハルネラさん、相棒はクラフトコーラで頼みます」と、精一杯の渋顔で決めてから、橙鬼を拉致った。
「こき使ってやる」
こうなったらもう、橙鬼を参謀にして、どの階層にもテコ入れ可の権限を与えよう。
絶対、俺よりいいものつくれよ!
「おわーい! 本当にここ、住んでいいのですか?」
樹上シティは、ほぼ空き家だからな。ツリーハウスホテルにするつもりで作ったのもあって、快適なワンルームをお約束しよう。
「好きな部屋に住めばいい。カードキーはこうやって使う」
ツリーハウス全室が、カードを使った完全オートロック機能で管理されているので、これの使い方が一番肝心なのだ。
「中にあるモニターにハウスAIが映るから、館内案内やら視聴しておけよ。藻スラ卵は一日一個支給される。支給品や購入品はそこの魔法陣に届く。
温泉はベランダにある。隣のハウスからは見えないよう工夫してあるから安心して裸になれ。古代遺跡の街並みを上から眺めれるから景色はサイコーだぞ。
で、だ、ここは本来、クリアした冒険者が泊まるご褒美施設なんだから、冒険者が来たらお前が率先して案内するように。あと、ここの使い心地とか意見よこせ」
「はい! やっぱり主様は凄いですね。僕、こんなにわくわくしたの初めてです」
なんのこっちゃと思ったら、昨日の冒険のことだった。
「何言ってんだ全攻略しちまったくせに。とんだ頭脳チートだよ。どこが才能ないだ。才能ありまくりじゃねえか」
「いえっ、本当に鬼として僕は駄目ダメなんです。冒険は楽しかったです。でも、僕にあの発想はないのです。最後に温泉に辿り着くなんて、最高にイカした演出でした。このツリーハウスも面白いですし。僕には、そこにあるものをいじることはできても、最初から生み出すのは不可能です。主様の発想と創造は、素晴らしい才能なのです!」
えーなんか、めちゃ褒められたぞ。朝から、ささくれていた気持ちがどんどん上向きになっていく。
落とされたのこいつのせいなのに、上げられたのもこいつかよ。
やだこの橙鬼、たらしだわ。
この後、にこにこ笑顔で橙鬼の住む場所を整え、三階層のテコ入れを頑張るのだった。
そして数日後には三階層がオープン。オープン日を宣伝していたので、初日から大盛況だったが、その日のクリア者は無し。
ふっ、勝った。
橙鬼が特殊なだけで、一般冒険者なんぞ、所詮ただの脳筋の集まりよ。この調子で不敗の三階層の名を轟かせてやるわ。
ここぞとばかりに、ご褒美の【黄金の湯】のCMを打ち、冒険者たちの悔しがり羨ましがる顔を見て溜飲を下げた。心の狭い俺である。
あ、鉄板お好み焼き大会は楽しかったです。
お好み焼き、焼きそば、ぐるぐる巻きソーセージにトウモロコシと、クラフトコーラに合うものばかりで、サイコーの気分を味わった。
「野菜も食え」と赤鬼にピーマンの肉詰めも渡されたが、機嫌が良かったので食べた。普段の俺なら食べないんだからねっ。
ピーマン嫌い。
湖畔の別荘でBBQとか、なんて贅沢セレブなんだ。またやりたい。今度は夜にやってもいい。
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