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第三章 恋する駄女神
第147話 魔導人形
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(なー、天道。そろそろ機嫌直してくれないか?)
「ふーんだ。どーせ先輩が好きなのは、私じゃなくて薙沙ですよーだ」
小部屋で起きたひと騒動の後、不機嫌になった天道は、今の今までひたすら文句を垂れ流している。あの状況じゃ仕方ないとも思うし、俺からすれば想定の範囲内なのだが、苛立つシャーリーの姿を見ていると非常に心苦しい。
小部屋からここまで狭い通路が続いており、天道の声が四方八方反響しているのも、彼女がいらつく理由のひとつなのだろう。他にあるとすれば、いくら俺が謝ろうと全く許そうとしない天道の態度が正妻として気に入らない……なんて考えるのは流石に自惚れか。
それに今回の件、結果的に悪いのは俺だ。俺の萌えパワーが足りなかったばっかりに、恥ずかしい言葉に耐えきれず、彼女を傷つけてしまった。その報いを受けるのは当然の罰に他ならない。
「先輩っていつもそうだよね~。あんだけ熱心に尾行しても、一度だって気づいてくれなかったし、薙沙が私だって気づいてくれないし、好きだってちゃんと言ってくれないし、適当にあしらわれるし、流石の私もプンプンだよ!」
ただ、言ってる内容があまりにも理不尽すぎる。計算高いこいつがバレるようなストーキングをするとは思えないし、薙沙ちゃんと見抜くには普段の天道を俺は知らなすぎる。シャーリーにだって、そうそう好きとか言わないし、天道のことは俺なりに真摯に受け止めてるつもりだ。そもそも、本当に適当な扱いだったら、完全に放置か、体のいい愛人としてもう使ってる気がする。
でも、こういう男女間の温度の差が、恋人同士に亀裂を生むんだろうな、なんて思わんこともない。……もっと早足で歩み寄らないと駄目なのかな?
別に、彼女の事が嫌いだとか、面倒な女とも思ってない。むしろ、人間は面倒だからこそ愛おしくもあるってこと、少しは理解してるつもりだ。まぁこれなんかも、ゲームとかアニメの受け売りなんだけど、こいつと接してると凄くよくわかる。今だって、不機嫌な彼女を可愛いとは思ってるんだ。
じゃあ、なんで冷たく当たるのかって言うと……わからないんだよ、距離感ってやつが。
公的に言えば、彼女は一応愛人ってポジションになるわけだけど、俺のいた世界じゃ二人以上の女性を愛した時点で基本アウトだったし、シャーリーだってあまり良い気はしてないように感じられる。スクルドは妾の制度が国にはあるって言ってたけど、あるってだけで推奨されてるのかは正直不明だ。
それに、俺が求めているのは、皆が笑顔でいられる生活。俺を大切に思ってくれる人達には、いつだって幸せでいて欲しい。
ってなわけで、どうやったら三人が笑顔で囲ってくれるのか、目下探し中ってわけなんだけど、その辺の駆け引きが俺には全く出来ちゃいない。特に天道との会話は気持ちが良すぎて、ついつい甘えて依存してしまう。たぶん、オタとしては嬉しいんだろうな、同年代の女の子と、平凡な会話ができるってだけでさ。
なんて感じにグダグダ考えてないで、とりあえず今は彼女の機嫌を直す事に集中しないと。心の乱れも死亡フラグを立たせる一因、敵地のど真ん中でこの状態は非常に不味いからな。
(……皆、気をつけろ)
「……いる」
だが、現実は非情だ。彼女との仲を修復させまいと、視界の先の暗闇から巨大な足音が聞こえてくる。
今まで感じたことのない重厚な響きに三人の表情が引き締まると、まるで当たり前のようにシャーリーが一人前に出る。その瞬間、彼女の足元から軋むような音が聞こえたのを俺は聞き逃さなかった。
すぐさま轟音に掻き消され、彼女の耳には聞こえなかったようだが、この一帯には何かが仕掛けられている。今までのパターンから見ても、おそらくそれは間違いないだろう。考えられるのは落とし穴か、地面からの奇襲か。何にせよ、彼女が割けないリソースを補うのが俺の仕事だ。目の前の敵は、シャーリーを釘付けにするほど強大な存在なのだから。
そうこうしている間に広間のような場所に出ると、慎重に歩を進めていた三人が同時に足を止める。各々が一斉に構えると、スクルドが無言で牽制の一撃を解き放つ。彼女が放った炎弾は、数メートル先の暗闇で炸裂し、爆煙と共に敵の姿をあぶり出した。
怒りのように聞こえるは特徴的な機械音。高速で回るモーターの音に体が震え、体内の魔力が沸騰する。今ならわかる、この圧倒的な威圧感は……
(ゴーレム)
俺達の前に立ちはだかるは鉱石より作られし機械の番兵。命なき守り人である忠誠の騎士、魔導人形ゴーレムが無傷でその巨体を露わにした。しかも三体。
人の二倍以上もあるオーガより長身の彼らの体躯は、無骨な継ぎ目から定期的に霧状の魔力を放出しており、それがまた素晴らしい。とは言え、室内であることを考慮してか、サイズは十メートル以下に抑えられ、メカとしては小型だが、それがまた男心をくすぐると言うかなんと言うか……つまり!
(……カッコイイ)
カッコイイ。そう、カッコイイのだ!
シャーリーの目が、変態を見るようなものに変わってきているのは理解しているが、それでも、それでも! 男ならこれに、燃えないわけがない!
だってロボットだぞ、ロボット! 正確には違うのかもしれないけど、どことなく人型を模したこの意匠、間違いなくメカ好きが作ったものだ。何せデザインが、ファンタジーによくある石を積み上げたものでなく、アニメに出てくる魔力で動くメカ、魔導な王様とか竜の騎士に近い見た目をしているのだから。ただ、先程も言ったように継ぎ目が粗く、この世界の技術では完全再現とまで行かなかったようだ。
しかし、剣と魔法のこの世界で、機械式の魔導人形と出会えるなんて……俺は今、猛烈に興奮している。なんかもう、継ぎ目と継ぎ目をドッキングして、天下無敵のスーパーロボットのような巨大メカにならないだろうか! あー! ワクワクが止まらねぇ!
「せんぱーい、せーんぱい。一人ロボット談義してるところ悪いんだけど、お相手さん動きそうだよ?」
っと、そうだそうだ。天道の呆れた口調に我に返るが、目の前にいるのは敵、なんだよな。思いがけない出来事に、ロボット大好きオタの血が湧き上がってしまった。自重自重。……でも、勿体無いなぁ。あれ、回路の一部を改造して連れていけないかな、連れて。
「申し訳ありませんがトオル様。流石にそれは不可能かと。我々の中には魔技術を行使できる者がおりませぬ故、修復は絶望的と思われます」
ロボットに対する俺の儚くも熱い思いは、冷静なスクルドによって一蹴の元切り捨てられてしまう。男心のわからぬ奴め。と言うつもりはないが、そっか、だめか……残念。なら、倒すしかないよな。
少々もったいないが、覚悟は決まった。とは言え、相手はゴーレム。堅牢な装甲に並の攻撃は通用しないかも……なんて考えないのが俺の彼女である。
「……行く!」
俺の話が終わるやいなや、気合一閃、シャーリーはゴーレムの輪へと勇猛果敢に飛び込んでいく。俺からすれば無謀にも見える行為だが、それは彼女の自信の現れなのだろう。そして俺は、そういう彼女を好きになったのだから、ここは俺が支えるしか無い。
そう自分に言い聞かせると、彼女が俺を振りかぶるのと同時に全身の魔力を同調させ、最大出力で解き放つ。そして、振り上げた勢いのまま最上段からの一撃を、彼女はゴーレムへと叩き込んだ。
シャーリーの斬撃は、寸分違わずゴーレムの左肩関節部に突き刺さるが、受けた本人は蚊にでも刺されたかのように微動だにしない。彼女と同様、関節の繋ぎ目が一番弱いと考えた俺だが、この人形、一筋縄では行かないようだ。
更に、攻撃を受けたことで防衛機能が働いたのか、不気味な音を立てつつ散漫な動きでゴーレムは右手を振り上げる。
しかし、俺のお姫様がそんな攻撃を受けるわけもなく、後方へ軽く飛び退くことでその一撃を回避する。着地と同時に柄を握り、再び踏み込もうとした瞬間、巨大な影が俺達の元へと差し込んだ。
巻き起こる衝撃、吹き荒れる嵐がシャーリーの小さな体躯を吹き飛ばし、後方へと押し戻す。空中でなんとか姿勢を整え、地面へと無事足をつけるシャーリーであったが、その頬を一筋の赤い液が流れ落ちる。突然割り込んできた二体のゴーレム、その左右から振り下ろされた二つの拳が地面を砕き、破片となって彼女の頬を傷つけたのだ。
(シャーリー!? 大丈夫か?)
「……問題……無い」
よく見ると、小さな傷が体中に刻まれているが、深い外傷は見つからない。心情としては下がれと言いたいが、彼女を信じて乗り切るのもパートナーの務め。俺が無言で魔力を上げると、慣れた動きで血を拭い、再び構えをとる。
だが動けない。規則正しくブイの字に並ぶゴーレムの姿は、正しく三位一体。その連携をどう崩すか彼女も攻めあぐねているようで、動こうにも動けないのだ。それでも活路を見出そうと、すり足で進む彼女の前に二つの影が躍り出る。
「集中してるところ悪いんだけど、こういう時ぐらい、少しは頼ってくれないかな」
「私もアサミさんと同意見です。この状況で三対三を演じないのはナンセンスだと判断します」
ゴーレムの連携に手を焼かされるこの状況に、見守っていた天道とスクルドが、加勢を申し出たのだ。
「ふーんだ。どーせ先輩が好きなのは、私じゃなくて薙沙ですよーだ」
小部屋で起きたひと騒動の後、不機嫌になった天道は、今の今までひたすら文句を垂れ流している。あの状況じゃ仕方ないとも思うし、俺からすれば想定の範囲内なのだが、苛立つシャーリーの姿を見ていると非常に心苦しい。
小部屋からここまで狭い通路が続いており、天道の声が四方八方反響しているのも、彼女がいらつく理由のひとつなのだろう。他にあるとすれば、いくら俺が謝ろうと全く許そうとしない天道の態度が正妻として気に入らない……なんて考えるのは流石に自惚れか。
それに今回の件、結果的に悪いのは俺だ。俺の萌えパワーが足りなかったばっかりに、恥ずかしい言葉に耐えきれず、彼女を傷つけてしまった。その報いを受けるのは当然の罰に他ならない。
「先輩っていつもそうだよね~。あんだけ熱心に尾行しても、一度だって気づいてくれなかったし、薙沙が私だって気づいてくれないし、好きだってちゃんと言ってくれないし、適当にあしらわれるし、流石の私もプンプンだよ!」
ただ、言ってる内容があまりにも理不尽すぎる。計算高いこいつがバレるようなストーキングをするとは思えないし、薙沙ちゃんと見抜くには普段の天道を俺は知らなすぎる。シャーリーにだって、そうそう好きとか言わないし、天道のことは俺なりに真摯に受け止めてるつもりだ。そもそも、本当に適当な扱いだったら、完全に放置か、体のいい愛人としてもう使ってる気がする。
でも、こういう男女間の温度の差が、恋人同士に亀裂を生むんだろうな、なんて思わんこともない。……もっと早足で歩み寄らないと駄目なのかな?
別に、彼女の事が嫌いだとか、面倒な女とも思ってない。むしろ、人間は面倒だからこそ愛おしくもあるってこと、少しは理解してるつもりだ。まぁこれなんかも、ゲームとかアニメの受け売りなんだけど、こいつと接してると凄くよくわかる。今だって、不機嫌な彼女を可愛いとは思ってるんだ。
じゃあ、なんで冷たく当たるのかって言うと……わからないんだよ、距離感ってやつが。
公的に言えば、彼女は一応愛人ってポジションになるわけだけど、俺のいた世界じゃ二人以上の女性を愛した時点で基本アウトだったし、シャーリーだってあまり良い気はしてないように感じられる。スクルドは妾の制度が国にはあるって言ってたけど、あるってだけで推奨されてるのかは正直不明だ。
それに、俺が求めているのは、皆が笑顔でいられる生活。俺を大切に思ってくれる人達には、いつだって幸せでいて欲しい。
ってなわけで、どうやったら三人が笑顔で囲ってくれるのか、目下探し中ってわけなんだけど、その辺の駆け引きが俺には全く出来ちゃいない。特に天道との会話は気持ちが良すぎて、ついつい甘えて依存してしまう。たぶん、オタとしては嬉しいんだろうな、同年代の女の子と、平凡な会話ができるってだけでさ。
なんて感じにグダグダ考えてないで、とりあえず今は彼女の機嫌を直す事に集中しないと。心の乱れも死亡フラグを立たせる一因、敵地のど真ん中でこの状態は非常に不味いからな。
(……皆、気をつけろ)
「……いる」
だが、現実は非情だ。彼女との仲を修復させまいと、視界の先の暗闇から巨大な足音が聞こえてくる。
今まで感じたことのない重厚な響きに三人の表情が引き締まると、まるで当たり前のようにシャーリーが一人前に出る。その瞬間、彼女の足元から軋むような音が聞こえたのを俺は聞き逃さなかった。
すぐさま轟音に掻き消され、彼女の耳には聞こえなかったようだが、この一帯には何かが仕掛けられている。今までのパターンから見ても、おそらくそれは間違いないだろう。考えられるのは落とし穴か、地面からの奇襲か。何にせよ、彼女が割けないリソースを補うのが俺の仕事だ。目の前の敵は、シャーリーを釘付けにするほど強大な存在なのだから。
そうこうしている間に広間のような場所に出ると、慎重に歩を進めていた三人が同時に足を止める。各々が一斉に構えると、スクルドが無言で牽制の一撃を解き放つ。彼女が放った炎弾は、数メートル先の暗闇で炸裂し、爆煙と共に敵の姿をあぶり出した。
怒りのように聞こえるは特徴的な機械音。高速で回るモーターの音に体が震え、体内の魔力が沸騰する。今ならわかる、この圧倒的な威圧感は……
(ゴーレム)
俺達の前に立ちはだかるは鉱石より作られし機械の番兵。命なき守り人である忠誠の騎士、魔導人形ゴーレムが無傷でその巨体を露わにした。しかも三体。
人の二倍以上もあるオーガより長身の彼らの体躯は、無骨な継ぎ目から定期的に霧状の魔力を放出しており、それがまた素晴らしい。とは言え、室内であることを考慮してか、サイズは十メートル以下に抑えられ、メカとしては小型だが、それがまた男心をくすぐると言うかなんと言うか……つまり!
(……カッコイイ)
カッコイイ。そう、カッコイイのだ!
シャーリーの目が、変態を見るようなものに変わってきているのは理解しているが、それでも、それでも! 男ならこれに、燃えないわけがない!
だってロボットだぞ、ロボット! 正確には違うのかもしれないけど、どことなく人型を模したこの意匠、間違いなくメカ好きが作ったものだ。何せデザインが、ファンタジーによくある石を積み上げたものでなく、アニメに出てくる魔力で動くメカ、魔導な王様とか竜の騎士に近い見た目をしているのだから。ただ、先程も言ったように継ぎ目が粗く、この世界の技術では完全再現とまで行かなかったようだ。
しかし、剣と魔法のこの世界で、機械式の魔導人形と出会えるなんて……俺は今、猛烈に興奮している。なんかもう、継ぎ目と継ぎ目をドッキングして、天下無敵のスーパーロボットのような巨大メカにならないだろうか! あー! ワクワクが止まらねぇ!
「せんぱーい、せーんぱい。一人ロボット談義してるところ悪いんだけど、お相手さん動きそうだよ?」
っと、そうだそうだ。天道の呆れた口調に我に返るが、目の前にいるのは敵、なんだよな。思いがけない出来事に、ロボット大好きオタの血が湧き上がってしまった。自重自重。……でも、勿体無いなぁ。あれ、回路の一部を改造して連れていけないかな、連れて。
「申し訳ありませんがトオル様。流石にそれは不可能かと。我々の中には魔技術を行使できる者がおりませぬ故、修復は絶望的と思われます」
ロボットに対する俺の儚くも熱い思いは、冷静なスクルドによって一蹴の元切り捨てられてしまう。男心のわからぬ奴め。と言うつもりはないが、そっか、だめか……残念。なら、倒すしかないよな。
少々もったいないが、覚悟は決まった。とは言え、相手はゴーレム。堅牢な装甲に並の攻撃は通用しないかも……なんて考えないのが俺の彼女である。
「……行く!」
俺の話が終わるやいなや、気合一閃、シャーリーはゴーレムの輪へと勇猛果敢に飛び込んでいく。俺からすれば無謀にも見える行為だが、それは彼女の自信の現れなのだろう。そして俺は、そういう彼女を好きになったのだから、ここは俺が支えるしか無い。
そう自分に言い聞かせると、彼女が俺を振りかぶるのと同時に全身の魔力を同調させ、最大出力で解き放つ。そして、振り上げた勢いのまま最上段からの一撃を、彼女はゴーレムへと叩き込んだ。
シャーリーの斬撃は、寸分違わずゴーレムの左肩関節部に突き刺さるが、受けた本人は蚊にでも刺されたかのように微動だにしない。彼女と同様、関節の繋ぎ目が一番弱いと考えた俺だが、この人形、一筋縄では行かないようだ。
更に、攻撃を受けたことで防衛機能が働いたのか、不気味な音を立てつつ散漫な動きでゴーレムは右手を振り上げる。
しかし、俺のお姫様がそんな攻撃を受けるわけもなく、後方へ軽く飛び退くことでその一撃を回避する。着地と同時に柄を握り、再び踏み込もうとした瞬間、巨大な影が俺達の元へと差し込んだ。
巻き起こる衝撃、吹き荒れる嵐がシャーリーの小さな体躯を吹き飛ばし、後方へと押し戻す。空中でなんとか姿勢を整え、地面へと無事足をつけるシャーリーであったが、その頬を一筋の赤い液が流れ落ちる。突然割り込んできた二体のゴーレム、その左右から振り下ろされた二つの拳が地面を砕き、破片となって彼女の頬を傷つけたのだ。
(シャーリー!? 大丈夫か?)
「……問題……無い」
よく見ると、小さな傷が体中に刻まれているが、深い外傷は見つからない。心情としては下がれと言いたいが、彼女を信じて乗り切るのもパートナーの務め。俺が無言で魔力を上げると、慣れた動きで血を拭い、再び構えをとる。
だが動けない。規則正しくブイの字に並ぶゴーレムの姿は、正しく三位一体。その連携をどう崩すか彼女も攻めあぐねているようで、動こうにも動けないのだ。それでも活路を見出そうと、すり足で進む彼女の前に二つの影が躍り出る。
「集中してるところ悪いんだけど、こういう時ぐらい、少しは頼ってくれないかな」
「私もアサミさんと同意見です。この状況で三対三を演じないのはナンセンスだと判断します」
ゴーレムの連携に手を焼かされるこの状況に、見守っていた天道とスクルドが、加勢を申し出たのだ。
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