10 / 16
婚活9
しおりを挟む私、ミル・アインキュタレ・アインタリスは、婚活パーティーにて初彼をゲットしました。
初の彼氏は竜人です。『風の吹き荒れる谷の王』という称号もちの竜王だそうで。お名前はニールさんです。
「ニールさん……」
「呼び捨てでいい」
「ニール……では私のことはアイリスと呼んでくださいまし」
「うん。アイリス」
愛称で呼び合うこの幸せ……!
さて、竜王であらせますニールの処遇ですが、今現在、私と結婚を前提としたお付き合いということで、我が家に同棲しておりますの。
同棲するにあたって、まず、ニールの魔族界への移住を長老議会に認めさせました。
これには骨を折りましたわ~あいつら頑固なんですもん。ど腐れ偏屈ジジイどもが。おっと言葉が乱れました。ごめんあそばせ。
先代魔王様は「いいよ」のあっさり一言で同棲の許可をくださいましたが、長老たちを説得するのに難儀いたしました。
最終的に、ニールは竜族からの特命大使になり、魔族界への常駐権をたてに移住を認めさせました。
これに伴い竜族と魔族が交流し出し、私たちの仲もおおやけになりました。私たち、順風満帆です。
……なんて思ったのも束の間。
忘れてましたけど、私たち婚活パーティーを途中で抜け出してお空でランデブーしちゃいましたよね。
あの後、会場にも戻らず二人で愛の逃避行したものですから、残された皆様は半数以上が気絶していたのもあって、パーティーも続けれずお開きになってしまったそうです。
完っ璧に私のせいですわね。申し訳ございませんでした。
主催者様には謝罪と御礼を、気絶なさった皆様にはお見舞いをお送りしました。お見舞いの品は私の大好きな紅茶セットですわ。これで皆様溜飲を下げてくださるとよろしいのですが。
さて、今、私の執務室には六人の魔族が居ます。
私とニールは勿論のこと、魔鳥種リンさん(癒し要員1)、魔熊種ハットベルさん(癒し要員2)、そしてなぜか魔妖狐種アサトさんと淫魔種ハワードさんです。
癒し要員であるお二人は本当に必要なのです。
仕事中にも潤いをと思って新たに雇ったお二人なのです。私のために必要ですわ。
でも、アサトさんとハワードさんは呼んでませんわ。
なんでおりますのん。
「はははは、黒髪の君のご機嫌伺いさ。パーティー来、忙しくしているみたいだからね」
そう答えるハワードさん。
今日も薔薇をプレゼントしてくださいましたが、ちょっと多いです。この部屋にある花瓶いっぱいに差しても追いつきませんわ。
侍女のメアリーを呼んで新しいのを調達してきてもらいましょう。
チリンチリンとベルを鳴らして、やってきた侍女、魔羊種のメアリーに花瓶を頼みます。
一礼して戻るメアリーを見送ってから、ニールのとこへ行きます。
ぎゅっと抱きついて首筋の匂いでも嗅ぎましょう。
くんかくんか。ニールは一服の清涼剤です。私にとっての。くんくんしてると落ち着きますの。これは癒し系とはまた違うものですわ。なんていうか……胸熱です。じわじわぽかぽかお腹の下の方にも効きます。
なかなかの薬効成分ですわね。私限定の。
「君たちは……いつの間にそんな仲になってしまったんだい?」
アサトさんが何やら愕然とした表情でこっち見てますわ。
「仲良しなのは良いことだよー! ね~」
と、リンさんはハットベルさんをぎゅっぎゅしています。
いつの間にというのはあちらの方を言うんじゃないですかねえ。
ハットベルさんもリンさんを受け止めて腰に手を回してますから、あれはもうカップル成立でいいと思います。
「参ったね。付け入る隙もありゃしないよ。アサト、諦めるんだな」
「くぅぅ……突然飛んでったと思ったらこの顛末……最悪だ。悪夢だ……」
あら。もしかして私、アサトさんには大変申し訳ないことをしでかしましたか?
そしてハワードさんは何気に良い人ですか?アサトさんに付き添っていらしたのですね。
ここは少々お高いコーヒーでも出して差し上げましょう。そう思ってニールから離れようとしたところ、ニールの手に止められてしまいました。
「ニール?私、ちょっとやりたいことが……」
「後でもできることでしょ。それより、もっとくっついて」
そう言ってニールさんの手が私のお尻に伸びます。
あ、あら、あらあらら~という間にスカートの裾からニールの手が入って参りました。
「……っ、おいたはダメですわ……」
「ダメじゃないよ。アナタはもう俺のものだもの」
「ん、……だからって、あ……ここでは……」
さすがに皆様が見ている前ではいけませんわ。はしたない。
私はニールの腕を解こうとしますが…………解けません。
なぜに。私、魔王種ですよ。最強種ですわよ?
どうして振りほどけないんですのー?!
「笑顔も無駄だよ。俺には効かないし……むしろ、興奮してしまうから……あ、もしかして誘ってる?」
コイツ超笑顔になりやがりましたわー!
「い、意地悪、です! ニールはとっても意地悪ですわー!」
「アイリス限定だよ。ねえ、このまましようよ」
しようってなんですのおおおお今は真昼間ですのことよ! め! ニール、自重してくださーーいいいと、心の中では叫んでますが現実では体が熱くなってきてしまいニールに抵抗できません。
「顔、真っ赤で可愛い」
「んっ……」
キスまでされてしまいました。
こりゃ参った。お手上げですわ。
0
お気に入りに追加
88
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
だいたい全部、聖女のせい。
荒瀬ヤヒロ
恋愛
「どうして、こんなことに……」
異世界よりやってきた聖女と出会い、王太子は変わってしまった。
いや、王太子の側近の令息達まで、変わってしまったのだ。
すでに彼らには、婚約者である令嬢達の声も届かない。
これはとある王国に降り立った聖女との出会いで見る影もなく変わってしまった男達に苦しめられる少女達の、嘆きの物語。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
淡泊早漏王子と嫁き遅れ姫
梅乃なごみ
恋愛
小国の姫・リリィは婚約者の王子が超淡泊で早漏であることに悩んでいた。
それは好きでもない自分を義務感から抱いているからだと気付いたリリィは『超強力な精力剤』を王子に飲ませることに。
飲ませることには成功したものの、思っていたより効果がでてしまって……!?
※この作品は『すなもり共通プロット企画』参加作品であり、提供されたプロットで創作した作品です。
★他サイトからの転載てす★
エリート警察官の溺愛は甘く切ない
日下奈緒
恋愛
親が警察官の紗良は、30歳にもなって独身なんてと親に責められる。
両親の勧めで、警察官とお見合いする事になったのだが、それは跡継ぎを産んで欲しいという、政略結婚で⁉
聖女を騙った少女は、二度目の生を自由に生きる
夕立悠理
恋愛
ある日、聖女として異世界に召喚された美香。その国は、魔物と戦っているらしく、兵士たちを励まして欲しいと頼まれた。しかし、徐々に戦況もよくなってきたところで、魔法の力をもった本物の『聖女』様が現れてしまい、美香は、聖女を騙った罪で、処刑される。
しかし、ギロチンの刃が落とされた瞬間、時間が巻き戻り、美香が召喚された時に戻り、美香は二度目の生を得る。美香は今度は魔物の元へ行き、自由に生きることにすると、かつては敵だったはずの魔王に溺愛される。
しかし、なぜか、美香を見捨てたはずの護衛も執着してきて――。
※小説家になろう様にも投稿しています
※感想をいただけると、とても嬉しいです
※著作権は放棄してません
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
【完結】おしどり夫婦と呼ばれる二人
通木遼平
恋愛
アルディモア王国国王の孫娘、隣国の王女でもあるアルティナはアルディモアの騎士で公爵子息であるギディオンと結婚した。政略結婚の多いアルディモアで、二人は仲睦まじく、おしどり夫婦と呼ばれている。
が、二人の心の内はそうでもなく……。
※他サイトでも掲載しています
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる