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第一楽章 憑依

第十四話 迫り来る危機

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 食のストリートについた俺達は、とにかく美味しそうなものを次々に買って食べていった。
 結局、この日の昼食でかかった食事代はなんと3500ミルだった。
 4分の3ぐらいはソニアだったんだがな。
 あと、カバンを1000ミルで買った。
 今日の俺は荷物持ちだからだ。
 病みあがりってことで、少しでも負担を軽くした方がいいというソニアの案だ。
 そのまま俺達はダンジョンに向かった。
 今日はいつもより人が少なかった。
 最近、定期的に地下15階ぐらいに特殊個体の魔物が生まれるらしい。
 こいつはかなり強く、上位の冒険者が派遣され、討伐するそうだ。
 発生しても、すぐに対処するので上にはあがってこないが、もしもの事があるかもしれないってことで、探索しない人が多いそうだ。
 まぁ大丈夫だろ、ソニアもいるしな。

 ▶▶▶▶▶

 やっぱり地下1階は様々な色の蛙しかいなかった。
 ソニアは圧倒的な力で蛙を倒していく。
 さっき聞いたのだが、蛙は魔石と目が売れるそうだ。
 カバンがどんどん気持ち悪くなっていく。
 もうカバン見たくねぇよ。
 10体ほど倒したところで下への階段を見つけた。

「どうしますか?」

 んーどうしようか。
 多分戦力的にはいけると思う。
 だが何事にもイレギュラーということもあるし、何より病みあがりの俺という足手まといがいる。
 んー。

「入ってすぐの所で戦おう。まだどんな魔物が出るかわからない。なにかあったらすぐに上がれるようにな」
「そうですね。それがいいと思います」

 俺は腰にある剣に手をかける。
 地下2階は少し暗くなっていた。
 光が入りづらいからだろう。
 すると左の方からカサっという音がした。
 暗くてよく見えないが、緑っぽい何かがいた。
 そいつは体長50cmぐらいだった。

「グギャ!グギャギャギャギャ」

 奇怪な声をあげながら、俺達の方に向かってきた。

「【風の刃ウィンドカッター】」

 そう言うと、風の刃が凄まじい速度で飛んでいった。
 そのままそいつの首を飛ばした。

「グ、ギャ」

 近づくと、薄汚れていて少し臭かった。
 ああ、こいつはファンタジーで有名なゴブリンって奴だ。
 ゴブリンって何体かで集まっているイメージだけど……

「「グギャ」」

 やっぱりな。
 ゴブリンが2体ほどいた。
 知能が低いためか、連携はしてこなかった。
 2体が襲いかかってきたところを、ソニアが回し蹴りで壁にめり込ませた。
 やっぱすごい威力だな。
 ソニアに壁にめり込んだゴブリンを回収してもらって、俺は魔石を取った。
 流石にゴブリンの目をくり抜くのは、気持ち後悪かったのでやめた。

 ▶▶▶▶▶

 俺達は階段の周辺をしばらく探索した。
 その間、俺達は何も起こらなかった。
 これだけ聞くといい事だが、ここはダンジョンだ。
 何も無いということは、何かが起こっているということだ。

「ソニア、ここはおかしい。早く上に戻るぞ」

 俺達は走ろうとした。
 コツっコツっ
 奥の方からハイヒールの音がした。
 ダンジョンにそんなものを履いてくるやつは、かなり腕に自信のあるやつか……それとも……
 コツっコツっ
 俺の心臓の鼓動も早くなっていく。
 コツっコツっ
 だんだん音が大きくなっていく。
 突然音が止んだ。
 これまで音のなっていた方に目を向ける。
 一人の女が立っていた。
 体にぴったりとあった、真っ赤な服を着ている女だ。

「ふふふっ。やっと、やっと見つけたわ。最後のピースをね」

 俺はその女に恐怖しか感じなかった。
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