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1192作ろう鎌倉幕府
しおりを挟む二人で教室に帰っていた時、照がやってきました。姫路が怪我をしたという話を聞いたのでしょうか。
「あっ、良かったりあ!ここに居たんだね!……どうして六寺路さんも一緒にいるの?」
そういえば、照には警戒されていたのでした。追求される前に離れようとしたら、照に腕を掴まれそうになり、思わずサッと身を引きました。
間一髪間に合わず、指先だけ触れられてしまい、念入りに服で拭います。
「そんなにしつこく指を拭かれるほど、僕きみに何かした覚えはないんだけど」
照は、私の指先を見ながら聞いてきます。
照と同じように、すみこさんも、私の行動に目を見張っておりました。またもや、信じられない、という目で見られます。
いきなり触られようとしたら、逃げるのは普通ではないですか?お手洗い後に手を洗ったという保証もないですし。もしも照が手を洗わない人だったらと考えたら怖くありませんか?
「僕、六寺路さんに嫌われてしまったかな?朝はごめんね。りあを大切に思うがあまりのことなんだ」
照の上っ面の謝罪、聞いているだけでぞわぞわします。私は昔からこの幼馴染が嫌いでした。
ストーカーじみた気持ちの悪い幼馴染に、寝癖があると言われながら、毎朝頭を撫でられ、夜は断っても断っても毎日会いたいと言われ、母は私が嫌がっていることに気付きながら体裁を気にして放置。
あんな地獄を続けるのなら、多少いじめられようが、自由であるすみこさんの体で生きていく方がマシです。
「仲直りの握手をしよう」
「結構です」
すみこさんは、また私のことを頭がおかしい、という目で見てきますが、何に触れたか分からない汚物まみれの手を、平気で差し出してくる照の方がおかしいでしょう。
「そう言わずに」
と言ってくる照に掌底をお見舞いしました。
「ぐえ」と、照の汚いダメージボイスが聞こえてきます。
照は衝撃で気絶してしまいました。情けない白目です。スマホを持っていたら、百枚くらいは撮っていたかもしれません。
「あんた、何してんの!?大変、救急車呼ばなきゃ」
スマホを取り出して119を押そうとするすみこさんのスマホを奪い、照の白目写真を色んな角度から撮ります。
「な、何してんのよ!返してよ!」
「というかあなた、いつの間に私のスマホの暗証番号を解除したのですか?」
「え……4桁の番号を順番に押していって……。0000から……」
「暇すぎません?」
1192作ろう鎌倉幕府で登録していたから良いものを、もし私が9千番台で登録していたら、どうなっていたことか。
「そしてあなたは安直すぎます。まさか、暗証番号に自分の誕生日を設定しているだなんて」
「あんただって解除してるじゃんかよ!」
すみこさんのスマホ宛に、照の白目写真を送ってから、返してあげました。
「救急車を呼ぶ前に、保健室に連れて行ったらどうですか?勝手に呼んだら大変なことになりますよ」
「私一人で?あんたは手伝ってくれないの?」
「私はこれから用事があるので。あなた彼の幼馴染でしょう?文句を言わずに行きなさいな」
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