414 / 526
第九章 己の使命
第413話 夫婦みたいですよ
しおりを挟む
「確かに、喜んでる時は、一度もメイなんて言わないわね。まっ、トオルのセンスがイマイチなのは、ともかくとして」
(悪かったな。どうせ俺には、女の子を口説く才能なんて無いよ)
そんな事を考えていると、今まで黙って見ていたカーラが、皮肉のような言葉を俺に向かって投げかけてくる。どうやら俺の求愛は、彼女にとってはお気に召さなかったらしい。
「トオルは良いのよ、それで。今のバルカイトみたいに、ヘラヘラ女性を丸め込むようなら、こっちから願い下げよ」
けれど、俺のいちばん大切な人がそんな自分を認めてくれているのだから、彼女いない歴年齢だった俺にとっては、それだけで十分なのである。
「そりゃ無いぜ、お嬢」
「あの頃の、カッコ良かったバル兄は、どこに行っちゃったのかしらね」
それに、王女様に怒られるバルカイトを見るのは、男として少しだけ気分が良かったりする。まったくもって安っぽい、嫉妬根性だよ。
「お兄、わたしのこと、好き?」
(ん? あぁ、アイリもリースも、もちろん俺は大好きだよ)
「む、珍しくパパに先を越されてしまいましたが、リースはとても満足なので良しとしましょう」
アイリもメイに触発されて俺におねだりをしてきたり、娘の行動も少しずつ理解できるようになってきて、こうして素直に喜んでもらえるのは、男冥利に尽きるってものだ。
好意を持ってくれた女の子達には、いつも笑顔で居てほしい。これだけは譲れない俺のプライド、生きるためのポリシーと言っても過言ではないからな。
カーラももっと、笑ってくれたら良いのに……そう言えば、質問に答えてくれた二人の姉妹にお礼を言ってなかったっけ。
(メイも、シャーリーも、ありがとな。おかげで凄く、納得できたよ)
「これぐらいお安い御用よ」
「これぐらいお安い御用だよ」
一つの声帯から、二つの声を同時に出すなんて不可能だと思っていたけど、セイクリッドだからこそ出来る荒業なのだと考えれば、やっぱりシャーリーは凄いんだなって改めて尊敬する。
ただ、正直な所を言わせてもらうと、可愛い彼女の声が二つも同時に聞けてラッキー。なんて、邪な喜び方をしているだけなんですけどね。
「でも、お兄ちゃんは幸せものだよね。ぼくとお姉様が一つの体にいるから、えーっとなんだっけ。しまいどん? ってやつを、合法的にできるんだからさ」
そうだな。一つの体に二人の姉妹、しまいどんも……ん? しまいどん? んー、どこで聞いたかその単語……姉妹どん、姉妹丼……姉妹、丼、だと!?
(メイ! そんな言葉、誰から教わった!)
「メイ! そんな言葉、誰から教わったの!」
「え、えっと。クルスお姉様から」
(クルス、話があるから、後で顔貸せや)
「クルス、話があるから、後で顔貸しなさい?」
幼女が使うにはあまりにも卑猥で下品な言葉に、俺達二人は正面に座るクルス姉の顔をキッっと睨みつける。反射的に言葉遣いが荒くなってしまったが、それだけメイが心配で、余計な単語を教える駄女神な義姉に怒りを覚えてしまったのだ。
「トオル様も男の子ですから、そういうのも好みかと思いまして。それに、まるで今のお二人、子供に害悪な言葉を教える大人達を叱る、夫婦みたいですよ」
「ふう……ふ」
(夫婦って……)
だが、笑顔で答える天然女神の真っ白さに、俺達二人は声をつまらせる。クルス姉の事だから、嘘偽りのない本音と思いたい所だけど、軽くあしらわれたような気もしてなんとなく悔しい。
シャーリーも頬を赤く染めて、恥じらいモードに入っているし、意識してもらえているのは、なんだかとても嬉しいかも。
「あー、お姉様ばっかりずるい。ぼくも、お兄ちゃんと夫婦したい!」
そんな彼女がメイの怒りで、更に真っ赤になっていく様は、面白いを飛び越して、のぼせ上がらないか心配になるレベルだな。
「それにしても、どんどんと関係がややこしくなって、大変そうだな大将」
(他人事だと思いやがって)
「そりゃ、他人事だからな。でもな、本音を言えば羨ましいんだぜ。こんだけの美女に囲まれて、冒険者に憧れるような男なら一度は夢に見るもんだ。このままだと、俺の事たらしだとか不誠実だとか、遊び人だなんて言えなくなっちまうな?」
しかも、先程の仕返しと言わんがばかりに、バルカイトからは嘲笑の言葉が飛んでくるし、引きこもり同然の非モテとして生きてきた俺には、まだまだ荷が重そうだ。
「あのね、さっきも言ったけど、不誠実さなら、今のバルカイトの方が断然上よ」
「お兄ちゃんは、みんなに言い寄られてるだけだもんね」
それにしても、やたらと今日のシャーリーはバルカイトに対して厳しいように思える。守護騎士時代のバルカイトが、どれほどカッコよかったのかはわからないけれど、彼女が尊敬していた事だけは俺にも良く伝わって来た。
ジェミニさんの所で出会った頃は、本当にただのナンパ野郎だったからな。
「いつにも増して、今日は厳しくねぇか? なあ、鉄壁姉さんもそう思うだろ?」
「すまぬが、我もシャーロットの意見に同意じゃ。何せ、お前は見境がないからのぅ。それに比べてトオルは、シャーロットとメイベル一筋じゃて。それを承知で、皆がアプローチをかけているのであって、圧倒的にお前の負けじゃと我も思うが?」
とは言え、救いを求めたフィルにまであしらわれた挙げ句、周りのみんなに頷かれる肩身の狭い男の姿は、俺でさえ可哀想に思えてくる。
「姫の守り人とまで呼ばれたイグナイトも、今となっちゃ肩なしだな!」
隣の部屋から戻ってきた亮太さんにまで笑われてしまい、バルカイトは完全に止めを刺されていた。
「ったく、あの頃の俺は、もういないってのにな……」
孤立無援の中で呟く憂いのこもったバルカイトの言葉に、何故だか俺は寂しいものを感じてしまう。彼が何を抱えているのか俺は全く知らなくて、仲間として恥ずかしい事この上無いと俺は自分を戒める。
バルカイトが率先して話すことは無いだろうけど、二人の過去について俺は興味を持ち始めていた。
「それはそれと致しまして、お嬢様は未だに、生娘のような反応をなさるのですね」
場の空気が静まり返った瞬間、この場にいる誰のものでもない女性の声が、シャーロットの背中から響き渡る。淡々としながらも礼節をわきまえたこの感じ、どこかで……
「さ、サラ!? びっくりするから、気配を消したまま後ろに立たないでって、昔から言ってるわよね!」
驚き振り返るシャーリーの後方を覗き見ると、そこに立っていたのはメイド服、密偵のサラさんだった。
首都リィンバースへと乗り込む前日に一度だけ会話をした程度の仲ではあるが、この人も一度王城へと戻ったみたいだし、無事だったようで何よりである。
知り合いが無残に死んでいく姿なんて、これ以上俺は見たくないからさ。
「存じております。ですが、王女たるもの、この程度の気配に気づけなければ、アサッシーンに後ろからブスリですよ」
「不意打ちで殺されるとか、そんなヘマしないわよ。それに、サラはこの国で一、二を争う密偵でしょ。貴方の気配を察知するのって、私でも骨が折れるのよ」
「油断した挙げ句、ボーゲンハルト様に後ろから刺されて、死の淵を彷徨ったのはどこの誰でしたっけね」
「……悪かったわよ。気をつけるから、それはもう言わないで」
しかし、この人はこの人で現れる度に、シャーリーを弄くらないと気がすまないんだろうか? 顔を真っ赤にして反論する彼女は確かに可愛いけど、あんまり怒らせると俺への反発と依存度が……まさか、そこまで考えてないだろうな、この人。
「と言っては見ましたが、不意打ちでお嬢様が刺されるなんてことは、早々ございませんでしょうね。気配を消すことに関しましては、誰にも負けないと自負しておりますし、殺気を感じ取る訓練はお嬢様にみっちり叩き込んできたつもりです」
「……お願い、それも思い出したくないから、やめて」
バルカイトといい、サラさんといい、どんな過去をシャーリーと歩んできたのか、本気で嫌がる彼女の姿に、果てしない興味が湧いてくる……って、これじゃ目の前にいる、彼女を辱めて喜ぶメイドと同じ思考だ。
いらぬ記憶を掘り起こさせて、女性を辱めようとする行為は最低の男のすること、最低の男のすること、最低の男のすること……これでよし。
「ですが、それは油断をしていない事を前提とし、あくまでも殺気のみです。押し隠された眠れる獅子、ナニに対しては、意味が無いかもしれません」
「えっと、何?」
ドS系メイドの静かな瘴気に当てられる自分自身を戒めていると、とんでもない発言がサラさんの口から飛び出してくる。言われた本人は、気がついていないようだけど、意味深な単語に俺は嫌な汗が止まらなくなった。
「はい、ナニです。殿方の内に秘められた、欲望の権化であり化身です。その小さな凶器は、お嬢様の背中から大切な穴へブスリと――」
そこまで言われてやっと、彼女に何を言われているのか思い当たったようで、シャーリーの顔が沸騰したやかんのように真っ赤に染まっていく。
「ちょ、サ、サラ! 何いってんのよ! 刺されないわよ、そんな簡単に許さないわよ!」
「どうでしょうかね。そういうことを言う方に限って、あっさりと貫かれるものですよ」
今までで最高に頭に血を上らせた彼女は、両目をぐるぐると回しながら全身を使って反論する。そんなシャーリーの事を、冷ややかな瞳で見下ろすメイドの言葉に、ひどく懐かしいデジャブを俺は覚えてしまっていた。
(悪かったな。どうせ俺には、女の子を口説く才能なんて無いよ)
そんな事を考えていると、今まで黙って見ていたカーラが、皮肉のような言葉を俺に向かって投げかけてくる。どうやら俺の求愛は、彼女にとってはお気に召さなかったらしい。
「トオルは良いのよ、それで。今のバルカイトみたいに、ヘラヘラ女性を丸め込むようなら、こっちから願い下げよ」
けれど、俺のいちばん大切な人がそんな自分を認めてくれているのだから、彼女いない歴年齢だった俺にとっては、それだけで十分なのである。
「そりゃ無いぜ、お嬢」
「あの頃の、カッコ良かったバル兄は、どこに行っちゃったのかしらね」
それに、王女様に怒られるバルカイトを見るのは、男として少しだけ気分が良かったりする。まったくもって安っぽい、嫉妬根性だよ。
「お兄、わたしのこと、好き?」
(ん? あぁ、アイリもリースも、もちろん俺は大好きだよ)
「む、珍しくパパに先を越されてしまいましたが、リースはとても満足なので良しとしましょう」
アイリもメイに触発されて俺におねだりをしてきたり、娘の行動も少しずつ理解できるようになってきて、こうして素直に喜んでもらえるのは、男冥利に尽きるってものだ。
好意を持ってくれた女の子達には、いつも笑顔で居てほしい。これだけは譲れない俺のプライド、生きるためのポリシーと言っても過言ではないからな。
カーラももっと、笑ってくれたら良いのに……そう言えば、質問に答えてくれた二人の姉妹にお礼を言ってなかったっけ。
(メイも、シャーリーも、ありがとな。おかげで凄く、納得できたよ)
「これぐらいお安い御用よ」
「これぐらいお安い御用だよ」
一つの声帯から、二つの声を同時に出すなんて不可能だと思っていたけど、セイクリッドだからこそ出来る荒業なのだと考えれば、やっぱりシャーリーは凄いんだなって改めて尊敬する。
ただ、正直な所を言わせてもらうと、可愛い彼女の声が二つも同時に聞けてラッキー。なんて、邪な喜び方をしているだけなんですけどね。
「でも、お兄ちゃんは幸せものだよね。ぼくとお姉様が一つの体にいるから、えーっとなんだっけ。しまいどん? ってやつを、合法的にできるんだからさ」
そうだな。一つの体に二人の姉妹、しまいどんも……ん? しまいどん? んー、どこで聞いたかその単語……姉妹どん、姉妹丼……姉妹、丼、だと!?
(メイ! そんな言葉、誰から教わった!)
「メイ! そんな言葉、誰から教わったの!」
「え、えっと。クルスお姉様から」
(クルス、話があるから、後で顔貸せや)
「クルス、話があるから、後で顔貸しなさい?」
幼女が使うにはあまりにも卑猥で下品な言葉に、俺達二人は正面に座るクルス姉の顔をキッっと睨みつける。反射的に言葉遣いが荒くなってしまったが、それだけメイが心配で、余計な単語を教える駄女神な義姉に怒りを覚えてしまったのだ。
「トオル様も男の子ですから、そういうのも好みかと思いまして。それに、まるで今のお二人、子供に害悪な言葉を教える大人達を叱る、夫婦みたいですよ」
「ふう……ふ」
(夫婦って……)
だが、笑顔で答える天然女神の真っ白さに、俺達二人は声をつまらせる。クルス姉の事だから、嘘偽りのない本音と思いたい所だけど、軽くあしらわれたような気もしてなんとなく悔しい。
シャーリーも頬を赤く染めて、恥じらいモードに入っているし、意識してもらえているのは、なんだかとても嬉しいかも。
「あー、お姉様ばっかりずるい。ぼくも、お兄ちゃんと夫婦したい!」
そんな彼女がメイの怒りで、更に真っ赤になっていく様は、面白いを飛び越して、のぼせ上がらないか心配になるレベルだな。
「それにしても、どんどんと関係がややこしくなって、大変そうだな大将」
(他人事だと思いやがって)
「そりゃ、他人事だからな。でもな、本音を言えば羨ましいんだぜ。こんだけの美女に囲まれて、冒険者に憧れるような男なら一度は夢に見るもんだ。このままだと、俺の事たらしだとか不誠実だとか、遊び人だなんて言えなくなっちまうな?」
しかも、先程の仕返しと言わんがばかりに、バルカイトからは嘲笑の言葉が飛んでくるし、引きこもり同然の非モテとして生きてきた俺には、まだまだ荷が重そうだ。
「あのね、さっきも言ったけど、不誠実さなら、今のバルカイトの方が断然上よ」
「お兄ちゃんは、みんなに言い寄られてるだけだもんね」
それにしても、やたらと今日のシャーリーはバルカイトに対して厳しいように思える。守護騎士時代のバルカイトが、どれほどカッコよかったのかはわからないけれど、彼女が尊敬していた事だけは俺にも良く伝わって来た。
ジェミニさんの所で出会った頃は、本当にただのナンパ野郎だったからな。
「いつにも増して、今日は厳しくねぇか? なあ、鉄壁姉さんもそう思うだろ?」
「すまぬが、我もシャーロットの意見に同意じゃ。何せ、お前は見境がないからのぅ。それに比べてトオルは、シャーロットとメイベル一筋じゃて。それを承知で、皆がアプローチをかけているのであって、圧倒的にお前の負けじゃと我も思うが?」
とは言え、救いを求めたフィルにまであしらわれた挙げ句、周りのみんなに頷かれる肩身の狭い男の姿は、俺でさえ可哀想に思えてくる。
「姫の守り人とまで呼ばれたイグナイトも、今となっちゃ肩なしだな!」
隣の部屋から戻ってきた亮太さんにまで笑われてしまい、バルカイトは完全に止めを刺されていた。
「ったく、あの頃の俺は、もういないってのにな……」
孤立無援の中で呟く憂いのこもったバルカイトの言葉に、何故だか俺は寂しいものを感じてしまう。彼が何を抱えているのか俺は全く知らなくて、仲間として恥ずかしい事この上無いと俺は自分を戒める。
バルカイトが率先して話すことは無いだろうけど、二人の過去について俺は興味を持ち始めていた。
「それはそれと致しまして、お嬢様は未だに、生娘のような反応をなさるのですね」
場の空気が静まり返った瞬間、この場にいる誰のものでもない女性の声が、シャーロットの背中から響き渡る。淡々としながらも礼節をわきまえたこの感じ、どこかで……
「さ、サラ!? びっくりするから、気配を消したまま後ろに立たないでって、昔から言ってるわよね!」
驚き振り返るシャーリーの後方を覗き見ると、そこに立っていたのはメイド服、密偵のサラさんだった。
首都リィンバースへと乗り込む前日に一度だけ会話をした程度の仲ではあるが、この人も一度王城へと戻ったみたいだし、無事だったようで何よりである。
知り合いが無残に死んでいく姿なんて、これ以上俺は見たくないからさ。
「存じております。ですが、王女たるもの、この程度の気配に気づけなければ、アサッシーンに後ろからブスリですよ」
「不意打ちで殺されるとか、そんなヘマしないわよ。それに、サラはこの国で一、二を争う密偵でしょ。貴方の気配を察知するのって、私でも骨が折れるのよ」
「油断した挙げ句、ボーゲンハルト様に後ろから刺されて、死の淵を彷徨ったのはどこの誰でしたっけね」
「……悪かったわよ。気をつけるから、それはもう言わないで」
しかし、この人はこの人で現れる度に、シャーリーを弄くらないと気がすまないんだろうか? 顔を真っ赤にして反論する彼女は確かに可愛いけど、あんまり怒らせると俺への反発と依存度が……まさか、そこまで考えてないだろうな、この人。
「と言っては見ましたが、不意打ちでお嬢様が刺されるなんてことは、早々ございませんでしょうね。気配を消すことに関しましては、誰にも負けないと自負しておりますし、殺気を感じ取る訓練はお嬢様にみっちり叩き込んできたつもりです」
「……お願い、それも思い出したくないから、やめて」
バルカイトといい、サラさんといい、どんな過去をシャーリーと歩んできたのか、本気で嫌がる彼女の姿に、果てしない興味が湧いてくる……って、これじゃ目の前にいる、彼女を辱めて喜ぶメイドと同じ思考だ。
いらぬ記憶を掘り起こさせて、女性を辱めようとする行為は最低の男のすること、最低の男のすること、最低の男のすること……これでよし。
「ですが、それは油断をしていない事を前提とし、あくまでも殺気のみです。押し隠された眠れる獅子、ナニに対しては、意味が無いかもしれません」
「えっと、何?」
ドS系メイドの静かな瘴気に当てられる自分自身を戒めていると、とんでもない発言がサラさんの口から飛び出してくる。言われた本人は、気がついていないようだけど、意味深な単語に俺は嫌な汗が止まらなくなった。
「はい、ナニです。殿方の内に秘められた、欲望の権化であり化身です。その小さな凶器は、お嬢様の背中から大切な穴へブスリと――」
そこまで言われてやっと、彼女に何を言われているのか思い当たったようで、シャーリーの顔が沸騰したやかんのように真っ赤に染まっていく。
「ちょ、サ、サラ! 何いってんのよ! 刺されないわよ、そんな簡単に許さないわよ!」
「どうでしょうかね。そういうことを言う方に限って、あっさりと貫かれるものですよ」
今までで最高に頭に血を上らせた彼女は、両目をぐるぐると回しながら全身を使って反論する。そんなシャーリーの事を、冷ややかな瞳で見下ろすメイドの言葉に、ひどく懐かしいデジャブを俺は覚えてしまっていた。
0
お気に入りに追加
123
あなたにおすすめの小説
冷酷魔法騎士と見習い学士
枝浬菰
ファンタジー
一人の少年がドラゴンを従え国では最少年でトップクラスになった。
ドラゴンは決して人には馴れないと伝えられていて、住処は「絶海」と呼ばれる無の世界にあった。
だが、周りからの視線は冷たく貴族は彼のことを認めなかった。
それからも国を救うが称賛の声は上がらずいまや冷酷魔法騎士と呼ばれるようになってしまった。
そんなある日、女神のお遊びで冷酷魔法騎士は少女の姿になってしまった。
そんな姿を皆はどう感じるのか…。
そして暗黒世界との闘いの終末は訪れるのか…。
※こちらの内容はpixiv、フォレストページにて展開している小説になります。
画像の二次加工、保存はご遠慮ください。
性的に襲われそうだったので、男であることを隠していたのに、女性の本能か男であることがバレたんですが。
狼狼3
ファンタジー
男女比1:1000という男が極端に少ない魔物や魔法のある異世界に、彼は転生してしまう。
街中を歩くのは女性、女性、女性、女性。街中を歩く男は滅多に居ない。森へ冒険に行こうとしても、襲われるのは魔物ではなく女性。女性は男が居ないか、いつも目を光らせている。
彼はそんな世界な為、男であることを隠して女として生きる。(フラグ)
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
【画像あり】転生双子の異世界生活~株式会社SETA異世界派遣部・異世界ナーゴ編~
BIRD
ファンタジー
【転生者モチ編あらすじ】
異世界を再現したテーマパーク・プルミエタウンで働いていた兼業漫画家の俺。
原稿を仕上げた後、床で寝落ちた相方をベッドに引きずり上げて一緒に眠っていたら、本物の異世界に転移してしまった。
初めての異世界転移で容姿が変わり、日本での名前と姿は記憶から消えている。
転移先は前世で暮らした世界で、俺と相方の前世は双子だった。
前世の記憶は無いのに、時折感じる不安と哀しみ。
相方は眠っているだけなのに、何故か毎晩生存確認してしまう。
その原因は、相方の前世にあるような?
「ニンゲン」によって一度滅びた世界。
二足歩行の猫たちが文明を築いている時代。
それを見守る千年の寿命をもつ「世界樹の民」。
双子の勇者の転生者たちの物語です。
現世は親友、前世は双子の兄弟、2人の関係の変化と、異世界生活を書きました。
画像は作者が遊んでいるネトゲで作成したキャラや、石垣島の風景を使ったりしています。
AI生成した画像も合成に使うことがあります。
編集ソフトは全てフォトショップ使用です。
得られるスコア収益は「島猫たちのエピソード」と同じく、保護猫たちのために使わせて頂きます。
2024.4.19 モチ編スタート
5.14 モチ編完結。
5.15 イオ編スタート。
5.31 イオ編完結。
8.1 ファンタジー大賞エントリーに伴い、加筆開始
8.21 前世編開始
9.14 前世編完結
9.15 イオ視点のエピソード開始
9.20 イオ視点のエピソード完結
9.21 翔が書いた物語開始
辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します
潮ノ海月@書籍発売中
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる!
トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。
領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。
アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。
だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう
完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。
果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!?
これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。
箱庭から始まる俺の地獄(ヘル) ~今日から地獄生物の飼育員ってマジっすか!?~
白那 又太
ファンタジー
とあるアパートの一室に住む安楽 喜一郎は仕事に忙殺されるあまり、癒しを求めてペットを購入した。ところがそのペットの様子がどうもおかしい。
日々成長していくペットに少し違和感を感じながらも(比較的)平和な毎日を過ごしていた喜一郎。
ところがある日その平和は地獄からの使者、魔王デボラ様によって粉々に打ち砕かれるのであった。
目指すは地獄の楽園ってなんじゃそりゃ!
大したスキルも無い! チートも無い! あるのは理不尽と不条理だけ!
箱庭から始まる俺の地獄(ヘル)どうぞお楽しみください。
【本作は小説家になろう様、カクヨム様でも同時更新中です】
引きこもり転生エルフ、仕方なく旅に出る
Greis
ファンタジー
旧題:引きこもり転生エルフ、強制的に旅に出される
・2021/10/29 第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞 こちらの賞をアルファポリス様から頂く事が出来ました。
実家暮らし、25歳のぽっちゃり会社員の俺は、日ごろの不摂生がたたり、読書中に死亡。転生先は、剣と魔法の世界の一種族、エルフだ。一分一秒も無駄にできない前世に比べると、だいぶのんびりしている今世の生活の方が、自分に合っていた。次第に、兄や姉、友人などが、見分のために外に出ていくのを見送る俺を、心配しだす両親や師匠たち。そしてついに、(強制的に)旅に出ることになりました。
※のんびり進むので、戦闘に関しては、話数が進んでからになりますので、ご注意ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる