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ゆるっとダンジョン構築編
14、支給品は褌一択
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「お金はね、人の戦闘力に因って入場料が入るの。あと、落とし物は全部ダンジョンのものになるわね」
ダンジョンはアトラクションか何かか? 落とし物を返さないとか酷いアミューズメントパークもあったもんだ。
「俺は拾ったもの、ちゃんと落とし主に届けるぞ」
「ふふふ。シオちゃんらしくて良いじゃない。シオちゃんがダンジョンマスターなんだから、好きにしていいのよ」
「う……ん、がんばる。人が来て、喜んでもらえるようなダンジョンがいい」
そう、目指すは「もう一度行きたいあのダンジョン」「そうだ鬼ダンジョンへ行こう」だ。
観光ポスターで読んだことあるようなキャッチフレーズを思い浮かべながら、赤鬼のところへ向かった。
赤鬼は庭で千本ノック中。野球姿が様になっている。もしや野球経験者だろうか。
「俺がラスボスっすか」
「おう。まだ一面にも満たない初心者ダンジョンだけどさ。ダンマスルーム守ってくんない?」
「元より、親父にそう言われて来たっすからね。お守りしやすよ。シオさん」
「サンキュー」
そういやこいつ魔界公爵の息子だっけ。親父って魔界公爵のことだろうな。
「公爵の息子なのに派遣業してんのか? 金持ちの息子だろうに」
「あー別にうち金持ちじゃねえっす。大体、公爵って肩書も身分じゃなくて強さっすから。親父は若い時に、いっぱい派遣業して経験値を稼いで今の強さがあるんす。で、強さが公爵級ってことっすね。俺自身、まだ派遣始めたばかりで、ぺーぺーだから。ダンジョンもレベル低いとこじゃないと雇ってもらえないんすよね」
おおう。レベル低くて悪かった。しかもまだ一人たりとも訪れていない生まれたてダンジョンだ。でも、だからこそ、こいつ、赤鬼は来てくれたんだ。そう思えばレベル低くて良かった。これから一緒に成り上がれるんだもんな。
「しばらく給料も払えねえけど、ラスボスしてくれんの?」
給与の相場も知らんけど。
「給与は魔界に帰省したら一括でもらえる契約っす。ダンジョンに居る間は衣食住の保証をしてくれれば問題ないっすよ」
いつの間に契約したのだろう。チャワードか? チャワードの仕業か? 疑惑はすべてチャワードの所為で解決しておこう。
「衣食住ねえ……住居は昨日つくった部屋で、着るものは野球ユニフォームでいいとして、あ、下着を渡してなかったな」
急いで下着を買う。ついでに自分のも買っておく。なぜか褌しか売ってないのだけども。この世界は褌世界で褌一択らしい。
色は赤白黄色青紫とカラフルレインボーなラインナップ。形も越中褌と六尺褌がある。
締め方、装着の手順まで売り場画面に説明が載っている。痒い所に手が届く仕様だ。ありがたい。
それにしたって、バラエティ豊かに異世界のものも日本のものも売っているのに、下着が褌一丁しか選択肢がないのって……謎。
ダンジョンはアトラクションか何かか? 落とし物を返さないとか酷いアミューズメントパークもあったもんだ。
「俺は拾ったもの、ちゃんと落とし主に届けるぞ」
「ふふふ。シオちゃんらしくて良いじゃない。シオちゃんがダンジョンマスターなんだから、好きにしていいのよ」
「う……ん、がんばる。人が来て、喜んでもらえるようなダンジョンがいい」
そう、目指すは「もう一度行きたいあのダンジョン」「そうだ鬼ダンジョンへ行こう」だ。
観光ポスターで読んだことあるようなキャッチフレーズを思い浮かべながら、赤鬼のところへ向かった。
赤鬼は庭で千本ノック中。野球姿が様になっている。もしや野球経験者だろうか。
「俺がラスボスっすか」
「おう。まだ一面にも満たない初心者ダンジョンだけどさ。ダンマスルーム守ってくんない?」
「元より、親父にそう言われて来たっすからね。お守りしやすよ。シオさん」
「サンキュー」
そういやこいつ魔界公爵の息子だっけ。親父って魔界公爵のことだろうな。
「公爵の息子なのに派遣業してんのか? 金持ちの息子だろうに」
「あー別にうち金持ちじゃねえっす。大体、公爵って肩書も身分じゃなくて強さっすから。親父は若い時に、いっぱい派遣業して経験値を稼いで今の強さがあるんす。で、強さが公爵級ってことっすね。俺自身、まだ派遣始めたばかりで、ぺーぺーだから。ダンジョンもレベル低いとこじゃないと雇ってもらえないんすよね」
おおう。レベル低くて悪かった。しかもまだ一人たりとも訪れていない生まれたてダンジョンだ。でも、だからこそ、こいつ、赤鬼は来てくれたんだ。そう思えばレベル低くて良かった。これから一緒に成り上がれるんだもんな。
「しばらく給料も払えねえけど、ラスボスしてくれんの?」
給与の相場も知らんけど。
「給与は魔界に帰省したら一括でもらえる契約っす。ダンジョンに居る間は衣食住の保証をしてくれれば問題ないっすよ」
いつの間に契約したのだろう。チャワードか? チャワードの仕業か? 疑惑はすべてチャワードの所為で解決しておこう。
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締め方、装着の手順まで売り場画面に説明が載っている。痒い所に手が届く仕様だ。ありがたい。
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