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第五章 もう一人の剣
第233話 ギルドマスターの頼み
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「って、お嬢ちゃんとバルカイトじゃないか」
「おう、邪魔してるぜソイル」
ベルシュローブギルド、対魔族特殊部隊隊長、ソイル・マクラーレン。ギルドマスターも兼任している彼が顔を出すと言うことは、受付嬢に危険な集団と認識されたのは間違いないらしい。
だが、ソイルとバルカイトは唯一無二の親友。シャーリーとも面識はあるし、大丈夫とは思いたいが……さて、どう動く?
「とにかく来いって、アンリが急かすから何事かと思えば、まさか二人とはね」
ソイルが一歩踏み出すと、つられるように周りの冒険者達が一歩引く。その反応から、彼と言う存在が一目置かれているのがよくわかる。若々しさは無いものの、バルカイトと一緒でかなりのイケメンだからな。歴戦の勇士といった感じで、周囲の女性の黄色い悲鳴が微妙に癇に障る。
リア充爆発しろ。なんて、今の俺は言えないのか。これだけ可愛い女の子に囲まれて、そんな台詞を吐こうものなら、昔の俺に殺されるな。
そんな俺に気づく事もなく、カウンターに置かれているものを一瞥したソイルは、納得したように首をふる。
「なるほど、大方の理由は察したよ。奥へ行こうか、ここで話すには面倒なことが多いだろ?」
一瞬で全てを理解すると、ソイルは受付の更に奥、関係者専用通路へと俺達を誘う。シャーリーに気を使ったと言うよりも、恐らく周りの冒険者達を気遣ったのだろう。魔神を殺す幼女など、普通の人間には刺激的すぎるからな。
通路を進み、二階に上がった俺達は応接室へと案内される。ソイルの私室とは、対面に位置する場所だ。隣には医務室があり、シャーリーと筆談していたあの時を思い出す。
その頃に比べれば、彼女は本当に感情豊かになったと思う。それが俺の成し得た事なら、彼女と出会えて本当に良かった。
「さて、色々と聞きたいことはあるんだが……とりあえず座ってくれ。アンリ、お客様にお茶を頼む」
部屋に入り、真っ先に目についたのは、飾られた多数の表彰状と並べられたトロフィーの数々。所々にバルカイトの名前があるって事は、彼もここに在籍していたのか?
因みに、なんでバルカイトの名前が読めるのかと言うと、宿泊時の名簿欄の文字を、きっちりはっきり覚えたのである。まっ、シャーリーのついでだけどな。
他にも、本やら陶器やら色々あって、お客様のための魅せる部屋づくりが成されているように俺は感じた。そして、テーブルを挟んだソファーにお互い対面する形で座ると、アンリと呼ばれた受付嬢が下から持ってきたアイテムをテーブルの上に広げる。
「まずは、そのギルドカードからかな。どこで手に入れたんだい? そんな精密なもの」
やはりと言うべきか、ギルドの長として、この不正は見逃せないか。俺達の世界で言うなら、偽造IDカードを作って仕事をしてるようなもんだからな。データベースに繋がる魔力の流れまでいじってるとか、手の混んだ事もしてるし、無駄な所で凄いよな、この女神。頼もしくもあり、何をやらかすか、不安しかない。
「それなら私が作りました。一瞬で見抜くとは、中々に見どころのある人間ですね」
その予感は的中し、彼女は最高の威厳を持って、ソイルに語りかける。
「お嬢ちゃん、嘘は言っちゃいけないよ。いくら魔力が高いからって、こんなもの子供の君には作れないさ」
しかし、当然のように幼女の戯言と信用されず、逆に優しく諭されてしまう。
「子供とは心外ですね。堕天したとは言え、元女神である私を子供扱いするなど!」
(スクルド、少しは冷静になれ。女神という自負があるなら、それぐらいで取り乱すな。それとも、そんな体にした俺を、お前は恨むか?)
「……かしこまりました。トオル様がおっしゃるのであれば、ここは鞘を収めましょう」
ソイルの言葉に激昂する彼女をなんとか抑え込む事に成功したが、喧嘩する気満々だったんかいお前は。女神としてのプライドはわかるが、もう少し奥ゆかしさってものを覚えてほしい。
「悪いなソイル、スルスカンティーヌを守るために必要だったんだ。ここは一つ、俺の顔を立てて見逃してくれ」
「そうは言ってもな……ん? ちょっとまて、スルスカンティーヌって事は、あの塔を走破したのは、ここにいるお嬢さん方なのか?」
「まっ、そういう事になるな」
精神年齢が垣間見える、幼女女神様の態度に呆れていると、スルスカンティーヌの一件をバルカイトがソイルに語る。別の支部とは言え、情報の共有は行われているのか、ギルマスは俺達の功績に驚きの表情を見せた。
「バズーの一件から始まり、ナベリウスにあの塔。そして、新たな魔神とあまりに人間離れしすぎてて、危険災害に認定したくなるレベルなんだが、バルカイトの知り合いとなるとな……」
ここまで言われると、うちのパーティーが如何に規格外なのかが良くわかる。危険災害とか、まるでヒューマノイドタイフーンかって感じだ。
「よし、この話題については不問とする。代わりに、一つ頼みを聞いてくれないか?」
「……内容……しだい」
そんな俺達の力を見込んでか、彼は突然交換条件を提示してくる。ソイルに限って悪い事ではないと思うけど、シャーリーは珍しく話を慎重に進めようとする。
民のためなら二つ返事で頷きそうな彼女だけど、内容も聞かずにと言うほど、お人好しではないらしい……あ、やめてくださいシャーロットさん。無言で蹴らないで、お願いですから蹴らないで!
「実は、この町に魔物の群れが迫ってきている」
小さな失言から、ご主人さまに上下関係を叩き込まれる俺であったが、ソイルの言葉を聞きシャーリー共々顔を上げる。
「元は有志からもたらされた情報なんだが、調査隊の報告によると、どうやら事実らしくてね。しかも、聞き及んでいた数よりかなり多い。その数およそ千と、現実的なのが救いだけど、俺達だけでは守りきれる自信がない」
魔物が千体……確かに彼の言葉通り、現実的な数字ではある。だが、大小含めた魔物の混成に、百人規模の冒険者では勝てる見込みは薄い。塔で戦ったゴーレムクラスの敵がいれば、それだけで壊滅してしまうだろう。一つの村を落とすには十分すぎる数だ。
それに、魔物の群れを率いているのは、まず間違いなく魔神だ。その場合、どうあがいても勝ち目はない。むしろ、負けないとわかっているからこその、現実的な数という可能性も考えられる。
相手に持たせた小さな希望を、大きな絶望で塗りつぶす。あいつらの好きそうなやり方だ。
「虫がいい話なのは重々承知の上で、どうか頼みたい。この町を、救ってはくれないだろうか?」
こんな話を聞かされ、頭まで下げられては、彼女の答えは一つしかないだろう。
「……当然」
国の行末を案ずる王女の瞳には、炎の色が宿っている。大切なものを守るため、彼女はまた戦いに身を投じるんだ。そんな彼女のことを、体を張って守ることはできないけど、小さな一助となり俺もまた戦う。
「助かるよ。リィンバース最強と謳われる王女殿下も行方不明で、この先どうなるのか皆内心不安がっててね。一説によれば、魔族に寝返った、なんて言う噂も出ていて――」
シャーリーの一声に安堵したのか、ソイルの口から漏れ出る王女に対する根も葉もない噂を聞き、何かを叩きつける音が部屋中に響き渡る。
「ソイルよ、その話、信じてる訳じゃないだろうな?」
シャーリーへの誹謗中傷に、普段冷静なバルカイトが、怒りと共にテーブルを殴りつけたのだ。彼女の正体を知らないとは言え、敬愛する元主君を貶されたことに、我慢ならなかったのであろう。
「あたり前だろ。お前がここに居る時点で、噂が嘘だって事ぐらい、俺にもわかるさ。シャーロット様にも、何かしらの事情があって出てこられないのは理解してる。だが、この状況で放置というのもね。まっ、王女殿下に頼らざるお得ない時点で、情けない話……」
睨みつけるバルカイトの言葉に反論しながらも、自分の意見をしっかり主張するソイルであったが、突然言葉を遮ると、何かを深く考え始める。
「ん? どうした、ソイル?」
「いや……ちょっとまってくれ。君の名前、確かシャーロットって言ったよね? まさか」
「……違う」
複数の魔神を葬った、王女と同じ名前の少女。そこに、元王国騎士団近衛がいる。小さなパズルのピースが繋がり、ソイルが向ける疑惑の視線にシャーリー達は一斉に顔を背ける。
そこまでは良いのだけど、否定しながらも本人を含めた皆の態度が、明らかに動揺しているのはいただけない。しかも、この中で一番の自然体が、アホみたいに笑うスクルドなのだから情けなさすぎる。
「なるほど、それでバルカイトが一緒に居るわけか」
そんな三人の態度に理解を示したギルマスは、テーブルの横に移動すると地面に膝を付き、深々と頭を垂れる。
「失礼いたしましたシャーロット王女殿下。今まで行った数々の御無礼、お許し頂きたく申し上げます」
「……気に……しないで」
ぎこちなさを見せながらも、敬意を示すソイルの態度にごまかす事を諦めたのか、シャーロットは彼に向かって微笑みを返す。
「それにしましても、先程のカードの件と言い、言いましても、えー……」
「ソイル……無理してかしこまるなよ。お嬢はそういうの、逆に嫌うんだ」
言葉を詰まらせるソイルの対応にバルカイトが助け船を出し、シャーリーもそれに頷く。こういうダメな所を見ると、同じ男として親近感が湧いてくる。
「はぁ、そう言ってもらえると助かる。堅苦しいのは昔から苦手でね」
二人に救われたソイルは、大きくため息を吐くと同時に安堵の表情を浮かべた。
「おう、邪魔してるぜソイル」
ベルシュローブギルド、対魔族特殊部隊隊長、ソイル・マクラーレン。ギルドマスターも兼任している彼が顔を出すと言うことは、受付嬢に危険な集団と認識されたのは間違いないらしい。
だが、ソイルとバルカイトは唯一無二の親友。シャーリーとも面識はあるし、大丈夫とは思いたいが……さて、どう動く?
「とにかく来いって、アンリが急かすから何事かと思えば、まさか二人とはね」
ソイルが一歩踏み出すと、つられるように周りの冒険者達が一歩引く。その反応から、彼と言う存在が一目置かれているのがよくわかる。若々しさは無いものの、バルカイトと一緒でかなりのイケメンだからな。歴戦の勇士といった感じで、周囲の女性の黄色い悲鳴が微妙に癇に障る。
リア充爆発しろ。なんて、今の俺は言えないのか。これだけ可愛い女の子に囲まれて、そんな台詞を吐こうものなら、昔の俺に殺されるな。
そんな俺に気づく事もなく、カウンターに置かれているものを一瞥したソイルは、納得したように首をふる。
「なるほど、大方の理由は察したよ。奥へ行こうか、ここで話すには面倒なことが多いだろ?」
一瞬で全てを理解すると、ソイルは受付の更に奥、関係者専用通路へと俺達を誘う。シャーリーに気を使ったと言うよりも、恐らく周りの冒険者達を気遣ったのだろう。魔神を殺す幼女など、普通の人間には刺激的すぎるからな。
通路を進み、二階に上がった俺達は応接室へと案内される。ソイルの私室とは、対面に位置する場所だ。隣には医務室があり、シャーリーと筆談していたあの時を思い出す。
その頃に比べれば、彼女は本当に感情豊かになったと思う。それが俺の成し得た事なら、彼女と出会えて本当に良かった。
「さて、色々と聞きたいことはあるんだが……とりあえず座ってくれ。アンリ、お客様にお茶を頼む」
部屋に入り、真っ先に目についたのは、飾られた多数の表彰状と並べられたトロフィーの数々。所々にバルカイトの名前があるって事は、彼もここに在籍していたのか?
因みに、なんでバルカイトの名前が読めるのかと言うと、宿泊時の名簿欄の文字を、きっちりはっきり覚えたのである。まっ、シャーリーのついでだけどな。
他にも、本やら陶器やら色々あって、お客様のための魅せる部屋づくりが成されているように俺は感じた。そして、テーブルを挟んだソファーにお互い対面する形で座ると、アンリと呼ばれた受付嬢が下から持ってきたアイテムをテーブルの上に広げる。
「まずは、そのギルドカードからかな。どこで手に入れたんだい? そんな精密なもの」
やはりと言うべきか、ギルドの長として、この不正は見逃せないか。俺達の世界で言うなら、偽造IDカードを作って仕事をしてるようなもんだからな。データベースに繋がる魔力の流れまでいじってるとか、手の混んだ事もしてるし、無駄な所で凄いよな、この女神。頼もしくもあり、何をやらかすか、不安しかない。
「それなら私が作りました。一瞬で見抜くとは、中々に見どころのある人間ですね」
その予感は的中し、彼女は最高の威厳を持って、ソイルに語りかける。
「お嬢ちゃん、嘘は言っちゃいけないよ。いくら魔力が高いからって、こんなもの子供の君には作れないさ」
しかし、当然のように幼女の戯言と信用されず、逆に優しく諭されてしまう。
「子供とは心外ですね。堕天したとは言え、元女神である私を子供扱いするなど!」
(スクルド、少しは冷静になれ。女神という自負があるなら、それぐらいで取り乱すな。それとも、そんな体にした俺を、お前は恨むか?)
「……かしこまりました。トオル様がおっしゃるのであれば、ここは鞘を収めましょう」
ソイルの言葉に激昂する彼女をなんとか抑え込む事に成功したが、喧嘩する気満々だったんかいお前は。女神としてのプライドはわかるが、もう少し奥ゆかしさってものを覚えてほしい。
「悪いなソイル、スルスカンティーヌを守るために必要だったんだ。ここは一つ、俺の顔を立てて見逃してくれ」
「そうは言ってもな……ん? ちょっとまて、スルスカンティーヌって事は、あの塔を走破したのは、ここにいるお嬢さん方なのか?」
「まっ、そういう事になるな」
精神年齢が垣間見える、幼女女神様の態度に呆れていると、スルスカンティーヌの一件をバルカイトがソイルに語る。別の支部とは言え、情報の共有は行われているのか、ギルマスは俺達の功績に驚きの表情を見せた。
「バズーの一件から始まり、ナベリウスにあの塔。そして、新たな魔神とあまりに人間離れしすぎてて、危険災害に認定したくなるレベルなんだが、バルカイトの知り合いとなるとな……」
ここまで言われると、うちのパーティーが如何に規格外なのかが良くわかる。危険災害とか、まるでヒューマノイドタイフーンかって感じだ。
「よし、この話題については不問とする。代わりに、一つ頼みを聞いてくれないか?」
「……内容……しだい」
そんな俺達の力を見込んでか、彼は突然交換条件を提示してくる。ソイルに限って悪い事ではないと思うけど、シャーリーは珍しく話を慎重に進めようとする。
民のためなら二つ返事で頷きそうな彼女だけど、内容も聞かずにと言うほど、お人好しではないらしい……あ、やめてくださいシャーロットさん。無言で蹴らないで、お願いですから蹴らないで!
「実は、この町に魔物の群れが迫ってきている」
小さな失言から、ご主人さまに上下関係を叩き込まれる俺であったが、ソイルの言葉を聞きシャーリー共々顔を上げる。
「元は有志からもたらされた情報なんだが、調査隊の報告によると、どうやら事実らしくてね。しかも、聞き及んでいた数よりかなり多い。その数およそ千と、現実的なのが救いだけど、俺達だけでは守りきれる自信がない」
魔物が千体……確かに彼の言葉通り、現実的な数字ではある。だが、大小含めた魔物の混成に、百人規模の冒険者では勝てる見込みは薄い。塔で戦ったゴーレムクラスの敵がいれば、それだけで壊滅してしまうだろう。一つの村を落とすには十分すぎる数だ。
それに、魔物の群れを率いているのは、まず間違いなく魔神だ。その場合、どうあがいても勝ち目はない。むしろ、負けないとわかっているからこその、現実的な数という可能性も考えられる。
相手に持たせた小さな希望を、大きな絶望で塗りつぶす。あいつらの好きそうなやり方だ。
「虫がいい話なのは重々承知の上で、どうか頼みたい。この町を、救ってはくれないだろうか?」
こんな話を聞かされ、頭まで下げられては、彼女の答えは一つしかないだろう。
「……当然」
国の行末を案ずる王女の瞳には、炎の色が宿っている。大切なものを守るため、彼女はまた戦いに身を投じるんだ。そんな彼女のことを、体を張って守ることはできないけど、小さな一助となり俺もまた戦う。
「助かるよ。リィンバース最強と謳われる王女殿下も行方不明で、この先どうなるのか皆内心不安がっててね。一説によれば、魔族に寝返った、なんて言う噂も出ていて――」
シャーリーの一声に安堵したのか、ソイルの口から漏れ出る王女に対する根も葉もない噂を聞き、何かを叩きつける音が部屋中に響き渡る。
「ソイルよ、その話、信じてる訳じゃないだろうな?」
シャーリーへの誹謗中傷に、普段冷静なバルカイトが、怒りと共にテーブルを殴りつけたのだ。彼女の正体を知らないとは言え、敬愛する元主君を貶されたことに、我慢ならなかったのであろう。
「あたり前だろ。お前がここに居る時点で、噂が嘘だって事ぐらい、俺にもわかるさ。シャーロット様にも、何かしらの事情があって出てこられないのは理解してる。だが、この状況で放置というのもね。まっ、王女殿下に頼らざるお得ない時点で、情けない話……」
睨みつけるバルカイトの言葉に反論しながらも、自分の意見をしっかり主張するソイルであったが、突然言葉を遮ると、何かを深く考え始める。
「ん? どうした、ソイル?」
「いや……ちょっとまってくれ。君の名前、確かシャーロットって言ったよね? まさか」
「……違う」
複数の魔神を葬った、王女と同じ名前の少女。そこに、元王国騎士団近衛がいる。小さなパズルのピースが繋がり、ソイルが向ける疑惑の視線にシャーリー達は一斉に顔を背ける。
そこまでは良いのだけど、否定しながらも本人を含めた皆の態度が、明らかに動揺しているのはいただけない。しかも、この中で一番の自然体が、アホみたいに笑うスクルドなのだから情けなさすぎる。
「なるほど、それでバルカイトが一緒に居るわけか」
そんな三人の態度に理解を示したギルマスは、テーブルの横に移動すると地面に膝を付き、深々と頭を垂れる。
「失礼いたしましたシャーロット王女殿下。今まで行った数々の御無礼、お許し頂きたく申し上げます」
「……気に……しないで」
ぎこちなさを見せながらも、敬意を示すソイルの態度にごまかす事を諦めたのか、シャーロットは彼に向かって微笑みを返す。
「それにしましても、先程のカードの件と言い、言いましても、えー……」
「ソイル……無理してかしこまるなよ。お嬢はそういうの、逆に嫌うんだ」
言葉を詰まらせるソイルの対応にバルカイトが助け船を出し、シャーリーもそれに頷く。こういうダメな所を見ると、同じ男として親近感が湧いてくる。
「はぁ、そう言ってもらえると助かる。堅苦しいのは昔から苦手でね」
二人に救われたソイルは、大きくため息を吐くと同時に安堵の表情を浮かべた。
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