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第一章後編 ハイリヒ王国復興編

開発と発展と商売と⑦

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(開拓責任者)あっ!なぎさ様、ちょうど良いところで。
      例のハウスの件ですが、魔導士から、充分実用化できるという事でした。
      土無しの件も、まずは捕縛魔法から試していきたいとの事です。
      後、肥料の件ですが、発酵は魔法で充分可能ですから、どんどん作って試していくと。
      そこで、幾つかに分割して色々な条件を試していこうということなりました。
      とりあえず、簡単に取り組める腐葉土から、試験地区以外は投入していきます。
      まずは生産量の確保と増産にと。

(なぎさ)良いと思う。試験地区の拡大は慎重に。そこでの作物はブランド化が狙いでしょ?
    あまり作りすぎると希少性が下がるから。値崩れする。
    流通量を調整するのがポイントだよ。

(開拓責任者)はいっ!心得ております。ターゲット層を決め、利益を出しますので、ご期待ください。


 早いな、もうそこまでやったんだ。
 これなら大丈夫だな。
 なぎさ達はインフラ整備に取り掛かる。
 広大な領地だけに、整備には3ヶ月を要した。
 まずは品質永久保証付き。技術者が圧倒的に足りない。
 これで壊れたら、パニックになる。

(なぎさ)技術責任者居る?

(開拓責任者)はいっ!すぐ連れてきます。


 そう言うと、技術責任者を呼びに行った。

(技術責任者)なぎさ様、参上致しました。

(なぎさ)今作っているインフラや家屋関係なんだけど、とりあえず永久保証にしたから。
    まだ技術者の人数が足りないでしょ?
    今壊れてパニックになったらいけないから。
    人数が揃い次第、解除していくから、その後の管理はお願いね。
    それと、いつでも解除出来るように、腕は磨いといてね。

(技術責任者)了解致しました。解除は残念な気持ちですが、いつでも対応出来るように、スタンバイいたします。

(なぎさ)まぁ、そう言うな。せっかく身につけた技術を使わないともったいない。
    それに雇用も創出できるから、次世代を育てるのにも良いでしょ。

(技術責任者)そこまで我々に期待をしてくださるとは、技術者冥利に尽きます。
      優秀な技師を育成し、必ずご期待に応えてみせます!

(なぎさ)開拓責任者さん、後はすることはあるかな?

(開拓責任者)はいっ!この領地の北部は海に面していることはご存知だと思います。
      そこで新たに漁業を始めたいと考えております。
      これは旧サスティナ帝国を領地、いえ、全領地で考えております。
      今より漁獲量を増やせないか?もっとたくさん水揚げ出来れば、安く出来るので手に入れることが出来るのだがと。

(なぎさ)それは手に入れられる層が増える。庶民に少しでも手に入れられる機会が増えるということですか?
   
(開拓責任者)はい、獲れれば獲れるだけ価格が下がります。そうすれば、今以上に扱える食事処が増えます。
      そうすれば、庶民が食べる機会も増えるかと。

(なぎさ)漁業関係者の生活は?

(開拓責任者)そこはバランスを見ながら価格を付けます。漁業関係者の生活も今の状態を最低限確保いたします。

(なぎさ)今の状態じゃなく、ある程度色を付けた方がいいんじゃない?
    それだけ労力が増えるんだし、技術が上がってもやる気無くしたら意味ないし……

(開拓責任者)なるほど、分かりました。その方向でバランスを狙います。
      これは財務大臣とも相談いたします。

(なぎさ)で、今の漁業のやり方はどんな感じですか?

(開拓責任者)そうですね、波打ち際からの投げ網、素潜り、小舟を使っての漁ですね。

(なぎさ)養殖は?

(開拓責任者)養殖とは何でしょうか?

(なぎさ)なるほど、人工的に海を囲み、その中で魚を育てる方法です。陸の上でも可能だったりします。
    その時に使う餌を細工することで、多少の風味や味を変えることが出来たりします。ただ、費用はかかりますが。
    特に細工しなければ、ある程度抑える事が出来ます。
    それと、ある程度の漁獲量も読めます。
    ただ、自然には逆らえないので、その影響は受けますが。

(開拓責任者)そ、そんな方法があるんですか!
      たしかに自然の影響を受けるのは仕方ありません。
      しかし、ある程度漁獲量が読めるのなら、その利益は計り知れないです。

(なぎさ)あと、放流という方法もあります。
    人工的に卵を孵化させ、稚魚をある程度の大きさに育ててから、川などに放流して育てる方法です。
    魚の中には、川で卵を産み、ある程度成長すると海へ戻り、また卵を産む為に川に戻ってくる魚もいますから。
    上手く組み合わせることが出来れば、期待出来るかと。
    組み合わせず、ただ戻ってくるのを待つ方法もありますが。
    魚によって使い分けるのが得策かと。
    魚の寄生虫対策は?

(開拓責任者)そんな方法まで……
      寄生虫対策?ですか?寄生虫とは……なんとなく想像は出来ますが、それは考えもしなかったです。

(なぎさ)なら、それもやりましょう。魔法という便利なものがありますし。

(開拓責任者)ですな、その方が安心できます。

(なぎさ)小舟の大型化は可能ですか?これは難しい問題ですが……

(開拓責任者)小舟の大型化は可能なんですが、コスト的に合わないですね。
      さほど沖に出るわけでもないですし、戦争となっても海から攻めるメリットは無かったです。
      今となれば、その心配も無くなりましたから、海軍は縮小する方向で議論されています。
      海からの魔物の襲撃さえ防げれば良いというのがもっぱらの噂です。

(なぎさ)海の先がどうなっているか?なんてことは考えてないと。

(開拓責任者)はい、そんな事はどうでも良いことですし、
      海は噂通り真っ平で、その先は滝のようになっており、悪魔の住む地獄に落ちるという考えです。
      またその方が都合が良いです。
      変に探究心を持ち、沖合に出られて何かあった時、救助が大変ですし、しなければしないで……ねぇ~。

(なぎさ)たしかに迷惑な話だな。費用も半端じゃない。
    ちなみに、クソなアレは、海の先は反対側に繋がっている、我々のいる場所は大きな球体になっている。
    というのが常識だった。"地動説"と言ってね。
    その後の調査で空自体も動いていて、複雑な動きをしていることまで発見されている。
    その前は、自分達は動いてなく、空が動いているという"天動説"が常識だったけどね。
    しかも、海の先は滝という考えね。
    で、違をとなえた学者達は処刑された歴史があるんよ。

(開拓責任者)そんなことが!!考えた事もないです!!
      その根拠となったのは?是非とも聞いてみたい、興味が湧きました。

(なぎさ)簡単だよ。遠ざかる船は船底から見えなくなっていき、最後はマストが見えなくなる。
    真っ平なら、小さくなっていくだけで、そんな見え方はしないって事。

(開拓責任者)なるほど!たしかに言われてみればそうですよね。
      下り坂でも無理、丸くなってなければ、そんな見え方はしない。
     
(なぎさ)でも、その実証に多くの船が行ったけど……

(開拓責任者)どうなりました?

(なぎさ)当時の船では命がけ、多大な犠牲と資金がいった。
    そのおかげで、見えない場所に新しい土地が見つかり、領地いわゆる植民地という好き放題できる土地が見つかったけどね。
    そこでしか取れない作物、鉱物とか。
    先住民は奴隷と人体実験に使ったり。
    んで、その先で"独立戦争だ!"ってなって、結局損するんだけど。
    援軍がなかなか送れないでしょ?全部奪われて、皆殺し。そりゃ、半端な恨みではないやん。
    その後は、そこと交易をやるんだが、そこはどこも一緒。
    商売に走るから、地の利を利用して封鎖されたり、その権利を取り合いして戦争したり。
    なんだかんだで100年以上戦争してるところもあったり、世界のどっかで必ず戦争してたなぁ……
    周りはいい迷惑だ、それで物価高騰したりするからね。
    何がいつ上がるかわからんから。

(開拓責任者)はあぁ?なんて物騒な世界ですか!
      その説は面白いですし、言われてみれば納得です。
      新しい領地というのは魅力的ですが、その為にそんな世界になるのはごめんです。

(なぎさ)学者の中での新説ぐらいで止めといた方がいいと思う。
    ただ、この世界の仕組みは分からんから、真っ平が正しいかもやし、
    面白い話ぐらいでいいんじゃない?
    ただ、もし違うなら、国としては対策しといた方がいいんじゃない?
    そんな見えないところから、"この先には陸がある、奪い取れ!"って来た場合、面倒だし。


 この話は即、王都に報告し、議論をよんだ。
 リリアナ女王も大変興味を持ち、学者間でも激しい議論が展開された。

(学者①)なっ!いくらなぎさ様でも、それは神への冒涜だ!

(学者②)そう言うが、言われてみれば納得できる。学者として研究課題にはいいのでは?

(学者③)しかし、なぎさ様はあまり乗り気ではないみたいではないか、
    学者間での新説、面白い話ぐらいにしといた方がいいと。

(学者④)突拍子のない、とんでもない事を言うが、その後の我が国の利益を考えるとたしかに一理ある。

(近衛騎士)たしかに。それが正しいとして、有事の際、そんな場所まで兵をそう簡単には送れん。
      見殺しになり、奪い返される。その損失は計り知れない。

(騎士)そこに送り込まれる我々のことも考えてくれ!
   なぎさ様の言う通り、守りを固め、侵略を防ぐ方が建設的だ。
   防衛出来るだけの戦力と武器の性能を上げる方が予算も少なくて済むんじゃないか?

(財務官僚)それはそうですよ。そこまで行ける船の建造費なんて想像がつかない。
     しかも相手より強くないといけない、1隻で済むはずがない、どれだけ予算が必要か……
    
(学者③)この話は、なぎさ様の言う通り、面白い話にしといて、一般にはあまり公開しない。
    よからぬ欲を出した者が出ると面倒だ。

(学者②)ただ、我々は密かに研究しようではないか。
    陸からの見え方もたしかにそうだか、時期によって星の見え方が違うのも興味があった。

(学者④)この世界が球体であり、更に空も動いているとなると、とんでもない発見になる。
    たしかに今まで謎とされていた事も説明がつくかもしれん。

(近衛騎士)ただし、他言無用、緘口令を敷く。

(学者⑤)我々の中での遊び、という事ですな。

(学者①)それなら良いかもしれん。
    しかし、なぎさ様の知識はどうなってるんだ?
   
(学者②)しかも、それを見せつけて傲慢になるわけではなく、あくまで我が国の利益を優先させるところが畏れ多い。

(騎士)どこぞの貴族連中も見習ってもらいたいものだ。

(近衛騎士)しかし、それが正しいとなると、将来的には考えなければならない課題だと思う。
     ただ、その代償が必ずどこかで戦争がある世界というのもどうなんだ?と思うがな。

(騎士)勘弁してください。今のままを維持しましょうよ(涙目)

 
 リリアナ女王はその話を聞いて、海軍の事について再考を始める。

(リリアナ女王)この話について、どう考える。

(宰相 リコイル)そうですね。学者達の研究結果にもよりますが、一応考えておいた方良いかと。

(リリアナ女王)それはどちらだ?

(宰相 リコイル)我が国の防衛の方ですね。
        仮に、なぎさ様の言う通りだとしても、こちらから行く必要はあるか?と。

(財務大臣 マヤノ)建造費も予想がつかないほど莫大でしょうし、1隻では足りません。
         それに海の向こう側まで領地は必要ないかと。

(宰相 リコイル)統治自体大変でしょうし、それこそ何をしているか分かりません。
        クーデターを企てるのには最適ですし、それこそ反女王派の良い隠れ蓑になります。

(リリアナ女王)領地を手に入れれたら行き来は可能、という事だな。

(宰相 リコイル)はい。それに、こちらでの建造は気付き次第、潰せます。海の反対側では対応が遅れます。

(財務大臣 マヤノ)こちらにはなぎさ様が居ます。どんどん考えられないような新技術が投入されています。
         それで充分かと。

(宰相 リコイル)逆に、向こう側がこの様に発展することを考えると寒気がします。

(リリアナ女王)たしかに我が国民が行くのに、知らん顔は出来ないからな。

(近衛騎士団団長シューマン)なぎさ様が乗り気でない理由が分かりますな。
             反女王派、今は中立派と名乗る連中を警戒して、でしょうな。

(リリアナ女王)だから、学者達の中の面白い話ぐらいにしといた方がいい、と。

(宰相 リコイル)それに、なぎさ様は別世界から来られた。なので、それが正解かは分からないとも言われていたと。
       
(財務大臣 マヤノ)それに"真っ平で先は滝"の方が都合が良いのでは?とも。

(近衛騎士団団長シューマン)たしかに、今までの説の方が"あまり沖には行くな"と警告しやすい。

(財務大臣 マヤノ)よからぬ欲を出し、碌な性能も無い船で行かれて、何かあった時には救助に行かなければならなくなる。
         その費用がバカらしいと。
         国が見捨てれば不満が出る、要らぬ火種は不要とも。

(近衛騎士団団長シューマン)ただ、なぎさ様の説が正しかった時、向こう側から"この先には陸がある、奪いとれ!"
             と襲いかかって来た場合の対処はしておいて損は無いと。

(宰相 リコイル)学者達も"なぎさ様の説が正しい可能がある、要研究課題だ"とは言われてますが、
        "これは私たち学者の遊びで、口外不要"と緘口令が敷かれています。

(近衛騎士団団長シューマン)それは聞いたが、何故?

(宰相 リコイル)なぎさ様からの要望と聞いています。"学者の間で出た新説で面白い話ぐらいにしといた方が良い"と。

(リリアナ女王)先手を打ったと。

(宰相 リコイル)学者の中には定説では説明が付かない現象があり、研究しようとしていた学者もいます。
        これが正しいなら、"先に答えらしいヒントをやる代わりに口外はするな"と釘を刺した事になります。

(近衛騎士団団長シューマン)しかし我々には、その可能がある以上、対策は取るにこしたことは無いと。

(宰相 リコイル)どこまで我が国を思ってくれているのでしょうか。
        可能性のある不安要素は徹底的に潰せ!と言わんばかりです。
        
(財務大臣 マヤノ)私も報告書を見ましたが、思い当たる事がありました。
         下手に広まるより、"教えてやるから広めるな!国益にならない"と言わんばかりに取れました。
         いったい何手先まで見ているのかと感心致しました。

(近衛騎士団団長シューマン)流石なぎさ様。つくづく味方で良かったと思います。


 この事により、海軍の縮小は中止。
 軍備の拡張を考えるようになる。
 また、陸軍との協調にも目を向けられ、海岸での防衛戦、相手の上陸阻止という課題にも取り組む事になる。

 開拓地の方では、漁業に取り掛かっていた。

(開拓責任者)なぎさ様、準備が出来ました。

(なぎさ)了解。


 漁業関係者を集めて説明する。

(なぎさ)皆さん、これから"養殖"という漁法を説明します。
    この様に海を囲み、この中で魚を育てます。
    幾つかありますが、これは仕分けの為です。

(漁業関係者)仕分け?ですか?

(なぎさ)ええ。この中に魚を放つのですが、時期をずらします。
    ある程度の大きさになるまでは陸で育てます。

(漁業関係者)陸??大金持ちのお貴族様の水槽ですか?(苦笑)

(なぎさ)似ていますが、別に外から見える必要はありません。
    大きさを知りたいなら、ある程度の大きさの桶で掬い上げれば良い。
    見える様にしたいなら出来るけど、費用がねぇ~。先行投資と言うなら、それでも良いけど。

(漁業関係者)で、稚魚は?

(なぎさ)人工的に交尾させ、孵化させます。天敵が居ない分、生き残るのが多いかと。

(漁業関係者)はあぁ?んな事出来る訳がねぇ~。

(なぎさ)出来るんですよ。メスのお腹を裂き卵を取り出す、そこにオスの腹を裂き取り出した液を掛ける。
    どちらも食べる魚だ。なら、有効利用しようじゃない?
    この時、卵や液体を殺さない様に注意する。
    卵は産む時と同じ水の中に沈め、液体は上からぶっ掛ける。
    取り出しにくいなら、魚を絞って出せばいい。

(漁業関係者)理屈的には可能だが、無茶苦茶だな。まるで神への挑戦だ。

(なぎさ)その挑戦、勝ってやろうじゃないか(ニヤリ)

(漁業関係者)後は分かる、育てて、ある程度の大きさになったら、そこの囲った中に放つ。だろ?

(なぎさ)その通り。ただ魚も育つのには時間がいる。

(漁業関係者)あぁ。だからその為の仕分けか!毎年繰り返して、釣り上げる大きさになったら根こそぎゴッソリ。
      空いた囲いに新しいのを放流。なるほどな!これなら大量に確保できる。

(なぎさ)外釣りと並行すれば良い。それと餌を工夫すれば面白いことができるかもしれん。

(漁業関係者)農業部門から聞いたぜ、味や風味をが微妙に変わる場合がある。上手くいけば、高値で売れる。ブランド化だっけ?

(なぎさ)その通り。ただ、希少性には気をつけて。それが普通になれば、値か下がる。
    それと、囲いの中に入れすぎると、魚同士がぶつかり、品質が落ちるから。

(漁業関係者)傷もんになるからな。任せろ。後、気をつけることは?

(なぎさ)外海の荒波に揉まれる訳じゃないから、身の締まりは悪くなるが、しっかり餌をやる事で、栄養価は上がる。
    また、大量に取れるから、値下がりしても数でまかなえる。
    庶民も今より手が届きやすくなるから、喜ばれる。
    もちろん、価格は財務大臣と相談するって。
    労力が増えるんだから、それも考慮してバランス取るって。

(漁業関係者)なるほどな。良い結果を期待する。まぁ、ボッタくる気はねぇ、皆が喜ぶならやり甲斐はある。

(なぎさ)頼む。

(漁業関係者)なぎさ様に言われりゃあ、やるしかねぇ~な。ガッカリはさせねぇから、期待してくれ。

(なぎさ)今のを最後まで陸の上でやる方法もある。

(漁業関係者)たしかに可能だが、高くつくな。

(なぎさ)そう、だから高級魚や付加価値が付けられるようなのを育てる事になる。値崩れしにくい魚とか。

(漁業関係者)なるほど、ある程度の数も確保出来るから、儲けもデカいな。

(なぎさ)ただ、中の水の取り替えやかき回して波を作る必要が出てくるのもある。

(漁業関係者)そんなの無茶苦茶だ!

(なぎさ)だから、便利なのがある。魔法ってやつが(ニヤリ)

(漁業関係者)あっ!

(なぎさ)勢いは調節出来るから、身の締まり方も、ある程度なら調整出来る。
    ただ、自然の波には、

(漁業関係者)そりゃ勝てねぇ~わ。しかし、その手は期待できるな。
      なら、外の囲いは?

(なぎさ)要研究でしょ。自然の波の影響もあるから。
    陸上と全く同じにも出来るが、それはどっちが良いかは皆さんの目利きにかかってますよね(ニヤリ)

(漁業関係者)なかなか言うじゃねぇ~か。漁師ナメんな、任せろ(ニヤリ)

(なぎさ)流石、頼りになります、大将(笑)

(漁業関係者)漁日には毎日大漁旗掲げてやるわ(笑)

(海女)私らは素潜りなんだが、何か無いかの。

(なぎさ)水魔法で水中に長く居られる服を考えてます。

(海女)それは助かる。獲り過ぎに注意せないかんな(笑)

(なぎさ)他に指定した獲物の場所が分かる装置も作れますが、なんか今までの経験を軽視するみたいで……

(海女)いや、そんなことは心配せんで良い。あれば助かるわ。

(なぎさ)じゃあ、それも開発します。


 こんなとこか、林業は……

(なぎさ)これで完了ですかね?

(開拓責任者)そうですね、林業……という程の場所は無かったですし。

(なぎさ)とりあえず、植林も説明しとくわ。
    まぁ、分かると思うけど。木を植えて、森や林を維持する方法。
    種類を固める方法が多いかな?ごちゃごちゃに混ざると育ちにくかったり、伐採しにくかったりするから。
    後は雨による土砂崩れを起こさない様に注意すること。
    木は時間がかかるだけに、土砂崩れを起こすと、元に戻すのに時間がかかり、また土砂崩れを起こしやすくなるから。
    魔法って手もあるけど、それだと高くなるでしょ。後、強度も心配だよね。年輪が無いから。

(開拓責任者)分かりました。しっかり記録しておきます。
      これで終わりですね。
      後は装置などの作成ぐらいですね。

(なぎさ)それの時間がかかるわな。帰って良い?(笑)

(開拓責任者)そ、そんなぁ~!作ってくださいよ、装置を(涙目)

(なぎさ)分かった、冗談やよ(笑)


 それからなぎさは装置の作成と設置に取り掛かる。
 ユエ達は交代で見学に来ては資料をもらい、担当地区に戻る。
 一応、ストレージには装置などを渡してあり、量産体制には入っているが、
 なにぶん新技術なので、分からないことも多い。
 なぎさは各地を飛び回って説明や設置を協力したりと大忙しである。

(シア)なぎささん、ちょっと休んだ方がいいです。

(レム)そうですよ、休みましょうよ。

(猫人族 ユナ・パトリエット)
      という事で、行きましょう、甘味処クレハへ。

(なぎさ)クレハ!行こう!行こう!

(レム)ですよね!

(シア)ですです!

 
 フェアベルゲン専属チームが集合する。
 なぎさ達が出かけようとすると、

(アイルトン子爵家次女 セリナ)
      なぎさ様、どちらへ行かれるのですか?

(なぎさ)疲れたから癒されに。

(セリナ開拓部隊大隊長 カイル)
      ちなみに何方へ?

(なぎさ)さぁ。

(アイルトン子爵家次女 セリナ)
      そんなぁ、教えてください(涙目)

(なぎさ)やだ。

(セリナ開拓部隊大隊長 カイル)
      わ、私たち、何かやらかしたでしょうか?何かやらかしてしまったでしょうか?(半泣)

(猫人族 ユナ・パトリエット)
      なぎさ様、可哀想ですよ。これからクレハに行くんです。
      なぎさ様はかなりお疲れですから、甘いものでも食べて休んでいただこうと。

(アイルトン子爵家次女 セリナ)
      ええっ!行きます!私も行きます!!

(セリナ開拓部隊大隊長 カイル)
      クレハ!あの甘味処クレハですね!私も行きます!!

(なぎさ)なんで?

(アイルトン子爵家次女 セリナ)
      なんでって、そりゃ行きますよ!クレハですよ?クレハ!!

(セリナ開拓部隊大隊長 カイル)
      そうですよ!クレハですよ?行くに決まってるじゃないですか!

(なぎさ)癒されないから、やだ。

(アイルトン子爵家次女 セリナ)
      そんなぁ……(半泣)

(セリナ開拓部隊大隊長 カイル)
      それはないですよぉ~(流涙)

(なぎさ)っていうか、アンタらこの開拓の最高責任者やん。
    どんどん投入してるから、それがしっかり出来てるか、監視が必要でしょ。
    毎日報告が山ほど来てるやん。それ、捌かなアカンやろ?

(アイルトン子爵家次女 セリナ)
      うっ…。

(なぎさ)で、カイル様は、その報告の確認に行くセリナ様の護衛の責任者。
   
(セリナ開拓部隊大隊長 カイル)
      ううっ…。

(なぎさ)がんばれ(笑顔)

(シア)うわぁ~、なぎささん、良い笑顔(ぶっ!)

(レム)めちゃくちゃ良い笑顔ですよね(笑)

(猫人族 ユナ・パトリエット)
      いや、まぁ、なんというか……

(アイルトン子爵家次女 セリナ)
      そうだ!お茶の時間にしましょう。毎日お茶の時間はありますから。

(なぎさ)お貴族様だね。

(アイルトン子爵家次女 セリナ)
      いや、普通は朝と昼の間、昼と夜の間の2回あるんです。
      そこでいわゆるお茶会と称したプチ社交界が開催されるんです。
      情報は命、その収集と探り合いです。
      友達相手なら情報を持ち寄り、今後の作戦というか、謀の相談や共闘を確認したりするんです。
      もちろん、一人で息抜きが目的のこともあります。
      どうしても屋敷や外には影が潜みます。
      お互い様なので、いちいち排除はしてられませんが、暗殺と機密漏えいは防ぐ必要があります。
      だから自分の影も潜むわけで、なかなか気が休まらないですからねぇ~(遠い目)
      でも、今は忙しいのでお昼までの1度しかしていません。
      昼からは視察等で動きたいので。

(なぎさ)あぁ……。なんとなく分かるわぁ。凄まじかったもんなぁ、社交界(遠い目)
    しかも四六時中監視されると疲れるわな。やっぱ予想通りやったな。

(セリナ開拓部隊大隊長 カイル)
      ひょっとして、前回ゲートが共同墓地に繋がってたのも……

(なぎさ)さぁ、なんのことかな(ニヤリ)

(アイルトン子爵家次女 セリナ)
      そうなんですか?

(なぎさ)ムカついてから、見せつけて、思い知らせてやりたかった。

(猫人族 ユナ・パトリエット)
      なぎさ様(喜)

(狐人族 アナ・スタシア)
      それだけではないですよね(ボソっ)

(蛇人族 クレ・オスマヤヒ)
      ですね(ボソっ)

(蛇人族 マラ・オスマヤヒ)
      流石なぎさ様です(ボソっ)

(猫人族 ユナ・パトリエット)
      ですです(ボソっ)

(なぎさ)じゃあ、ゲート、設置してくる。

(アイルトン子爵家次女 セリナ)
      やはり……共同墓地……ですよね(涙目)

(セリナ開拓部隊大隊長 カイル)
      しっかり目に焼き付けました、心に記憶に刻み込みました、許してください。

(なぎさ)あなた方、そう許しをこうたのを許しました?(氷のような目)

(アイルトン子爵家次女 セリナ)
      ひっ!(半泣)

(セリナ開拓部隊大隊長 カイル)
      ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい(泣)

(なぎさ)まぁ、ちょっと待ってろ。

 
 そう言うと、ゲートに入る。
 またすぐ戻ってきた。

(なぎさ)用意出来たから、行こう。

(一同)はーい。


 ゲートをくぐると、今回は違う場所だった。

(熊人族 ナジヌ・タニア)
      おっ!今回はまともな場所じゃねぇ~か。

(狐人族 アナ・スタシア)
      え~っと、ここは、あっ!

(猫人族 ユナ・パトリエット)
      許してあげたんですね?微妙に。

(アイルトン子爵家次女 セリナ)
      ここは……

(セリナ開拓部隊大隊長 カイル)
      凄い立派なお屋敷ですね。

(猫人族 ユナ・パトリエット)
      ここは私が用意した、なぎさ様の別宅の庭です。

(アイルトン子爵家次女 セリナ)
      べ、別宅ぅ~!!(驚)

(猫人族 ユナ・パトリエット)
      はい、別宅です。主にプライベートで使うお屋敷です。ゆっくりくつろいでいただく為に。
      執務を行う本宅は、フェアベルゲン中央、族長の屋敷の隣りにあります。
      わざわざなぎさ様に出向いていただけなくても良いように。

(セリナ開拓部隊大隊長 カイル)
      これで別宅ということは……

(猫人族 ユナ・パトリエット)
      はい、もっと大きいです。
      100人のメイドが常駐していますから。

(アイルトン子爵家次女 セリナ)
      はあぁ?

(熊人族 ナジヌ・タニア)
      族長の家が霞んで見えるわな(笑)

(蛇人族 クレ・オスマヤヒ)
      族長は結婚されたので、夫婦で住んでます。
      色んな事情から助けてあげたい子達をメイドとして常駐させてますが。

(蛇人族 マラ・オスマヤヒ)
      3人ですね。

(熊人族 ナジヌ・タニア)
      まぁ族長の甲斐性なら、そんなもんだな(爆笑)

(豹人族 シズク・アストラ)
      タニア!アンタ怒られても知らないわよ(笑)

(熊人族 ナジヌ・タニア)
      だってそうじゃねぇ~か。
      しかも、なぎさ様のメイドになれるなら給金は要らねぇ~って、凄い競争率じゃねぇ~か。

(アイルトン子爵家次女 セリナ)
      ち、ちなみにどのぐらいですか?

(猫人族 ユナ・パトリエット)
      競争率は1万倍、
      なぎさ様に指示により、教育係として貴族から10人、庶民から90人募集してます。
      庶民からは伸びしろを含めて同じ能力なら、より貧しい者、環境に恵まれない者を優先してますね。
      あまりの希望者の為、別宅でも20人ほど募集しようという話も出ていますね。

(蛇人族 クレ・オスマヤヒ)
      私たちの統治区にも別宅を建てようか?という話もありますね。
      別宅なので20人ほどの狭き門ですが。

(アイルトン子爵家次女 セリナ)
      い、良いんですか?なぎさ様。

(なぎさ)別に構わんけど。フェアベルゲンだし。

(セリナ開拓部隊大隊長 カイル)
      わ、我々の領地には!

(なぎさ)要らない(即答)

(アイルトン子爵家次女 セリナ)
      そ、即答?!

(なぎさ)だって、予算オーバーだもん。
    女王様に泣きついてもダメやよ。
    そんな事したら、増税しないといけなくなる。
    庶民の生活を圧迫するわけにはいかんから。
    これから娯楽や新しい文化的な事も投入していく、既に"リバーシ"を投入してるでしょ。

(アイルトン子爵家次女 セリナ)
      あれは凄い人気です。しかも街ごとにデザインが違う。皆んな集めてますよ!
      オーダーメイドも受け付けているので、いかに違いを見せるかを競ってますね。
      もはや社交界では必需品、あれを持ってないとお付き合いにまで影響が出ます。

(なぎさ)売れ行きはどうなんだろう?

(セリナ開拓部隊大隊長 カイル)
      貴族達は入手困難な為、価格は高騰しています。売値の何倍払ってもいいから手に入れたいと。
      庶民は入手しやすいと聞きました。なぎさ様の意向だと聞いています。
      庶民は大喜びです。かなり安価で手に入れる事が出来ると。
      もはや一大ブームですよ。
      普及すれば、大会開催も考えているとの情報から、暇さえあればやってますね。
      ただ、仕事を疎かにすれば、供給を止め、大会も開催しないとの噂で、
      皆、仕事に励んでおりますね。
      早くも模造品が出てますが、ギルドの監視と模造品購入者には、
      今後如何なるイベントにも参加出来ないとの噂から、購入する者は極一部ですね。
      巧妙な仕掛けがあり、すぐバレますし。
      例外として、購入して、通報した者には、賞金も出るという事から、
      監視の目はかなり厳しく、悪徳業者もなかなか手が出せない状況ですね。
      貴族に関してはありえないですね。
      分かった途端に社交界で晒し者ですから、誰も手を出しません。
      例の"中立派"ですら、相手にしませんから。
              
(なぎさ)それは良かった。

(アイルトン子爵家次女 セリナ)
      私もやっと手に入れたんです。王都仕様ですが。
      友人はまだだったりしますから、自慢の種です。
      オーダーメイドを買えた友人もいるので、私もオーダーメイドを考えています。

(なぎさ)どうぞ、ご贔屓に(笑)
    で、ここからは商売の話だけど……

(アイルトン子爵家次女 セリナ)
      だけど?

(なぎさ)ここ、新領地だよね?

(アイルトン子爵家次女 セリナ)
      はい。

(なぎさ)作っていいよ?リバーシ。

(アイルトン子爵家次女 セリナ)
      へっ?……えっ?……ええぇ~!!!
      良いのですか?作っても!!(嬉)

(なぎさ)独自色、大歓迎。
    条件は、売り上げの20%を権利料として払うこと。
    20%の中から5%はギルドへの協力金として支払うから、誤魔化したら知らないよ(笑)
    商人への手数料は知らないけど、バカじゃなければ考えるんじゃない?

(アイルトン子爵家次女 セリナ)
      は、はいっ!絶対誤魔化しません!
      しかし、そうすると、領地収入が凄い事になるかもしれません(喜)

(なぎさ)信頼と実績が出来れば、また新しいを投入する時には連絡する。
   
(アイルトン子爵家次女 セリナ)
      やったぁ~!!絶対期待に応えてみせます!
      それと、ひとつお願いがあるのですが……

(なぎさ)何?

(アイルトン子爵家次女 セリナ)
      王都で話題の"本喫茶"。あれを出したいんですけど……

(なぎさ)出したい?出して欲しいじゃなくて。

(アイルトン子爵家次女 セリナ)
      はい!是非とも私たちで!

(なぎさ)辞めとけ。

(アイルトン子爵家次女 セリナ)
      なんでですか!

(なぎさ)あれは、ボクらの直営店。一貴族に許可すると、我々も!となる。
    それに、従業員の給金、待遇、利用料、サービスの質まで厳しく決めてある。
    何処に出しても"同じ条件"とね。
    これは我々の信用にも関わる。
    それだけに系列契約したいなら、売り上げの90%と設定してある。とても割に合わない。
    ノブレス・オブリージュでやるならともかく、大赤字になるよ?
    我々から"信用を買う"という事になるんだから、それだけの覚悟と代償は必要。
    しかも、どうやっても大赤字になるようにしてある。
    それとも、我々の信用って、そんなに安いの?

(アイルトン子爵家次女 セリナ)
      と、とんでもございません。
      なら、出してもらうことは……

(なぎさ)充分な需要があれば考えるよ。

(アイルトン子爵家次女 セリナ)
      やったぁ~!!

(セリナ開拓部隊大隊長 カイル)
      私たち、本喫茶の大ファンなんです!
      時間とお金があれば、行かない日は無いって言っても良いぐらいです。

(アイルトン子爵家次女 セリナ)
      あのせつない、騎士団長と一騎士の身分を超えた男同士の恋物語、もうキュンキュンします♡

(セリナ開拓部隊大隊長 カイル)
      私は、貴族のお嬢様とメイドの百合の恋が、もうたまんなくて♡

(なぎさ)さ、さいですか……

(アイルトン子爵家次女 セリナ)
      最新刊はまだですか?

(なぎさ)作者に聞け。まぁ、最新刊が出れば、届く事になっているけどね。

(セリナ&カイル)やったぁ~!!
 
(なぎさ)王都まで遠いから、がんばれ(笑顔)

(セリナ&カイル)えっ?

(アイルトン子爵家次女 セリナ)
      そ、そんなぁ(絶叫)

(セリナ開拓部隊大隊長 カイル)
      なんとかならないですか?なぎさ様。

(なぎさ)ゲート、と思ったんだろうけど、それはなぁ。
    第一、女王様の許可が要る。
    直轄地といえど、軍事上の問題もある。
    ここからの輸送に期待している冒険者や辻馬車も居る。
    その人達の生活もかかってるからね。

(セリナ開拓部隊大隊長 カイル)
      ううっ、たしかに……

(なぎさ)これからここに住む領民の事もある。

(アイルトン子爵家次女 セリナ)
      そう、でした。ごめんなさい。

(なぎさ)だから、需要が見込めるなら出そう、本喫茶。
    雇用創出にもなるし。
    あくまで需要が見込めたらね。

(アイルトン子爵家次女 セリナ)
      やったぁ~!!絶対見込めます。あれだけ人気なんです。
      更なる出店の嘆願があると聞いてますし。
      領民も喜びます(嬉)

(なぎさ)まぁ、それで領地の税収を稼いでくれ。

(アイルトン子爵家次女 セリナ)
      でもなぎさ様方の事業は……

(なぎさ)あぁ、しかし従業員の消費は別だろ?その為に給金を高く設定してるんだから。

(セリナ開拓部隊大隊長 カイル)
      なるほど!!

(なぎさ)後、なりきりイベントも考えてる。
    "貴方も物語の好きな人になってみませんか?"
    ってね。いわゆる、その衣装を着てのお茶会みたいなものだよ。
    最初はこちらの衣装を買うだろうが、どんどんハマっていくと……

(セリナ開拓部隊大隊長 カイル)
      自分オリジナルの衣装を着たくなる!

(なぎさ)条件はよく似ている。
    売り上げの10%はこちらに、その中の5%はギルドへの協力金。
    作者には売り上げの10%が取り分。
    作者もやる気出して、色々な登場人物の衣装を描くと儲かる。限度があるけど。
    オリジナルに関しては、個人なら不要、好きなだけやっちゃって。
    工房レベルで作り出すと、売り上げの5%だが、共同購入の権利がつく。
    まとめ買いだから、材料費も安くなるって感じ。
    衣装だけでなく、グッズ、オリジナル本も作者が許可すれば可。
    完全オリジナルなら、売る量で規制をかける。あまりに少ないなら、タダで良いやってな。
    まぁ、紙が高いから、本格的にやらないと厳しいと思うけどね。出来ても趣味程度だろう。

(猫人族 ユナ・パトリエット)
      思わぬ新人が出てくるかも!

(なぎさ)そう、それ。

(セリナ開拓部隊大隊長 カイル)
      良いパトロンに出会えたら、夢でもない!

(なぎさ)パトロンはギルドとみなす、としてあるから、無茶な事は出来んでしょ。
    その代わり、本の代金は自由に決めて良いとしてあるから。

(アイルトン子爵家次女 セリナ)
      という事は、正規本となると、売り上げの20%がなぎさ様、その中の5%がギルド。
      残りの利益は作者だけど、パトロンが居ると、その中の5%はパトロンの取り分。
      これ、かなりの金額になりません?

(セリナ開拓部隊大隊長 カイル)
      これなら文句は言わないどころか、音楽家や画家並みに人気が出ます。
      文化系貴族の嗜みになる。

(なぎさ)それだけにくれぐれも税には気をつけろよ。

(アイルトン子爵家次女 セリナ)
      ええ、王都に揃えます。あの賑わいをみたら当然ですよ。

(なぎさ)んじゃ、行こうか。

(一同)はいっ!


 皆でクレハに行き、甘味を堪能して帰りにつく。

(シア)今日も美味しかったです(笑顔)

(レム)やっぱりクレハが最高ですよ(笑顔)

(猫人族 ユナ・パトリエット)
      今日はオレンジの果実水と桃のタルト、りんごのパイでしたからね。

(なぎさ)りんごのパイ、好きなんだよねぇ~。しかし、あれは美味しかった。毎日食べたいぐらいやな(笑顔)

(猫人族 ユナ・パトリエット)
      そんなに気に入りました?取り寄せましょうか?

(なぎさ)いや、そういう訳にもいかんでしょ。また楽しみにしてる。

(猫人族 ユナ・パトリエット)
      クレハに言ったら喜びますわ(笑顔)

(アイルトン子爵家次女 セリナ)
      また、是非!

(セリナ開拓部隊大隊長 カイル)
      よろしくお願いします!

(なぎさ)・・・・(冷たい目)

(アイルトン子爵家次女 セリナ)
      い、良いじゃないですか!泣きますよ、泣いちゃいますよ(半泣)

(セリナ開拓部隊大隊長 カイル)
      毎日足舐めますから、お願いします(涙目)

(シア)ぶっ!もう、イジメですよ。

(レム)もう誘ってあげましょう(ぶっ!)

(なぎさ)じゃあ、ユナが許可したらにしよう。勝手に行き来したり、許可なく他の人達を連れて来られたら迷惑でしょ。
    しかも問題起こさないとは限らないし。

(アイルトン子爵家次女 セリナ)
      絶対無いです。しっかり人を選びます。友達といえど厳選します。

(セリナ開拓部隊大隊長 カイル)
      大丈夫です!任せてください!やらかした輩は私が引きずり戻して叩き斬ります!

(なぎさ)小競り合いや不快な発言、態度でも?

(セリナ&カイル)もちろんです!

(アイルトン子爵家次女 セリナ)
      必ず私たちが同伴しますから。

(なぎさ)どうする?ユナ?

(猫人族 ユナ・パトリエット)
      そ、そこまで言われるなら……私も必ず同行しますから。

(なぎさ)じゃあ、ユナに迷惑をかけずに、無理を言わないなら。

(セリナ&カイル)はいっ!

(ナジヌ・タニア)だから、アンタはどっちの種族なんだよ!

(なぎさ)分からん。人族では無いな(笑顔)

(豹人族 シズク・アストラ)
      もはや怨念じゃない。

(蛇人族 クレ・オスマヤヒ)
      まぁ、なぎさ様は他の世界から来られたからと言えば……

(蛇人族 マラ・オスマヤヒ)
      この世界の人族ではないですね。

(レム)それを言っちゃうと……

(シア)私たちも数百、数千年前に封印されたのに復活した面々だから、普通じゃないですよね。

(アイルトン子爵家次女 セリナ)
      そう……なんですね……(遠い目)

(セリナ開拓部隊大隊長 カイル)
      ・・・(遠い目)


 ゲートで穀倉地帯に戻ってくる。

(なぎさ)これからの予定は?

(猫人族 ユナ・パトリエット)
      交代ですね。私とアナ、クレ、マラが残ります。

(熊人族 ナジヌ・タニア)
      じゃあ、オレとシズク、タニラが向こうだな。

(なぎさ)あっちも大体終わってるけど、どうする?

(シア)ですよねぇ~。移住もどんどん進んでますし。

(レム)何か予定、あります?

(なぎさ)そろそろ王都に"自転車"を投入しようかと思ってるんよ。

(レム)あっ!あれですね!メイドの人達は喜びそうですよね。

(アイルトン子爵家次女 セリナ)
      えっ?なんです?その"自転車"とは。

(なぎさ)内緒。

(アイルトン子爵家次女 セリナ)
      ええぇぇぇっ(涙目)
 
(なぎさ)まだ完成してないでしょ。今投入するのは危ないよ。もうちょっと落ち着いてからやね。

(セリナ開拓部隊大隊長 カイル)
      なるほど、では、開拓が落ち着けば。

(なぎさ)もちろん。ただ、だからっていい加減にしたり、無茶なスケジュールでやったら、しないからね。

(アイルトン子爵家次女 セリナ)
      もちろん、分かってます。なぎさ様が一番嫌うことですから。

(なぎさ)じゃあ、落ち着いたら連絡して。


 そう言うと、なぎさ達は王都に戻った。
 ただ、やはりというか、分割地区より広大な領地になる
 旧サンタナ帝国、旧エレノア共和国は遅れており、
 そこを担当している、雫三姉妹、ユエ、シランはまだ戻れないでいる。

(なぎさ)ちょっとユエに相談してくる。


 そう言うと、なぎさは旧エレノア共和国へ行った。

(なぎさ)ユエ、どんな感じ?

(ユエ)そうねぇ、今林業に取り掛かりかけたとこ。
   他は順調に進んでいるから、もう少しね。
   その後は確認したら、とりあえずのメドは立つわ。

(なぎさ)こっちは後任せる状態なんで、王都に帰還した。
    これから王都に"自転車"を投入しようかと思ってるけど、どうかな?

(ユエ)いいんじゃない。ひと月程休んでからなら。

(なぎさ)そうやねぇ~、そうしようかな。

(ユエ)ヤケに素直ねぇ~。かなり疲れたんでしょ(笑)

(なぎさ)それもある。それと、休んでいいなら、フェアベルゲンに行く(ニヤリ)

(ユエ)はぁ~(ため息)

(なぎさ)違うよ。フェアベルゲンにある甘味処がめちゃくちゃ美味しいんやよ。
    "甘味処クレハ"って、そりゃもう最高!
    新領主居たでしょ(笑)

(ユエ)あぁ、なぎさがかなり虐めた人ね(笑)

(なぎさ)おい(笑)

(ユエ)いやぁ~、かなりの噂になってるから(笑)
   特に共同墓地の件は、王都でも、特に社交界では知らない人は居ないってほど知れ渡ってるからねぇ(笑)
   皆んな思い当たるだけに、戦々恐々としてるって情報が入っているよ(ニヤリ)
   "なぎさ様は我々人族に対して怨念と言っても過言は無い程の恨みを持っている。
   それだけに、いつでも容赦無く切り捨てるんじゃないか?異世界から来た人族と言うが、
   その世界で一体どんな目にあわされてきたんだ?"
   ってね(笑顔)

(なぎさ)わぁ~、良い笑顔(笑)

(ユエ)これでより一層、バカ貴族は寄りつかなくなる。良いんじゃない。
   "すり寄る"よりも"一定の距離を保つ"の方が良いって話が広まってるから。

(なぎさ)も、もう広まってるん?

(ユエ)社交界の情報の早さ、舐めたらダメよ(笑)

(なぎさ)あはは。で、話を戻して。

(ユエ)なぎさが虐めた貴族の事ね(笑)たしかセリナとか言ったかしら。

(なぎさ)ぬおぉぉぉっ!(涙目)

(ユエ)で、そのお嬢様がどうしたの?

(なぎさ)王都や貴族のパーティーでも、こんなに美味しい甘味を食べたことが無い。
    こんなの知ったら、今までのはゴミだ。ってさ(笑)

(ユエ)ご、ゴミ?!

(なぎさ)お付きの護衛隊長も甘味好きで、王都は制覇したが、私は今まで生ゴミ食べて満足してたのか……
    って、遠い目してたしなぁ(爆笑)

(ユエ)王都の菓子職人、泣くよ(大爆笑)

(なぎさ)レムも大喜び、完全にファンになってる。
    今度行こう。何人まで一緒に行けるか、ユナに聞いとくから。

(ユエ)それは楽しみねぇ(嬉)
   でも、そんなの知ったら、他の貴族達が押しかけるんじゃない?

(なぎさ)そこはセリナが厳選するってさ。ちょっとでも不祥事起こしたら、
    護衛隊長が引きずり戻して叩き斬るって。
    それと、必ずユナ同伴で、ユナには無理は言わないってさ。
    まぁ、何かやってくれたら閉鎖するし、ソイツら潰せば良い(笑顔)

(ユエ)わぁ~、凄い良い笑顔(大爆笑)

(なぎさ)じゃ、王都に戻って予定立てるね。

(ユエ)ええ。しかし、ひと月休みでフェアベルゲンねぇ……どうせ、入り浸るでしょ、その甘味処クレハに(冷たい目)

(なぎさ)持ち帰りが出来ないか聞いてみるよ。でも、やっぱ作り立てだろうなぁ(よだれ)

(ユエ)ハイハイ、よだれ拭いて(笑)まぁ、差し入れ楽しみにしてるわ。可能ならね。

(なぎさ)了解っす。


 そう言うとゲートで王都に戻り、ユエとの話を伝える。
 ユナが来ていた。

(シア)だと思ってました。ひと月休んでから投入ですね。

(なぎさ)あぁ、その計画やよ。

(レム)その間はフェアベルゲンで休息(笑顔)

(なぎさ)その予定、ユナが迷惑で無ければ(笑顔)

(熊人族 ナジヌ・タニア)
      クレハだろ!甘味処クレハ!それが目的だろ!

(なぎさ)ええぇ~っ?(よだれ)

(豹人族 シズク・アストラ)
      よだれ垂らしてる時点でそれしかないわ(笑)

(なぎさ)いや、ユナに迷惑はかけられないから(よだれ)

(猫人族 ユナ・パトリエット)
      あはは、大丈夫ですよ。ヤマノも喜びます(笑)

(なぎさ)ちなみに、持ち帰りとかは……

(猫人族 ユナ・パトリエット)
      大丈夫ですよ、奥方様方の分ですね(笑)

(なぎさ)この件が終わったら、行きたいって言ってるけど、一度に何人まで大丈夫です?

(ユナ・パトリエット)20人までなら大丈夫です。前もって予約するなら、50人まで大丈夫ですよ(笑)
          あれなら、なぎさ様に関わる方達もご招待しては?

(なぎさ)いや、それは危ないかと。

(猫人族 ユナ・パトリエット)
      大丈夫ですよ、なぎさ様方が居ます。
      それになぎさ様に恥をかかそうもなら(ニヤリ)

(レム)ハイリヒが黙っちゃいない。

(猫人族 ユナ・パトリエット)
      それに、社交界での噂を聞きましたよ?ライム様から(ニヤリ)

(なぎさ)あははは(汗)

(猫人族 ユナ・パトリエット)
       私たちも王都に行きますから、ゲートを使えば持ち帰りのみで売る事が出来ます。
       この際、それもアリかと考えていますし、ヤマノとも相談しています。
       数量限定にすれば問題無いですし、材料が増産出来れば更に増やす事が出来ます。

(なぎさ)なるほど、分かりました。誘ってみます。

(猫人族 ユナ・パトリエット)
      ご贔屓に(ニヤリ)

(熊人族 ナジヌ・タニア)
      流石ユナだな(ニヤリ)

(豹人族 シズク・アストラ)
      商売人よねぇ~(ニヤリ)

(犬人族 タニラ・ストラス)
      抜け目無いです(ニヤリ)

(猫人族 ユナ・パトリエット)
      わ、悪い??

(熊人族 ナジヌ・タニア)
      いや、逞しくていいんじゃね。オレのアソコぐらいに(爆笑)

(豹人族 シズク・アストラ)
      アンタ馬鹿ぁ~?!今、無いでしょ(爆笑)

(なぎさ)あっ!そうだ、どうしたん?ユナ。

(猫人族 ユナ・パトリエット)
      あっ!そうでした。なぎさ様が言われていた"自転車"という物を見てみたくて。
      以前"メイド達が主なターゲット、買い物とかが楽になる"と言われていたので、
      穀倉地帯で使えないか?という話がありまして。

(なぎさ)分かった、早速見てもらおう。

(猫人族 ユナ・パトリエット)
      即答?!

(なぎさ)えっ?

(熊人族 ナジヌ・タニア)
      だから……いや何でもない(遠い目)

(豹人族 シズク・アストラ)
      アンタ、いつまで言ってんの?(ため息)

(犬人族 タニラ・ストラス)
      そうですよ、なぎさ様はなぎさ様です。

(なぎさ)??




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