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第十九章
「学校祭」
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前期中間テストが終わり、テストが次々と返ってきた翌日の午後。
「ハァ~~……」
返ってきた数学のテスト用紙を見て大きなため息をついた良。
八十二点。高校に入って初めてのテストがこんな微妙な点数で良いものか……。小学生の頃から、理数系の科目は得意ではなかった。自分の脳は完全に文系なのだと早々に理数系=苦手科目と位置づけてしまった。
「柊真、数学どうだった? 」
隣の席に座っている柊真に問うと、柊真は満足気に笑ってピースサインをする。
「そっかぁ~……」
柊真の得意科目は理数系だといつか聞いたことがあった。良としては羨ましい限りである。
テスト用紙をファイルに仕舞い、六時限目の教科を確認すると、良は首を傾げた。
「LHR、なにするんだろ……」
週に一回は必ず入っているLHR。今日は一体なにを話すのか。
良は何気にLHRが好きだった。通常の授業をするでもなく、行事等について話し合う時間が好きだったのだ。
何気なく心躍る気持ちになっていると、十分の休憩時間はあっという間に過ぎ、休憩時間終了のチャイムが鳴った。
「今日は、一ヶ月後にある学校祭について話し合いをしたいと思います。今日は学校祭の流れについて説明していきます。一通り説明をしてから質問等を受け付けますので最後まで聞いてください」
教壇に立つ浅間はそう言って説明を始める。
学校祭は二日間続けて行われる。
一日目は、クラスで作った動画を体育館のスクリーンに映して発表する「ステージ発表」の後、それぞれのクラスの「ダンス発表」を終えて終了。
二日目は、午前九時から午後三時まで各クラスでの「出店」の後、午後三時半から「ダンス発表の表彰式」の後に生徒会による「フィナーレ」で終了となる。
「……」
浅間の説明を聞いた良は、机の上に置いた自身の震える手をもう一方の手で押さえた。
自分はダンス発表に出場することはできない。クラスに迷惑をかけてしまう。それどころか、クラスメイトになにかを言われるのではないかと不安だった。
「では、説明は以上になります。なにか質問等ありませんか?」
浅間の言葉に、良が震える手を挙げようとしたとき、教室の一番前の席に座っていた洋介が手を挙げる。浅間が指名すると、洋介は挙げていた手を降ろして一瞬、良のほうを見る。
「ダンスって、小野寺はどうなるんですか?」
洋介の問いは、クラス全体の視線を良に集めた。しかし、洋介は立ち上がって言う。
「おい、別に俺は小野寺を迷惑だなんて言った訳じゃねえ。なんとか小野寺をダンス発表に出したいって言いてぇんだ。あんま見てやんな」
乱暴な言い回しだが、洋介は良をダンス発表に出場させたいだけだった。
西岡との一件があってから、洋介は確実に変わった。休憩時間や放課後などに話しかけてくれたり、困ったことはないかと聞いてくれたり。あのあと西岡は一週間の停学処分を受けたらしいが、あの一件があったお陰で良は洋介とのわだかまりを解くことができたと思っている。
良は座った洋介を見て、密かに心の中で礼を言った。
放課後。良と柊真はいつものように親の迎えを待って図書室にいた。
"良のペンネームの「良縁」って、なにか由来があるの?"
柊真の突然の問いに、良は一瞬問いの意味を計りかねて首を傾げたが、「あぁ」と言って説明した。
「そんなに凝った由来があるわけじゃないよ。自分が小説を書く上で、他の作者さんや読者さんと良い縁に恵まれますようにってゆう願掛け」
小説を誰かに読んでほしい。しかし、身近な人に読んでもらうのは恥ずかしい。そんな思いから始めた小説投稿だが、感想や意見を貰えたとき、「お気に入り追加」をされたときは、飛び上がりたくなるほど嬉しかった。
楽しそうに話す良を柊真は嬉しそうに見ていた。
第十九章 終
「ハァ~~……」
返ってきた数学のテスト用紙を見て大きなため息をついた良。
八十二点。高校に入って初めてのテストがこんな微妙な点数で良いものか……。小学生の頃から、理数系の科目は得意ではなかった。自分の脳は完全に文系なのだと早々に理数系=苦手科目と位置づけてしまった。
「柊真、数学どうだった? 」
隣の席に座っている柊真に問うと、柊真は満足気に笑ってピースサインをする。
「そっかぁ~……」
柊真の得意科目は理数系だといつか聞いたことがあった。良としては羨ましい限りである。
テスト用紙をファイルに仕舞い、六時限目の教科を確認すると、良は首を傾げた。
「LHR、なにするんだろ……」
週に一回は必ず入っているLHR。今日は一体なにを話すのか。
良は何気にLHRが好きだった。通常の授業をするでもなく、行事等について話し合う時間が好きだったのだ。
何気なく心躍る気持ちになっていると、十分の休憩時間はあっという間に過ぎ、休憩時間終了のチャイムが鳴った。
「今日は、一ヶ月後にある学校祭について話し合いをしたいと思います。今日は学校祭の流れについて説明していきます。一通り説明をしてから質問等を受け付けますので最後まで聞いてください」
教壇に立つ浅間はそう言って説明を始める。
学校祭は二日間続けて行われる。
一日目は、クラスで作った動画を体育館のスクリーンに映して発表する「ステージ発表」の後、それぞれのクラスの「ダンス発表」を終えて終了。
二日目は、午前九時から午後三時まで各クラスでの「出店」の後、午後三時半から「ダンス発表の表彰式」の後に生徒会による「フィナーレ」で終了となる。
「……」
浅間の説明を聞いた良は、机の上に置いた自身の震える手をもう一方の手で押さえた。
自分はダンス発表に出場することはできない。クラスに迷惑をかけてしまう。それどころか、クラスメイトになにかを言われるのではないかと不安だった。
「では、説明は以上になります。なにか質問等ありませんか?」
浅間の言葉に、良が震える手を挙げようとしたとき、教室の一番前の席に座っていた洋介が手を挙げる。浅間が指名すると、洋介は挙げていた手を降ろして一瞬、良のほうを見る。
「ダンスって、小野寺はどうなるんですか?」
洋介の問いは、クラス全体の視線を良に集めた。しかし、洋介は立ち上がって言う。
「おい、別に俺は小野寺を迷惑だなんて言った訳じゃねえ。なんとか小野寺をダンス発表に出したいって言いてぇんだ。あんま見てやんな」
乱暴な言い回しだが、洋介は良をダンス発表に出場させたいだけだった。
西岡との一件があってから、洋介は確実に変わった。休憩時間や放課後などに話しかけてくれたり、困ったことはないかと聞いてくれたり。あのあと西岡は一週間の停学処分を受けたらしいが、あの一件があったお陰で良は洋介とのわだかまりを解くことができたと思っている。
良は座った洋介を見て、密かに心の中で礼を言った。
放課後。良と柊真はいつものように親の迎えを待って図書室にいた。
"良のペンネームの「良縁」って、なにか由来があるの?"
柊真の突然の問いに、良は一瞬問いの意味を計りかねて首を傾げたが、「あぁ」と言って説明した。
「そんなに凝った由来があるわけじゃないよ。自分が小説を書く上で、他の作者さんや読者さんと良い縁に恵まれますようにってゆう願掛け」
小説を誰かに読んでほしい。しかし、身近な人に読んでもらうのは恥ずかしい。そんな思いから始めた小説投稿だが、感想や意見を貰えたとき、「お気に入り追加」をされたときは、飛び上がりたくなるほど嬉しかった。
楽しそうに話す良を柊真は嬉しそうに見ていた。
第十九章 終
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