エルフに優しい この異世界で

風巻ユウ

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焼そば後デザートはズコット二種

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 珪藻土に関しての調査報告。
 火山湖中心には多く堆積していた珪藻土だったが、湖全体に分布しているわけではなく、中心から二キロ程度に斑分布。その層の深さも堆積具合にも差があった。
 ボーリング標準貫入試験によって、それぞれの縦穴からの試算を重ねてみると、火山湖には約八千トンの珪藻土が埋蔵されているという結果になった。
 思った以上に少なく、もし世界中に珪藻土の商品を広めたとしたら、たった二年ほどで枯渇してしまうだろう。まあ、これは前世で観たドキュメンタリーに基づく地球概算だが。
 この世界の総人口は知らないので憶測だ。憶測でも、資源は有限というのは変わらない。大事に使おう。
 今のところ珪藻土の存在を世界に広めるつもりはなく、私の身近な人たちに使ってもらいながら、エルフ村よりインスーロそして花神連合王国くらいまでなら、販路を広げてもいいと思った。

 珪藻土を使った商品の試作品であるが、私自身でも魔法を使って作れると確信をもった。まず鬼神が採掘してくれた珪藻土は水分を含んで泥状と化しているので、これの水分を抜いて粘土のように固め、分解、乾燥させて不純物を取り除く。
 繰り返し作業がめんどいがこれも必要な工程だと何度もやる内に分かってきた。
 乾燥の工程は火を通すことで余分な有機物は滅することができるので、千度くらいの炎で焼成処理をしながら乾かした。

 これらの作業はドーム型の炉で行った。【土操魔術】で粘土をこねこねして造った即席の炉である。即席だからこそ小さいし試作品も少量しか作れない。
 もっと大きな高炉でやれたら大量生産できるけど、巨大な高炉を建造するには職人も人手も技術もいる。今の私にそんな素敵な味方はいない。
 持っているのは神器だけだ。その神器で具現化させるには寿命が三年程取られるそうで……だれが捧げるかそんなにも。

 今は試作品ができればそれでいいので、手作り炉でじっくり焼いた。
 まるでサンマを焼く気分……サンマ…………は、そういえば七輪って作れないかな?
 七輪、要は小型焜炉だ。珪藻土製だったはず。珪藻土の層から七輪の大きさまるまる切り出して火を焚く穴部分を削って……と、職人さんが手作りするのを日本のテレビ番組で見たことがあるのを思い出した。

 よっし。サンマの為です。あと餅と空豆と貝も焼きたい。夢が広がるね。
 七輪の試作品を根性で作ってみたけど失敗。うーん。この炉じゃ小さいみたい。
 テレビ番組だと登り窯みたいな、でかい竈でつくっていたような……。

「おーい、ちびっこ。飯だぞ」
「ちびじゃないですわよそこな鬼神」

 お昼ご飯に呼んでくれるのは嬉しいけど、ちびっこはねえわ。

「て、あれ? ハイエルフ様は戻られたのですか?」

 お菓子作りの材料集めに何処かへ行ったはずだけど。
 どこまで飛んで行ったのか、いつ帰ってくるかは誰も知らない……。

「いんや~戻ってねえ。だから俺がつくった」
「へ?」

 鬼神、お料理できるの? 鬼神料理って言葉の響きがもう猟奇的だけど大丈夫なの?
 あ、パフェやバナナシェイクはうまかったよ。あれは秀逸なレベルだけど、普通のお料理は……ど、どうなんだろ。ドキドキするわ。このドキドキは期待半分疑惑半分というところである。

 鬼神宅から離れた林の中で焼成していたから、鬼神が何をやっていたか全然気にしてなかった。
 戻ってみて目を疑う。鬼神宅の前庭に小屋が一軒建っていた。

「ほ? いつの間に?」

 その小屋の中に設置されてるこれは……まさに今、私が作ろうとしていた七輪……の、巨大バージョン?
 でっかい焜炉なんだけど、その原材は珪藻土である。エルフ村にある三連焜炉くらい大きい。その上に、でっかい網焼き用の網と鉄板。網の上では腸詰と串焼きがいい感じに焼けていて、鉄板の方では……。

「焼きそばだああー!」
「おう。お前の珪藻土を借りたぜ」
「別にいいよ。鬼神が採ってくれたものだから好きに使って」

 私が使うより遥かに性能のいいもの作れるなら、どんどん使えと言いたい。
 珪藻土は水に弱い。七輪くらいの大きさだったら管理は楽だけど、こんな巨大焜炉は浸水したり煮炊きのお湯をこぼし続けると罅割れるから、焼き専用焜炉にするといい。
 焼くなら焼肉だよね。気分はBBQである。焼きあがった腸詰全種類盛りでいただきます。うほーうまーい!
 遠赤外線効果でじっくりパリッと焼かれたお肉。炭焼きの香ばしさも加わって、一口食めばジュワッと広がる肉汁の旨味。
 くううーこれを幸せと言わずなんという。
 焼きそばには蒸した野菜が入ってるんだって。
 この火山島では至る所から蒸気が湧き出ている。その上に石造りの焜炉を設置してスチームオーブンも作ってあるんだってさ。
 そうするとあれもできるね。温泉卵。略して温玉。

「勿論ある。ほれ、これが火山島名物の温泉卵だ」
「とろとろやーん!」

 焼きそばの上に温泉卵のっけて割れば、とろとろ~と黄身がとろけおちて麺に絡む。美味しいに決まってるじゃん。

「麺もコシがあっておいしいよ。鬼神の手作り?」
「麺は昔、龍神がくれたやつだ」
神? 神じゃなくて?」

 タブレットちゃんこと神器にインストールされたアプリ【世界図書館】には竜神様の図書館があるので、てっきり竜神はいると思っていたけど、龍神?
 また違う神様だろうか。

「もういねえけどな、龍神。あと獣神も消えた。お前の言ってる竜神だったか。そいつは今捜索中。ぜーんぜん気配ねえけどな。迷子にでもなってんのかねえ」

 神様迷子ってあんた……。神同士なら引き合うとかそういう理屈だろうか。
 気配がないからって迷子にしちゃうのもどうかと思うけど……。

「消えるってことは、神様にも寿命があるんだね」

 今は亡き龍神様の焼きそばを噛み締める。
 ちぢれ細麺タイプで小麦の風味が生きており、本当に美味。

「長寿ではあるがな。命に関わるくらいの大怪我負えばそりゃあ死ぬさ」
「龍神様は大怪我して命を落としたということ?」
「あの"超爆発"に巻き込まれたんだ。獣神もそうだ。俺だって巻き込まれてたら死んでた」

 なるほど。大陸ひとつを跡形もなく消した上に世界の中心を空洞に変えてしまった"超爆発"。
 巻き込まれればそりゃあ誰だって死ぬ。現に多くの国が滅び、そこに暮らしていた何億という人々を消し去ってしまった。
 神様だって例外じゃなかったみたい。当時存在した『神を名乗る者』は、鬼神、魔神、花神、龍神、獣神の五神。
 今は、その内の二神が消えて三神。もしかしたら竜神いるかも? という状態。あとディムナが『神を名乗る者』かもしれない。何神になるかは知らないけど。

「神を名乗る者って人数決まってんじゃないかな。消えた二神は復活しなさそうだけど、今はディムナと竜神がその代わりとかさ……」
「どうだかな。ずっと五神だったのは確かだが、いなくなった奴等の代わりとかって……あんま考えられんよ」

 しまった。私、今のは失言だった。龍神や獣神がどんな人たちだったとか知らない私が言う事でもなかった。誰も誰かの代わりになんてならないよ。
 余計なこと言った。人とコミュニケーションとるの苦手なくせに、転生したからって克服できているわけでもないのに……。
 いくら鬼神が気安い仲だからって気持ちを蔑ろにしていいわけない。

「ご、ごめん、鬼神、言いすぎた」

 汗だっくだくで謝る。

「なんのこった?」
「いやさ、さっき代わりだとか言ったこと、違うから、その……」
「気にしてねえぞ、そんなん。てか、お前が気にしてどうすんだ」
「えあ、あ、いや、私、前にクールさんにも失言してて、転生ハイになってるというかなんというか……」

 しゃべってるうちに思い出してしまった。
 クールさんに再会時、初めましてとか言った考えなしは私である。きちんと相手の表情を読んでいれば回避できたであろうことである。
 こうやって空気読まずに相手を傷つけて、友達からも見放されていくのは覚えがある感覚だ。孤独感……前世を思い出してしまう。

「ああ転生ハイな。俺もやったわ。あの時は、山ひとつ消し飛ばしたぜ」
「は?!」

 いやそれなんか違う。レベルが違う。次元も違う。

「転生したての頃は前世からの負の感情に引きずられちまうもんだ。お前は気にし過ぎ。俺もクールも気にしちゃいねえって」

 そんなもんなのかな……。笑い飛ばしてくれるのはありがたい。
 私は思考が暗くなりがちで後ろ向き発言も多い方だ。
 恋愛に関しても奥手で……このままじゃ駄目だと思った反動からか、エルフに転生してからは積極的になっているけど、本来はとても臆病な性格なんである。

 昼ご飯を食べ終えて皿洗いをしていたら「たっだいまー!」と、元気よくハイエルフ様が戻ってきた。朝方ぶりですねハイエルフ様。お元気そうで何より。
 そして笑顔満開で両手に色々なものを抱え込んで、それらが何なのか気になる。

「黄金小麦粉に天卵、雪砂糖に四葉バターなどなど。忘れちゃいけないのがこれ、モスメルハートさんちのクリームチーズですよ!」

 おお! インスーロのモスメルハートさんが作るチーズはどれも絶品だからね!
 クリームチーズか……魅惑の食材である。ただ蜂蜜かけて食べるだけでもうまいよ。
 他の食材は全部高級ブランドらしい。インスーロ産じゃないのは見ただけで分かる。
 どこでゲットしてきた食材なのか大変気になるが、「さあさあお菓子を作りますよ!」とハイエルフ様に背中を押されて聞けずじまいだ。

 この材料で何を作るのか。ハイエルフ様がおっしゃるには「ふわふわしっとり洋菓子が大好きです!」だ。ガッツポーズで力説されました。
 カステラとかチーズケーキ、バームクーヘンにケーキのスポンジなど、シンプルなのが好きなんですね分かります。

「それじゃあチーズスフレとか作りますか」
「いいですねえ。ふわふわスポンジに噛めばしっとりお口の中で溶けるなんて……し、幸せ……!」
「ケーキの型ってありますか?」
「パンの型ならありますよ」

 そう言って見せてくれたのがクグロフに似たパンを作る際に使う焼型である。以前、これの小さい型でカヌレを作るのに使ったことがある。
 この型には斜めに線が入っているから、ふわふわのスフレを取り出す時に引っ掛けて崩れてしまいそうだ。
 できたらボウル型がいいなあと呟いたら、「じゃ、ちょっと注文つけてきますね」と、またどこかへ転移していった。焼型を持って。

「…………あ、じゃあ、今の内に生地を作っておこう」

 ポジティブ。ポジティブにいこう。前世の私ならここでオロオロしちゃってハイエルフ様が戻られるまで何も手をつけれなかっただろう。
 エルフに生まれ変わって良かった。ちょっと前向きに、それでいて臨機応変に物事が進めれるようになったと思う。
 落ち着いた対処ができるようになったのは精神年齢三十路過ぎたからなのかもしれないけれど。

 生地を作って、石窯スチームオーブンの火を起こして待ってたらハイエルフ様が帰ってきた。

「これでいいかな? 丸いヘルメット型だよ」
「素敵です。これならズコットみたいになりますね」

 クグロフ型の線が消されて、完全に丸いドーム型になっている。きっと鍛冶師の人に直してもらったんだろう。この短時間の間に……凄いな。うちのハイエルフ様が我儘言ってすみませんありがとうございます。

「ズコット? それもスポンジケーキですか?」
「えーと、スポンジを切り出して型に貼り付けて、中にリコッタチーズとかアイスクリームなんか詰めたりしたイタリアのお菓子ですよ」

 仕上がりがドーム型になって、ドームケーキを作ったら大体ズコットと呼んでしまっていたので、ついその名が口に出ただけである。

「わ!それも美味しそうです。アイス大好きなんで」
「じゃあ、これ焼いたらもう一品作りましょうか」
「焼き上がるまで待てません。もうひとつ注文つけてきます。行ってきます!」

 ビシッと敬礼したかと思ったら、またまた転移でどこかへ消えたハイエルフ様。
 きっともうひとつ焼型を作ってもらいに行ったんだね。どこの鍛治職人さんか知りませんが、ご迷惑をおかけしてます。合掌。

 さて、スポンジケーキを作りつつ待っていよう。
 窯の中は広いから、もう一つくらい入るだろう。

 スポンジを切り出してるところでハイエルフ様も戻られた。
 意気揚々と丸い焼型を披露してくださり、「ズコットの中身はこれで!」とバニラアイスとチョコアイスの二種類を差し出してきた。
 どこで入手されたのかは聞けなかった。他の食材も然り。後で聞いて、いつか自分で探しに行こうと思う。
 アイスとクリームチーズを混ぜたり、チョコアイスにはナッツやアーモンドを混ぜ込んだりしてアクセントもつけて、スポンジを貼り付けたドーム型に入れた。これを冷やし固めれば完成である。
 チーズスフレの方も焼き冷ます。型から抜いて雪砂糖をふりかけて完成である。

 こうして私たちは、丸いドーム型のケーキを二種類、作り上げたのであった。
 ケーキは皆で美味しく食べました。ハイエルフ様がほとんど食べたんだけどね。
 あの細い体のどこにあんなに甘いものが入るのか……謎である。
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