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指切りと精一杯のド-ナツ
しおりを挟む白緑色したまだあどけない赤ちゃん竜は、エルフのおじさんたちにも大人気だった。くりっくりのつぶらな瞳で愛嬌を振り撒き、ポテポテした足取りで鬣をふわふわさせて神殿の廊下を歩いている姿は、エルフおじさんたちの琴線に触れる姿だったらしい。
なんせ長い人生をのんびりスローライフで送っているご長寿エルフたちである。しかも、ずっと同じ村にいて外の世界を知らない引きこもり体質の司祭さんたちだ。
稀少な竜種との邂逅は非常に刺激的なのだろう。
「ピエピエ~」
「美味しい?」
私は今、また共同窯場でシュークリームを焼いたので、亥の一番にピエタへ食べさせているところである。ピエタってのは白緑竜の赤ちゃんの呼び名だ。
ピエピエ鳴くからピエタ。私がつけた。
なぜかエルフのおじさんたちからは「それはどうかと……」みたいに言葉を濁された。いいじゃん、ピエタ。可愛いじゃん。
「ピッピピエエエエ」
「美味しいんだね。良かった」
顎を天に向け喉を震わせて鳴くこの行動は、美味しいものを食べた時にみせてくれるピエタ独特の仕草だ。何を食べるか分からなかったので、再び【魔物図鑑】アプリで調べたところ面白いことが分かった。
『竜の主食ってなあに? ⇒ 相性の良い生物が好きなものを、好んで食べます。
砂漠に住む銀朱竜は"火炎馬"と相性が良く、馬の好きな野菜を好んで食べます。総じて銀朱竜は菜食主義です。
水辺に住む天水竜は"水晶魚"と相性が良く、魚の好きな虫を好んで食べます。総じて天水竜は昆虫マニアです』
昆虫マニアってのがよく分からなかったけど、要は、相性の良い生き物が分かれば好物が分かるということだ。
そして白緑竜は『震え小鹿』と相性が良いので、小鹿の好きな木の実が好きだという。
でも、ピエタは、ちょっと違う。ピエタは白緑竜だけど、卵から孵る時に私が魔力を注いであげたからか、私と一番相性が良いらしい。
だから私が好きな甘いお菓子を、ピエタも好むようになってしまった。
お菓子作りが趣味の私にしたら、餌付けも楽しくてたまらない時間である。
ピエタが甘いお菓子を美味しそうに食べてる姿にメロメロキュンキュンしてしまうよ。
そんなこんなで、ここのところ毎日ピエタにお菓子を焼き、餌付けをしに『勇者の神殿』へと通うようになった私である。
森の境界にも、こそっと行ってみた。ハイエルフ様の結界が張ってあるので、本当の境目までは行けないけど、手前の小川に架かる橋の上あたりまでは行けた。
橋は丸太を合わせた木組みでつくられた素朴なものだが、けっこう頑丈だ。
私は手摺りのところに肘をついた。自然ととるのは物思いに耽るポーズである。うーん。あの木々の向こうはもう人間の住むところだと思うと感慨深い。
小一時間ほどそこに居た。
川の流れを見てても何も変わらないと気づいたので帰ったのだけど、なんだか未練がましく思ってしまうんだよね。
あ~早くこの橋を渡って先の道を抜けたいものだ。
道を抜けるどころか、未だに一人で勇者の神殿に行くことすら出来ないけど。
シャドランから、神殿に行く時は必ず誰か大人の人と一緒に行くことという条件を出されている。なので私は通いの司祭さんにお頼み申すことにした。
何度も一緒に通えば仲良しにもなる。通いの道中にて、思い切ってトレアスサッハ家について尋ねてみた。
「司祭さんは、領主さんのとこに行くこと、あるんですか?」
「ああ、月に一度の報告に行ったことがあるな。あと魔導具のメンテナンス日にも集まるなあ」
これは良いことを聞いた。エルフがトレアスサッハ家に出入りする日があるというのだ。
月一の報告には、本来はシャドランが行っているみたい。でもシャドランの都合が悪い時など、司祭さんが代理で行くこともあるとか。
そして魔導具メンテナンスの日というのは、トレアスサッハ家が来る前も定期的にエルフが人間の村へ行って、魔力不足になった魔導具に魔力を補填してあげる作業日のことだ。
トレアスサッハ領になる前は、人が集まるのに適した広場とか野外で開催していたけど、今はトレアスサッハ家でやっているのだそうだ。屋内を貸してもらえるので、雨や雪の日なんかありがたいのだとか。
そのメンテナンス日に、私も一緒についていけないか聞いてみた。
「リリィちゃんも? 別にいいんじゃないかなあ。竜に魔力を分け与えた実績もあるし。ああでも、シャドランの許可は取ってきてな」
出たよシャドラン。私のお目付け役。やつを攻略せねば私に自由はない。
早速打倒……もとい、話をしに行こうじゃないか。
「シャドラーン! 恋人いない歴三百年あまりの、可哀想なシャドラーン!」
勢いのまま突撃したら頭をはたかれた。
「喧嘩売ってんのかなあリリィ」
「あ、いや、そんなことよりですね、聞いて欲しいことがあるんですが……」
「お願いがあるならもう少し言葉を選ぼうねえ」
「はい。すみませんでした」
はたかれた頭を撫でながら、私はシャドランに相談をした。
「ふうん。そんなにフィンに会いたいんだあ」
ニヨニヨ言われた。大人げない。大人げないぞシャドラン。
「まあ、いいけど。ちょうど明日がメンテナンスの日だしね」
やったラッキー! 私の転生特典【絶対幸運】が発動したのだろうか。今まで特に幸運を感じたことはないけど、無難に過ごせているというか平和に生きていることこそが幸運だと思っているので、特に不満はない。
明日にはフィンブェナフさんに会えるかもしれないと思うと、夜もわくわく眠れないよ。
手土産のお菓子はドーナツにした。蜂蜜たっぷりハニードーナツだ。
この島に養蜂があって助かった。インスーロ特産ヘザー蜂蜜は、花神連合王国にも交易で売ってるいる。
ヘザー蜂蜜は、島の人間とエルフの合作である。元はエルフが森の中で養蜂していた。その内に島に住む人間も多くなって、交流の為にと養蜂技術を提供したのだ。
人間たちが暮らす地域はムーアと呼ばれる丘陵荒地が多く、居住域が狭い。
荒地を開墾するよりは荒地を活用できないかってことで、ヘザーの植生に目をつけたのだ。
ヘザーは荒地でも綺麗な花を咲かせる。薄いピンクのもあれば白いのもある。どちらかというと白いほうが高級蜂蜜が取れるのだそうだ。へー。
ヘザー蜂蜜のおかげで洋菓子の再現が上手にできたのだと思う。砂糖は高いから。
養蜂家さんたちに感謝。これこそ幸運だと思って、眠りに就いた。
次の日は爽やかな快晴。
今の季節、インスーロは花盛りであり、とても過ごしやすい。
トレアスサッハ家は人間が暮らす地域の真ん中にある。どの家からも訪れやすいよう、あえてその土地に屋敷を建てたのだと分かる立地だ。勿論エルフ村からも行きやすい。世界樹の森から見えるくらいだ。森から十分か十五分も歩けば辿り着く。
今日は晴れているので、トレアスサッハ家のお庭でメンテナンスするみたいだ。
「やあ、助かるよ。この島にゃ魔導具技師なんて高度な資格もってるやつなんて、いないからさあ」
陽気そうな人間がシャドランと話している。
人間側は海で働く男って感じの人が多い。主な職業が漁師なだけある。
奥さん方も豪快で逞しい人が多い。皆さん子供を連れて来ている。
この世界では、魔導具が生活の色んなところで役に立っていて、動力は魔力だ。
魔力は花や木や石などの自然にも、動物や小さな虫にも、人間にもエルフにも、様々な生きとし生ける物に宿っている。
魔力は世界に巨大な空洞ができたその日から、徐々に地底より染み出したのだという説がある。何処からか染み出した魔力が世界中のものに宿るまでに、そう時間はかからなかったそうだ。
魔力の研究は進み、魔力を消費して魔法を使うことを覚え、魔力を動源に魔導具が開発された。
特に魔力を保存、貯蓄し魔力を流すことができる『魔導蓄積回路』の開発で、人類は今、魔導文明時代を築いている。
魔力を貯める石として『魔水晶』も存在するが、それと併用して魔術で回路を組み込むことによって地球でいう電化製品みたいなもの――魔導具がつくられているのだ。
なので、メンテナンスの日に集まる魔導具というのは、前世で云う家電が多い。
大型のだと掃除機に似たやつや、暖房器具ぽいもの。小型でも置き時計に子供の玩具など、電池で動きそうなものが揃っている。
実際に電池は無いから試せないけど。
魔導具は生活用のものが多いので、故障したり魔力切れを起こしてしまうと、回路知識が無い人や魔力の低い人間には、どうしようもなくなるのだ。
その点エルフは魔力を人間より多く持っていて分け与えることができる。魔力を分け与えることを【付与魔術】というのだが、これを習得しているエルフは多い。
故障に関しては、シャドランが魔導具技師の資格を持っているので、直せるのだそうだ。さすが何百年と生きていると暇なのか、長寿なエルフは謎の資格持ちも多い。
カフェオーナーのリザ姉さんなど、カラーコーディネートの資格を持っていると言っていたし。
私も何か資格とろうかなあ。大きくなったら世界を見て回りたいけど、ついでに取れる資格を取ってしまうのも有りだな。
「これ、おねがいします」
幼い声がして顔を上げたら、五歳くらいの男の子が私の方へと、玩具を差し出してきていた。
玩具はボロボロである。ただの小汚い人形にしか見えないが、動力が魔力ということは動いたりお喋りする魔導人形なのであろう。
人形が着ている服は、糸がほつれ、布は汚れて擦り切れ、何かの染みが残った箇所は黒く変色してしまっている。かなりボロっちい人形だ。
そんな人形を男の子が大切そうに持っているところをみると、何か思い出深い玩具なのかもしれない。
「いっぱいよごれちゃったけど、妹にあげたいんだ。妹ができたんだよぼく」
「そうなんだ。優しい兄ちゃんだねえ。ちょっと見せてちょうだいな」
「はい。もうね、しゃべりかけても、おへんじしてくれないんだ」
ははあ。これは魔力切れなだけです。回路も正常。これなら私でも直せる。私の魔力に反応して、動きたいって人形が訴えているから、絶対に直せるよ。
この人形は本当に大切にされてきたんだなあ。
「うん。これでいいよ。服はサービスね」
「わあ、もらったときみたいになった! すごい! ありがとうエルフのおねえちゃん」
ふっふっふ。これぞ洗濯魔法の応用で『乾燥洗濯』である。とか格好つけてみたけど、私が勝手に作った魔法なので、試すのは今が始めてだ。
うまくいって良かったドキドキ。
役立つと思って【教養魔術一般】アプリで、ありとあらゆる【生活魔術】を習得しているけど、その中の洗濯魔法は、いわゆる水洗いの効果しかでなかった。
普通はそれでもいいのだけど、あの人形は毛織物の服を着ていたし気合の入った油汚れが目立ってもいたので、私も気合を入れてみた次第。クリーニング知識があったからできたのであろう。あの男の子も喜んでいたし、成功して本当に良かった。
「それはどういう魔法だ?」
ほっと息ついているとこに声を掛けられた。
振り向いたら背の高い男の人が、私を見つめていた。
「ただの、お洗濯魔法よ」
「普通じゃないだろ。ただの洗濯魔法であそこまで汚れが落ちるわけがない。
リリエイラ・ブロドウェン……君は本当に何者なんだ?」
何者と問われても、どこにでもいる普通のエルフですが何か。
規格外に見えるのは神器のチート能力のおかげだけど、悪用なんかしてないよ。利用規約に則って正しく使ってます。
「私よりアナタの方が何者なのか気になるけど……その姿が本当の姿なの? フィンブェナフさん」
「……よく俺だって分かったな」
「髪と瞳の色が違うだけだもの」
分かるよ。髪の色が真っ白から真っ黒になったところで、瞳の色が漆黒から臙脂色になったとこで、顔の造形が変わっているわけじゃないし、声だって一緒だ。そんな小手先の変装で私が騙されるわけないじゃん。
「それでも、最初の印象と違うと普通なら騙されるはずだ。だが、君は何かと異質な気がする」
「だから、フィンブェナフさんほどじゃないってーの」
「俺は目立たないようにしている」
「私から見れば輝きまくってるわ」
「そんなこと言うのは君……リリィだけだ」
ふお。愛称で呼んでくれた。どういう心境の変化だろう。
フィンブェナフさんが私の目の前までくる。白髪の時と違って黒髪の今、髪を後ろで括って顔出しているから、顔全体をじっくり観察できてしまう。
やっぱり恐ろしい程のハリウッド顔。彫りが深く鼻が高く極上の二枚目である。
「普段はこの姿でいる。ディムナと呼んでくれ」
「ディムナ……」
「イーガン・トレアスサッハ男爵の孫、ディムナ・トレアスサッハだ」
「孫?! イーガンさんて四十代くらいに見えるんだけど、ディムナって何歳?」
「俺は昨日で18歳になったとこだ。祖父はあれでも五十を過ぎている」
じゅうはちだとおおおお??!!
じゃ、じゃ、じゃあ、初めて会った時は五年前だから……13歳?! あんな13歳いるう?! いるんだなあこれが。13歳でハリウッド顔とか遺伝子どうなってんだ不細工に謝れ。
18歳の今でも十代には見えない色気がダダ漏れだよ。老けてるとかじゃない。大人なの。大人の色気が私をフンガーさせてるの。
イーガンさんも若作りでしたか……遺伝子こあい。
「えっと、き、昨日、誕生日だったの?」
「そうだ」
うああああんニアピンでお祝い遅れたああああ……。
何か贈れそうなもの……持ってきたのドーナツだし。しかも休憩時間に皆で食べようと大量に拵えてきたものである。特別感は激薄い。
くうぅ、ここは涙こらえて日にちを覚え、来年に繋げなければ女が廃る。
「お、お、お、おめでとうございますうぅぅ」
「なんで泣いた?」
こらえきれなかったんだああ滂沱する涙は見ないでくれええええ。
「うう……なにもプレゼントできなくて……情けないなと……」
「知らなかったのにプレゼントは無理だろう。気にするな」
「はうう……でもねえ……なんかこ~お祝いしたいわけじゃなあい」
「気持ちだけでいい」
「何か欲しいものある?」
聞くだけ聞いてみよう。この世界、お誕生日を祝う習慣はあるみたいだし、直ぐに用意できそうなものなら用意しよう。
そう思って私はフィンブェナフさん改めディムナを熱視線で見上げてみた。
ディムナの背は高いので見上げねば視線を合わせられないのだ。18歳でこの高身長も遺伝子の不思議を感じるよ。
「そんな直ぐには思い浮かばない」
「だろうね。じゃあ、考えておいてほしいの」
「次にまた会えるとは限らないぞ」
それは次のメンテナンス日にも会えるとは限らないっていう意味だよね。
前に再会した時も、トレアスサッハの家に来ても会える保証が無いと言いながら今日会えたのに、まだそういうこと言うか。
「じゃあ、確実に会うために約束してよ」
「約束…………これは?」
「指切り! 歌うから、歌い終わったら指を放すんだよ」
この世界には無いらしい指切り。私は右手小指を出し、ディムナにも同じことするよう促す。
戸惑っていたみたいだけど、ちゃんと小指を出してくれた。小指同士を絡める。
私のちっちゃくて細い小指が、ディムナの大きな小指に頑張って巻きついている感否めないけど。
「"指切り拳万 嘘ついたら針千本飲ます 死んだら御免"」
「おいおいその歌詞酷いぞ無茶苦茶だ」
「これは古来より伝わる指切りの歌なの。歌い終わったら最後、約束は死ぬまで守ってもらうわ。ふふふふふ」
「やはり君はどこかおかしい」
「"指切った!"」
有無を言わさず指切り終了。小指を勢いよく放してから、私は満面の笑みを浮かべる。これで次も会える。指切りしたのだから死ぬまで再会の約束は違わせないよ。
「呪われた気分だ」
「私から逃げたら拳骨百万回、針を千本持って追いかけるから。死ぬまで」
「やはり呪いだ」
そんなこと言いながら放した小指を見てるディムナに、私はドーナツを差し出した。
「とりあえず今はこれが精一杯」
「君が作ったのか?」
「そう。ドーナツと言います。よろしくね」
このドーナツには目と口が描いてあってニコちゃんマーク的な何かになっている。
某もみあげ怪盗ばりの台詞と大袈裟な仕草でドーナツを捧げ持ちつつ、食べてねとディムナに渡した。
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