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第一楽章 憑依

第七話 道具屋

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「それでいまからどうしますか?」
「んーさすがになんの装備もなしにダンジョン潜れないな。ほらソニアはいいとしても俺は一般人ステータスだから即死がありえるんだよ。それにポーションとかいるだろ」
「ポーションは古いですよ。今は回復薬ですよ」

 んっ?
 ポーションと回復薬ってなんか違うのか?

「どう違うんだ?」
「えっとですね。私もあまり詳しいことは知らないのですが、ある特殊な鉱石があって、それに何かしらの液体がかかると内部に溜め込んで、長い時間をかけて抽出されるのがポーションです。それに比べて回復薬は、何種類かの薬草などを組み合わせて煎じ、それを魔力を練り込んで作るんです。回復薬は魔力を練り込んでるので回復量が大きいらしいです」

 その鉱石ってやつ作れないかな。
 俺、生産のスキル持ってるし。
 まぁ、まだどんなスキルかは判らないけどな。

「へぇー説明ありがとうな」
「いえいえ、これぐらい当然ですよ」
「じゃあ取り敢えず道具屋に行こうか」
「はい!」

 ▶▶▶▶▶

 あれ?
 またこの道か?
 さっきもきたな。
 もう10分程度歩いてるのに景色が変わらない。
 理由は1つしかないだろう。

「キ、キラさん、私達ってまさか」
「ああ、そのまさかだ。俺達は迷ったんだ」

 どうしよう。
 これじゃあ一生たどり着かないぞ。

「あっ……」
「んっ? どうしたんだ?」
「冒険者ギルドの方に地図があったと思います。。私達の次の人が地図を貰ってたんですよ」
「ナイスだ、ソニア。早速ギルドに戻るぞ」
「はい!」

 あれ?
 そういえば冒険者ギルドに入るとき、俺が払ってなかったっけ。

「なぁソニア。冒険者ギルドの入会金、なんで俺が払ったんだ?」
「えっ……そ、それは。ま、まぁ、いいじゃないですか」

 顔を真っ赤にしながらギルドの方に走っていった。
 そういうところも可愛いな。
 俺もソニアの後を追っかけて走った。

 ▶▶▶▶▶

 冒険者ギルドにつくと何人かの列ができていた。
 そろそろ昼になるので、人が増えてきているのか。
 何分か待つと俺達の番になった。

「今日はどのような、あっキラさんですか。どうしたのですか」
「ああ、地図を貰おうと思ってな」
「それでしたら少々お待ちください」

 ステータスプレートが入っていた棚から地図らしき紙を持ってきた。

「これが地図です」
「ありがとう」

 そう言って俺達はギルドを出た。
 早速地図を確認する。
 道具屋っ道具屋っと。
 えっ?
 嘘だろ?
 いや、嘘だといってくれ。
 道具屋は、まさかのギルドの横だった。

「あの、キラさん」
「わかってる」

 はぁ。
 でも過ぎたことだしな。
 過ぎたことを悩まない、そうそれがいい。

「じゃあ入るか」

 重厚な扉を開けると、いかにも薬作ってますよ感満載の、おばさんがいた。

「何がいるんだい」

 急に聞いてきた。
 ソニアは怯えてしまっている。

「回復薬を6個くれ」

 そう言うとおばさんは青色の液体を渡してきた。

「下級回復薬、6個で1200ミルだよ」

 俺は1200ミルを渡した。

「あんたらはダンジョンに潜るんだろう?」
「ああ、そうだが。それがどうかしたのか」
「最近、冒険者狩りという奴が出てきているらしい。せいぜい注意するんだね」
「分かった。忠告ありがとう」

 扉を開けて店を出た。

 ▶▶▶▶▶

「あの娘がストッパーか。今はまだまだだが、成長すればなんとかなるかもしれないねぇ。それにはあのボーヤにはがんばってもらわないとねぇ。ヒッヒッヒッ」

 道具屋の老婆の声が聞こえたものは誰もいなかった。
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