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第八章 真実を知る者
第407話 全てを懸けた望みの先に
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「別に良いじゃないか、迷惑ぐらいかけたってさ。悪魔になったシャーリーがやりそうなことって言うと、吸血衝動か? 淫乱化か? まあ、殺人衝動とかカニバリズムはちょっと困るけど、もし起きたとして、それが嫌だったら解決方法を探せばいいだけだし、前者二つぐらいならウェルカムだぞ!」
「それで、トオル殺しちゃったら……私、わたし」
「前にも言っただろ、俺は簡単には死なないって……まぁ、あの時はあっさり、ポッキリ逝っちまったわけだけどさ。でもほら、本当に死んだわけじゃ無かったし、今の俺の芯は、レプリカじゃなくて神具なんだぜ。そう簡単に折れたりしねぇよ。それに、一緒にいるなら、迷惑なんてかけるもんだろ? そりゃ、かけないに越したことはないと思うけど、そういう所もお互いに理解し受け止め合うのが、恋人とか家族ってもんなんじゃないかな。少なくとも、俺はそう思ってる。じゃないと、俺なんかシャーリーに迷惑かけっぱなしで、まともに顔すら見れないってぇの」
これまでにも色んな事があって、辛い事や悲しい事も沢山経験してきたからこそ、二度と味わいたくないと彼女も思っているのだろう。そういう意味ではむしろ、顔を合わせられないのは俺の方で、だからこそ俺はここに来た。
俺が彼女を愛した責任、彼女に愛された責任を果たすため、彼女の全てを俺は受け入れる。互いの醜い部分を否定ばかりしていたら、一生一緒になんて絶対にいられないから。
「それでも、シャーリーが俺を殺すかも知れないって気にしてるんだとしたら、生物の生き死になんていつ何が起こるかわからねぇし、シャーリーが悪魔じゃなくたって、何かの反動で俺を殺しちまうかもしれない。もちろん、悪い意味で言ってるんじゃないぞ、そんなこと気にしてたら誰とも一緒にいられないって、そう言ってるんだ」
俺が側にいると、誰かを傷つける。そんな、死神めいた妄想に取り憑かれていた俺だからこそ、はっきりと言える言葉。皆と出会って学んだ、俺の覚悟。
「……トオル」
「案の定遠回りして、いらない話も沢山したけど、とにかく俺が言いたい事はだな、シャーリーが悪魔だってなんだって、例え姿が醜くくなっても、俺にとってシャーリーは、シャーリーなんだよ。だから、絶対に嫌いになんかなってやらねえ。それに、セイクリッドって確か、天使みたいなもんだったよな?」
「う、うん」
「天使と悪魔のハイブリッドとか、なんかカッコイイじゃんか。俺は好きだぜ、天使な女の子も、悪魔な女の子も。もちろん、人間の女の子もだけどさ」
妄想と創作に入り浸っていた、俺だから出来る彼女への伝え方。それを今出しきって、残すは最後の大勝負。俺の好きを、彼女に全力でぶつけるだけ。
「だから、お前が不安になった時は、何回でも何十回でも、それこそ何億回だって言ってやる。俺はシャーリーが、シャーロット・リィンバースが、目の前に居る君が大好きだって!」
百一回のプロポーズもとい、百億回の大好きを彼女に伝えた瞬間、緊張の糸が急速な勢いで全身に張り詰めてくる。これで断られたらどうしようとか、突拍子もない事を言い過ぎて興ざめされてないだろうかとか、急に不安になってきた。
「ほんとうに、トオルは大バカだよ」
「おう、バカで結構。それでシャーリーが俺と一緒にいてくれるのなら、俺はいくらでもバカになってやる……って、この台詞前にも言ったか。それに、俺は二次元大好き変態さんだからな、そんじょそこらの異形なんてヘでもねえぜ」
それでも俺は俺を貫いて、彼女の言葉にも平然とした態度で立ち向かう。ここで折れたら一巻の終わり、枕で涙を濡らすとしたら決着の着いたその後だ。
「フフッ、なにそれ。ほんと、トオルってよくわかんない」
「やっと、笑った」
「えっ?」
そんな事を考えていたからか、彼女の小さな変化がとても嬉しくて、俺はつい素直に言葉を漏らしてしまう。どんな意図であるにせよ、死ぬほど沈み込んでいた女の子が楽しそうに俺の言葉で笑ってくれたんだ。その子は俺の恋人で、脈がないとは言わせない。
剣らしく乾坤一擲、彼女の心の奥底まで、疾風怒濤で押し通る!!
「お前が笑ってくれるなら、いつでも俺は変態な紳士でいるよ。男の尊厳なんて、どこか遠くに投げ捨ててな。こんな俺で良かったら、俺の所に……いや、俺はお前が欲しい。シャーロット、俺はお前が欲しい! だから帰ってこい! 俺の、俺の腕の中に!!」
全身全霊を込めた俺の一太刀が、どのような形で彼女の胸に届いたかはわからない。切なくもかわされてしまったのか、それとも心揺れ動かせたのか。
どちらにせよ、これ以上俺に打つ手はなく、男としての魅力が足りなければ、シャーロット救出計画はこれにて無慈悲にもゲームオーバーだ。
後は信じるのみ。俺の隣りにいたいと、彼女が俺を選んでくれる事を!
「とおる……」
俺と一緒に歩む道と、闇に閉ざされたまま一生を終える道。どちらを彼女が選ぶのか、固唾を飲みながら待ち続けていると、シャーリーを縛る紫炎の鎖が小さな音を立てながら揺れ動き始める。
「とおる、トおるトオるトオルトオルットオルッ!」
求めてやまない少女の願いが、骨の髄まで弱りきった聖魔の体を突き動かし、暴れる力に耐えきれず鎖の随所にひびが入る。そして、一際強く俺の名前を彼女が叫ぶと、束縛していた全ての鎖が大きな音を立てながら砕け散った。
「トオルウゥゥゥゥゥ!!」
飛び込んでくるシャーリーの体を薄い胸板で抱きとめて、息が詰まりそうになるのを必死にこらえ抑え込む。人間時代の体がいくら貧弱であったとは言え、ここでむせたとあっては男がすたる。
「おかえり、シャーリー」
「うん、ただいま、ただいま!」
それに、仮初の体とは言え、初めて抱き合った二人の前にそれ以上の言葉はいらなかった。
「それで、トオル殺しちゃったら……私、わたし」
「前にも言っただろ、俺は簡単には死なないって……まぁ、あの時はあっさり、ポッキリ逝っちまったわけだけどさ。でもほら、本当に死んだわけじゃ無かったし、今の俺の芯は、レプリカじゃなくて神具なんだぜ。そう簡単に折れたりしねぇよ。それに、一緒にいるなら、迷惑なんてかけるもんだろ? そりゃ、かけないに越したことはないと思うけど、そういう所もお互いに理解し受け止め合うのが、恋人とか家族ってもんなんじゃないかな。少なくとも、俺はそう思ってる。じゃないと、俺なんかシャーリーに迷惑かけっぱなしで、まともに顔すら見れないってぇの」
これまでにも色んな事があって、辛い事や悲しい事も沢山経験してきたからこそ、二度と味わいたくないと彼女も思っているのだろう。そういう意味ではむしろ、顔を合わせられないのは俺の方で、だからこそ俺はここに来た。
俺が彼女を愛した責任、彼女に愛された責任を果たすため、彼女の全てを俺は受け入れる。互いの醜い部分を否定ばかりしていたら、一生一緒になんて絶対にいられないから。
「それでも、シャーリーが俺を殺すかも知れないって気にしてるんだとしたら、生物の生き死になんていつ何が起こるかわからねぇし、シャーリーが悪魔じゃなくたって、何かの反動で俺を殺しちまうかもしれない。もちろん、悪い意味で言ってるんじゃないぞ、そんなこと気にしてたら誰とも一緒にいられないって、そう言ってるんだ」
俺が側にいると、誰かを傷つける。そんな、死神めいた妄想に取り憑かれていた俺だからこそ、はっきりと言える言葉。皆と出会って学んだ、俺の覚悟。
「……トオル」
「案の定遠回りして、いらない話も沢山したけど、とにかく俺が言いたい事はだな、シャーリーが悪魔だってなんだって、例え姿が醜くくなっても、俺にとってシャーリーは、シャーリーなんだよ。だから、絶対に嫌いになんかなってやらねえ。それに、セイクリッドって確か、天使みたいなもんだったよな?」
「う、うん」
「天使と悪魔のハイブリッドとか、なんかカッコイイじゃんか。俺は好きだぜ、天使な女の子も、悪魔な女の子も。もちろん、人間の女の子もだけどさ」
妄想と創作に入り浸っていた、俺だから出来る彼女への伝え方。それを今出しきって、残すは最後の大勝負。俺の好きを、彼女に全力でぶつけるだけ。
「だから、お前が不安になった時は、何回でも何十回でも、それこそ何億回だって言ってやる。俺はシャーリーが、シャーロット・リィンバースが、目の前に居る君が大好きだって!」
百一回のプロポーズもとい、百億回の大好きを彼女に伝えた瞬間、緊張の糸が急速な勢いで全身に張り詰めてくる。これで断られたらどうしようとか、突拍子もない事を言い過ぎて興ざめされてないだろうかとか、急に不安になってきた。
「ほんとうに、トオルは大バカだよ」
「おう、バカで結構。それでシャーリーが俺と一緒にいてくれるのなら、俺はいくらでもバカになってやる……って、この台詞前にも言ったか。それに、俺は二次元大好き変態さんだからな、そんじょそこらの異形なんてヘでもねえぜ」
それでも俺は俺を貫いて、彼女の言葉にも平然とした態度で立ち向かう。ここで折れたら一巻の終わり、枕で涙を濡らすとしたら決着の着いたその後だ。
「フフッ、なにそれ。ほんと、トオルってよくわかんない」
「やっと、笑った」
「えっ?」
そんな事を考えていたからか、彼女の小さな変化がとても嬉しくて、俺はつい素直に言葉を漏らしてしまう。どんな意図であるにせよ、死ぬほど沈み込んでいた女の子が楽しそうに俺の言葉で笑ってくれたんだ。その子は俺の恋人で、脈がないとは言わせない。
剣らしく乾坤一擲、彼女の心の奥底まで、疾風怒濤で押し通る!!
「お前が笑ってくれるなら、いつでも俺は変態な紳士でいるよ。男の尊厳なんて、どこか遠くに投げ捨ててな。こんな俺で良かったら、俺の所に……いや、俺はお前が欲しい。シャーロット、俺はお前が欲しい! だから帰ってこい! 俺の、俺の腕の中に!!」
全身全霊を込めた俺の一太刀が、どのような形で彼女の胸に届いたかはわからない。切なくもかわされてしまったのか、それとも心揺れ動かせたのか。
どちらにせよ、これ以上俺に打つ手はなく、男としての魅力が足りなければ、シャーロット救出計画はこれにて無慈悲にもゲームオーバーだ。
後は信じるのみ。俺の隣りにいたいと、彼女が俺を選んでくれる事を!
「とおる……」
俺と一緒に歩む道と、闇に閉ざされたまま一生を終える道。どちらを彼女が選ぶのか、固唾を飲みながら待ち続けていると、シャーリーを縛る紫炎の鎖が小さな音を立てながら揺れ動き始める。
「とおる、トおるトオるトオルトオルットオルッ!」
求めてやまない少女の願いが、骨の髄まで弱りきった聖魔の体を突き動かし、暴れる力に耐えきれず鎖の随所にひびが入る。そして、一際強く俺の名前を彼女が叫ぶと、束縛していた全ての鎖が大きな音を立てながら砕け散った。
「トオルウゥゥゥゥゥ!!」
飛び込んでくるシャーリーの体を薄い胸板で抱きとめて、息が詰まりそうになるのを必死にこらえ抑え込む。人間時代の体がいくら貧弱であったとは言え、ここでむせたとあっては男がすたる。
「おかえり、シャーリー」
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