193 / 526
第四章 地底に眠りし幼竜姫
第192話 デオルドの弟子
しおりを挟む
あれからもう、どれだけの階段を下りただろうか。感覚としてはかれこれ十分以上、俺達は急勾配な階段を下り続けている。弱音を吐くつもりはないけど、この町は何処まで続いているのか、余りにも底が深すぎる。
それでも、通路事態はしっかり整備されており、各フロア毎に快適な広さの公道と家の数々、そこかしこに魔術式の電灯が設置されている。正直、俺が想像していた地下都市のイメージよりも明るく、深夜の大都会と同じぐらい昼夜の感覚がわからない。まっ、ここの場合、地下と言うこともあって、日が差してくることは無いんだけど。
そんな地下都市に一つ問題があるとすれば、下れば下るほど上がっていくこの気温。入り口の気候が初夏と考えると、今いる辺りは真夏に近く、普通に汗が止まらない。言葉には出していないけど、三人共かなり辛そうにしているのは俺の目でもわかる。
当然、俺の体も熱に浮かされてはいるが、汗は魔力に反映されないようで、表面から溢れ出たりはしないらしい。これでもし、涙のように流れ出たら、鞘の中がベチョベチョになって、最悪な住心地となっていたのは間違いないだろう。
それに、俺は一切歩いてないからへばる要素も無いし、三人が無理をしていないか、それだけが心配で仕方がない。まさかこれも、デオルド爺の作戦では!? なんて事を無駄に想像してしまうあたり、俺の中の人見知りは大切な人を得たことで、一段と酷い方向へと、成長してしまったようである。
「さて、ここがわしの家じゃ。長い移動、ご苦労じゃったのう」
そう言いながら立ち止まったデオルドさんの先、目の前にそびえる家の大きさに、俺達は一斉に目を丸くする。
「……大きい」
「流石はドワブンの長、良き所に住んでいますね」
「ほっほっほっ、女神様に褒められるとは、わしも大きくなったかのう」
こんな地下深くだと言うのに、豪邸と見間違う程の迫力見せるデオルドさんの家。外装が他と変わらないのは、あくまでこの家が、鍛治を行うために作られたものだからなのだろう。機能性を重視した、職人基質溢れるシンプルなデザイン。俺は、嫌いじゃない。
それよりも、スクルドの正体まで見抜くとは、なんて恐ろしい御老体だ。このデオルドと言う御仁、やはり油断ならないのかもしれない。
「いやいや、お爺ちゃん。そのサイズで大きいはないでしょ?」
「むっ、やはりそうかの? わしはちっこいか。ほっほっほっ」
そんなドワブンの小さなボケにも、軽々対応する天道の話術。薙沙ちゃんと言うアイドルを経て、異種族の老人までをも虜にするようになった後輩の背中を、俺は複雑な眼差しで見つめている。俺ももっと、彼女の強さを見習わなくちゃいけないのかな? って。
「ともかく上がりなされ、大したもてなしはできんがの」
デオルドさんに促されるまま、踏み込んだ家の中は想像よりも狭く、居住スペース自体はあまり広くない。セリーヌさんの家と一緒で、奥の工房が主な面積を締めているのだろう。家具なんかも簡素なもので、美味しいお茶とかお菓子なんかは、あまり期待できそうにない。
べ、別に、ねだってる訳じゃないからな。俺はどうせ食べれないし、もてなしと聞いて想像しただけで……そもそも俺って、人間の時からあまり食い物に興味が無いんだよ。本当に本当だから!
そんな言い訳を考えてる内に、三人は、石でできた四角い椅子へと腰を下ろす。同じく、石で作られたテーブルの上に俺は乗せられ、皆は同時にため息をついた。
それもそのはず、体感ではあるもののこの辺りの気温は三十度を超え、ちょっと暑めの夏日のような状態。天道はともかく、比較的涼しいリィンバースの気候に慣れた二人には、かなり堪えると言った所だろう。
「ホッホ、こんな暑い地下深くですまんのう。人間のお嬢さん方には辛いじゃろうて」
「……大丈夫」
「いえいえ、大丈夫っすよ。猛暑に比べればこのぐらい、大したこと無いですから。ね! 先輩」
そんな彼女達の表情を見たデオルドさんは、陶器製のコップに水を汲み、三人の前に差し出してくれる。
天道の言う通り、俺達が住んでいた世界の最高気温に比べれば、ここの気温も大したことはないのだけど、流石に冬服のままでは暑いのだろう、既に彼女はブレザーを脱ぎ、シャツのボタンを上から二つ外している。その隙間から、可愛いブラと艷やかな谷間がしっかり顔を覗かせていて……全くもってけしからん。
「先輩? も~、先輩は本当にエッチなんだから~。でも~、みたいならみていいよ~」
(遠慮させていただきます)
この暑さと俺の視線に、骨の髄までやられたのか、胸元をちらつかせながら近づいてくるエッチな後輩。汚物を見るようなシャーリーの視線も何のその、大きな膨らみを更に寄せ上げ、テーブルの上にたぷんと乗せる。
眼前に迫った、二つの巨大な戦術兵器。しかし、そんなものに呑まれるほど、俺の理性はやわじゃない。
等と言いながらも、自然と視線は彼女の胸元をチラチラと追ってしまい……これも男の性か、汗ばみ蒸れるみずみずしい柔肌が俺の心を惑わすのだ。悲しい。
「ウーム、若いとは良いものじゃの~」
「はい! 天道朝美、大好きな人のために、この体張っております!」
そんな俺達を見て豪快に笑うデオルドさんは、なんだかとても楽しそうで、再び乗っかる天道といい、二人はもう完全に仲良しだった。敬礼を見せつつ半脱ぎで笑う元アイドルと、とても楽しそうなドワブンの爺さん。この不可思議な状況に、俺の視線は彼女の胸元に釘付けとなる。
「師匠! まーた知らない内にどっかいって。出かける時は声かけてくださいっていつも――」
脈絡もなくサイズDの魔力に吸い寄せられる俺が、怒りの正妻に右手で押し潰されていると、奥の工房から厚手の作業着をまとった少年が現れる。
師匠と言うことは、彼はデオルドさんに仕える職人見習いなのだろう。すす汚れた全身が、今の今まで作業に勤しんでいた事を物語っている。
しかし、三人の女性を連れ帰った師の存在に、大層彼は困惑しているように思えた。
「えっと……どちら様、でしょうか?」
「ユーゴよ! 女性の前では、先に男が名乗るのが礼儀じゃろうて」
「はっ!? し、失礼しました! 俺、アサギリ・ユーゴって言います。デオルド様の下で修行させてもらってる鍛治見習いで、三度の飯より鉄を打つ事が好きです!」
美少女三人の来訪に目を白黒させる少年だったが、デオルドさんの一喝に触発され、一息のもと自己紹介を済ませる。
ユーゴと名乗った少年の見た目は俺よりも若く、年齢は十四、十五と言った所か。黒髪の童顔で低身長、捲り上がった袖の下の筋肉を除けば、人間の頃の俺と瓜二つと言っても過言ではない。そのせいか、彼を見る天道の目つきが獲物を狙う獣のように細められている。
「アサギリ、って事は、ユーゴくんも転生者?」
彼の名前が俺達と同じ、苗字、名前の順である事に気づいた彼女は、その疑問に対し、容赦なく切り込んで行く。
「えっと、一応、そうらしいです」
「……一応?」
そんな彼の返答に、今度はシャーリーが食いつき、ユーゴは困ったように言葉を濁す。何か理由があるのだろうかと訝しんだ俺も、次の言葉を聞いた瞬間、驚きに言葉を失う。
「その、俺、記憶が無いんですよね、前世の記憶ってやつ」
記憶が、ない? 俺の知ってる異世界転生、もしくは異世界召喚ってやつは、前世の記憶を引き継いで行われるのが基本だ。しかし、目の前の彼にはその法則性が当てはまらず、とてもイレギュラーに感じられたのだ。
そもそも、記憶が無い時点で転生というカテゴリーに当てはまるのか? という疑問もある。それでも彼の場合、名前だけは覚えているし、自身が転生者である事も理解はしているようで、百パーセント間違いとも言い切れない。そこで俺は、不可解な事もたまにはあるのだなと、自分自身を納得させる。
「世の中には、数奇な運命を背負ったものが幾人もいる。そう言う事じゃて。お前さんのようにな」
そして、デオルドさんの言葉を聞いてハッとさせられた。記憶こそあるものの、俺だってこんな体で転生させられた不可解な存在の一人。人間として不完全な状態で復活したという意味で、俺達二人は本当に似た者同士なのかもしれない。
それでも、通路事態はしっかり整備されており、各フロア毎に快適な広さの公道と家の数々、そこかしこに魔術式の電灯が設置されている。正直、俺が想像していた地下都市のイメージよりも明るく、深夜の大都会と同じぐらい昼夜の感覚がわからない。まっ、ここの場合、地下と言うこともあって、日が差してくることは無いんだけど。
そんな地下都市に一つ問題があるとすれば、下れば下るほど上がっていくこの気温。入り口の気候が初夏と考えると、今いる辺りは真夏に近く、普通に汗が止まらない。言葉には出していないけど、三人共かなり辛そうにしているのは俺の目でもわかる。
当然、俺の体も熱に浮かされてはいるが、汗は魔力に反映されないようで、表面から溢れ出たりはしないらしい。これでもし、涙のように流れ出たら、鞘の中がベチョベチョになって、最悪な住心地となっていたのは間違いないだろう。
それに、俺は一切歩いてないからへばる要素も無いし、三人が無理をしていないか、それだけが心配で仕方がない。まさかこれも、デオルド爺の作戦では!? なんて事を無駄に想像してしまうあたり、俺の中の人見知りは大切な人を得たことで、一段と酷い方向へと、成長してしまったようである。
「さて、ここがわしの家じゃ。長い移動、ご苦労じゃったのう」
そう言いながら立ち止まったデオルドさんの先、目の前にそびえる家の大きさに、俺達は一斉に目を丸くする。
「……大きい」
「流石はドワブンの長、良き所に住んでいますね」
「ほっほっほっ、女神様に褒められるとは、わしも大きくなったかのう」
こんな地下深くだと言うのに、豪邸と見間違う程の迫力見せるデオルドさんの家。外装が他と変わらないのは、あくまでこの家が、鍛治を行うために作られたものだからなのだろう。機能性を重視した、職人基質溢れるシンプルなデザイン。俺は、嫌いじゃない。
それよりも、スクルドの正体まで見抜くとは、なんて恐ろしい御老体だ。このデオルドと言う御仁、やはり油断ならないのかもしれない。
「いやいや、お爺ちゃん。そのサイズで大きいはないでしょ?」
「むっ、やはりそうかの? わしはちっこいか。ほっほっほっ」
そんなドワブンの小さなボケにも、軽々対応する天道の話術。薙沙ちゃんと言うアイドルを経て、異種族の老人までをも虜にするようになった後輩の背中を、俺は複雑な眼差しで見つめている。俺ももっと、彼女の強さを見習わなくちゃいけないのかな? って。
「ともかく上がりなされ、大したもてなしはできんがの」
デオルドさんに促されるまま、踏み込んだ家の中は想像よりも狭く、居住スペース自体はあまり広くない。セリーヌさんの家と一緒で、奥の工房が主な面積を締めているのだろう。家具なんかも簡素なもので、美味しいお茶とかお菓子なんかは、あまり期待できそうにない。
べ、別に、ねだってる訳じゃないからな。俺はどうせ食べれないし、もてなしと聞いて想像しただけで……そもそも俺って、人間の時からあまり食い物に興味が無いんだよ。本当に本当だから!
そんな言い訳を考えてる内に、三人は、石でできた四角い椅子へと腰を下ろす。同じく、石で作られたテーブルの上に俺は乗せられ、皆は同時にため息をついた。
それもそのはず、体感ではあるもののこの辺りの気温は三十度を超え、ちょっと暑めの夏日のような状態。天道はともかく、比較的涼しいリィンバースの気候に慣れた二人には、かなり堪えると言った所だろう。
「ホッホ、こんな暑い地下深くですまんのう。人間のお嬢さん方には辛いじゃろうて」
「……大丈夫」
「いえいえ、大丈夫っすよ。猛暑に比べればこのぐらい、大したこと無いですから。ね! 先輩」
そんな彼女達の表情を見たデオルドさんは、陶器製のコップに水を汲み、三人の前に差し出してくれる。
天道の言う通り、俺達が住んでいた世界の最高気温に比べれば、ここの気温も大したことはないのだけど、流石に冬服のままでは暑いのだろう、既に彼女はブレザーを脱ぎ、シャツのボタンを上から二つ外している。その隙間から、可愛いブラと艷やかな谷間がしっかり顔を覗かせていて……全くもってけしからん。
「先輩? も~、先輩は本当にエッチなんだから~。でも~、みたいならみていいよ~」
(遠慮させていただきます)
この暑さと俺の視線に、骨の髄までやられたのか、胸元をちらつかせながら近づいてくるエッチな後輩。汚物を見るようなシャーリーの視線も何のその、大きな膨らみを更に寄せ上げ、テーブルの上にたぷんと乗せる。
眼前に迫った、二つの巨大な戦術兵器。しかし、そんなものに呑まれるほど、俺の理性はやわじゃない。
等と言いながらも、自然と視線は彼女の胸元をチラチラと追ってしまい……これも男の性か、汗ばみ蒸れるみずみずしい柔肌が俺の心を惑わすのだ。悲しい。
「ウーム、若いとは良いものじゃの~」
「はい! 天道朝美、大好きな人のために、この体張っております!」
そんな俺達を見て豪快に笑うデオルドさんは、なんだかとても楽しそうで、再び乗っかる天道といい、二人はもう完全に仲良しだった。敬礼を見せつつ半脱ぎで笑う元アイドルと、とても楽しそうなドワブンの爺さん。この不可思議な状況に、俺の視線は彼女の胸元に釘付けとなる。
「師匠! まーた知らない内にどっかいって。出かける時は声かけてくださいっていつも――」
脈絡もなくサイズDの魔力に吸い寄せられる俺が、怒りの正妻に右手で押し潰されていると、奥の工房から厚手の作業着をまとった少年が現れる。
師匠と言うことは、彼はデオルドさんに仕える職人見習いなのだろう。すす汚れた全身が、今の今まで作業に勤しんでいた事を物語っている。
しかし、三人の女性を連れ帰った師の存在に、大層彼は困惑しているように思えた。
「えっと……どちら様、でしょうか?」
「ユーゴよ! 女性の前では、先に男が名乗るのが礼儀じゃろうて」
「はっ!? し、失礼しました! 俺、アサギリ・ユーゴって言います。デオルド様の下で修行させてもらってる鍛治見習いで、三度の飯より鉄を打つ事が好きです!」
美少女三人の来訪に目を白黒させる少年だったが、デオルドさんの一喝に触発され、一息のもと自己紹介を済ませる。
ユーゴと名乗った少年の見た目は俺よりも若く、年齢は十四、十五と言った所か。黒髪の童顔で低身長、捲り上がった袖の下の筋肉を除けば、人間の頃の俺と瓜二つと言っても過言ではない。そのせいか、彼を見る天道の目つきが獲物を狙う獣のように細められている。
「アサギリ、って事は、ユーゴくんも転生者?」
彼の名前が俺達と同じ、苗字、名前の順である事に気づいた彼女は、その疑問に対し、容赦なく切り込んで行く。
「えっと、一応、そうらしいです」
「……一応?」
そんな彼の返答に、今度はシャーリーが食いつき、ユーゴは困ったように言葉を濁す。何か理由があるのだろうかと訝しんだ俺も、次の言葉を聞いた瞬間、驚きに言葉を失う。
「その、俺、記憶が無いんですよね、前世の記憶ってやつ」
記憶が、ない? 俺の知ってる異世界転生、もしくは異世界召喚ってやつは、前世の記憶を引き継いで行われるのが基本だ。しかし、目の前の彼にはその法則性が当てはまらず、とてもイレギュラーに感じられたのだ。
そもそも、記憶が無い時点で転生というカテゴリーに当てはまるのか? という疑問もある。それでも彼の場合、名前だけは覚えているし、自身が転生者である事も理解はしているようで、百パーセント間違いとも言い切れない。そこで俺は、不可解な事もたまにはあるのだなと、自分自身を納得させる。
「世の中には、数奇な運命を背負ったものが幾人もいる。そう言う事じゃて。お前さんのようにな」
そして、デオルドさんの言葉を聞いてハッとさせられた。記憶こそあるものの、俺だってこんな体で転生させられた不可解な存在の一人。人間として不完全な状態で復活したという意味で、俺達二人は本当に似た者同士なのかもしれない。
0
お気に入りに追加
123
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
【完結】『飯炊き女』と呼ばれている騎士団の寮母ですが、実は最高位の聖女です
葉桜鹿乃
恋愛
ルーシーが『飯炊き女』と、呼ばれてそろそろ3年が経とうとしている。
王宮内に兵舎がある王立騎士団【鷹の爪】の寮母を担っているルーシー。
孤児院の出で、働き口を探してここに配置された事になっているが、実はこの国の最も高貴な存在とされる『金剛の聖女』である。
王宮という国で一番安全な場所で、更には周囲に常に複数人の騎士が控えている場所に、本人と王族、宰相が話し合って所属することになったものの、存在を秘する為に扱いは『飯炊き女』である。
働くのは苦では無いし、顔を隠すための不細工な丸眼鏡にソバカスと眉を太くする化粧、粗末な服。これを襲いに来るような輩は男所帯の騎士団にも居ないし、聖女の力で存在感を常に薄めるようにしている。
何故このような擬態をしているかというと、隣国から聖女を狙って何者かが間者として侵入していると言われているためだ。
隣国は既に瘴気で汚れた土地が多くなり、作物もまともに育たないと聞いて、ルーシーはしばらく隣国に行ってもいいと思っているのだが、長く冷戦状態にある隣国に行かせるのは命が危ないのでは、と躊躇いを見せる国王たちをルーシーは説得する教養もなく……。
そんな折、ある日の月夜に、明日の雨を予見して変装をせずに水汲みをしている時に「見つけた」と言われて振り向いたそこにいたのは、騎士団の中でもルーシーに優しい一人の騎士だった。
※感想の取り扱いは近況ボードを参照してください。
※小説家になろう様でも掲載予定です。
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
父が死んだのでようやく邪魔な女とその息子を処分できる
兎屋亀吉
恋愛
伯爵家の当主だった父が亡くなりました。これでようやく、父の愛妾として我が物顔で屋敷内をうろつくばい菌のような女とその息子を処分することができます。父が死ねば息子が当主になれるとでも思ったのかもしれませんが、父がいなくなった今となっては思う通りになることなど何一つありませんよ。今まで父の威を借りてさんざんいびってくれた仕返しといきましょうか。根に持つタイプの陰険女主人公。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる