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BLしているのを見たい編
14.腐女子ナカーマと神殿巡り
しおりを挟む冒険者の紋章を手に入れた! テレレッテレー♪
左手の甲に燦然と輝きます緑色の紋様は、初級冒険者の証でございます。テッテレー!
冒険者にはランクがあって、初級・中級・上級・特級・準神級の五段階だそうです。神官も同じ五段階級だってモリエスにゃんから聞いてたから、すぐに覚えれたよ。
幻の六段階目は神級だって聞きました。もはや神って意味だと思います。
紋様の色は初級冒険者なので緑色。中級は赤。赤色の人が一番多い。上級は青。特級が黄。準神級が白。もはや神になると黒になるそうで。
そういや私の前でBL捧げてくれた冒険者たちは何色だったんだろ?
みんなの手甲わざわざ着目することなかったから、紋様あったかすら覚えてない。後で枝芽カメラチェックせねば。ええ、モチのロンでこれまでのまぐわいはすべて録画済みですよぐふふ。
そうそう、ステータス見れるようになりました!
この紋章のとこにデータが入ってるってさ。ステータスは見ようと思えば開示できるので、早速ステータス・オープン!
中空に、ヒュイッと出てきたステータスはこちらです。
---------------------------
<聖樹>
冒険者レベル:1
HP:∞
MP:∞
魔法
【神級聖魔術】【無属性特化】
スキル
【真贋芽】【聖なる言霊】
称号
【神の御使いたる樹木】
装備
【聖王のおさがり衣装】
アイテム
【安産の実】【多産の黄色花】【聖なる花粉団子】
---------------------------
なんと体力と魔力が無限! 魔法が既に神級! なのにレベル1……。
腐女子仲間たちへ、見えるように開示したところ、みんな目が点になって、レベル1のとこ見て大爆笑。
うえーん。しょうがないじゃんまだ登録したばかりなんだもん。
「依頼受ける! 受付のおねーさん、これお願いします!」
「こちら時間限定クエストですが、よろしいですか?」
「よろしいのです!」
クエスト掲示板の新着依頼のとこにあった『時間限定:夕方~朝方。夕花、夜薬草、朝露の採集』を受けた。
夕方までの時間は、バルボラの勇者神殿詣でに連いてく予定。
他のみんなはそれぞれやることあるということで、別行動です。拠点にしてる宿屋へ荷物置いたり、旅装備の点検に補充の買い物など、やることいっぱいらしい。冒険者は大変なのです。
「聖樹さまは買い物とかいいのか? 聖王都には田舎じゃ買えないものいっぱいあるよ」
「いいのです。それより何より神殿へ挨拶に行きましょう。神格化した仲間に会うの初めて~」
聖樹として、あの地に留まってるだけじゃ神格化仲間の誰にも会えませんでしたからね。こうやって聖霊体になれたからには人間から祀られちゃってる諸先輩方に挨拶しとくのが礼儀ってものでしょう。
一番最初に『勇者カシュパルの神殿』に到着。
赤いんだけど……。
「派手ですねえ」
「ここに祀られてる勇者、生前に赤色のものばっかり好んで身に纏ってたらしいよ」
赤揃えってやつですか。どっかの戦国大名みたい。猫のゆるキャラが頭に浮かぶ。
石造りの神殿。赤い大理石なのかなあ。外装も赤けりゃ内装も赤くて、なかなか目に痛い。どうやって赤くしてんだ?ってくらい床と天井と柱が赤いのです。しかもピカピカに磨かれてます。つるつる滑りそうな廊下を歩いて祈祷所へ。
「ようこそ、お参りくださいました」
祈祷受付係のお姉さんも赤い制服着てますね。
寄進のお金渡して札もらいました。そこに書かれてる番号を呼ばれたら祭壇のある部屋へ入るようです。
待ってる間、赤い椅子に座って、赤いテーブルで、赤いジュースをいただきました。
ジュース、柑橘類の味がして美味しい。じゅーすぃー。
番号呼ばれて、いざ祈りの場へ。
『ええええ聖樹キターーこれキターァァ』
勇者、勝手に盛り上がる。やたらテンション高い勇者ですね。
『なんだよ聖樹って動けたの? 俺が生きて勇者してた頃は、うんともすんともしてなかったじゃん。どゆことだよ?』
────今日は友達のスキル授かる場を見学に来ました。ついでに挨拶したげますコンニチハ。勇者、赤すぎて目が痛いですよ。
祈りの場の祭壇まで赤いとはなにごとだ。
『わーい生意気千万! そんな聖樹たんが面白いのでゆるす! で、友達ってそこの女剣士?』
────そうですよ。早いとこスキル授けてあげてください。時間は有用なのですよ。
バルボラは既に跪いて祈りのポーズ中。ここで祈る時間は限られている。寄進の時に払った金額で時間制限があるから。
バルボラは基本の10G払ってましたから、10分間ですね。はっきり言ってぼったくりです守銭奴勇者。
『あーはいはい。レベル30の女剣士な。オゥケーィ、聖樹たんもいるしサービスしちゃう』
バルボラが赤い光に包まれました。どうやら無事にスキルを授かったみたいです。
ならばとっとと帰りましょう。なんかあの勇者、不愉快ですから。
『土産の勇者まんじゅう買ってけよ~!』
最後まで、ぼったくり精神が旺盛ですね。成敗した方がいいでしょうか。
「わ、すごい……!」
「どうしましたバルボラ?」
「こんな……こんなことって……!」
ステータスを確認してたバルボラが感動の声を上げてますね。その声は震えて、今にも泣き出しそう。
ほんと、どうしましたかバルボラ?!
私まで動揺して、バルボラのステータスを強制開示。見てしまいました。すまぬー。勝手に見てすまぬー。
---------------------------
<バルボラ>
職業:剣士
冒険者レベル:30
HP:3000/3000
MP:0/0
スキル
【スラッシュ】【アタック】【魔法無効】
称号
【聖樹と腐女子ナカーマ】
装備
【篭柄の剣】【黒鉄のラウンドシールド】【聖女の守り】
---------------------------
いったいどこに感動してるのでしょう?
称号が大変なことになってる以外、レベル30らしいステータスだと思うのですが……。腐女子ナカーマて……。
「わ、私ね、魔力なしなの」
ええ、MP0というのは珍しいですよね。人間なら誰しも多かれ少なかれ魔力持ってますから。人間だけじゃなく、植物に動物に無機物までも多少の魔力があります。多すぎると凶暴化してモンスター化しますけども、みんな適量に保持してるはずです。
「魔力なしってほんと役立たずで……何もできなくて…………」
そうでしょうねえ。生活するにも魔道具や魔力紋を起動させなきゃいけないことがある。起動には微量だけど魔力が必要なものが多い。そういう時は兄弟姉妹が手助けしてくれてたんだって。
剣の腕を磨いて冒険者になっても、魔力が必要な書類の認証とかあって苦労したと……。
「でも、このスキル【魔法無効】はどんな魔法も私に効かないって……っ」
「ん~これ、ますます魔力なしを引き立てちゃうスキルじゃないでつか?」
「違う。これはね、本当に魔法が効かない。魔力なしのくせに魔法の影響は普通の人と変わらなかったけど、それが無くなった」
あーえー、えーと? これまでは魔法攻撃も普通にダメージ受けてたけど、このスキルのおかげでどんなモンスターと対峙しても魔法攻撃を気にせず前に出れると?
前衛には嬉しいスキルだねこりゃ。
「これで私、皆の盾になれる……!」
な、なるほど。そこで感動か。ドM発言にも聞こえるけど、そこはつっこまないでおこう。感動は感動のままに。
あと勇者カシュパル、ちょっとだけ見直してあげますよ。
*
この後、もう一つ『勇者クヴェトスラフの神殿』へ行って【毒抵抗】のスキルをゲット。
ここは白かった。建物も内装も、白かった。休憩室で待ってた時に、なんかの乳と丸くて白くて甘いものが出た。もっちもちしてて美味かった。
『珍しか~聖樹きたばい』
────いや、珍しいのは勇者、お前のイントネーションだ。
『餅食った? うまかろうもん?』
────マイペースですねこの野郎。
『気が向いたらまた来るとよか』
────そうするばい。
次に向かったのが『女神ツェツィーリエの神殿』。
「これまでに女神からスキル授かったことない」とバルボラは女神神殿に入るの固辞してたんだけど、私が個人的に挨拶したかったので一緒に来てもらった。
神殿内、水色を基調にした内装。モザイク壁画にステンドグラスも青色のグラデーションがすごく綺麗な一品だった。建物の中に水が流れてるし。
水路が廊下と平行に流れててひたすら真っ直ぐなので、曲がるには橋を渡るしかない。色んな橋がある。真っ直ぐなのアーチ型なの。石橋なのも木橋なのも。大小様々な十カ所以上の橋を渡り、やっと祈りの祭壇へと辿り着いた。
迷路かなここ……。
『あら、聖樹たんじゃない』
────こんちゃ。女神様なら私がどうして生まれたか知ってる?
『残念。私は創聖神じゃないの。あなたを生まれ変わらせた神はチーニバウタ様よ』
私の親の名前ゲットだぜ。
女神ツェツィーリエはおしゃべりさんだった。神の世界にも上下関係があると知った。どうやら私を転生させ、この世界に聖樹を創ったのは最上位の神様のようだ。
バルボラが傍らに跪いている。女神と相性悪いと嘆いていたけれど、一応は寄進もしたし祈りを捧げていくようだ。
────私の友達が30レベルになったの。スキル授けてくれる?
さり気なく女神におねだり。
『あらあら、ん~……この剣士には私から授けれるものはないわ。私に対しての適性がないもの』
────え、えええ? 適正って相性みたいなもん?
『ええ、そんなもんよ。でも聖樹たんの頼みですものねえ……そうね、クヴェトスラヴァの神殿にお行きなさいな』
女神からの助言をありがたく受け取って、『戦乙女クヴェトスラヴァの神殿』へ。
と、ここで私タイムアップ。初クエストの刻限が迫っている。後ろ髪引かれながらバルボラと別れた。
後で聞いた話、戦乙女の神殿では【自動回復(小)】を授けてもらったって。いいもんもらえたじゃん。良かったね!
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