俺と幼女とエクスカリバー

鏡紫郎

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第六章 それぞれの想い

第301話 むき出しの本能

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 そこで、俺の意識は覚醒した。目の前に広がる白い壁紙の天井を眺めながら、自然と涙が溢れだす。

 いつの間にベッドに戻ったのか、柔らかな感触が背中を優しく包んでくれたが、ぼんやりしている場合じゃない。

「……行かなきゃ」

 そんな言葉を俺は呟き、ベットの上に上体を起こす。すると、夢の中で頭を垂れ続ける幼女と、同じ顔をした青髪の同居人が、ベッドの横でかわいらしく首を傾げていた。

「シャーリー」

「トオル……? どう……したの……?」

 彼女の顔を見ていると、胸の奥が痛いほどに締め付けられ、シーツの裾を自然と強く握りしめてしまう。何処かで、別の彼女が今も苦しんでいるのなら、俺はその彼女を助けに行かなければならない。

「ごめん、俺、行かなきゃ」

 突き動かされる衝動に従い、彼女を避けて立ち上がると、小さな手に袖元を握られる。

「行くって……どこに……?」

「何処にって、そりゃ……」

 何処に……行くのだろう? シャーリーに尋ねられて改めて思ったけど、あれは夢の中で起こっている出来事で、世界の裏側まで走ったとしても、今の俺には絶対にたどり着けない。

 例えあれが、愛美先生の言う所の真実の世界で、俺の居た現実だとしても、行くための手段が俺にはないのだ。

「……でも、それでも!」

 それでも俺は、諦めきれなかった。シャーリーにあんな事をさせて、シャーリーにあんな顔をさせて、恋人の俺が許せるわけがない。

「大丈夫……私はここに……いるよ」

 その瞬間、目の前のシャーロットに俺は抱き着かれ、胸に頬を擦り付けられる。全てを見透かしたような彼女の言葉に唖然としていると、俺の体は突き飛ばされ、ベッドの上に再び倒れ込まされた。

「いてて、何するんだよ、シャーリー」

「そんなことより……トオル……」

 視界が一瞬揺れ動き、衝撃で体が動かなくなる。それから数瞬、感覚が正常に戻り、再び上体を起こそうとすると、何故か体が持ち上がらない。不思議に思い、腰の辺りを確認すると、シャーロットが俺の上で馬乗りになっていた。

 そして、次に彼女が放つ言葉に、俺の思考は全て持っていかれる。

「えっち……しよ……?」

 いつもの彼女とは違う、扇情的な雰囲気のシャーリーに、思わず俺は呆気にとられる。彼女の着ている制服のボタンは、すでに上から二つほど外され、かわいらしいピンク色の下着が、俺を誘うように見え隠れしている。

 スカートのホックもあえて外しているのか、胸元と同じ色をした頼りなくも可愛らしいショーツが、俺の理性を削りとっていく。

「エッチって、何、言って」

「もう……がまんできない……気持ちいいこと……しよ……?」

 馬乗りになったシャーリーの体が、少しずつ俺の体に覆いかぶさってくる。徐々に近づく蒸気した彼女の頬に、俺はたまらず生唾を飲み込んだ。

 先程の夢より明らかに非現実的な状況に、俺は目を泳がせることしか出来ず、彼女の笑顔に飲み込まれていく。

「だって……ずっとおあずけ……もう……いいでしょ……?」

 確かに俺はまだ、彼女の体に手を出してはいない。いくら本業が王女様とはいえ、彼女も年頃の女の子だ。斎藤の言っていたように、熟れた体を毎日のように持て余していたのかもしれない。

 しかし、このタイミングは明らかに変だ。何故、俺が動こうとした瞬間に、彼女はこんな大胆なアプローチをかけてくる? 俺の動きを阻止するかのように、全てを奪おうとしてくる意味がわからない。

 彼女の行動、その全てが変で、明らかにおかしいのに……俺の本能は、目の前の幼女に逆らえずにいた。

「トオル……緊張してる……かわいい……」

 左手で頬を優しく撫でられ、右手で体をまさぐられる。突き放せば良いだけのはずなのに、彼女に危害を加えられないという罪悪感と、全身を駆け巡る快楽が、俺の活動を制限する。下半身を駆け抜ける切なさと、吹きかけられる彼女の吐息に抗いながらも、俺の口からは、自然と喘ぎが漏れ出てしまう。

「どう……気持ちいい……?」

「あ、あう、あぁ……」

 押し殺さなければいけないのに、どうやっても声が止まらない。これじゃ否定しようにも、体の震えだけで認めてるようなものじゃないか。

「強がってる……なら……私にも……」

 それでも必死に耐えようと全身に力を加えていると、突然左手を持ち上げられ、彼女の左胸に手のひらを持っていかれる。

「あっ……」

 手のひらにピッタリ収まるぐらいの柔らかな感触と共に、シャーリーの口から艶めかしい吐息が聞こえ、俺の腰が自然と跳ねる。その瞬間、頭の中がフリーズし、欲望のまま俺は左手をがむしゃらに動かした。

「うっ……とおる……はげ……しい……!」

 嫌がりながらも、いやらしい俺の手を求める彼女の声に意識が失われ、そこから先は、よく覚えていない。気がつけば、惚けきった表情のシャーリーが、俺の体の上に倒れ込んでいた。

「はぁ……はぁ……よかったよ……トオル……」

 幸せそうなシャーリーの甘ったるい声音に、俺は遂に人間として汚れてしまったのだなと気付かされる。それも、合意の上でならともかく、半強制的にさせられて……最低だ。

「でも……不服……何で……呼んでくれないの……?」

 不服と言われても、何のことだかわからないし、こんな状況でまっとうに頭が回るわけがない。今だって、かろうじて意識があるだけで、一瞬でも気を許せば、何をしでかすかわかったものじゃないのである。

「呼ぶって、何を?」

「いじわる……でも……そういうトオルも……好き」

 それに、意地悪しているつもりはないのだが、彼女に対して俺は、何かとんでもない粗相をしてしまったようだ。でも、しょうがないじゃないか、実際に女の子とこんな状況になるなんて、生まれて初めてなんだから。

「今度は……トオルの番」

 そんな俺を再び無視し、楽しそうに表情を歪めたシャーリーが上半身を起き上がらせると、ベッドの上で器用にスカートを脱ぎ捨てる。裸同然となったシャーリーの肌色と、ピンク色の下着のコントラストが眩しすぎて、俺はただ彼女を見つめることしか出来ない。

「ほら……体は……正直」

 それに、彼女の準備が出来たということは、今までよりも凄いものがこの先に待っている。俺のズボンもテントがカーニバルしてて、ここから先には十分すぎた。

「凄い……ね……触れる前から……こんなになって」

 いやらしい目つきで見つめられているだけで、俺の象徴は激しく痙攣してしまっている。本当に俺は、このまましてしまっていいのだろうか? 最後まで、彼女と関係を持ってしまっていいのだろうか? 

 嬉しいはずなのに、最後の一線を超えることを、俺の理性が拒んでいる。そしてついに、シャーリーが俺の下着へと手をかけた。
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