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第四章 地底に眠りし幼竜姫
第222話 マグマの底で眠るもの
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「ここまで、来れば、逃げれまい。誇りの、ために」
「ふむ、やはり知っておったか。この場所と、わしらを疑ったのが、全ての始まりなのじゃろ?」
「関係、ない。殺す、竜は、殺す」
部外者である俺が、二人の会話の全てを理解することは出来ない。だが、奴が出てきた以上、狙いはリースだ。
ただ、何かがおかしいとも感じている。ブネの向ける視線が、デオルドさんへと注がれていたからだ。
「では、勝負といこうかの。わしの弟子が止めるのと、お主がわしを殺すの、どちらが先か……じゃ」
言葉からも嫌な感じはあったが、どちらにせよ俺に与えられている選択肢は一つ。ブネへと踏み出すバルカイトを信じ、一刻も早く、強力な聖剣として精錬される事。
「これで三回目か。そろそろ決着、つけさせてもらうぜ」
「決着? それは、こちらの台詞、だ!!」
両手に剣を顕現させるバルカイトの動きに呼応し、ブネもまた雄叫びを上げる。奴の身に着けているローブが咆哮と共に弾け飛ぶと、醜くく体が歪み、巨大な何かへとその姿を変貌させていく。
それは竜。奴が最も忌み嫌う、全てを焼き尽くす存在へと自らを変化させたのだ。復讐相手の力さえも利用する、恐るべき執念。その心が、死体となった禍月を、魔神へと昇華させたのであろう。
変身における副作用か、バルカイトに斬り落とされた両腕も再生し、ブネの状態は万全。昨日得たアドバンテージは、完全に無くなったものと見て間違いない。
「お主、死体だけでなく、ファフニールの姿まで取り込んでおったのか! 何処までわしらを……くっ」
そして、デオルドさんの言葉が正しければ、今の奴の姿こそが黒竜帝ファフニール。全身を覆う褐色の鱗に、見るからに凶暴な角と牙。ギラつく目つきに当てられ、並の人間なら、恐怖と発狂に逃げ惑うことだろう。
けれど、完全にコピーしきれていないのか、鱗の色など、黒竜帝と呼ぶには程遠い箇所も見受けられる。ブネとしての面影も残っているし、三つの頭から一斉に息でも吐かれようものなら、その威力は計り知れない。
「まぁ良い。バルカイトよ、後は任せるぞい」
「あぁ、しっかりやらせて貰うぜ、爺さん」
それでも、バルカイトは一歩も引かず、デオルドさんも姿勢を変えない。二人の間の見えない絆に、俺は心底しびれそうになる。バルカイトに憧れてしまうのは、たぶんこういう所なんだ。
だから、もっと強くなりたい。三人の想いを受け止められる、そんな剣になりたいんだ。
「さて、作業に入ろうかの」
(はい、お願いします)
「嬢ちゃん達、フォロー頼むぜ!」
二本の大剣を振り回し、巨竜へと挑むバルカイト。彼の言葉を聞いた天道とスクルドは、俺達を守るよう左右に広く展開する。
三人の見せる鉄壁の布陣に勇気を貰った俺は、煮えたぎるマグマへと視線を向け、心のギアを上げる。ここからは俺の戦い、どんな困難が待っていようと、必ず帰ってきてみせる!
「いくぞ、トオルよ!」
(はい!)
デオルドさんの掛け声と共に、俺の体はゆっくりとエーテルの中へ漬けられていく。切っ先から侵入し、根本までマグマに浸かった頃、全身に突き刺すような痛みが現れ始めた。
(がっ!! あ、あ、あああああぁっあぁあぁっああぁああっああ!!!!)
「!? ……トオル……トオル!!」
「危ないから下がっておれ!」
熱い痛い痛い痛い熱い痛い熱い痛い熱い熱い痛熱痛痛痛――
痛覚から言語中枢、本能すらも振り切らせる熱の本流に、意識が溶かされていく。コーヒーに注がれたミルクのように、マグマと混ざりあった俺と言う存在は、気がつくと暗闇の中を漂っていた。
死んだ……のか?
わからない。曖昧な記憶と感覚が、俺を不安に駆り立てる。天国でも地獄でもない、宙ぶらりんな魂の横を、小さな痛みが駆け抜けたのはその時だった。頬から飛沫が跳ねると、目の前は再び赤い光景に専有される。
それはマグマではなく炎。辺り一帯を焼き尽くす業火に、肉が焦げる死の臭い。竜が死に、人が燃え、阿鼻叫喚と絶叫に溢れた、二つの種族の死者の塔。
積み上げられた屍に、俺はただ、マグロのような目を向けるしかない。精気の無い、死んだような目。そうでもしないと、精神が壊れてしまいそうだったから。
そんな折、何処からか声が聞こえる。
「ほう、人の子か。これはまた珍しい」
自信に満ちた覇を往く者の声。空を見上げると、白く巨大なドラゴンが、俺という存在を見下ろしていた。
しかも、そいつはただの竜ではなく、引き締まったウエストに、たくましい腕と長い足を備えた、まるで人を思わせる存在。竜人……いや、竜神のように俺には見える。
感じたのは恐怖。夢の中とは言え、武器一つ無い無防備な状態で、人間の十倍以上もある巨大な生物を目の前に、ビビるなと言う方が無理な話だ。
それに、こいつはファフニールよりでかく、威圧する力も段違いに強い。怖い。昨日の考えが嘘のように、死ぬことを拒んでいる。そう、これが本来の自分。臆病で弱虫だった、あの頃の俺なんだ。
「して、要件はなんだ?」
要件? 要件ってなんだよ? 別に俺は、お前に合うために来たわけじゃない。第一、こんな恐怖、なんで俺が受けなきゃいけないんだ。
俺はシャーリーのために、シャーリーのため……あぁ、そうか。俺は別に、死ぬのが怖くなくなったわけじゃないんだ。傷つくことは今だって怖い。逃げれるなら逃げたいし、臆病な所も変わらない。
けど、今の俺には大切な人がいる。命を賭けてでも、守りたい人がいる。だから、彼女のためなら死んでもいい。自分が嫌いだからって、自暴自棄になっていたわけじゃないんだ。
俺は、彼女のために生きたい。だから、だから!
「守りたい人がいる。そのために俺は、強くなりたい!」
その瞬間、俺の心に迷いはなかった。こんな物に怖気づいている場合じゃない。俺は強くなって、彼女の元に帰るんだ。死んででも、帰るんだよ。
「ほぅ、人間にしてはいい目をしている。芯を持った、何かを貫き通す者の目だ」
どうやら、俺の決意は彼に認められたらしく、宙に浮かんだ竜は、徐々にこちらへと近づいてくる。
「なら、試させてもらおうか、その覚悟の程を」
そして、いきなり竜は右手を伸ばすと、俺の左胸を貫き心臓を鷲掴みにした。
「ぐっ!? が、あぁ、あぁぁ!!」
痛い、痛い、痛い。苦しい、苦しい、苦しい。
命を握られていると言う恐怖、生と死の間を行き来しているかの様な状況に、汚物を撒き散らしながら気絶したい衝動に駆られる。息が荒い、心臓が壊れる。でも、負けるわけにはいかない。この恐怖に打ち勝たなければ、俺はもうシャーリーに会えない……それだけは嫌だ!!
シャーリー、シャーリー、俺の大好きなシャーリー。彼女のためならこんな恐怖、乗り越えてみせる。だから、だから……早く終わってくれ!
そう願った刹那、竜の右腕は引き抜かれ、無様にも俺は地面の上へと崩れ落ちる。
「一分、耐えたか。発狂なりすれば、貴様の心を握り潰してやろうと思ったが、なかなかに見どころのある人間だ。人としては称賛に値する。しかも、その体で面白い魔力を匂わせるとは、まごうことなき変態……む、この匂い何処かで……」
倒れた体を這いつくばらせ必死に起き上がらせると、何事か竜は、頭を捻らせ考え事をしていた。
「この魔力、まさか、姫のつがいか!」
ドラゴンでも悩む事があるんだなと考えていると、白竜は突然顔を寄せ、訳のわからない言葉を吹きかけてくる。姫? シャーリーの事を言っているのか?
そんな疑問も程々に、白き巨体が放つ暴風のような笑い声に、全てが吹き飛ばされた。
「フハハハハ、面白い、面白いぞ人間! 貴様のような下等生物が、姫のつがいとはな! 良いだろう、お前の枷を一つ外してやる。これはサービスだ」
言葉の意味も理解できぬまま、体の奥で錠の外れる音が聞こえる。
「我が加護もくれてやろう。後は自分で使いこなせよ」
そして、有無も言わさず注がれた熱により、俺の中で何かが変わった。
「姫に認められし貴様が、この世界で何を成すか、ここからじっくり観察させてもらうぞ。さぁ、行くが良い少年。待ち受ける地獄のその先へ」
白竜が俺に贈ったもの、その一切を把握出来ずに、俺の意識は世界から追い出される。そして、意識はまた、剣の中へと戻ってきた。
「よし、完成じゃ! 坊主、無事かの?」
(は、はい。なんとか)
痛みや熱は何処にもなく、目の前に見えるのはマグマの海。ただ漠然と、体に纏う魔力の流れが、鋭利なものへと変わっているのがわかる。これがあのドラゴンの言っていた、加護と言うやつなのだろうか?
にしても、状況はどうなってる? 精錬は成功したみたいだけど、ブネは? 皆は!?
「しまっ!? 爺さん!」
聞こえてきたバルカイトの声の方へと視線を向けると、高速で飛来する何かが、俺達のいる場所へと向かってくる。
「姫よ、しっかり受け止めなされ!」
飛び込んでくる鋭利な刃を視界が捉えた瞬間、体は一人天高くへと放り上げられ、眼下に映し出されたのは、竜の爪に貫かれる老精霊の姿だった。
「ふむ、やはり知っておったか。この場所と、わしらを疑ったのが、全ての始まりなのじゃろ?」
「関係、ない。殺す、竜は、殺す」
部外者である俺が、二人の会話の全てを理解することは出来ない。だが、奴が出てきた以上、狙いはリースだ。
ただ、何かがおかしいとも感じている。ブネの向ける視線が、デオルドさんへと注がれていたからだ。
「では、勝負といこうかの。わしの弟子が止めるのと、お主がわしを殺すの、どちらが先か……じゃ」
言葉からも嫌な感じはあったが、どちらにせよ俺に与えられている選択肢は一つ。ブネへと踏み出すバルカイトを信じ、一刻も早く、強力な聖剣として精錬される事。
「これで三回目か。そろそろ決着、つけさせてもらうぜ」
「決着? それは、こちらの台詞、だ!!」
両手に剣を顕現させるバルカイトの動きに呼応し、ブネもまた雄叫びを上げる。奴の身に着けているローブが咆哮と共に弾け飛ぶと、醜くく体が歪み、巨大な何かへとその姿を変貌させていく。
それは竜。奴が最も忌み嫌う、全てを焼き尽くす存在へと自らを変化させたのだ。復讐相手の力さえも利用する、恐るべき執念。その心が、死体となった禍月を、魔神へと昇華させたのであろう。
変身における副作用か、バルカイトに斬り落とされた両腕も再生し、ブネの状態は万全。昨日得たアドバンテージは、完全に無くなったものと見て間違いない。
「お主、死体だけでなく、ファフニールの姿まで取り込んでおったのか! 何処までわしらを……くっ」
そして、デオルドさんの言葉が正しければ、今の奴の姿こそが黒竜帝ファフニール。全身を覆う褐色の鱗に、見るからに凶暴な角と牙。ギラつく目つきに当てられ、並の人間なら、恐怖と発狂に逃げ惑うことだろう。
けれど、完全にコピーしきれていないのか、鱗の色など、黒竜帝と呼ぶには程遠い箇所も見受けられる。ブネとしての面影も残っているし、三つの頭から一斉に息でも吐かれようものなら、その威力は計り知れない。
「まぁ良い。バルカイトよ、後は任せるぞい」
「あぁ、しっかりやらせて貰うぜ、爺さん」
それでも、バルカイトは一歩も引かず、デオルドさんも姿勢を変えない。二人の間の見えない絆に、俺は心底しびれそうになる。バルカイトに憧れてしまうのは、たぶんこういう所なんだ。
だから、もっと強くなりたい。三人の想いを受け止められる、そんな剣になりたいんだ。
「さて、作業に入ろうかの」
(はい、お願いします)
「嬢ちゃん達、フォロー頼むぜ!」
二本の大剣を振り回し、巨竜へと挑むバルカイト。彼の言葉を聞いた天道とスクルドは、俺達を守るよう左右に広く展開する。
三人の見せる鉄壁の布陣に勇気を貰った俺は、煮えたぎるマグマへと視線を向け、心のギアを上げる。ここからは俺の戦い、どんな困難が待っていようと、必ず帰ってきてみせる!
「いくぞ、トオルよ!」
(はい!)
デオルドさんの掛け声と共に、俺の体はゆっくりとエーテルの中へ漬けられていく。切っ先から侵入し、根本までマグマに浸かった頃、全身に突き刺すような痛みが現れ始めた。
(がっ!! あ、あ、あああああぁっあぁあぁっああぁああっああ!!!!)
「!? ……トオル……トオル!!」
「危ないから下がっておれ!」
熱い痛い痛い痛い熱い痛い熱い痛い熱い熱い痛熱痛痛痛――
痛覚から言語中枢、本能すらも振り切らせる熱の本流に、意識が溶かされていく。コーヒーに注がれたミルクのように、マグマと混ざりあった俺と言う存在は、気がつくと暗闇の中を漂っていた。
死んだ……のか?
わからない。曖昧な記憶と感覚が、俺を不安に駆り立てる。天国でも地獄でもない、宙ぶらりんな魂の横を、小さな痛みが駆け抜けたのはその時だった。頬から飛沫が跳ねると、目の前は再び赤い光景に専有される。
それはマグマではなく炎。辺り一帯を焼き尽くす業火に、肉が焦げる死の臭い。竜が死に、人が燃え、阿鼻叫喚と絶叫に溢れた、二つの種族の死者の塔。
積み上げられた屍に、俺はただ、マグロのような目を向けるしかない。精気の無い、死んだような目。そうでもしないと、精神が壊れてしまいそうだったから。
そんな折、何処からか声が聞こえる。
「ほう、人の子か。これはまた珍しい」
自信に満ちた覇を往く者の声。空を見上げると、白く巨大なドラゴンが、俺という存在を見下ろしていた。
しかも、そいつはただの竜ではなく、引き締まったウエストに、たくましい腕と長い足を備えた、まるで人を思わせる存在。竜人……いや、竜神のように俺には見える。
感じたのは恐怖。夢の中とは言え、武器一つ無い無防備な状態で、人間の十倍以上もある巨大な生物を目の前に、ビビるなと言う方が無理な話だ。
それに、こいつはファフニールよりでかく、威圧する力も段違いに強い。怖い。昨日の考えが嘘のように、死ぬことを拒んでいる。そう、これが本来の自分。臆病で弱虫だった、あの頃の俺なんだ。
「して、要件はなんだ?」
要件? 要件ってなんだよ? 別に俺は、お前に合うために来たわけじゃない。第一、こんな恐怖、なんで俺が受けなきゃいけないんだ。
俺はシャーリーのために、シャーリーのため……あぁ、そうか。俺は別に、死ぬのが怖くなくなったわけじゃないんだ。傷つくことは今だって怖い。逃げれるなら逃げたいし、臆病な所も変わらない。
けど、今の俺には大切な人がいる。命を賭けてでも、守りたい人がいる。だから、彼女のためなら死んでもいい。自分が嫌いだからって、自暴自棄になっていたわけじゃないんだ。
俺は、彼女のために生きたい。だから、だから!
「守りたい人がいる。そのために俺は、強くなりたい!」
その瞬間、俺の心に迷いはなかった。こんな物に怖気づいている場合じゃない。俺は強くなって、彼女の元に帰るんだ。死んででも、帰るんだよ。
「ほぅ、人間にしてはいい目をしている。芯を持った、何かを貫き通す者の目だ」
どうやら、俺の決意は彼に認められたらしく、宙に浮かんだ竜は、徐々にこちらへと近づいてくる。
「なら、試させてもらおうか、その覚悟の程を」
そして、いきなり竜は右手を伸ばすと、俺の左胸を貫き心臓を鷲掴みにした。
「ぐっ!? が、あぁ、あぁぁ!!」
痛い、痛い、痛い。苦しい、苦しい、苦しい。
命を握られていると言う恐怖、生と死の間を行き来しているかの様な状況に、汚物を撒き散らしながら気絶したい衝動に駆られる。息が荒い、心臓が壊れる。でも、負けるわけにはいかない。この恐怖に打ち勝たなければ、俺はもうシャーリーに会えない……それだけは嫌だ!!
シャーリー、シャーリー、俺の大好きなシャーリー。彼女のためならこんな恐怖、乗り越えてみせる。だから、だから……早く終わってくれ!
そう願った刹那、竜の右腕は引き抜かれ、無様にも俺は地面の上へと崩れ落ちる。
「一分、耐えたか。発狂なりすれば、貴様の心を握り潰してやろうと思ったが、なかなかに見どころのある人間だ。人としては称賛に値する。しかも、その体で面白い魔力を匂わせるとは、まごうことなき変態……む、この匂い何処かで……」
倒れた体を這いつくばらせ必死に起き上がらせると、何事か竜は、頭を捻らせ考え事をしていた。
「この魔力、まさか、姫のつがいか!」
ドラゴンでも悩む事があるんだなと考えていると、白竜は突然顔を寄せ、訳のわからない言葉を吹きかけてくる。姫? シャーリーの事を言っているのか?
そんな疑問も程々に、白き巨体が放つ暴風のような笑い声に、全てが吹き飛ばされた。
「フハハハハ、面白い、面白いぞ人間! 貴様のような下等生物が、姫のつがいとはな! 良いだろう、お前の枷を一つ外してやる。これはサービスだ」
言葉の意味も理解できぬまま、体の奥で錠の外れる音が聞こえる。
「我が加護もくれてやろう。後は自分で使いこなせよ」
そして、有無も言わさず注がれた熱により、俺の中で何かが変わった。
「姫に認められし貴様が、この世界で何を成すか、ここからじっくり観察させてもらうぞ。さぁ、行くが良い少年。待ち受ける地獄のその先へ」
白竜が俺に贈ったもの、その一切を把握出来ずに、俺の意識は世界から追い出される。そして、意識はまた、剣の中へと戻ってきた。
「よし、完成じゃ! 坊主、無事かの?」
(は、はい。なんとか)
痛みや熱は何処にもなく、目の前に見えるのはマグマの海。ただ漠然と、体に纏う魔力の流れが、鋭利なものへと変わっているのがわかる。これがあのドラゴンの言っていた、加護と言うやつなのだろうか?
にしても、状況はどうなってる? 精錬は成功したみたいだけど、ブネは? 皆は!?
「しまっ!? 爺さん!」
聞こえてきたバルカイトの声の方へと視線を向けると、高速で飛来する何かが、俺達のいる場所へと向かってくる。
「姫よ、しっかり受け止めなされ!」
飛び込んでくる鋭利な刃を視界が捉えた瞬間、体は一人天高くへと放り上げられ、眼下に映し出されたのは、竜の爪に貫かれる老精霊の姿だった。
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