上 下
14 / 54
BLしているのを見たい編

14.腐女子ナカーマと神殿巡り

しおりを挟む
 
 冒険者の紋章を手に入れた! テレレッテレー♪
 左手の甲に燦然と輝きます緑色の紋様は、初級冒険者の証でございます。テッテレー!

 冒険者にはランクがあって、初級・中級・上級・特級・準神級の五段階だそうです。神官も同じ五段階級だってモリエスにゃんから聞いてたから、すぐに覚えれたよ。
 幻の六段階目は神級だって聞きました。もはや神って意味だと思います。

 紋様の色は初級冒険者なので緑色。中級は赤。赤色の人が一番多い。上級は青。特級が黄。準神級が白。もはや神になると黒になるそうで。

 そういや私の前でBL捧げてくれた冒険者たちは何色だったんだろ?
 みんなの手甲わざわざ着目することなかったから、紋様あったかすら覚えてない。後で枝芽カメラチェックせねば。ええ、モチのロンでこれまでのまぐわいはすべて録画済みですよぐふふ。

 そうそう、ステータス見れるようになりました!
 この紋章のとこにデータが入ってるってさ。ステータスは見ようと思えば開示できるので、早速ステータス・オープン!

 中空に、ヒュイッと出てきたステータスはこちらです。

 ---------------------------
<聖樹>
 冒険者レベル:1
 HP:∞
 MP:∞

 魔法
【神級聖魔術】【無属性特化】
 スキル
【真贋芽】【聖なる言霊】
 称号
【神の御使いたる樹木】
 装備
【聖王のおさがり衣装】
 アイテム
【安産の実】【多産の黄色花】【聖なる花粉団子】
 ---------------------------

 なんと体力と魔力が無限! 魔法が既に神級! なのにレベル1……。
 腐女子仲間たちへ、見えるように開示したところ、みんな目が点になって、レベル1のとこ見て大爆笑。
 うえーん。しょうがないじゃんまだ登録したばかりなんだもん。

「依頼受ける! 受付のおねーさん、これお願いします!」
「こちら時間限定クエストですが、よろしいですか?」
「よろしいのです!」

 クエスト掲示板の新着依頼のとこにあった『時間限定:夕方~朝方。夕花、夜薬草、朝露の採集』を受けた。
 夕方までの時間は、バルボラの勇者神殿詣でに連いてく予定。
 他のみんなはそれぞれやることあるということで、別行動です。拠点にしてる宿屋へ荷物置いたり、旅装備の点検に補充の買い物など、やることいっぱいらしい。冒険者は大変なのです。

「聖樹さまは買い物とかいいのか? 聖王都には田舎じゃ買えないものいっぱいあるよ」
「いいのです。それより何より神殿へ挨拶に行きましょう。神格化した仲間に会うの初めて~」

 聖樹として、あの地に留まってるだけじゃ神格化仲間の誰にも会えませんでしたからね。こうやって聖霊体になれたからには人間から祀られちゃってる諸先輩方に挨拶しとくのが礼儀ってものでしょう。

 一番最初に『勇者カシュパルの神殿』に到着。
 赤いんだけど……。

「派手ですねえ」
「ここに祀られてる勇者、生前に赤色のものばっかり好んで身に纏ってたらしいよ」

 赤揃えってやつですか。どっかの戦国大名みたい。猫のゆるキャラが頭に浮かぶ。
 石造りの神殿。赤い大理石なのかなあ。外装も赤けりゃ内装も赤くて、なかなか目に痛い。どうやって赤くしてんだ?ってくらい床と天井と柱が赤いのです。しかもピカピカに磨かれてます。つるつる滑りそうな廊下を歩いて祈祷所へ。

「ようこそ、お参りくださいました」

 祈祷受付係のお姉さんも赤い制服着てますね。
 寄進のお金渡して札もらいました。そこに書かれてる番号を呼ばれたら祭壇のある部屋へ入るようです。
 待ってる間、赤い椅子に座って、赤いテーブルで、赤いジュースをいただきました。
 ジュース、柑橘類の味がして美味しい。じゅーすぃー。

 番号呼ばれて、いざ祈りの場へ。

『ええええ聖樹キターーこれキターァァ』

 勇者、勝手に盛り上がる。やたらテンション高い勇者ですね。

『なんだよ聖樹って動けたの? 俺が生きて勇者してた頃は、うんともすんともしてなかったじゃん。どゆことだよ?』

 ────今日は友達のスキル授かる場を見学に来ました。ついでに挨拶したげますコンニチハ。勇者、赤すぎて目が痛いですよ。

 祈りの場の祭壇まで赤いとはなにごとだ。

『わーい生意気千万! そんな聖樹たんが面白いのでゆるす! で、友達ってそこの女剣士?』

 ────そうですよ。早いとこスキル授けてあげてください。時間は有用なのですよ。

 バルボラは既に跪いて祈りのポーズ中。ここで祈る時間は限られている。寄進の時に払った金額で時間制限があるから。
 バルボラは基本の10G払ってましたから、10分間ですね。はっきり言ってぼったくりです守銭奴勇者。

『あーはいはい。レベル30の女剣士な。オゥケーィ、聖樹たんもいるしサービスしちゃう』

 バルボラが赤い光に包まれました。どうやら無事にスキルを授かったみたいです。
 ならばとっとと帰りましょう。なんかあの勇者、不愉快ですから。

『土産の勇者まんじゅう買ってけよ~!』

 最後まで、ぼったくり精神が旺盛ですね。成敗した方がいいでしょうか。

「わ、すごい……!」
「どうしましたバルボラ?」
「こんな……こんなことって……!」

 ステータスを確認してたバルボラが感動の声を上げてますね。その声は震えて、今にも泣き出しそう。
 ほんと、どうしましたかバルボラ?!
 私まで動揺して、バルボラのステータスを強制開示。見てしまいました。すまぬー。勝手に見てすまぬー。

 ---------------------------
<バルボラ>
 職業:剣士
 冒険者レベル:30
 HP:3000/3000
 MP:0/0

 スキル
【スラッシュ】【アタック】【魔法無効】
 称号
【聖樹と腐女子ナカーマ】
 装備
【篭柄の剣】【黒鉄のラウンドシールド】【聖女の守り】
 ---------------------------

 いったいどこに感動してるのでしょう?
 称号が大変なことになってる以外、レベル30らしいステータスだと思うのですが……。腐女子ナカーマて……。

「わ、私ね、魔力なしなの」

 ええ、MP0というのは珍しいですよね。人間なら誰しも多かれ少なかれ魔力持ってますから。人間だけじゃなく、植物に動物に無機物までも多少の魔力があります。多すぎると凶暴化してモンスター化しますけども、みんな適量に保持してるはずです。

「魔力なしってほんと役立たずで……何もできなくて…………」

 そうでしょうねえ。生活するにも魔道具や魔力紋を起動させなきゃいけないことがある。起動には微量だけど魔力が必要なものが多い。そういう時は兄弟姉妹が手助けしてくれてたんだって。
 剣の腕を磨いて冒険者になっても、魔力が必要な書類の認証とかあって苦労したと……。

「でも、このスキル【魔法無効】はどんな魔法も私に効かないって……っ」
「ん~これ、ますます魔力なしを引き立てちゃうスキルじゃないでつか?」
「違う。これはね、本当に魔法が効かない。魔力なしのくせに魔法の影響は普通の人と変わらなかったけど、それが無くなった」

 あーえー、えーと? これまでは魔法攻撃も普通にダメージ受けてたけど、このスキルのおかげでどんなモンスターと対峙しても魔法攻撃を気にせず前に出れると?
 前衛には嬉しいスキルだねこりゃ。

「これで私、皆の盾になれる……!」

 な、なるほど。そこで感動か。ドM発言にも聞こえるけど、そこはつっこまないでおこう。感動は感動のままに。
 あと勇者カシュパル、ちょっとだけ見直してあげますよ。

 *

 この後、もう一つ『勇者クヴェトスラフの神殿』へ行って【毒抵抗】のスキルをゲット。
 ここは白かった。建物も内装も、白かった。休憩室で待ってた時に、なんかの乳と丸くて白くて甘いものが出た。もっちもちしてて美味かった。

『珍しか~聖樹きたばい』
 ────いや、珍しいのは勇者、お前のイントネーションだ。
『餅食った? うまかろうもん?』
 ────マイペースですねこの野郎。
『気が向いたらまた来るとよか』
 ────そうするばい。

 次に向かったのが『女神ツェツィーリエの神殿』。
「これまでに女神からスキル授かったことない」とバルボラは女神神殿に入るの固辞してたんだけど、私が個人的に挨拶したかったので一緒に来てもらった。

 神殿内、水色を基調にした内装。モザイク壁画にステンドグラスも青色のグラデーションがすごく綺麗な一品だった。建物の中に水が流れてるし。
 水路が廊下と平行に流れててひたすら真っ直ぐなので、曲がるには橋を渡るしかない。色んな橋がある。真っ直ぐなのアーチ型なの。石橋なのも木橋なのも。大小様々な十カ所以上の橋を渡り、やっと祈りの祭壇へと辿り着いた。
 迷路かなここ……。

『あら、聖樹たんじゃない』
 ────こんちゃ。女神様なら私がどうして生まれたか知ってる?
『残念。私は創聖神じゃないの。あなたを生まれ変わらせた神はチーニバウタ様よ』

 私の親の名前ゲットだぜ。
 女神ツェツィーリエはおしゃべりさんだった。神の世界にも上下関係があると知った。どうやら私を転生させ、この世界に聖樹を創ったのは最上位の神様のようだ。

 バルボラが傍らに跪いている。女神と相性悪いと嘆いていたけれど、一応は寄進もしたし祈りを捧げていくようだ。

 ────私の友達が30レベルになったの。スキル授けてくれる?

 さり気なく女神におねだり。

『あらあら、ん~……この剣士には私から授けれるものはないわ。私に対しての適性がないもの』
 ────え、えええ? 適正って相性みたいなもん?
『ええ、そんなもんよ。でも聖樹たんの頼みですものねえ……そうね、クヴェトスラヴァの神殿にお行きなさいな』

 女神からの助言をありがたく受け取って、『戦乙女クヴェトスラヴァの神殿』へ。

 と、ここで私タイムアップ。初クエストの刻限が迫っている。後ろ髪引かれながらバルボラと別れた。
 後で聞いた話、戦乙女の神殿では【自動回復(小)】を授けてもらったって。いいもんもらえたじゃん。良かったね!
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!

当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。 しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。 彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。 このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。 しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。 好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。 ※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*) ※他のサイトにも重複投稿しています。

勇者の股間触ったらエライことになった

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
勇者さんが町にやってきた。 町の人は道の両脇で壁を作って、通り過ぎる勇者さんに手を振っていた。 オレは何となく勇者さんの股間を触ってみたんだけど、なんかヤバイことになっちゃったみたい。

オッサン、エルフの森の歌姫【ディーバ】になる

クロタ
BL
召喚儀式の失敗で、現代日本から異世界に飛ばされて捨てられたオッサン(39歳)と、彼を拾って過保護に庇護するエルフ(300歳、外見年齢20代)のお話です。

エロゲ世界のモブに転生したオレの一生のお願い!

たまむし
BL
大学受験に失敗して引きこもりニートになっていた湯島秋央は、二階の自室から転落して死んだ……はずが、直前までプレイしていたR18ゲームの世界に転移してしまった! せっかくの異世界なのに、アキオは主人公のイケメン騎士でもヒロインでもなく、ゲーム序盤で退場するモブになっていて、いきなり投獄されてしまう。 失意の中、アキオは自分の身体から大事なもの(ち●ちん)がなくなっていることに気付く。 「オレは大事なものを取り戻して、エロゲの世界で女の子とエッチなことをする!」 アキオは固い決意を胸に、獄中で知り合った男と協力して牢を抜け出し、冒険の旅に出る。 でも、なぜかお色気イベントは全部男相手に発生するし、モブのはずが世界の命運を変えるアイテムを手にしてしまう。 ちん●んと世界、男と女、どっちを選ぶ? どうする、アキオ!? 完結済み番外編、連載中続編があります。「ファタリタ物語」でタグ検索していただければ出てきますので、そちらもどうぞ! ※同一内容をムーンライトノベルズにも投稿しています※ pixivリクエストボックスでイメージイラストを依頼して描いていただきました。 https://www.pixiv.net/artworks/105819552

美少年に転生したらヤンデレ婚約者が出来ました

SEKISUI
BL
 ブラック企業に勤めていたOLが寝てそのまま永眠したら美少年に転生していた  見た目は勝ち組  中身は社畜  斜めな思考の持ち主  なのでもう働くのは嫌なので怠惰に生きようと思う  そんな主人公はやばい公爵令息に目を付けられて翻弄される    

ヒロイン不在の異世界ハーレム

藤雪たすく
BL
男にからまれていた女の子を助けに入っただけなのに……手違いで異世界へ飛ばされてしまった。 神様からの謝罪のスキルは別の勇者へ授けた後の残り物。 飛ばされたのは神がいなくなった混沌の世界。 ハーレムもチート無双も期待薄な世界で俺は幸せを掴めるのか?

某国の皇子、冒険者となる

くー
BL
俺が転生したのは、とある帝国という国の皇子だった。 転生してから10年、19歳になった俺は、兄の反対を無視して従者とともに城を抜け出すことにした。 俺の本当の望み、冒険者になる夢を叶えるために…… 異世界転生主人公がみんなから愛され、冒険を繰り広げ、成長していく物語です。 主人公は魔法使いとして、仲間と力をあわせて魔物や敵と戦います。 ※ BL要素は控えめです。 2020年1月30日(木)完結しました。

とある美醜逆転世界の王子様

狼蝶
BL
とある美醜逆転世界には一風変わった王子がいた。容姿が悪くとも誰でも可愛がる様子にB専だという認識を持たれていた彼だが、実際のところは――??

処理中です...