エルフに優しい この異世界で

風巻ユウ

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これが愛の力です

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 周りでもドーナツを囲んだお茶会が始まっている。

「エルフのおねえちゃん、これおいしいよ!」

 人形を元通りにしてあげたあの男の子が、元気よく笑う。
 彼のお母さんだろうか。隣で頭を下げ、ふわりと笑う女性はとても儚げであるが、腕にはしっかりと産まれたばかりの彼の妹、赤ちゃんを抱っこしている。
 海の男たちも、奥さん方も、子供たちも、ドーナツを食べて私に声をかけてくれる。

「旨い菓子だな」
「初めて食った」
「上手に作るねえ」
「あまくておいしいよー!」
「ほんと、蜂蜜たっぷりで美味しいわあ」

 レシピを教えてと言う奥さんがいて、作り方を教えた。ただ、油が希少なので自宅では出来ないねえと口々にダメ出しをされてしまう。
 ドーナツを揚げるのには、けっこうな量の油が必要である。
 奥さん方の指摘に私も頷く。私もどうしようか悩んだのだ。
 シフォンケーキの時は交易商人さんから手に入れたオリーブ油で作ったけど、油代がえらいことになってしまった。貯めていたお小遣いが全部パアだよ。お金の大切さをしみじみ痛感したねえ。
 これからは稼ぐことも考えなくてはと思った出来事だった。

 だからね、ドーナツを作る油代は無いわけだ。無一文どころか、お母さんにもお金借りてオリーブ油代払ったからマイナスである。
 こうなったら最終手段。困った時の三代目タブレットちゃんである。神器ともいう。
 アプリ【ペントゥラート】で油の絵を描いた。しかしどんな油が欲しいかの描き分けが難しかった。油なんてどれも似たような見た目でしょ? 色合いで工夫して頑張ってみたよ。おかげでサラダ油と胡麻油とオリーブ油が出せた。
 描いた絵を出現させるには『ファイル→指定の大きさで出力』だ。
 大きさが選べるわけだけど、それは標準というのにチェック入れておけば特に指定しなくてもこの世界にある規格で出力される。便利だね。
 そして油はこの世界の南の方へ行けばたっぷりあるものらしい。一斗缶一杯くらいで捧げる寿命は一秒。コスパ最強。お値段以上ニ○リさん並に素晴らしい。

 そんな風に、実は油には苦労してない事情を奥さん方に喋るわけにもいかないので、シフォンケーキをつくった時の話のみを語って、お茶を濁したのだった。
 インスーロに住まう人間たちは皆、優しい。私の失敗談も笑わないで聴いてくれる。
 借金なんてして大変ねえとか同情までされてしまったよ。お恥ずかしい。

 さて、後片付けをして帰る間際のことだった。
 フィンブェナフさん改めディムナが中庭の向こうから私の名前を呼んだ。
 ほいほいと振り向いて、そちらへ軽率に行こうとした私をシャドランが引き止める。

「もう帰るよリリィ」
「ちょっとお話してから行くよ。挨拶もしないと」
「彼はこの家の人間だろう。なぜリリィに用がある」

 そう言われてしまうと答えに窮する。
 今の、ディムナとしての姿は黒髪に臙脂色の瞳で、どうみたってトレアスサッハ家現当主イーガンさんの血縁者だと分かる見た目だ。
 彼がフィンブェナフさんだと言って良いのかも迷う。姿を変えているということは何か隠し事でもあるのだろう。
 それが何なのか知らない私が、彼の正体をあっさりバラして良いわけがない。

「んえーと……さっき仲良くなったの」
「声をかけられてるところを見たけど……リリィはフィンのこと、もういいんだ?」
「はあ?! 違うよ!」
「何が違うというんだい」

 何もかも違うわい。
 シャドランはフィンブェナフさんとディムナが同一人物だと知らない。だから私がそのどちらともに気があるとか勘違いしてるわけでしょう。
 違うちがーう。私が気にしてるのは彼ただひとりだけだ。
 そのことを声を大にして言えたらいいのに……。

「シャドランは勘違いしてるの」
「だから何を?」
「……言えないもん」
「……リリィ?」

 言えないものは言えないもん。言葉を濁しつつ私がディムナのいる方へと行こうとすると意地悪なシャドランは通せんぼまでする。

「ちょっとどいてよお」
「だーめ」

 私は頬を膨らませて抗議するがシャドランは聞いてくれない。
 んもー! ディムナが愛想尽かせて家に帰っちゃったらどうすんのー!
 そんな風にやきもきしていたら、「リリエイラ……」とディムナの方から声をかけてきてくれた。

「ディムナー! て、きゃう」

 シャドランの腕が私を捕まえる。
 鉄壁ガード抜けれると思ったのにい。くやしいいいい。
 じたばたする私を、シャドランは苦もなく抱えててムカつきマース!

「リリエイラ、先ほどのプレゼントのことなんだが……」

 ディムナは何かを言いかけたが、シャドランがそれを制する。

「うちのリリィにちょっかいかけるのは止めてくれないかな」
「ん……? ああ、シャドランか。先週ぶり」
「は? 君に会ったの先月だろうが」
「いや、先週に村で会ってる。お祖父様と一緒に行った時だ」
「はあ?」

 うん、そんな説明じゃ訳わかんないよねシャドラン。どうやら正体をバラしても良い方向みたいだけど、シャドランへ正確に伝わってない。
 そしてディムナは少ししゃがんで、シャドランに脇を抱えられて宙ぶらりんな私と目線を合わせてくれた。

「リリエイラ……プレゼントを思いついたんだ」
「ディムナ……こんな格好で良ければ聞くよ」
「こんな格好なんだから諦めろ。じゃあな」

 くるっと体を翻して、シャドランは勝手にディムナとお別れをする。
 ぬああ嫌じゃああああああ!
 私は力の限り暴れまくった。

「シャドラン横暴! まだディムナのお話聞いてない!」
「貴族なんかと話したって無駄だ。あっちは遊びなんだから」
「何それ、ディムナを不誠実呼ばわりすんなー!」

 流石にカチーン来ちゃったよ私。シャドランの物言いじゃ、まるで貴族は皆クズってことじゃないか。
 いやね、まだ世間を知らないエルフ少女の私だよ。何百年も生きているエルフ様の見解と食い違うことはあるに決まってるよ。
 でもねでもね、ディムナを馬鹿にされて黙ってなんかいられないんだよ!

 私は暴れながらも背中の鞄へ手をやり側面についてるチャックをこじ開ける。三代目タブレットちゃんこと神器を手で探る。こいつでまた時間を止めるしかディムナと話をする方法は無い。
 神器を取り出そうと四苦八苦する私。だが焦ってなかなか取り出せない。そうこうする内にシャドランは私を小脇に抱えたままトレアスサッハ家を出てしまう。
 おっひゃあ。焦れば焦るほどうまくいかないよお。うあーん。

「待ってくれシャドラン」

 ディムナの声が正面からした。【転移魔術】で移動したのだろう。
 ディムナはディムナの姿じゃなかった。白く長い髪を無造作に垂れ流し、彼は――――フィンブェナフさんは、私たちの正面に現れた。

「フィン? なんでここに……」
「うああんんディムナああああ」

 私はつい叫んでしまった。シャドランは本日一番の疑惑の目で「はああ?」と、私とフィンブェナフさんを見比べた。

「リリエイラ、この姿の時はフィンでいい」
「じゃあフィーーンンンン」
「そんなに叫ばなくても聞こえてるぞ」

 真正面に立ったフィンブェナフさん改めフィンが私をシャドランの腕から外してくれる。
 外す時ガキッと音が鳴った気がした。
 わあ、フィンは力持ちなんだなあ。シャドラン如きの細腕じゃあフィンには敵わないみたい。

「おい、どういうことか説明しろ」

 シャドランが腕をさすりながら聞いてくる。ああやっぱ痛かったんだね。すごい音したもんね……。

「フィンはディムナで、ディムナはフィンだよ」
「だからそれがどういうことか説明して欲しいんだってば」
「理由は知らないよ」
「知らないのに自信満々に言うな」

 んもう。説明しろっていうから言っただけなのにい。
 シャドランてばカリカリしてんなあ。

「シャドラン、どっちも俺だ」
「それは分かった。よく聞いたら声も一緒だし。なのになぜ今まで気付かなかったのか不思議でしょうがない」
「気にするな。幻視の魔法には抗えないということだ。君が特別に鈍いわけじゃない。リリエイラは一発で見破ったけどな」

 と、ここでなぜか二人の視線が私に集中した。

「なんでリリィには効かないんだ?」とシャドラン。
「リリエイラはおかしい。使う魔法もおかしい」とフィン。

 失礼な。私ただの普通の島エルフですよ。
 幻視が効かなかったのはたぶん転生特典【絶対防護】がいい仕事しちゃってたからだと思うんだ。
 すっかり忘れていたけど、私にはどんな魔法攻撃も効かないのだった。
 今まで攻撃なんてされたことがなかったから、確認がとれなかったけど、これで分かったね。干渉系魔法まで無効化できちゃうってこと、初めて知ったわ。

「これが愛の力です」

 とりあえず力強く宣言してみた。
 シャドランは呆れ顔だがフィンは納得したみたいな顔してた。

「プレゼントを思いついたんだ」
「うん。言ってたね。何が欲しいの?」

 できたら私が用意できそうなものがいいのだけどと言ったところで狭量なやつと思われてしまうだろうから口には出さない。
 でもでも、ほんとできたらでいいんだけど、お小遣いで買える範囲でお願いします。油代の所為でお金あまり貯まってないけどさ。
 そんな思いを込めて私はフィンをじっと見つめる。
 フィンは少しだけ笑んで、私の頬に手を添えた。
 ふにふにとほっぺを指腹で押されているのに気を取られていたら、いつの間にかフィンの顔が間近に迫ってきて――――。

 ――――――――え?

 ふにっと。ふにっとしたよ唇。
 私の口、フィンとくっついて……まうすとぅーまうす…………。

「初めてだった?」

 はーじめてですともおおおぽぎゃああああああ!
 こっくんこっくん、肯定の意思表示で頷く私の顔はきっと真っ赤だ。

「そうか。貴重なプレゼントをありがとう」

 そう言ってフィンの蕩けるような笑顔ぽぎゃああああああ!
 私もう顔どころか耳まで真っ赤でしょうよ……心臓なんか破裂しそうなくらいうるさい。七歳の時は死ななかったのに今ここで死にそうなくらい胸が痛いです。
 鼻血でそう。血圧が急上昇だわ。目の前くらくらしてきた。

「ふ、ふあい……どーいたちまして…………」

 唇が重なったのなんて一瞬だったよ。短かったよ。でも、唇の感触が消えてくれないんだ。そのことが嬉しいんだ。
 今日はもう顔洗わないんだからね!

「君たち、保護者の前でよくもやってくれたね」

 あ、シャドランいたんだった。

「恋人と離れ離れな君の前ですまない。でも後悔はしてない」

 フィンがきっぱり告げる。その内容に私はびっくりだ。シャドラン、恋人いたのか……そうか、今までからかって悪かったねえ。
 てっきり300年以上ひとり身で寂しいやつだと思ってたよ。ごめーん。
 ところで恋人って誰? 村内でそんな噂ひとっつも聞いてないぞ。いちゃこらしていれば私は絶対に目撃してるだろうし……もしや村外の人? てかエルフ? 公にしてないとこみると他の種族だったり? 気になるなあシャドランの恋人。

「もちろん本気じゃなきゃ困るよ。リリィはまだ12歳だ。エルフの成長は遅い。君たち人間から見れば12歳なんてオムツとれたての幼児だよ」
「幼児ちゃうわ! オムツ取れたのだって王宮行く前の話じゃんかあ」
「大して変わらないって。まだ幼児体型だろ」
「むかっ、成長するもん! あと数年経てば……!」
「数年でも子供だって。エルフの成人は50歳だよ。まだまだかかるね」
「ううう成人祝いはそうかもだけど、早ければ30歳くらいで女の子になるって言ってたもんお母さんが」

 そうなのだ。女の子エルフの初潮は30歳前後である。だいたいこの頃から胸が膨らんで女性らしい体つきになるらしい。
 もう12歳なのに初潮こないなあと思って、お母さんに尋ねたらそう返されたのだ。
 前世が人間だったせいで、つい初潮が来たら胸も膨らむんじゃないかと夢想しちゃうけど、エルフの体じゃ無理なんだよなあ……。
 私は自分の絶壁ムネをみて絶望する。

「だからフィン! あと18年待ってください!」

 何を?とは言わせないぞ。前世から合わせて28歳のいい歳こいたBBAが説明するにはハードだからな! 保健体育の内容を口頭説明しろとか羞恥プレイだよ。

「早すぎるって言ってるだろこのガキ」
「いてっ。叩いたあ! シャドランが頭叩いたああ」
「ああもう、うっさい。さっさと帰るぞ。もういいだろ」
「うあああ暴力はんたーいシャドラン横暴ー!」

 またも小脇に抱えられ、私は宙吊りなままシャドランと帰宅になった。
 去り際に「フィーン!」と叫んだけど、手を振り返されただけだった。
 でも、またおいでと言われた気がした。絶対に行く。また行く。こんな小さな私じゃフィンの周りをうろちょろするくらいしかアプローチ手段がないんだもの。

 私はこの時からトレアスサッハ家侵入計画を立て始めたのだった。
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