3 / 10
すみませんから始まる謙虚な日本人の召喚です
しおりを挟む隣で死んでる騎士に転生した元聖女は…て、私のことですね。
うん、いっぱい考えたよ。
どうしてこうなった?!なんて、何度も心の中で叫んでは現状を把握しようと努めましたよ。
結果、やっぱ騎士として生きてくしかないわけで。
正確には聖騎士らしいですね。
聖女のお供をしたツヴァイア様はランクアップしてましたよ。
騎士の中でも最高位が聖騎士。騎士として精進を重ねると到達できる武官の最高栄誉称号です。
ということは、この男、実は戦闘でも高スペックだったというわけで。
鏡に映る裸のツヴァイア裸体のムキムキ筋肉を観察。逆三角形の割れ腹筋。二の腕ふっとい。太腿もふっとい。しかも硬い。カッチカチやで。
前世で観賞したことあるボディなビルダーさん写真集を思い出す。
あの筋肉はプロテインで盛ってたけど、この筋肉は違うね。引き締まってて実践的な筋肉だ。
…どうしてそんな写真集を見たかって?
リビングに放ってあった写真集をたまたま開いただけです。
兄が青春時代に筋トレにハマってましたからね。
まあ、それに載ってた魅せる筋肉美とは異なる質だけどええ筋肉がツヴァイア様に付属してるわけです。
騎士として、きちんと鍛えた魅惑ボディだったわけです。
魅惑ボディは見てくれだけでなく、聖騎士隊の訓練時でも役立ちました。
手合わせした新米騎士たちの攻撃はことごとく弾き、かすり傷すら負いません。
この筋肉は鉄製なのか…!?
そして、ちょっと腕を振れば人をぶっ飛ばし、扉を蝶番ごと破壊し、壁をへこませ、床にも穴を開けました。
なんつー怪力だ…。
こんな人類外なウホウホパワーを秘めておきながら、魔獣退治の道中ではなぜ逃げまくっていたのか──そこが疑問です。
よく考えれば、聖女のお供に選ばれたくらいです。元よりツヴァイア様は強い人だったのでしょう。なのに聖女の前ではチキン騎士。訳分かりません。
土台、十代の乙女だった私に、あの時の大人の男性の心情を理解しろという方が無理です。
このことは亡きチキン騎士様の供養のためにも、胸へと秘めておきましょ。
とりあえず『聖騎士実動部隊』の副部隊長として無難に毎日を過ごしていました或る日のこと、また王様が不穏なことをしでかしましたよ。
「あの………すみません。ここ、どこですか?」
すみませんから始まる謙虚な日本人の召喚です。
また、やったのです。
また、やらかしやがったのです。
異世界人召喚の儀式とやらを!
ヘタレアホアホアホ王様めえええええええええええ
私は怒りの余り、傍におわす王様の顔面をバチコーーンしました。張り手です。ちゃんと手加減はしました。
それでも王様は「ぶへーーえええ」とか汚い悲鳴上げながらぶっ飛んで壁に激突。沈黙。
王様が被ってた冠もぶっ飛んで石床に落ち、カランカランと渇いた音を立てたのを最後に、召喚の間も、しーんとしてしまいました。
誰もが沈黙する中、私は召喚された憐れな子羊に手を伸ばします。
「相馬 篤史 殿、大変申し訳無いことをしました。貴殿の衣食住は私が保証いたします。…私に、ついてきてくれませんか?」
こうなったら仕方無いのです。神子として召喚されてしまった彼の面倒は、同郷たる私が見なければなりません。他の奴になんか任せてなどおけぬのです。私が召喚された時なんか、女官を何人かつけられただけで、旅に出るまで軟禁状態だったんですからね。
こいつらに人権なんて言葉は通じないのです。
じゃなければ、端からこんな非人道的な異世界人召喚なんかするはずがありません。
「…あ、はい。宜しくお願いします」
素直に応じて私の手を取ってくれる篤史さん。いい人です。
神子として召喚された理由も分かるってもんです。この人の傍にいると癒されますもん。ほわわ~ん。
私は浮足立って篤史さんの手を握り、儀式の間を出て我が家までお連れしました。
褒賞で貰った広いお屋敷に、住人が一人増えて、とても嬉しいです。
一応の使用人は何人か同居してますけど、彼らは私の前へは滅多に現れないので、毎日顔を合わせることができる篤史さんは、なんだか新鮮な存在です。会う度にフレッシュな気分になります。
…なんでしょうねこれ。この気持ち。恋とは違う気がしますが、でもこれ、着実に育ってきてる気がします。
たとえば朝、朝食室で「おはようございます。今日も美味しそうですよ」と挨拶してくれる篤史さんが、陽光の中で微笑んでいる時。
たとえば昼、「はい、じっと我慢ですよ」と医師としての顔した篤史さんが、部下たちの怪我の手当てをしている時。
たとえば夜、「いい食材が手に入ったんですよ」と料理が趣味だという篤史さんが、懐かしい日本食を振舞ってくれる時。
篤史さん、篤史さん、篤史さん…。
焼けるように胸を焦がす思慕の念は、募るばかりです。
この人を守ってあげなくては…!と、最初に出会った時に決心してますが、この想いは益々に膨らむばかりで、私の乙女部分は日毎夜毎にキュンキュンしております。
こりゃあ、やっぱり恋ですかね。
最初は保護者気分だったとしても、今やもう立派な視線ストーカーですよ。
篤史さん見つけたら、じっと目で追いつつ、あの清潔そうな白い衣服を乱して肌に吸いつきたいと欲情します。
そういう妄想ばかりしていたら、思ってるだけで幸せなんて謙虚さは肉欲の前でとうとう消え失せました。
乙女の心がドッキンコすると漢の肉体が反応するようになったのです。
どういうことかというと、股間の棒が、おっはーするのです。
んぎゃあああいやああああナニこれナニだけどナニこんな膨張してんの?!
なにも膨張を見るのが初めてというわけではないです。
初めて朝勃ちであり夜勃ちであり夜間陰茎勃起現象とかいう生理現象に見舞われたときは、「あー男の体だもんね、しょうがないですな」と冷静に判断。これは性欲とは関係ないものだと知っていたので放っておきました。そしたら勝手に治まったので大して気にもしてなかったのです。
でもでも!今は違うよ!
はっきり性欲を感じ、篤史さんを妄想で穢した所為で勃起しました。ごめんなさい篤史さん。貴殿の整った小顔が悦楽に歪み白い汚濁まみれになる姿を想像しました。心が萌えに悶えました。ありがとうございます。神子な篤史さんが尊い。皆を癒す白衣の天使を、私は妄想で犯して興奮してます。
…やばいです。治まりません。
勃起を隠そうと両手を股間に添え、前屈みになってオロオロしてます。
だってこれ、どうしたらいいの?
ぬぬぬ抜くの? どうやって?
「ツヴァイアさん、お返事がないので気になって…どうかしましたか?」
「────ひいっ!!」
異常にテンパってる私の姿を、篤史さんに発見されました。
私ピンチ!こんな間抜けな姿見られたくありませんでした。穴があったら入りたいです。どこかに穴!穴はありませんか?!
穴がどこにもないので絶望して座り込む私。
風呂上がりだったのでバスローブ姿の薄着なんですが、幸いここは私室なので床に絨毯があって尻ぺたんしても冷えることはないです。
だけどそれがなんだって話でして…。
大の男が涙目で股間押さえながら尻ぺたんしてても、なーんも可愛くないという話でして…。
「あ、篤史さん、見ないでください…」
それだけ言うのが精一杯です。
全身が羞恥に染まり下を向く。
だからこんな姿をさらしても可愛くもなんともないってば私…。
篤史さんが私室の扉を完全に閉めてから、こちらへ近づく気配がする。すぐ傍まで来る。
いやあああこないでおくれえええ空気読んでえええ状況察してえええ日本人ならそれができるはずです!お願い!見て見ぬふりで立ち去ってください!
と、心の中では叫んでいるけど、実際の私の生体反応は篤史さんが近づくにつれて心臓がドキドキしちゃって、尚も張り詰める股間と戦うのみだった。
この節操なしおチンコくんめ!
つい、ぎゅっと思いっきり握ってしまう。
「いだっ!」
当然、痛むわけで。ツヴァイアパワーですからね。加減しても林檎を片手でブシャーできますからね。
そんな握力で握ったから痛みで萎えるかとも考えたのに、股間の息子君は元気溌剌のままです。元気なのはいいことだよ、うん!でも今は萎えてほしかったああああ
「痛むんですか? 診せてください」
しまったああ医者である彼ですもの、当然こういう反応になりますよね?!
自業自得。チンコ勃てたのも妄想の所為だしね。
私は観念して手を放し、振り返りました。
尻ペタン涙目のまま。
10
あなたにおすすめの小説
悪役神官の俺が騎士団長に囚われるまで
二三@冷酷公爵発売中
BL
国教会の主教であるイヴォンは、ここが前世のBLゲームの世界だと気づいた。ゲームの内容は、浄化の力を持つ主人公が騎士団と共に国を旅し、魔物討伐をしながら攻略対象者と愛を深めていくというもの。自分は悪役神官であり、主人公が誰とも結ばれないノーマルルートを辿る場合に限り、破滅の道を逃れられる。そのためイヴォンは旅に同行し、主人公の恋路の邪魔を画策をする。以前からイヴォンを嫌っている団長も攻略対象者であり、気が進まないものの団長とも関わっていくうちに…。
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
お前らの目は節穴か?BLゲーム主人公の従者になりました!
MEIKO
BL
本編完結しています。お直し中。第12回BL大賞奨励賞いただきました。
僕、エリオット・アノーは伯爵家嫡男の身分を隠して公爵家令息のジュリアス・エドモアの従者をしている。事の発端は十歳の時…家族から虐げられていた僕は、我慢の限界で田舎の領地から家を出て来た。もう二度と戻る事はないと己の身分を捨て、心機一転王都へやって来たものの、現実は厳しく死にかける僕。薄汚い格好でフラフラと彷徨っている所を救ってくれたのが完璧貴公子ジュリアスだ。だけど初めて会った時、不思議な感覚を覚える。えっ、このジュリアスって人…会ったことなかったっけ?その瞬間突然閃く!
「ここって…もしかして、BLゲームの世界じゃない?おまけに僕の最愛の推し〜ジュリアス様!」
知らぬ間にBLゲームの中の名も無き登場人物に転生してしまっていた僕は、命の恩人である坊ちゃまを幸せにしようと奔走する。そして大好きなゲームのイベントも近くで楽しんじゃうもんね〜ワックワク!
だけど何で…全然シナリオ通りじゃないんですけど。坊ちゃまってば、僕のこと大好き過ぎない?
※貴族的表現を使っていますが、別の世界です。ですのでそれにのっとっていない事がありますがご了承下さい。
平民なのに王子の身代わりをすることになり、氷の従者に教育されることになりました
律子
BL
牢に捕まった平民のカイルが突然連れていかれた場所はなんと王宮!
そこで自分と瓜二つの顔を持つ第二王子に会い、病弱な彼の「身代わり」をさせられることになった!
突然始まった王子生活でカイルを導くのは、氷のように冷たい美貌の従者・アウレリオ。
礼儀作法から言葉遣い、歩き方まで──何もかもを厳しく“教育”される日々。
でも、そうして過ごすうちにアウレリオの厳しいだけではない一面が見えてくることに。
二人は「身代わり生活」の相棒となり、試練を乗り越えていくが…。
だんだんと相手に向ける感情が『相棒』に向ける信頼だけではなくなっていく…!?
強制悪役劣等生、レベル99の超人達の激重愛に逃げられない
砂糖犬
BL
悪名高い乙女ゲームの悪役令息に生まれ変わった主人公。
自分の未来は自分で変えると強制力に抗う事に。
ただ平穏に暮らしたい、それだけだった。
とあるきっかけフラグのせいで、友情ルートは崩れ去っていく。
恋愛ルートを認めない弱々キャラにわからせ愛を仕掛ける攻略キャラクター達。
ヒロインは?悪役令嬢は?それどころではない。
落第が掛かっている大事な時に、主人公は及第点を取れるのか!?
最強の力を内に憑依する時、その力は目覚める。
12人の攻略キャラクター×強制力に苦しむ悪役劣等生
悪役令嬢の兄、閨の講義をする。
猫宮乾
BL
ある日前世の記憶がよみがえり、自分が悪役令嬢の兄だと気づいた僕(フェルナ)。断罪してくる王太子にはなるべく近づかないで過ごすと決め、万が一に備えて語学の勉強に励んでいたら、ある日閨の講義を頼まれる。
クールな義兄の愛が重すぎる ~有能なおにいさまに次期当主の座を譲ったら、求婚されてしまいました~
槿 資紀
BL
イェント公爵令息のリエル・シャイデンは、生まれたときから虚弱体質を抱えていた。
公爵家の当主を継ぐ日まで生きていられるか分からないと、どの医師も口を揃えて言うほどだった。
そのため、リエルの代わりに当主を継ぐべく、分家筋から養子をとることになった。そうしてリエルの前に表れたのがアウレールだった。
アウレールはリエルに献身的に寄り添い、懸命の看病にあたった。
その甲斐あって、リエルは奇跡の回復を果たした。
そして、リエルは、誰よりも自分の生存を諦めなかった義兄の虜になった。
義兄は容姿も能力も完全無欠で、公爵家の次期当主として文句のつけようがない逸材だった。
そんな義兄に憧れ、その後を追って、難関の王立学院に合格を果たしたリエルだったが、入学直前のある日、現公爵の父に「跡継ぎをアウレールからお前に戻す」と告げられ――――。
完璧な義兄×虚弱受け すれ違いラブロマンス
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる