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良き日の哀愁タップダンス
しおりを挟む「リリィ、モルロワに触るの禁止」
「なじぇ?! ちょいとパフパフしただけじゃん!」
モルロワさんのお胸で愉しんでから後日、シャドランにしこたま叱られた私。
接触禁止まで言い渡されました。なんて厳しいお裁き。自分ばっかりあのムニムニマショマロを愉しむなんてずるうい。
「シャドランのドケチぃ!」
「あ、コラ待てっ」
ぴゅーと言い逃げて反省などしない私は、今度またモルロワさんとお泊り機会があったら一緒にお風呂入ろうと心躍らせるのだった。
なんだかんだと半年後────。
良き日和を迎えまして、勇者の神殿で挙式した御二人です。
モルロワさんのウエディングドレスは島エルフ伝統のスタイルで、胸元が大胆にV字カットされていて肩袖にはお花があしらわれ、スカート部分にもお花と白色のレースをふんだんに。後ろにもリボンとレースがひらひらと、とっても綺麗で素敵なドレスでした。
もちろんラリエットも使われている。レース部分やベールを飾り腕にも巻いて、とても華やかである。くはー。いいなあ。花嫁さんいいなあ。
私もいつか…………と思いつつ涎垂らす変なエルフが私です。いやなに、あのマシュマロが美味しそうでね。
披露宴会場はエルフ村の中央広場。
真っ新なテーブルや椅子までも華やかに飾り付けての、立食パーティーになった。
披露宴の出席者は挙式に参列したエルフはもちろん、参列していないエルフも三々五々に集まり、会場中が美形エルフに満たされる。右にエルフ。左にもエルフ。エルフパラダイスである。あざーす。
披露宴の始まり時間は挙式が終わってから。終わりは暗くなったらという、たいへんアバウトなもの。
舞台で挨拶とか堅苦しいものはないので、舞台は空いたら随時何かやりたい人が何か適当な出し物をやってください方式。
お祝いの気持ちがあればなんだっていい感じ。歌うたったり弾き語りしたりと、本当に随時適当。
誰も舞台にいなくても水と光の競演でプロジェクションマッピングが楽しめるようになっていて、あの技術はすごいと一人感心して観入っていた私。
多分、演出には【水操魔術】と【光操魔術】とを駆使しているのだけど、あれを固定して自操させているのは理法による操作技術だと思う。
普通のエルフには出来ない所業である。ということは、あれを作った犯人は、あそこで酒ばっかり飲んで中年エルフたちとどんちゃん騒ぎ宴会芸中の鬼神かな。
中年でも美形のエルフたちが披露する腹芸やドジョウ掬いは何だか居た堪れない。
だからあの辺りはあまり目端に入れないようにして、舞台を観ながらご飯食べてます。
好きなもの好きなだけ選んで皿に盛って、もりもり食べている。
献立はシーフードが多いけど、野菜を使ったおばんざい、果物たっぷりデザートも豊富でウハウハである。
朝から総出で仕込んだお料理上手なエルフさんたちグッジョブでーす。
味付けが妙味。あんかけカニ入りチャーハンが特に。
うちの子たち、白緑竜のピエタも不死鳥のフェオも、お米をツンツンしながら食べました。
「うめえ! カニうめえ!」
フェオくん絶賛。カニ食う鳥である。
このチャーハン、隠し味にお醤油入っているみたいで香ばしうましである。
新郎新婦の二人は高砂みたいな、一段高い場所で挨拶責めにされていたので、私も出来たてほやほや製本したばかりの二人の馴れ初め漫画を渡しに行った。
半年も時間あったから背景まで細かく描き込んである。
背景は王宮メイン。王宮が物語の舞台だからね。転生するときに空から落とされて王宮内をふらふらしつつも内装や庭を観察していたことが役立ちました。私グッジョブ。
人生何が役に立つか分からんもんだね。ある意味ラッキー。
馴れ初め漫画は全一巻の大長編ぶ厚い本だよ。これで頭かち割ったら撲殺できるんじゃないかな。物語の最後はもちろんハッピーウエディング。きっと子供からお年寄りまで楽しく読めるはずだ。
なのにシャドランのやつは「これは僕じゃない」とかぬかすんだ。
いいじゃん。主人公には華やかさがないと駄目なんだから、ちょっとくらい薔薇背負っていても、キラキラさせても、過剰演出で壁ドンしても、いいじゃん。
「ふるおあああああありがとうリリィちゃん!!!!」
ほらほらモルロワさんなんて大感激で、「局長が王子ィィっ!!」って身悶えてるよ。
そして存外に他のエルフお姉さんたちにもこの漫画がウケまして、皆さんでキャーキャー言いながら回し読みし始めたので、どうせならと人数分を製本具現化した私は明らかに調子こいておる。
大盤振る舞いじゃー! 一冊作るのに寿命は十秒!
超低コストで喜びに満ち溢れておりますわーい! はーはははは!
美味しいご飯も食べて、いい気分でナチュラルハイ!
しかしその内に、会場のBGMの曲調が変わったことに気づいて、ハッとした。
や、ヤバイ、やぶぁい、この曲はエルフの民族楽曲である。私の苦手なタップダンスが始まってしまったようだ。
その場から逃げようとサッと身を低くする。
よし。このまま這って逃げよう。匍匐前進だ。やったことないけど、やりゃあできるだろ。
だけど会場の半分も進まずに、背後からグッと肩を掴まれてしまう。誰?
「どこへ行くのリリエイラさん」
振り向いた私が見上げたものは、満面の笑みを湛えたアネッサお祖母様だった。
「はひっ、うえ、えーと、ですねえい……」
「もうすぐ踊りが始まるわ。私が教えたことを活かす時ではなくて?」
「ひええそうですね実にそうですねでも勘弁…………!」
アネッサお祖母様には、あれから月二くらいで社交ダンスはもちろんエルフの踊りまでダンスレッスンを請うてはいましたが、自分が上達したとは全然思わない。
なんとか一曲まるまる踊れたかもしれないが、それはまるでイソギンチャクのように、ただ海流に身を任せクネクネするだけというか、アネッサお祖母様のリードでようやく体裁を保っているというか、なんかそんな雑なものなのだ。
「逃げなーい。大丈夫よ。リリエイラさん随分上達したもの。踊りましょ~ネ」
"ネ"のあたりに力がこもっている気がする。私の肩を掴む手も力んでいる気がする。こ、こりは逃げられなひ……っ。
「緊張するならこれ飲んで。はい、リラックス~リラックス」
と、手に押し付けられたのは酒枡である。強い清酒の匂いがプンプンするぜえ。
これは鬼神お神酒の守アスタロ様がお造りになられた日本酒ではないですかね。
これを「グイっといっとけ」とおっしゃるのですね。私がこれっぽっちの酒で酔うことはないと思うけど、ここは酒の力を借りて舞台に上がれと、そうおっしゃるわけですね。
「いや無理すぶふるうふばばっっ!!」
「四の五の言わず踊りなさ~い。女は度胸」
無理やり酒を飲まされました。これパワハラじゃないっすかね。
「けっほけほっ」
「ごめんなさいねえ。でも、可愛い孫お気に入りの可愛い可愛いリリエイラさんを早く一人前にしてあげたくて…………」
なぜか可愛い可愛いと何度も言われながら、私の両頬を両手で包み込んでくるアネッサお祖母様。
超美人のアネッサお祖母様。よく見たらディムナの面差しがなくもない。ドキドキ見つめ合って、それから舞台まで浮遊魔術で浮かされつつ放り出されました。おっひゃーん。
「女は度胸だかんね」
再度男前なことを言われ、私は渋々くそ下手なダンスを披露することになった。
何も知らない観客たちよ拍手しないでおくれ。私本当に下手だからね。知らないよ場をしらけさせても。
「リリィ、踊ろ」
「ほらほら立って」
「一緒に、さあ」
まごまごする私をエルフのお姉様方が誘ってくれる。一人じゃ不安でも皆でやればイケるかもという思いが湧いてきた。
足を動かす。最初はカッカッと踵を、そして爪先、もう一度踵の順。だんだんリズムに乗せて早くタップ。タップ、タップ。
「できるじゃん、リリィ」
と、励ましてくれたのはリザ姉さんかな。足元に集中して聞き流してしまった。ごめん。
私のリズムに合わせて、ずっと静かだった音楽がキレの良いテンポに変わってくる。
舞台袖でフィドル(弦楽器)とイリャンパイプ(ふいご楽器)を奏でてくれるのは誰だろう。やっぱりそこまで考える余裕もなく、ただタップする。
私ができると分かったからかエルフのお姉様方もタップを繰り出す。タップが二重、三重と合わさって音が大きくなる。
そこにファドーグ(縦笛)が加わってまた新たなメロディが生まれた。
イケメンエルフ三人が奏でるイケメン楽器で三重奏である。
こうなるともうノリで足を動かすしかない。一気飲みした酒の力も借りて、私は苦手と避けていたタップダンスを意気揚々と踊った。
更にバウロン(太鼓)が変幻自在なリズムで乗っかり、陽気な民族音楽が奏でられる。エルフのお姉様方と肩を組んでタップ、タップ。正式には背筋を伸ばして真っ直ぐ前向いてダンスするのだけど今日は無礼講。皆で笑い合いながら楽しくタップを踏む。
いつもなら逃げて踊りの輪にすら入らない私が、ここにいるだけでも快挙だと思ってくれい。
「ピエ~ンピエエ!」
ピエタも踊りに交じってきた。
竜の手足は短いけれど、バタバタ動かして私の真似をする姿が愛らしい。
「いいぞー!」「ピューピュー!」なんて、どっかの親父化したエルフが口笛吹いたり。
ピエタはエルフ村の皆に受け入れられていて、ある意味アイドルだ。
会場にいるエルフたちも手拍子で盛り上げてくれる。タップばかり踏んでいると疲れるけれど、今は高揚感の方が強い。
踵を鳴らして、皆で息を揃えて、タップ、タップ、タップ! 頑張ったと思うよ。
「ぜはーぁぁ…………しんど」
踊った後の息切れ。机に突っ伏してぜはぜは息を吐く。普段が圧倒的インドア派だから体力なんてからっきしなんだぜ。
一緒に踊ったエルフのお姉様方なんか息は切れているけど終始笑顔で、若い男性エルフたちに囲まれてタオルや水を差しだされ、ちやほやされている。
わ、わたしには? 私にはないのかね……!
心の中で叫んで実際には呻いているだけ。酷い動悸息切れに発汗とも戦う孤独な50歳。それが私です。
うわーん。ディムナに会いたいよーう。
今日の結婚式にもね、誘ったんだよ。でもお仕事で来れないって。しくしくしく。
人間だからエルフ村に入れないってわけじゃないんだよ。トレアスサッハ家の皆さんは特別だもの。現にイーガンさんもメイニルお母様も今日は挙式から参列されております。
ディムナは本当にお仕事なんだ。彼のお仕事は一つの依頼が長期的になることが多いんだって。そもそも、普通の冒険者たちじゃこなせなかった依頼とかが回ってくるから、やっかいだったり難易度高いものばかりなんだそうで。でもそれって尻ぬぐいって言わないか……あーいや、大事なお仕事です。邪魔したくないです。
でも、もうちょっと頻繁にディムナを補給したいです。私の退路は断たれている。給油地ないとこれから立つ自信ない。それくらい今は疲弊中。
そんな孤独な心に響くのがフェオの澄んだ歌声だった。鳥声だからか甲高いソロ。その旋律のなんとも侘し気なことよ……。
すっかり謳い鳥らしくなったねえフェオ。更にそこへ、不死鳥の声に合わせるようにグランドハープの音色が乗る。
天上の音楽とはこのことかぁ――――。
眠くなってきたよ。机に頬くっつけてそのまま寝ちゃった。
────気づけば会場は暗くなり始め。はっ。披露宴終わり?
皆さん、来た時と同じように三々五々帰宅してしまっている。
やっべー寝過ごした。慌てて立ち上がろうとしたところへ声を掛けられた。
「うふふ。よく眠ってたわね」
メイニルお母様が私の前の椅子に座ってこちらを見てた。はわわ。よだれよだれよだれチェック。
口元拭って確かめて、それからご挨拶だ。
「いやはやすみません寝過ごしました。おはようございます」
「はい。おはよう。疲れたのね。いっぱい眠ってたわよお」
「ねえリリィ、とっても可愛くなってるよ」
ん? クール先生の声がして振り向く。
その時、私の頭からパラパラと落ちてきたのは……花?
他にも、肩や袖や胸のとこに背中までも謎の違和感があって「おひゃああ?!」奇声を上げつつ手で払ったら、全部お花だった。私、花まみれじゃーん。
「帰り際に皆さん差してらしたわよ」
「何本目で目を覚ますか賭けをしてたやつもいたな」
ええーなんじゃそらあ。結局、皆さん手持ちの花全部を差しても私は起きなかったんだって。寝すぎだろ私。花に気づかないなんて余程眠りが深かったのか。
こんなところでぐっすり寝れるとかどういう神経……あ、これ冒険者に向いてるんじゃないかな。どんな環境でも寝れるって特技だよね。
ディムナを追って冒険者やりたいなーとは思ってるんだよね。世界を見て回るのも前々からやりたいとは思っていた。
資格もいっぱいとって実力上げて、最後はドラゴンスレイヤー? と、これは駄目だ。竜はピエタの仲間だもの。保護対象だ。
まだピエタ以外の竜には会ったことないけど、魔族や人間に利用されまくっている不憫な竜を助けた。そう思い始めている。
「はれ? ピエタは…………」
竜に思いを馳せていたらピエタの存在に気づいた。
「ピエピエ」
「おお、こんなとこにいた」
私のお膝で寝てました。翼を畳んで手足を折り曲げて、くるっと背中丸めてお鼻をお腹にくっつければ、ほら竜団子。めんこいわ。
「いつも仲良しね。竜とこんなにくっついて、しかも一緒に寝ることが出来るなんて、きっと世界中探してもリリエイラさんだけよ」
「本当にね。今まで見たことある竜は、こんなに感情が豊かじゃなかった。懐くどころか、もっと凶暴で飼い主以外には敵意剥き出しなのが普通だ」
そう言ってメイニルお母様とクール先生はピエタを撫でてくれる。
ピエタは鼻をピスピスさせながら二人の手の動きを愉しんでいるみたい。
「人懐っこくて可愛いわあ」
「竜がこんなに温かいなんてことも知らなかったよ」
お褒め下さり至極光栄です。竜の鱗は冷たそうに見えるけど、その下にはきちんと血流があって温かい。
だから鱗剥ぐってことは爪剥ぐのと同じことなんじゃないかな。
そんな痛いことピエタで確かめるなんて絶対にしないけど、皮下組織を守る竜鱗というやつは高値で取引されるらしい。
『ドラゴン解体新書』の一節を思い出して急に怒りを覚えた。
「人は…………特に魔族は竜を道具としか見てない。実際に見たわけじゃないけど、本を読む限り竜は、この世界で最も不憫な生き物だと思う」
と、頭にはまだ花が咲いているけど真面目ぶって主張してみる。口に出せば今最も気になっていることを自覚してしまった。
私はやっぱり竜神を探そうと思う────。
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