7 / 119
ゆるっとダンジョン構築編
7、天守閣でガチャる
しおりを挟む
三階のリビング・ダイニングで魔天卵を探しまくり、それから階段を登り切って天守閣へ。
天守閣の真ん中に神棚がある。長方形の白木四ツ脚台の上に神鏡が祀られる宮があり、宮前の両脇に榊・花台・篝火・徳利が一対づつ。中心に八足台。八足台の上には、右から塩・米・水で三宝となる。
三宝の両脇に空の高坏があり、本来ならここに神饌を供えるのが常套なのだけど、卵型の窪みがあるから、どうもここが魔天卵の置き場みたいだ。
卵パックのような窪みだなあ。
なんで神棚について用語まで知っているほど詳しいかって?
施設にも神棚あったんだよ。熱心に神棚管理する施設長の影響で色々と調べたしな。地域的にも大神を祀る大祭があったから、自然と、神様は近くに在るもんだと思っていた。
でも、まさか、異世界の神があんなチャワードで、その神によって異世界に飛ばされるとはね……。
想像もつかなかったあの頃だ。
籠から魔天卵を掴み取って、お供えしていく。全部で六十個ある。けっこうな量だ。
五×五の四辺に二十五個。プラス五個は上に重ねていく。一つの高杯に三十個の卵。片方には魔卵を、もう片方には天卵を積んだ。
「あとは祈ればいいのか?」
「祈らなくても、イベント欄のハッピーイースターボタン押せばいいわよ」
ハッピーイースターって……いやもう何も聞くまい。
祈りなしか。祈らなくてよいのか。神棚だけど祈りや神は関係ないのかな? なんせ魔で天な卵だからな。日本神話的な神様とは無縁なのだろう。神棚の意味ぃぃ!
黒画面のホームに、でかでかとイベントのお知らせバナーがある。そこのリンクから飛んで、黄色いひよことカラフルな卵に彩られたハッピーイースターの文字をタップした。
すると魔天卵たちが震え出す。カタカタカタカタ、数秒震えていたと思ったらパアアと光が帯状に広がった。魔卵からは紫色の光が、天卵からは空色の光が溢れ、一卵づつ空中へと浮き、それから次々と床に向かってダイブする。
床は板張りだ。当たったら割れるのではと危惧したけれど、卵は割れずに内側から弾けた。弾けた時に散らばった光がくるくる回って円を描いていく。
「まるで魔法陣だ……」
「召喚陣よ。魔卵からは魔界公爵からの、天卵からは天界王子からの贈り物が届くわ」
ふぁ? 贈り物なの卵って? 魔界公爵に天界王子って何者? どうしてそれぞれ身分が違うのだろう? 公爵と王子ってさあ……と、俺がマザーの言葉に心の中でつっこみを入れている間にも、光を纏う円、召喚陣は着々と床の上に描かれていく。
円を縁取る文字は複雑に入り組み、幾何学的な模様を浮かび上がらせた。合計で六十個もの楕円召喚陣。その中心から、それぞれに卵の中身が孵化した。
出てきたのは──────。
「バットだ。あ、こっちはボールとグローブだ。スパイクにヘルメット、ユニフォームもあるぞ」
何チーム組めるんだろうってくらいの量が出てきた。バットひとつとっても、一つの召喚陣から百本くらい出てきたぞ。天守閣の床中が野球用品で埋まっていくのだけどこれ……。
野球用品は紫色の光を放つ召喚陣から出てきていた。紫色の方は魔界公爵とやらからの贈り物だ。魔界公爵は野球が好きなのだろうか?
空色の召喚陣からは、お花や木、茂みに垣根、トピアリーなど庭を造るコーデが一揃い現れた。現れた庭木たちは、俺が視認したら消えてしまう。
「え、どこ行ったんだ?」
「必要なところへ自動で配置されてるわよ。ホーム画面の大アイコン、装飾や地図あたりからチェックしてみて」
マザーに促され、装飾のところを見てみる。自動配置されたアイテムたちが、どこにどう配置されたか、地図と合わせて確認できるようになっていた。
地図には【鬼ヶ城 レベル1】と【和風庭園 レベル1】、それから【物見櫓 レベル1】が四基と【物置 レベル1】が追加されている。
野球用品は物置内に収納されたようだ。
「買った覚えがない建物が追加されてるんだけど……」
「魔天卵から出てきたのね。大型のものも自動配置されるのよ」
そりゃそうか。天守閣に櫓は入りきらないものな。
しかし、良いもの貰えたな。和風庭園に物置、櫓が四つも。買うとなると櫓一基銀五千枚だ。物置も銀三千枚。和風庭園なんか土・木・花と個々に買って揃えたら銀六千枚相当もする。
初回特典で高級なものが当たって嬉しい。もしかしてレアゲットしたのかも?
一目でわかるレア表示ってのはないのだけど……。
なんにせよこれ、ガチャだ。面白い。
天守閣の真ん中に神棚がある。長方形の白木四ツ脚台の上に神鏡が祀られる宮があり、宮前の両脇に榊・花台・篝火・徳利が一対づつ。中心に八足台。八足台の上には、右から塩・米・水で三宝となる。
三宝の両脇に空の高坏があり、本来ならここに神饌を供えるのが常套なのだけど、卵型の窪みがあるから、どうもここが魔天卵の置き場みたいだ。
卵パックのような窪みだなあ。
なんで神棚について用語まで知っているほど詳しいかって?
施設にも神棚あったんだよ。熱心に神棚管理する施設長の影響で色々と調べたしな。地域的にも大神を祀る大祭があったから、自然と、神様は近くに在るもんだと思っていた。
でも、まさか、異世界の神があんなチャワードで、その神によって異世界に飛ばされるとはね……。
想像もつかなかったあの頃だ。
籠から魔天卵を掴み取って、お供えしていく。全部で六十個ある。けっこうな量だ。
五×五の四辺に二十五個。プラス五個は上に重ねていく。一つの高杯に三十個の卵。片方には魔卵を、もう片方には天卵を積んだ。
「あとは祈ればいいのか?」
「祈らなくても、イベント欄のハッピーイースターボタン押せばいいわよ」
ハッピーイースターって……いやもう何も聞くまい。
祈りなしか。祈らなくてよいのか。神棚だけど祈りや神は関係ないのかな? なんせ魔で天な卵だからな。日本神話的な神様とは無縁なのだろう。神棚の意味ぃぃ!
黒画面のホームに、でかでかとイベントのお知らせバナーがある。そこのリンクから飛んで、黄色いひよことカラフルな卵に彩られたハッピーイースターの文字をタップした。
すると魔天卵たちが震え出す。カタカタカタカタ、数秒震えていたと思ったらパアアと光が帯状に広がった。魔卵からは紫色の光が、天卵からは空色の光が溢れ、一卵づつ空中へと浮き、それから次々と床に向かってダイブする。
床は板張りだ。当たったら割れるのではと危惧したけれど、卵は割れずに内側から弾けた。弾けた時に散らばった光がくるくる回って円を描いていく。
「まるで魔法陣だ……」
「召喚陣よ。魔卵からは魔界公爵からの、天卵からは天界王子からの贈り物が届くわ」
ふぁ? 贈り物なの卵って? 魔界公爵に天界王子って何者? どうしてそれぞれ身分が違うのだろう? 公爵と王子ってさあ……と、俺がマザーの言葉に心の中でつっこみを入れている間にも、光を纏う円、召喚陣は着々と床の上に描かれていく。
円を縁取る文字は複雑に入り組み、幾何学的な模様を浮かび上がらせた。合計で六十個もの楕円召喚陣。その中心から、それぞれに卵の中身が孵化した。
出てきたのは──────。
「バットだ。あ、こっちはボールとグローブだ。スパイクにヘルメット、ユニフォームもあるぞ」
何チーム組めるんだろうってくらいの量が出てきた。バットひとつとっても、一つの召喚陣から百本くらい出てきたぞ。天守閣の床中が野球用品で埋まっていくのだけどこれ……。
野球用品は紫色の光を放つ召喚陣から出てきていた。紫色の方は魔界公爵とやらからの贈り物だ。魔界公爵は野球が好きなのだろうか?
空色の召喚陣からは、お花や木、茂みに垣根、トピアリーなど庭を造るコーデが一揃い現れた。現れた庭木たちは、俺が視認したら消えてしまう。
「え、どこ行ったんだ?」
「必要なところへ自動で配置されてるわよ。ホーム画面の大アイコン、装飾や地図あたりからチェックしてみて」
マザーに促され、装飾のところを見てみる。自動配置されたアイテムたちが、どこにどう配置されたか、地図と合わせて確認できるようになっていた。
地図には【鬼ヶ城 レベル1】と【和風庭園 レベル1】、それから【物見櫓 レベル1】が四基と【物置 レベル1】が追加されている。
野球用品は物置内に収納されたようだ。
「買った覚えがない建物が追加されてるんだけど……」
「魔天卵から出てきたのね。大型のものも自動配置されるのよ」
そりゃそうか。天守閣に櫓は入りきらないものな。
しかし、良いもの貰えたな。和風庭園に物置、櫓が四つも。買うとなると櫓一基銀五千枚だ。物置も銀三千枚。和風庭園なんか土・木・花と個々に買って揃えたら銀六千枚相当もする。
初回特典で高級なものが当たって嬉しい。もしかしてレアゲットしたのかも?
一目でわかるレア表示ってのはないのだけど……。
なんにせよこれ、ガチャだ。面白い。
20
お気に入りに追加
18
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。


いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜
きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員
Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。
そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。
初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。
甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。
第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。
※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり)
※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り
初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。
悪役令息の七日間
リラックス@ピロー
BL
唐突に前世を思い出した俺、ユリシーズ=アディンソンは自分がスマホ配信アプリ"王宮の花〜神子は7色のバラに抱かれる〜"に登場する悪役だと気付く。しかし思い出すのが遅過ぎて、断罪イベントまで7日間しか残っていない。
気づいた時にはもう遅い、それでも足掻く悪役令息の話。【お知らせ:2024年1月18日書籍発売!】

セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる