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第十一章 証と絆
第517話 一応私も女の子だし……
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大きさ自体は朝美のとほぼ同じぐらいなのだが、カーラの方が少し硬く筋肉質と言った印象を受ける。これはたぶん、彼女の戦闘スタイルが己の肉体を酷使する格闘技であることも影響しているのだろう。
挟まれたことで認識してしまったが、こんな大きな物を二つも揺らしながら戦うとか実にけしからん……というのは冗談として、大変なんだろうな。
拳一本で戦う格闘家にとってスピードは命だ。余計な重さはそれを鈍らせ、増えた面積は被弾の確率を確実に上昇させる。
特に彼女の場合、筋肉のおかげか張りがあって前に突き出しているような形状をしており……こんな綺麗な夢の膨らみが戦いによって傷つけられないだろうかと、突然心配になってきた。
「と、トオル? 大丈夫? 落ち着い……た?」
カーラに胸を押し当てられて彼女の魅力を再確認していると、不安そうに彼女が声をかけてくる。
痛みはほぼ無くなったが、彼女からしてみれば顔も見えない俺がどういう状態かわからないだろうからな。とにかく、冷静に返事をしないと。
(!? あ、ああ。大丈夫、落ち着いた)
「良かった……だけどあんた、その……この状況で余計なこと考え過ぎ! 素直に……喜びなさいよ。じゃないと、自信……なくなる」
しかし、女の子の匂いと柔らかさを感じて思春期の男が冷静になれるはずもなく、いつも通り言葉を濁らせてしまう。
それに、表情は見えなくとも考えていたことは全て筒抜けだったようで、俺の欲情をぶつけられ小声になっていく彼女を微笑ましく思ってしまう。
皆に遠慮をしているのかあまり表には出さないけれど、やっぱりカーラは女の子で俺は可愛いと思った。
「……何、にやけてるのよ……終わり。もう終わりよ! それに、あんたに心配されなくても、ちゃんと気をつけてるから。確かに、ちょっと動きづらい時もあるけど、一応私も女の子だし……そ、そんな物欲しそうな目で見つめられても、もう一回なんてしないからね!」
(え? 俺、そんな顔してたか?)
「……なんか、言いたそうな顔してる」
ただ、男のそういうほくそ笑むような笑みは、女の子にとってはあまり良い印象に映らないようで、完全にただのエロ男認定されてしまう。
まぁ、大体の俺の女の子の胸に対する反応を考えれば、オッパイ魔神なのは間違いないのだろうが……
それよりも、カーラにも見えてるのか? 俺の表情……やっぱり、繋がりを持ってからずっと近くにいると、自然とわかるようになってしまうのだろうか……と、考えてないで返事をしないと、本当にただのエロ大魔王認定されてしまう。
(ああ、いや、これは、その……カーラがこういう事するの珍しいなと思って。うちのパーティーじゃ、一番抵抗あるだろお前)
「し、仕方ないじゃない! 私魔法使えないし、あんたの体のこともよくわからないし、苦しんでるの見てるの辛いし……男の子はこうすると落ち着くってクルスが言ってたから」
確かに、母性を感じると男は落ち着く生き物だと俺も思ってはいるが、なんでクルス姉の発言を真に受けるのかね? ……と言いたいところではあったが、朝美にフィルにヴァネッサさん、誰に聞いても同じ答えが帰って来ると思い直し出かかった言葉を喉元で押し殺す。
それに、驚くには驚いたけど、彼女は俺を心配して最善の方法を取ろうとしたわけだものな。感謝こそすれども、ここは怒るような場面じゃない。
「で、どうだった? 効果、あった?」
(ああ、お前のおかげで全部吹き飛んだよ。ありがとな)
「そ、そっか……それなら、この胸もまんざら悪く無いかな」
頬を赤らめながら恐る恐る訪ねてくる彼女の問に答えると、カーラは安心したように自分の胸を深く抱きしめる。女の子として気にはしているけれど、武闘家としてはやはり動きづらいのだろうな。
ただ、好きな男に喜んでもらえるならそれもいいと……なんて言うのは、俺の自惚れか。
「それで、感想は……ど、どうなの? 硬いとか、け、けしからん? とかなんとかしか言われてないんだけど」
そんな俺の感想はまんざら間違ってもいないようで、彼女にしては珍しく不満そうに頬を膨らませてくる。仕方なくやったと言いながらも、そこは女の子らしく気にするのな……まぁ、当然か。
俺だってその、女の子に下を握られて小さいとか言われたら立ち直れない……って、それは違う気もするし、色々とやばそうなのでやめておこう。
(そうだな、お前のは弾力があって吸い付いてくる感じは無いんだけど、ハリとツヤのおかげで擦られてるって感触が凄く強調されてる。それがなんとも言えない気持ちよさを味あわせてくれて、しごかれるならたぶんお前のが一番……あの、カーラさん? なんでそんなに怒っていらっしゃられるのですかね?)
思い返してみると、戦いにおける心配とか、筋肉についてしか語っていない気がしたので、俺の思いつく最大限の褒め言葉とエロスで彼女の見目麗しい二つの宝玉について語ると、カーラは額から湯気を撒き散らしながら両の拳に力を込める。
「ま、真面目に、恥ずかしいことを解説するな! バァカァ!!」
言われた通りの事をしただけのはずなのに照れ隠しをする少女によって俺は、理不尽に殴り飛ばされるのであった。
挟まれたことで認識してしまったが、こんな大きな物を二つも揺らしながら戦うとか実にけしからん……というのは冗談として、大変なんだろうな。
拳一本で戦う格闘家にとってスピードは命だ。余計な重さはそれを鈍らせ、増えた面積は被弾の確率を確実に上昇させる。
特に彼女の場合、筋肉のおかげか張りがあって前に突き出しているような形状をしており……こんな綺麗な夢の膨らみが戦いによって傷つけられないだろうかと、突然心配になってきた。
「と、トオル? 大丈夫? 落ち着い……た?」
カーラに胸を押し当てられて彼女の魅力を再確認していると、不安そうに彼女が声をかけてくる。
痛みはほぼ無くなったが、彼女からしてみれば顔も見えない俺がどういう状態かわからないだろうからな。とにかく、冷静に返事をしないと。
(!? あ、ああ。大丈夫、落ち着いた)
「良かった……だけどあんた、その……この状況で余計なこと考え過ぎ! 素直に……喜びなさいよ。じゃないと、自信……なくなる」
しかし、女の子の匂いと柔らかさを感じて思春期の男が冷静になれるはずもなく、いつも通り言葉を濁らせてしまう。
それに、表情は見えなくとも考えていたことは全て筒抜けだったようで、俺の欲情をぶつけられ小声になっていく彼女を微笑ましく思ってしまう。
皆に遠慮をしているのかあまり表には出さないけれど、やっぱりカーラは女の子で俺は可愛いと思った。
「……何、にやけてるのよ……終わり。もう終わりよ! それに、あんたに心配されなくても、ちゃんと気をつけてるから。確かに、ちょっと動きづらい時もあるけど、一応私も女の子だし……そ、そんな物欲しそうな目で見つめられても、もう一回なんてしないからね!」
(え? 俺、そんな顔してたか?)
「……なんか、言いたそうな顔してる」
ただ、男のそういうほくそ笑むような笑みは、女の子にとってはあまり良い印象に映らないようで、完全にただのエロ男認定されてしまう。
まぁ、大体の俺の女の子の胸に対する反応を考えれば、オッパイ魔神なのは間違いないのだろうが……
それよりも、カーラにも見えてるのか? 俺の表情……やっぱり、繋がりを持ってからずっと近くにいると、自然とわかるようになってしまうのだろうか……と、考えてないで返事をしないと、本当にただのエロ大魔王認定されてしまう。
(ああ、いや、これは、その……カーラがこういう事するの珍しいなと思って。うちのパーティーじゃ、一番抵抗あるだろお前)
「し、仕方ないじゃない! 私魔法使えないし、あんたの体のこともよくわからないし、苦しんでるの見てるの辛いし……男の子はこうすると落ち着くってクルスが言ってたから」
確かに、母性を感じると男は落ち着く生き物だと俺も思ってはいるが、なんでクルス姉の発言を真に受けるのかね? ……と言いたいところではあったが、朝美にフィルにヴァネッサさん、誰に聞いても同じ答えが帰って来ると思い直し出かかった言葉を喉元で押し殺す。
それに、驚くには驚いたけど、彼女は俺を心配して最善の方法を取ろうとしたわけだものな。感謝こそすれども、ここは怒るような場面じゃない。
「で、どうだった? 効果、あった?」
(ああ、お前のおかげで全部吹き飛んだよ。ありがとな)
「そ、そっか……それなら、この胸もまんざら悪く無いかな」
頬を赤らめながら恐る恐る訪ねてくる彼女の問に答えると、カーラは安心したように自分の胸を深く抱きしめる。女の子として気にはしているけれど、武闘家としてはやはり動きづらいのだろうな。
ただ、好きな男に喜んでもらえるならそれもいいと……なんて言うのは、俺の自惚れか。
「それで、感想は……ど、どうなの? 硬いとか、け、けしからん? とかなんとかしか言われてないんだけど」
そんな俺の感想はまんざら間違ってもいないようで、彼女にしては珍しく不満そうに頬を膨らませてくる。仕方なくやったと言いながらも、そこは女の子らしく気にするのな……まぁ、当然か。
俺だってその、女の子に下を握られて小さいとか言われたら立ち直れない……って、それは違う気もするし、色々とやばそうなのでやめておこう。
(そうだな、お前のは弾力があって吸い付いてくる感じは無いんだけど、ハリとツヤのおかげで擦られてるって感触が凄く強調されてる。それがなんとも言えない気持ちよさを味あわせてくれて、しごかれるならたぶんお前のが一番……あの、カーラさん? なんでそんなに怒っていらっしゃられるのですかね?)
思い返してみると、戦いにおける心配とか、筋肉についてしか語っていない気がしたので、俺の思いつく最大限の褒め言葉とエロスで彼女の見目麗しい二つの宝玉について語ると、カーラは額から湯気を撒き散らしながら両の拳に力を込める。
「ま、真面目に、恥ずかしいことを解説するな! バァカァ!!」
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