エルフに優しい この異世界で

風巻ユウ

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この神器が可愛く思えてきた

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 ずずずい~~と、お納めくだされ。
 私はフェオの抜け殻もとい『不死鳥の卵殻』を捧げ持って、ディムナのお祖父様であるイーガンさんに手渡す。
 灰色でなんだか小汚い物体だけど、正真正銘『不死鳥の卵殻』です。

「忝い。恩に着る」

 武士みたいだなイーガンさん。土下座しそうな勢いだけど、この世界にDOGEZAはない。最大級に腰を曲げ頭を下げた陳謝をしてくれた。
 貴族様にここまでさせる私が何者?!
 どどどどどうしようねこれ、どう返したらいいの?
 オロオロしてたらまたまたハイエルフ様に「落ち着いてリリエイラちゃん」と声を掛けられてしまう私であった。実にすみません。このような事態に慣れてませんので……。

 所は火山島。鬼神とハイエルフ様の家である。
 不死鳥の卵殻は氷山ベッドで程よく冷やされ、手で持てるくらいになったから急いでイーガンさんにお届けに参った次第。
 そうしたらこの平身低頭。あのイーガンさんが。さして私に興味ないような親しみも見せない渋い面のイーガンさんが、である。
 こりゃもう萎縮するしかないよね一般ド庶民の私は。今世でも田舎の島エルフだけど、前世でだって身分など関係無い平和な日本での一市民だった。
 今更「くるしゅうない」とか殿みたいな台詞を吐く勇気など、ない。

「ふるおおおおき、ききき、きき、気にしないで、くださいっ。その、まだ、メイニルさんが助かったわけじゃないし、その、私、大して何にもしてなくて寿命使って下さったのはハイエルフ様だし。あ、鬼神もね」
「こら。俺の寿命オマケみてえに言うなこら」
「テンパってても覚えてたんですから、ここは褒めてあげないと」

 ハイエルフ様が、ぎゅっとしてくれるので遠慮せず抱きつき返す。
 ふわーい。女神の美貌と地母神の豊かな胸の中あっちゃかーい。
 エルフなので少々お胸が薄いけども。柔らかみがちょいと足りないけども。しかし温かいもんは温かいのです。むぎゅむぎゅ顔を埋めて甘えた。

「えらいえらい。不死鳥が復活できたのもリリエイラちゃんが頑張ったからですよ」

 いや~ほぼディムナの百裂拳のおかげだと思う。ボッコボコに殴ってたから。意外と肉弾戦派なんだよねディムナって。

「んで、この不死鳥はどこまで使えるんだ」

 と、鬼神が涎でベトベトになった不死鳥のフェオを摘まみ上げている。
 フェオはピエタに長時間しゃぶられ続けたとみえ、毛並みがすっかりしぼんだ上に、目もすっかり死んでいる。
 せっかく今世を授かったというのに、産まれて直ぐに失恋するわ竜の玩具にされるわで踏んだり蹴ったりだね。カワイソウ。
 そんなフェオくんがどこまで使える子なのかは知らない。
 アプリ【ペントゥラート】に描いた時は、癒しの炎が使えるといいな、見ただけで尊死するくらいの神々しさがあるといいなという思いを込め、不死鳥の姿にも拘って描いた気がする。
 だがしかし……今のところ見る影も、威厳もない。
 なにせ毛玉だからね。灰色の。

「こいつの卵殻の中は亜空間だ。この世界に無いものすら再現できていた。おそらく殻の中は、本人が無敵状態になれる空間だと思う」

 ディムナが珍しく多弁に説明してくれる。鳥なのに濡れネズミにしか見えないフェオくんを「こいつ」と指差しながら。
 同じ空間使いってのもあるだろう。卵殻に入って直ぐにどこかへ流され、殻の深淵まで見て来たらしいディムナは、卵殻が何故、呪いの封印に使われるのかの理由付けまで語ってくれた。

「俺が飛ばされた場所は、魔力もなければ理力すら捻じ曲がった空間だった。あの空間なら呪いも無効化できるだろう」
「え。ディムナそんなとこに飛ばされてたの?! よく無事だったね……! て、あれ? 助けに来てくれた時はフィンの姿だったよ」

 そうそう。フィンの姿だったから【転移魔術】で飛ばされたとこから抜け出したと思ってた。違うのだろうか?

「魔力が存在しない空間に放り込まれた時に変装の魔法は解けたんだ」
「ええええじゃあ、じゃあ、どうやってそこから抜け出したの?!」
「あー……死にかけたんだけど色々あって……」

 その、色々を教えろと言うのだよ。
 急に尻すぼみになったディムナの傍まで行って睨み上げる。
 死にかけたとか気になるじゃないか。フェオに何事かされたってディムナは無事だって信じていたよ。信じていたけど、本当はギリギリだったみたいなこと聞かされたら、心配で胸が張り裂けそうになるじゃないか。何があったか教えてよ。

「俺も、よく分かってない。ただ、君が現れて」
「私? フェオの部屋にいたのに……?」
「そう。だけど君が……」

 ディムナが言うには、たぶん私だろうと思われる人物が現れ……神器を操作して、その空間内で魔術を使えるようにしてくれたという。

「それ、誰ですか?」

 答えを求め鬼神とハイエルフ様の方を見る。こういう超常現象にお詳しい方いますか~な目で訴えていたからだろう。
 鬼神がニヤリと笑って……あ、あれ、胡散臭いやつなんだぜ。

「そんな空間に入り込める時点で人間じゃねえわな」

 と、なぜか私が背負っている鞄を撫でながら言う。
 鞄には三代目タブレットちゃんもとい神器が入っている。

「アスタロさん、その子ですか」とハイエルフ様。
「おお、まあ、十中八九、こいつの仕業だろうな」
「こいつって神器? 私のタブレットちゃんが何か仕出かしましたか」
「ふふふ。神器ってね、所有者に寄り添って姿形を変えるんですよ」

 ハイエルフ様が楽しそうにおっしゃいますが、そういえば、今この世界にある神器『理法門』はハイエルフ様の所有でした。そして理法門の元所有者は鬼神だ。
 二人して神器に詳しいのも頷ける。

「私のタブレットちゃんが私の姿でディムナを助けたと?」

 そうおっしゃりたいのですねハイエルフ様。
 でも、そんなこと本当に有り得るのだろうか。

「神器は所有者と魂で繋がってますから。所有者の心の底からの願いに答えたんでしょうね。リリエイラちゃんは、ディムナくんを呼んだでしょ?」

 はっ、そういやめっちゃ叫んだわ。思い出した。ディムナを呼んだし、心の底から会いたいって願ったと思う。
 その願いを叶えたって……神器ってば魔法のランプみたいだ。いやさ、魔法のランプより優秀か。願いは無尽蔵に叶えてくれそうだ。いやでもまてよ。この神器って寿命吸い取り機能がついてなかったっけ……。

 私はタブレットちゃんを鞄から出して起動させる。履歴やバックアップを調べてみた。うーん、特筆するようなものは見当たらないね。

「寿命を吸い取りましたとか、私の願いを聞きました的なことは残さないんですね……」

 アプリを使えば寿命いただきましたとか履歴に残るし、バックアップにもデータは保管されるのに、今回起こした奇跡みたいなことは後に何も残していない。

「それだけ自律していたってことです。神器には様々な可能性が秘められてます。所有者と心通い合わせれば、今よりもっと多機能になるし自己確立していきますよ」

 ええええええまじで……! お世話すればするほど懐く幼児玩具みたいだな。前世で、姉の子供がそういう犬のぬいぐるみを持っていたよ。
 けれどもあれはプログラムされたことしか出来ないだろうから、それを思うとやはりこの神器は桁違いに凄いらしい。自律して、最終的には自己確立するなんて、それは最早何かの生き物な気がする。
 ただの寿命吸い取り妖怪に成り下がらないよう、これからは色んな可能性に目を向けていくべきだね。
 私と魂で繋がっちゃっているらしいし……と、じっとタブレットちゃんを見る。なんだかタブレットちゃんが照れたように感じたから不思議だ。この神器が可愛く思えてきた。

 それからはメイニルお母様のことについて話し合った。

 血の絆サン・リギーオを外す手段はもう決まっているらしい。
 魔導具はメイニルお母様の魔力で起動しているから、外す時も本人がやるしかないと、そこまでしか私は聞いてなかったので、どうやって外すのかを詳しく教えてもらった。

「埋め込まれた時のことをメイニルちゃんから聞いた限りだと、良質な"魔水晶"を持った魔導士十人ほどに囲まれて、魔術を使われたそうです。その魔術はおそらく転移の魔術……」

【転移魔術】はその術自体は世間一般に存在を知られている。
 ただ、行使するには多大な魔力を消費する為に、普通の人がおいそれと気軽に扱えるものではない。
 ディムナや鬼神がお気軽に使っているのは例外なのだ。神を名乗る者以外は絶対に真似をしちゃいけません。
 もし只人がお気軽に使えば、魔力が枯渇して死に至るはずだ。
 メイニルお母様の心臓に魔導具を埋め込む為だけに、魔導士十人が実行したらしい。おそらく、その人たちは儚くなっていることだろう。

「だから外すにも転移魔術で取り出せばいいはずです。ただし今度はメイニルちゃん一人でやらないといけない。他人の魔力や理力は受け付けませんからね」

 絶望的なことをおっしゃるハイエルフ様。
 だって埋め込むときに魔導士十人プラス魔水晶でしょ。その十分の一以下の魔力でやれって言ってる。無理じゃん。無謀だよそんなの。
 私が青い顔をしていたからだろう。ハイエルフ様の説明を補うように鬼神が口を添える。

「他からの干渉は無理でも、本人の魔力に変換すりゃ使える。魔力伝導率の優れる魔水晶を使えば、足りない魔力は補うことができるんだ」

 と、鬼神がどこからともなく取り出したのは"魔水晶"だ。
 それがゴロゴロ机の上に置かれる。けっこうな数だ。十個以上はあるね。一つの大きさは直径2~3センチ。これだけいっぱいあると重たそう。
 この世に魔水晶が存在していることは知っていた。でも、どういうものなのか詳しくは知らない。
 魔力を貯めておける水晶……の認識で良いはず。電池みたいなものだ。それ以外は知らない。
 だから何も知らなさそうに呆けている私。実際に何も知らない私に、今度はイーガンさんが説明をしてくれる。

「魔水晶は天然のものもあるが、それらは値段がつかないくらい高額で取引の材料にされている。市場にあるのは、ほとんどが人工物だ。それでもこの魔水晶一つ作るのに、一人の力だと大体50年はかかる。ここにある25個の魔水晶の内17個は、ディムナが一年に一度メイニルの誕生日にプレゼントしていたものだ」

 なるほど。ディムナは毎年ハンドメイドの魔水晶をメイニルお母様にプレゼントしていたわけですね。
 本来なら50年はかかる代物を一年で作って……て、すごくない?!
 しかも17個ってことは17年前からだ。今ディムナって26歳だよね。17を引いてごらん……9歳の頃から魔水晶つくってたってこと?!
 ディムナすごすぎだろ……! 驚きの事実に目を見開いたまま、隣に座るディムナの方を見る。

 私の彼氏すげ~い。うえ~い。

 当の本人は素知らぬふりだが、その反応はイーガンさんがいるから素っ気ないだけだろう。こっそり手が私の腰を回って来たので、本当は満更でもない感じである。
 ムッツリスケベさんだよねディムナって。

 残りの8個は、鬼神とハイエルフ様とイーガンさんがそれぞれに所持していたものを持ち寄ったらしい。ここにある魔水晶25個と、メイニルお母様自身の魔力で、【転移魔術】を使う予定なのだという。

「もっと沢山あれば良かったのですが、今の手持ちがこれだけしかなくて……」

 そうハイエルフ様が嘆くように言う。
 鬼神も鬼神で、「大体は子供たちにやっちまったからなあ」とぼやく。

 なんでも、二人は子供たちが自立したら、それまでに作ってきた魔水晶を全部プレゼントしているそうな。ここ数百年は子供いないみたいだけど、さっきイーガンさんが言ったように取引で使ったり、また子供たちや孫や曾孫にあげたりで、なんだかんだでなくなったと。
 そんな二人でも魔水晶を作るには一年に一個くらいが限度なんだそうで。

「あと5個もあれば、埋め込まれた時と同等の力を発揮できるんですがねえ……」

 魔水晶一個で平均魔導士一人分くらいの魔力が蓄えられてるそうな。 
 血の絆サン・リギーオをメイニルお母様の心臓に転移させるのに、魔導士十人がそれぞれに魔水晶を二個づつ所持していたという。
 魔導士10+魔水晶10×2=30で、約30人分の魔力で転移させたわけだ。だからここにある25個の魔水晶じゃ足りない。
 あと5個もあれば同等の力になるが、それでも心許ないだろう。メイニルお母様の命を救うには魔水晶が沢山あればあるだけ、生き残る確率は上がる。

 他からかき集めてくるにも時間がない。ただでさえ切羽詰まって私のとこに不死鳥の具現化を頼んできたのに、不死鳥が孵化するまでにもう三日かかっている。
 メイニルお母様の今の容態は知らないが、クール先生がイーガンさんたちと一緒に来ていないことを鑑みると、よっぽどだと思っていい。

 もう一日たりとも、一分一秒さえも惜しい状況なのかもしれない。

「最低限の準備は整った。明日、メイニルを苦しめる<血の絆サン・リギーオ>を外す」

 イーガンさんのその言葉が、私には死刑宣告のように聞こえた。
 本当にもう、明日でいいの……?

「義父上、義母上、明日も宜しく頼みます」

 鬼神とハイエルフ様に挨拶をして、ディムナを伴い帰ろうとするイーガンさん。
 ディムナが私の方を振り向く。たぶん私、泣きそうな顔になっていると思う。

 本当に、私に出来ることは、もうない?
 今のままじゃ絶対に駄目だと何かが告げている。
 私に出来ること、まだあると思う――――――――。
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