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ゆるっとダンジョン構築編
23、精霊きて扉
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魔クリスタル湖がある所へやってきた。
ここを休憩スペースにしよう。魔クリスタルは殆ど藻スラたちに食われて消失したが、少しでも魔クリスタルの養分が溶け込んだ湖の水は水分補給と疲労回復に役立ちそうだから、ここを冒険者たちの憩いの場にできたらいい。
ただ、隠し部屋にするつもりだ。地底湖では一年に一回だが藻スラたちの産卵があるし、魔クリスタルも育成したい。
魔クリスタルの説明を読んだところ、食われた魔クリスタルは正しく育成すればまた生えてくるそうだ。これからは魔クリスタルに必要な養分など研究して与えていくつもりだ。
そんな訳で隠し部屋改築のため、先ずは通路の出入口を塞ごう。
塞ぐ壁を買うためにお買い物画面を開く。
一立方メートルの【埋め立て用土砂】は銀百枚。金換算だと金一枚相当で売っていた。
三立方メートル分を購入。
塞いだところに隠し扉をつけよう……う、【隠し扉】が金千枚もする。
『ダンジョン鬼ヶ島の隠し扉:精霊が守護管理する扉。害意ある者を防ぎ、要救助者を支援する』
高性能だなこれ絶対に欲しい。でも高い。
逡巡しながらも購入を決めた。ポチッとな。
目の前に現れた隠し扉は石のレリーフが美しいアーチ型を描き、クリスタル製の観音開きな扉だった。
クリスタルなんて建材にしたら脆いと思うが、そこは精霊が守護しているので問題ないらしい。むしろ精霊パワーで完全防護。必要の無い時は壁に擬態して、感知もできない仕組みらしい。すごいな精霊。
透明の羽が背中に生えた丸くてふわふわした生き物が、俺の傍で跳ねたりクルッと回ったりしては微笑んだ。
目があるんだな。やたら可愛い。
扉と言えば、鬼ヶ城からダンジョンへ続く石門が巨大で大袈裟にズゴゴゴ開くので、通用門を設置したかったのだっけ。
思い出したので今、買おう。こちらは別に妖精は居なくていいや。
アーチ型レリーフが流麗な人間サイズ通用門にした。勿論、自動扉で。
それから、魔クリスタル湖から赤鬼と野球するドームまでの道を塞いでしまったので、別の道を増設しよう。
罠と宝箱の道も細々と追加しながら、ドームまでの迂回路を造った。十メートルで金十枚、百メートルで金百枚と、順調に金貨が減っている。俺の懐がどんどん寂しくなっていく。
これまでに入った収入、冒険者のステータスに因って入るお金なんか、とっくに使い果たした。それでも道を造り続け、足りない罠やモンスターは購入してダンジョン一階を整備していく。
魔クリスタル湖の休憩所も造園した。ここは憩いの場であってほしいから、数寄屋風の休憩所を建築し、日本庭園のように池泉を設置。その周りは州浜にしてツツジを植え、竹矢来を立てて区切りながら季節の花木で賑わせる。砂利道には飛び石、小川も作り、石橋を架けた。低木や樹木も置こう。
おかげで残高は元の半分以下に減ってしまっている。残り金四千九百枚だ。大事に使おう。
しかし、このままでは赤鬼の嫁を買ってあげられるの、いつの日になることやらって感じ。
ダンジョン改築すれば金は減る一方だからな。節約するにも限界がある。
すまんねえ、収入が見込めないもんで……とも、嘆いていられないな。やって来る冒険者の心を確実に鷲掴みにできるよう、また行きたいあのダンジョンと思ってもらえるよう鋭意努力しなければ!
目指せ『俺の考えたおもてなしダンジョン』だ!
一日の疲れを風呂に入って癒す。風呂は洗面所の隣に作った。費用は金十枚。風呂桶も床もタイル張りで、つるつる滑る昭和銭湯のような風呂場だ。
大人三人が腰を下ろして足も伸ばせる広さで、ゆったり寛げるようにした。
これで温泉だったら最高なんだけどな。温泉代わりの入浴剤は柚子の香りにした。温泉どこいった。
風呂に入りながらお買い物画面を開く。温泉、温泉……と、あった。
何でも揃うと豪語する大手通販サイトもびっくりなことに、【温泉施設 泡の湯】が金百枚で売っていた。
思ったよりリーズナブル。
明日は温泉施設を造ろう。
ここを休憩スペースにしよう。魔クリスタルは殆ど藻スラたちに食われて消失したが、少しでも魔クリスタルの養分が溶け込んだ湖の水は水分補給と疲労回復に役立ちそうだから、ここを冒険者たちの憩いの場にできたらいい。
ただ、隠し部屋にするつもりだ。地底湖では一年に一回だが藻スラたちの産卵があるし、魔クリスタルも育成したい。
魔クリスタルの説明を読んだところ、食われた魔クリスタルは正しく育成すればまた生えてくるそうだ。これからは魔クリスタルに必要な養分など研究して与えていくつもりだ。
そんな訳で隠し部屋改築のため、先ずは通路の出入口を塞ごう。
塞ぐ壁を買うためにお買い物画面を開く。
一立方メートルの【埋め立て用土砂】は銀百枚。金換算だと金一枚相当で売っていた。
三立方メートル分を購入。
塞いだところに隠し扉をつけよう……う、【隠し扉】が金千枚もする。
『ダンジョン鬼ヶ島の隠し扉:精霊が守護管理する扉。害意ある者を防ぎ、要救助者を支援する』
高性能だなこれ絶対に欲しい。でも高い。
逡巡しながらも購入を決めた。ポチッとな。
目の前に現れた隠し扉は石のレリーフが美しいアーチ型を描き、クリスタル製の観音開きな扉だった。
クリスタルなんて建材にしたら脆いと思うが、そこは精霊が守護しているので問題ないらしい。むしろ精霊パワーで完全防護。必要の無い時は壁に擬態して、感知もできない仕組みらしい。すごいな精霊。
透明の羽が背中に生えた丸くてふわふわした生き物が、俺の傍で跳ねたりクルッと回ったりしては微笑んだ。
目があるんだな。やたら可愛い。
扉と言えば、鬼ヶ城からダンジョンへ続く石門が巨大で大袈裟にズゴゴゴ開くので、通用門を設置したかったのだっけ。
思い出したので今、買おう。こちらは別に妖精は居なくていいや。
アーチ型レリーフが流麗な人間サイズ通用門にした。勿論、自動扉で。
それから、魔クリスタル湖から赤鬼と野球するドームまでの道を塞いでしまったので、別の道を増設しよう。
罠と宝箱の道も細々と追加しながら、ドームまでの迂回路を造った。十メートルで金十枚、百メートルで金百枚と、順調に金貨が減っている。俺の懐がどんどん寂しくなっていく。
これまでに入った収入、冒険者のステータスに因って入るお金なんか、とっくに使い果たした。それでも道を造り続け、足りない罠やモンスターは購入してダンジョン一階を整備していく。
魔クリスタル湖の休憩所も造園した。ここは憩いの場であってほしいから、数寄屋風の休憩所を建築し、日本庭園のように池泉を設置。その周りは州浜にしてツツジを植え、竹矢来を立てて区切りながら季節の花木で賑わせる。砂利道には飛び石、小川も作り、石橋を架けた。低木や樹木も置こう。
おかげで残高は元の半分以下に減ってしまっている。残り金四千九百枚だ。大事に使おう。
しかし、このままでは赤鬼の嫁を買ってあげられるの、いつの日になることやらって感じ。
ダンジョン改築すれば金は減る一方だからな。節約するにも限界がある。
すまんねえ、収入が見込めないもんで……とも、嘆いていられないな。やって来る冒険者の心を確実に鷲掴みにできるよう、また行きたいあのダンジョンと思ってもらえるよう鋭意努力しなければ!
目指せ『俺の考えたおもてなしダンジョン』だ!
一日の疲れを風呂に入って癒す。風呂は洗面所の隣に作った。費用は金十枚。風呂桶も床もタイル張りで、つるつる滑る昭和銭湯のような風呂場だ。
大人三人が腰を下ろして足も伸ばせる広さで、ゆったり寛げるようにした。
これで温泉だったら最高なんだけどな。温泉代わりの入浴剤は柚子の香りにした。温泉どこいった。
風呂に入りながらお買い物画面を開く。温泉、温泉……と、あった。
何でも揃うと豪語する大手通販サイトもびっくりなことに、【温泉施設 泡の湯】が金百枚で売っていた。
思ったよりリーズナブル。
明日は温泉施設を造ろう。
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