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不誠実はいかんよ
しおりを挟む翌朝、まだ空が白む内にディムナは転移魔術で帰って行った。
目が覚めて隣に大好きな人が寝ているという朝は、こんなにも清々しいものだったのか……。
インスーロの冬は、雪は滅多に降らないけれどそれなりに寒い。
彼のぬくもりをもっと堪能していたかったけれど、両親が起きてくる前にお帰り願わないとヤバかろうということで、明け方にお別れだ。
「優しくしたつもりだったけど……ごめん」
「き、気にしないで、しょうがないよ……たぶん」
ベッド上の大惨事を目の当たりにした時の会話である。
仕方無い。生理はとっくに終わっていたけど処女だったわけだし……。
私は気恥ずかしさで耳まで真っ赤に染めながら毛布に包まる。さ、寒い。
ディムナが帰っちゃったら尚寒い。ベッドシーツは洗濯魔法でなんとかしてから、二度寝を決め込む。ふわーい。お布団にディムナの匂い残ってて幸せー。
そうやってぬくぬくとお昼頃まで惰眠を貪ったわけだ。体は大人になったけれど行動はまだやまだ子供のままである。
ディムナは既に未来を向いて自立することを考えているというのに私は……。
おおう。そういうこと考えたら私こそやりたいこと見つけなきゃと焦る焦る。
こうやってお布団の中で安寧を貪っていられるのも両親がいるからである。
朝寝決め込んでいられたのも、お母さんが気遣ってくれたからである。
いつまでも甘えてばかりはいけまっせぇぇんんん! とばかりに跳ね起きた。
さっむぅいい! こんな、こんなに寒かったっけインスーロ?!
寝込む前はここまで冷えていなかったと思う。私がスリーピング中にここまで冬は厳しくなってしまったのだろうか。めげないぞ!
気合で洗面してから服も着替えてリビングへ顔を出した。
「お母さん、おはよー」
「あらリリィ、寝てなくて大丈夫なの?」
「うん。随分楽になったから~」
努めて元気におはようだ。
ちょっと股間があれしてアイタタなんだけど、そこは我慢である。
お母さんは食後の休憩中だったみたいだね。お茶飲みながら雑誌読んでた。
「お父さんは仕事?」
「ええそうよ。今夜帰っていらっしゃるわ」
一週間の常駐が終わるの今日なのね。寝込む前は在宅ワークだったはず。それから神殿でお仕事して今日が帰ってくる日となると、私ったら一週間は寝込んでいたことになる。
そ、そんなに寝てたんだ?! 実感ないなあ。でも、本来なら長い月日をかけて大人になるものだから、一週間で変化したことは短いどころかの異例だろう。
改めて、私はとんでもないことをしでかしたと反省した。お父さん帰ってきたら謝らないと。
それから今後のことも話して、ディムナのことやリリエイラちゃんのことも……と、転生のことはまだ話さなくていいかなあ。タイミングがどうにもつかめない。
「ご飯は食べれそう?」
「あ、うん。お腹空きまくってる」
言われてみれば腹ぐーぐーだ。空腹を知らせるアラームが鳴りっぱなしなことに気づいて昼御飯をいただいた。
病み上がりということで御粥さんであるが、自家製の梅干しとトロトロになったお米を合わせると至福である。昆布とお豆さんの煮物もおいひい。お母さんありがとう。
お腹も満たされて思考力も回復した気がする。それなのに、食器を片づけようと席を立ち、数歩、歩いただけで壁にぶつかった。
あれ? 台所こっちじゃなかったっけ?
ふらふらと流しのところに食器置いて、ああそうかと気づく。視界がね、ぼんやりしているんだ。寝起きの所為だと思っていたけど違うねこれ。
あーこれ駄目だこれ。必要ですわ眼鏡さんが。急成長したもんだから近視も進んじゃったみたいだこれ。
「どうしたのリリィ」
台所で変な苦悩ポーズをとっていたからか、お母さんに不審がられた。どんなポーズかと言えば、へたこいたーなあれだ。
ああ今の私の脳内はなぜか裸芸の芸人さんがネタ披露しているだけの、わけわからない映像に囚われているよ。
私はのろのろと起き上がり、眼鏡が必要なことをお母さんに打ち明けた。どこに売ってますか眼鏡。エルフ村に売っているところはない気がする。眼鏡市場はどこですか。
「あらまあ。前にも見えにくいって言ってたことあったわよね」
「うーん、あの頃よりぼやけてて前が見えない未来も視えない……」
前はまだ家の中でも外でも普通に歩く分には平気だった。ちょっと遠くがぼやけているな程度のことだったから。
でも今はもう数歩先もぼやけて、壁にぶち当たる始末です。ド近眼だ。
「未来が視えたら占術師になれるわよ。サーリャのとこに弟子入りしたらいいわ」
そういうエルフがいるみたいです。すごいね。
私のは冗談なので本気にしちゃいやんママン。
この後は家の中でだらだら過ごした。
ド近眼になっちゃったから外に出たら危ないでしょ。
元々インドア派な私。お絵描きでもしましょうと思ったけどタブレットちゃんの画面までもが見え難い。くうー、これ以上近づいたら画面と接吻だわ。心なしかタブレットちゃんが照れてなはる。ウブだなお前さん。
夜、帰って来たお父さんの気配がして部屋を飛び出す。
壁に衝突。柱に激突。階段でコケる。の三連発を披露しながらも、お父さんへハグ。お帰りなさ~い。ヘロヘロ~。
「うわ。どうしたのさリリィ」
その声はシャドランだね。久しぶり。
「まだ調子悪いのだろう。寝てなさい」
「違う違う。体はすっかりいいの。これは近眼で……」
と、お父さんに事情説明。
眼鏡が欲しいです素敵眼鏡はどこで買えますか。赤札でいいんで。
「リリィに眼鏡か……まあ、似合うと思うね」
「シャドランの意見は聞いてないよー」
「褒めてやったのにその言い草っ」
「まだかけてもいない内から褒めるなんて……あ、妄想したでしょこのスケベ」
「そんだけ軽口たたけりゃ元気になった証拠だなあ」
ぎにゃぁ米神ぐりぐりしにゃいでええええ。
相変わらず気安い大伯父さんである。金髪美形エルフだから許すけど、そうじゃなかったら許さないんだからねっ。ぷんぷん。
シャドランはうちで夕飯を食べていくらしい。我が家へ、というか私の様子見に来る途中で、お父さんとかち合ったみたい。
「それで調子はどうなんだい」
「すこぶる元気。目が見えないのがどうにもならないくらいで」
「体の方は……うーん、成長したん……だっけ?」
何その疑問形。シャドランの目線を追えば私の胸なわけで。どうせここは貧乳ですよ。エルフだからしょうがないだろ。エルフはみんな胸薄いんだよ。
ボイン好き変わり者エルフはシャドランだけである。きみの恋人とやらはさぞボインなんでしょうね。
「成長したわい。もうちゃんと女の子だもん」
「そうよお。伯父様ったらリリィをからかわないでちょうだい。もうそれセクハラ発言になっちゃうわよ」
そうだそうだ。お母さんも言ってやって。なぜか鯛の形したミートパイとお赤飯を食卓に並べるお母さん、それ、私のお祝いでしょうか。
「あとは……酒だな」
と、お父さんまで秘蔵のウイスキー取り出したあああありがとうございます。
火山島で黒ビール飲んじゃったことは伏せてあるのでこれは初酒ということでいただきます。
お酒は50歳になってから。エルフの子供は気長だね。
「僕からもお祝い」
と、シャドランがくれたのが、かぎ針編みの可愛いラリエットだった件。
白色とピンク色の二重でモチーフはお花と葉っぱ。それらが立体的に編み込まれていて、すごい。特にお花の花びら一枚一枚丁寧に作られている。
見れば見るほど芸術的作品だけどこれ、お高くない……? こんなクオリティ高いものエルフ村の雑貨屋さんじゃ見かけないよ。王都で買ったのかなあ。
私が目を丸くして、それでいて興奮した様子でいるからだろう。シャドランは一笑してから教えてくれた。
「ははは。驚いただろ。それ、僕の彼女がリリィにって編んでたやつなんだ。ピンク色の方は、本当は七歳のお祝いの時に手渡したかったみたいだけど、会えないまま帰っただろ。白い方は次のお祝いにって編んでたやつだから、丁度いいんで今日両方とも持ってきた」
聞けばシャドランの彼女さんとやらは花神連合王国の王宮付き魔術師をしているとか。エリートじゃんか。
確かに七歳の時に王宮へは行った。着いて早々に倒れ、すぐ帰ったから会う暇なかったようだ。それは申し訳ないことをしました。
そして中身もリリエイラちゃんじゃなくて見知らぬオバハンが転生しちゃってましてすみません。
七歳から次のお祝いというと30歳前後の初潮のはずだけど、私ったら成人もしちゃったから両方のお祝い兼ねてのプレゼントですね。ありがとうございます。
なんてお気遣いのできる優しいお姉様……! 感動。
「ありがとうございますっ。シャドランのくせに粋なプレゼントだなと思ったらすべて彼女さんのおかげだね。デキる彼女もって幸せだね。早く結婚してあげなよ。このままだと甲斐性なしだと思われて逃げられちゃうよ」
めっちゃ褒めたし親切な忠告をしたつもり。でも、シャドランからは頬っぺたに指で刺突食らいました。乱暴狼藉だー。ぷにぷに解せぬ。
「言われなくても分かってるよ」
「いーや、分かってないね。このラリエットは裏を返せば"私も同じの欲しい"っていう意思表示だもん。そこんとこ分かってないでしょ」
「………………そうなんの?」
やっぱ気づいてねーぞこの鈍チン男。私は懇切丁寧に説明してあげた。
何かのお祝いにもらった白色のラリエットというのは、縁起もいいし大抵は花嫁さんの衣装に使われる。
エルフ族の花嫁衣装はシンプルに仕立て、その分レース編みのラリエットを裾や袖の縁に追加して独自にアレンジするという習わしがあるのだ。
髪や腕も色んな素材のラリエットで飾ってお洒落にするし、結婚するまでにラリエットがあればあるだけ当日の衣装は豪華になるものだから、こうして親族や友達同士で贈り合うことも多い。
特に白色のラリエットには意味がある。自分の花嫁衣裳の為じゃなくて誰かに贈るということは、それは"結婚したい"の意だ。
私がいただいたこのラリエットには、自分も着飾って花嫁さんになりたいという想いがビンビンに込められているのだよ。わかるかねそこの鈍感男。
私の言ったことを反芻でもしているのか頭抱えて何事かブツブツ言っているシャドラン。
お父さんとお母さんも「ふーやれやれ世話のやけるやつだ」的な雰囲気でウイスキーをロックで酌み交わす。私もそれで頼みますわ。
お祝いの会食は和やかに進み、シャドランが浮かない顔だったので「私の酒が飲めんのか」とグラスなみなみに注いであげました。ノーロックで。ストレートでイケ。
エルフは酒に強いから、だいじょうぶだいじょうぶ。
チェイサーに水も用意してあげたし、イケるイケる。
帰り道、千鳥足だったけど歩ける歩ける。真っ直ぐ帰れよー浮気すんなよー。
かく言う私も酔っ払い。この日はふわふわ酩酊気分で就寝しました。
翌日────。
二日酔いにもならないリリエイラちゃんの酒遺伝子グッジョーブ。
爽快な気分で朝ご飯食べにリビングへ行ったら、
「リリエイラ」
と、お父さんに改まって呼ばれてドキッとする私。
ちょっと座りなさいってことでリビングのソファで家族会議が始まった。
朝ご飯は……? おあずけっぽいね。
「成人おめでとう」
「ありがとうございます」
なぜか固い挨拶から始まる会話。
「あまりにも早すぎたから祝いの品を用意してないんだ。眼鏡でいいか」
「それでお願いしますです。突然でごめんなさい、お父さん」
眼鏡は高級品だものね。この後にインスーロにあるガラス工房まで買いに行くことになった。なるほど。販売店ないから直に買いに行くのね。
「本当に突然だったな」
「本当にねえ……」
両親にしみじみされてしまう。良い方じゃない悪い方の意味でのしみじみで。
ご、ごめんなさいと謝るしかない私。
「なってしまったものは仕方ない。それで……大人になったからには何か職に就いてもらわねば困る。何かなりたいものはあるか」
就職相談の面談みたいになってきた。高3の夏あたりを思い出します。
はっきり言って今なりたい職業は決まってない。
だからフリーターで☆とかお茶目に言ったら怒られると思うので、至極無難に「まだなりたいものは見つけてません。これから探していきたいです」と答える。
「そうだな。昨日今日で夢が見つかるとも思わん。色々と異例なことだし、数年……いや十年くらいは家にいてもかまわん」
「お父さん……」
えらい優しいこと言われましたが十年も実家に甘える気はないです。
「一年でいいよ。今年中にやりたいことを見つけます」
「リリィったらもう……」
両親を悲しませないよう、きっぱり宣言したつもりだったけど、逆に困らせたみたいだ。お母さんには憐みの表情で見つめられてしまったよ。なんでー。
「あなた、ディムナくんのことはどうするのよ。彼は貴族でしょ。お嫁に行ってもいいのよ」
「────母さん!!?」
お父さんが動揺してカップを落とした。ガチャーンて床に落ちたカップはお気に入りのやつじゃないかな。
「あらあら、どうしてお父さんが動揺してるのよ。リリィがディムナくんと付き合ってるのは知ってるでしょお」
生活魔法で砕け散った破片と零れたお茶も片づけながら、お母さんはマイペースに言う。
「いや、だが、しかし、まだ早いだろう」
「早いも何も、成人したら独立するものよ。結婚を選択するエルフだっているわ」
私みたいにねとお母さん。チャーミングにウインクです。
あらら。そういえばお母さんは、ずっとお父さんに片思いしていて、エルフ村に一時帰宅したお父さんに「結婚してくんなきゃ襲っちゃうぞ」とかのたまった女傑でしたね。
そこからもう二度と旅には戻れなかったお父さんだと伝え聞いております。酔っぱらったシャドランからの情報でした。
いやなに昨晩ちょっと聞いたのだよ。聞いておいて良かった。ニヨニヨ顔でお父さんを見つめちゃうことができるからね。ニヨニヨ。
「こほん。まあ、そういう選択もありだ。……実際、どうなんだね。彼とは」
開き直ったお父さんから聞かれちゃえば答えないといけないよね。
「あーあの、ディムナは家を出るって。貴族位も返上するって言ってた」
「何ィ?!」
「はあ?! 本当なのそれは!」
いやーん。両親逆上。特にお母さんがヤンキーみたいなメンチきった上でドス声です。怖い。
「うちの可愛い娘に手を出しておきながら逃げる気なの?!」
「おおおお母さん落ち着いて。私は納得してるから。ディムナもやりたいこと見つけたいって。それで世界を一人旅するってだけだから」
「一人旅なんて逃げる口実に決まってるでしょ! そんでもって何年も音沙汰ないのよ。こっちは泣きながら待ってるっていうのに……男なんて待たせるばかりで不誠実な生き物なのよー!」
えらい具体的だけどそれはお父さんのことでしょうか? びくびくしながらお父さんの方を見る。顔を赤らめたり青ざめさせたりで忙しそうなお父さん。遂には項垂れた。不誠実なのは駄目だよお父さん。
「えっと、でも、ディムナは不誠実じゃないと思いますですお」
「どうしてよ。結婚の約束でもしてるの?」
「そ、その、似たようなことは……」
ごにょごにょ~と言ってしまったのを二人のエルフ耳は聞き逃さなかったらしい。
結婚の約束はしてないけど、でも、もし赤ちゃんできたら責任取るって言質はとってあるということを、けっこうな早口で伝えました。
「赤子……子供……孫…………」
お父さん、謎の呪文を唱えて気絶した。まじで?! 儚すぎないか父よ!
「よくやったわリリィ」
サムズアップな母はイイ顔してる。さっきまで怒髪天だったのに。
こんな感じで我が家の家族会議は紛糾し、お父さんが目覚めるてからやっと遅い朝食にありつき、その後は眼鏡を買いに出かけたのでした。
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