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第三章 恋する駄女神
第125話 異世界とRPG
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「貫け、鋭利なる氷槍! アイスジャベリン!!」
「涌き上がれ、憤怒のマグマ、ブレイズウォール!」
樹木の隙間を縫うように氷の弾丸が飛び交うと、続けざまに炎の壁が舞い上がる。
鋭く駆ける氷刃は、褐色の翼を持つ魔物キラーアウルの群れを切り裂き、大地を焦がす炎壁は、紫の毛並みをまとう餓狼、ハウンドウルフの集団を一瞬にして焼き尽くした。
小型種ではあるもののその能力は高く、どちらの魔物も駆け出し冒険者では手に余る。というのはスクルドから聞いた受け売りで、残念ながら俺の知識では無い。すまん、ちょっとカッコつけた。
(悪いな二人共、さっきからずっと任せきりで)
スルスカンティーヌを出発してからの六時間、二人は率先して魔物の討伐に当たり、俺達の負担を和らげてくれている。
「いいっていいって。大好きな人のためだもん、このぐらい朝飯前だよ」
「トオル様のためならたとえ火の中水の中、このスクルド戦い抜く所存です」
女の子が二人、俺なんかのために気を使ってくれている。それはとても贅沢で、ありがたい事ではあるのだけど、俺からすればお前達の方が心配だ。
これだけの長時間、しかも、五十匹近い魔物を相手して疲弊しないわけがない。それでも、弱音一つ吐かない二人を見ていると、とても頼もしく思えてしまう。
(それに、シャーリーもありがとな。腕、疲れてないか?)
そして俺は、やはり二人と同じよう愚痴の一つも言わない幼女へ声を掛けた。俺が何故こんな質問をするのかと言うと、この森に入った直後から、彼女はその小さな右手で俺の体を握り続けているからなのである。
この状況にもちょっとした理由があって……それは、スクルドの一言から始まった。
彼女いわく、俺は司令官向きで、私達の戦う姿を観察し研鑽を積むため、今日一日黙って後ろから見ていてほしいと頼まれたのだ。しかし、それを実行するためには前方の視界を確保しなくてはならない。そこで、シャーリーに協力してもらっているというわけなのだ。
まぁ、ようするに、自分の活躍を俺に見て欲しいって魂胆なのだろう。あわよくば、褒めてもらえると嬉しい、なんて事も考えていそうだ。実際、何度かそれらしいアピールはあったからな。主に瞳の輝きで。
ただ、スクルドのこの提案、思っていたよりも無駄ではなく二人が戦う姿から学べることも多くあった。天道は最小限の力で戦うタイプ。手の内も含め温存する、所謂エリクサー病ってやつだ。
対するスクルドは、全力を惜しまないタイプ。だが、決して無駄打ちをするわけでなく、敵の強さと数を考え的確に技を変えていく、効率的な戦いを好むようだ。属性も天道が氷、スクルドが炎と、二人の性格とは真逆な気がして、そこも面白い。
敵を知り仲間を知れば百戦危うからず。そう考えれば、俯瞰的に状況を見るこの訓練はとても有意義で、俺の言葉で皆を救えるなら司令官も悪くない、そう思えた。だから、この状況が嫌という事は無いんだけど、シャーリーに我慢をさせていたらと思うと不安で仕方がない。
「……大丈夫……じっとしてるより……ずっといい」
そんな気持ちを察しているのか、適度に刀身を撫でる優しさが俺の心に染み渡る。本当に彼女が疲れていないと言うのなら、適度な疲労は心地良いとか、そう言うやつなのかも。
何にせよ、微笑みながらそう言ってもらえると俺も助かる。背中で感じる温もりも良いけど、皆の顔が見れるほうがやっぱり俺は嬉しいからな。
(にしても、この辺り魔物が多いな。今ので五十匹目ぐらいか?)
そして今、俺が抱えている違和感。この森に居る魔物の多さだ。
この世界に来てから既に数回、シャーリーと二人森を抜けたことはあるが、これ程多くの魔物と出くわしたことはない。多くて一日十数匹、その程度を処理できれば襲われることはまず無かったのだ。
しかし、この辺りの魔物達は今までと違い、倒しても倒してもまるで無限に居るかのように湧いてくる。この差はいったい何なのだろうか?
「そうですね、この辺りではあまり見かけない種なのですが」
「……それに……町の近隣……多すぎる」
「はい。森の中とは言え、この繁殖量はあまりにも……治安維持における職務怠慢と思われます」
「……うん……これは……問題」
この世界の事情に未だ疎い俺ではあるが、王女様がこれだけ深刻な顔をするんだ、危機的状況であることに間違いはないのだろう。
それに、先程スクルドが言った、あまり見かけない種という言葉も引っかかる。この異常事態も、やはりあの塔が原因なのだろうか……
「はいはーい。RPGなんかだと魔物って無限に湧くけどさ、これぐらいでも多い方なのかな?」
森を襲う謎の異常繁殖。それを解決しようと三人が真面目に考察する中、的外れな質問をする少女が一人。目をつぶっていてもわかると思うが、発言者はおなじみ天道朝美嬢である。
「……アール……ピージー?」
「おそらく、トオル様の世界に存在する仮想シミュレーターの一種ですね」
「……かそう……しみゅ?」
現状関係のないどうでもいい質問など聞き流してしまえば良いと思うのだが、こういう所に律儀に答えるのがうちのパーティーの良いところでもあり、悪いところでもある。特に俺のお姫様が、顕著に反応してしまうのだ。
(お前らー、シャーリーが困ってんぞ―)
RPGに仮想シミュレーター。俺達にとっては割と馴染み深い言葉である。しかし、シャーリーにとっては全くもって意味不明な単語の数々であり、彼女は本気で頭を悩ませていた。
メイド喫茶やお風呂なんてものを見たおかげであまり差異を感じづらいが、電気や娯楽における常識がこっちの世界じゃ全く通用しないのがよくわかる。正直、スクルドが話に付いてこれてるのが異常なわけで、俺のためにどんだけ勉強したんだか。
「で? どうなのスクルド?」
「私から言わせてもらえば、あれは異常です。あれだけの魔物が常に生息していると仮定した場合、人的被害は一日で十万人を超えると推測され、武器も魔法も使えぬ人々は町の外に出ることすら難しくなるでしょう。更に、人類の生命線とも言える輸送に関しましても、その都度大掛かりな警備隊を組まなくてはならず、それと同様、国同士の交流も難しくなり、全ての村や町に首都クラスの城壁を建てる等の安全を確保しなければ、人類は数十年で滅びると思われます」
思いの外真剣に話すスクルドの説明は、はっきり言って一種のホラーである。人類が魔族に滅ぼされる、そんなバッドエンド考えたくもない。しかし、彼女の言い分も決して間違ってはいないのだ。
仮に、この世界をRPGに当てはめた場合、村の周辺にはモンスターが溢れ、街道だろうと奴らはお構いなく現れる。ベルシュローブから出た時に一度荷馬車を経験したが、本当に平和そのものだった。それが、頻繁に魔物と遭遇するようになれば十分脅威足り得る。そうなれば、彼女の説明通り町の外に出ることも容易ではないだろう。
そこで勇者の登場なのだが、例え勇者が存在したとして、彼らが魔王を滅するまでにどれだけの被害が出るかは想像に難くない。と言うか、魔王と呼ばれる存在を倒したとして、この世界の魔物が鳴りを潜めたりするだろうか? 彼らの行為が生きるためならば、魔王の有無にあまり意味は無いのかも。そんな風に、様々な角度から考えてみると、ゲームはあくまで娯楽なのだと痛感させられる。
ゲームバランスを加味すれば、迅速なリスポン、無限に湧く魔獣という形が理にかなっているのだろうが、現実的に見るとスクルドの意見が正しく、世界は絶妙なバランスで回っているのだなと思わされた。
「と言いましても、あくまでそれは町の周囲限定の話となります。このような森の奥地、山や洞窟など、人里離れた未開の地では独自の生態系が確認され、一歩でも足を踏み込んだ時点で命の保証は出来かねます。その点におきましては、ゲームの内容も間違いとは言えず侮れぬものと感じました。特に、古のRPGなるものは、その一歩で凶悪な魔物に惨殺されるものと聞き及んでおります故、一歩の危険性を知るという意味では、とても理にかなったシミュレーターだと私は考えます。少々長くなりましたが、この様な解釈でいかがでしょうか?」
間違いは指摘し、褒める箇所はしっかりと褒めるその手腕、流石女神と言ったところだろうか。仕事モードの彼女はとても威厳に溢れていて、普段のポンコツとは見違えるほど神々しく輝いている。
ただし、先程から俺へ向けてドヤ顔オーラを放出する様は、やっぱりスクルドなんだなとも思わせてくれた。そういう間の抜けた所、嫌いじゃないけどな。
「なるほど……よくわからないけど、町の近くにいっぱいいるのはおかしいんだね」
そして、この問題を提起したはずの本人は小難しい説明に思考を停止し、笑顔を浮かべながら考えることをやめてしまっていた。
「そういうことになりますね」
スクルドもスクルドであまり天道に興味が無いのか、二つ返事で返している。このパーティー、仲が良いのか悪いのか少し不安だ。それに、目に見えない所での女の子同士の戦いって、やっぱりちょっと怖いかも。
(あー、シャーリー。二人の言葉は戯言だと思って、あまり気にしなくていいからな)
更にこちらも、余計にわけがわからなくなったらしく、渦目になるほど悩み続けたシャーリーが心配で、俺は優しく声を掛けた。しかし、あまり効果はないようで、うなされるように大丈夫を繰り返し続けている。変に考えすぎて知恵熱でも出さなきゃ良いけど。
にしても、町の周囲で治安維持が行われてるってことは、人間が襲われないよう、定期的に魔獣を間引いてるってことだよな。まるで、向こうの世界の害獣駆除みたいだ。しかも、人里離れるほど魔物は増え、自己進化を遂げていくなんて部分も、動植物の関係ととても似ている。
なるほど、世界が変わっても、理は似てるんだ。女神の話に感じた妙な親近感、それが俺にはとても面白く思えて、自然と心がほころぶ。だって、生まれた世界は違えども、今は種族も違うけど、大切な彼女の事をとても近くに感じられた、そんな気がしたから。
「涌き上がれ、憤怒のマグマ、ブレイズウォール!」
樹木の隙間を縫うように氷の弾丸が飛び交うと、続けざまに炎の壁が舞い上がる。
鋭く駆ける氷刃は、褐色の翼を持つ魔物キラーアウルの群れを切り裂き、大地を焦がす炎壁は、紫の毛並みをまとう餓狼、ハウンドウルフの集団を一瞬にして焼き尽くした。
小型種ではあるもののその能力は高く、どちらの魔物も駆け出し冒険者では手に余る。というのはスクルドから聞いた受け売りで、残念ながら俺の知識では無い。すまん、ちょっとカッコつけた。
(悪いな二人共、さっきからずっと任せきりで)
スルスカンティーヌを出発してからの六時間、二人は率先して魔物の討伐に当たり、俺達の負担を和らげてくれている。
「いいっていいって。大好きな人のためだもん、このぐらい朝飯前だよ」
「トオル様のためならたとえ火の中水の中、このスクルド戦い抜く所存です」
女の子が二人、俺なんかのために気を使ってくれている。それはとても贅沢で、ありがたい事ではあるのだけど、俺からすればお前達の方が心配だ。
これだけの長時間、しかも、五十匹近い魔物を相手して疲弊しないわけがない。それでも、弱音一つ吐かない二人を見ていると、とても頼もしく思えてしまう。
(それに、シャーリーもありがとな。腕、疲れてないか?)
そして俺は、やはり二人と同じよう愚痴の一つも言わない幼女へ声を掛けた。俺が何故こんな質問をするのかと言うと、この森に入った直後から、彼女はその小さな右手で俺の体を握り続けているからなのである。
この状況にもちょっとした理由があって……それは、スクルドの一言から始まった。
彼女いわく、俺は司令官向きで、私達の戦う姿を観察し研鑽を積むため、今日一日黙って後ろから見ていてほしいと頼まれたのだ。しかし、それを実行するためには前方の視界を確保しなくてはならない。そこで、シャーリーに協力してもらっているというわけなのだ。
まぁ、ようするに、自分の活躍を俺に見て欲しいって魂胆なのだろう。あわよくば、褒めてもらえると嬉しい、なんて事も考えていそうだ。実際、何度かそれらしいアピールはあったからな。主に瞳の輝きで。
ただ、スクルドのこの提案、思っていたよりも無駄ではなく二人が戦う姿から学べることも多くあった。天道は最小限の力で戦うタイプ。手の内も含め温存する、所謂エリクサー病ってやつだ。
対するスクルドは、全力を惜しまないタイプ。だが、決して無駄打ちをするわけでなく、敵の強さと数を考え的確に技を変えていく、効率的な戦いを好むようだ。属性も天道が氷、スクルドが炎と、二人の性格とは真逆な気がして、そこも面白い。
敵を知り仲間を知れば百戦危うからず。そう考えれば、俯瞰的に状況を見るこの訓練はとても有意義で、俺の言葉で皆を救えるなら司令官も悪くない、そう思えた。だから、この状況が嫌という事は無いんだけど、シャーリーに我慢をさせていたらと思うと不安で仕方がない。
「……大丈夫……じっとしてるより……ずっといい」
そんな気持ちを察しているのか、適度に刀身を撫でる優しさが俺の心に染み渡る。本当に彼女が疲れていないと言うのなら、適度な疲労は心地良いとか、そう言うやつなのかも。
何にせよ、微笑みながらそう言ってもらえると俺も助かる。背中で感じる温もりも良いけど、皆の顔が見れるほうがやっぱり俺は嬉しいからな。
(にしても、この辺り魔物が多いな。今ので五十匹目ぐらいか?)
そして今、俺が抱えている違和感。この森に居る魔物の多さだ。
この世界に来てから既に数回、シャーリーと二人森を抜けたことはあるが、これ程多くの魔物と出くわしたことはない。多くて一日十数匹、その程度を処理できれば襲われることはまず無かったのだ。
しかし、この辺りの魔物達は今までと違い、倒しても倒してもまるで無限に居るかのように湧いてくる。この差はいったい何なのだろうか?
「そうですね、この辺りではあまり見かけない種なのですが」
「……それに……町の近隣……多すぎる」
「はい。森の中とは言え、この繁殖量はあまりにも……治安維持における職務怠慢と思われます」
「……うん……これは……問題」
この世界の事情に未だ疎い俺ではあるが、王女様がこれだけ深刻な顔をするんだ、危機的状況であることに間違いはないのだろう。
それに、先程スクルドが言った、あまり見かけない種という言葉も引っかかる。この異常事態も、やはりあの塔が原因なのだろうか……
「はいはーい。RPGなんかだと魔物って無限に湧くけどさ、これぐらいでも多い方なのかな?」
森を襲う謎の異常繁殖。それを解決しようと三人が真面目に考察する中、的外れな質問をする少女が一人。目をつぶっていてもわかると思うが、発言者はおなじみ天道朝美嬢である。
「……アール……ピージー?」
「おそらく、トオル様の世界に存在する仮想シミュレーターの一種ですね」
「……かそう……しみゅ?」
現状関係のないどうでもいい質問など聞き流してしまえば良いと思うのだが、こういう所に律儀に答えるのがうちのパーティーの良いところでもあり、悪いところでもある。特に俺のお姫様が、顕著に反応してしまうのだ。
(お前らー、シャーリーが困ってんぞ―)
RPGに仮想シミュレーター。俺達にとっては割と馴染み深い言葉である。しかし、シャーリーにとっては全くもって意味不明な単語の数々であり、彼女は本気で頭を悩ませていた。
メイド喫茶やお風呂なんてものを見たおかげであまり差異を感じづらいが、電気や娯楽における常識がこっちの世界じゃ全く通用しないのがよくわかる。正直、スクルドが話に付いてこれてるのが異常なわけで、俺のためにどんだけ勉強したんだか。
「で? どうなのスクルド?」
「私から言わせてもらえば、あれは異常です。あれだけの魔物が常に生息していると仮定した場合、人的被害は一日で十万人を超えると推測され、武器も魔法も使えぬ人々は町の外に出ることすら難しくなるでしょう。更に、人類の生命線とも言える輸送に関しましても、その都度大掛かりな警備隊を組まなくてはならず、それと同様、国同士の交流も難しくなり、全ての村や町に首都クラスの城壁を建てる等の安全を確保しなければ、人類は数十年で滅びると思われます」
思いの外真剣に話すスクルドの説明は、はっきり言って一種のホラーである。人類が魔族に滅ぼされる、そんなバッドエンド考えたくもない。しかし、彼女の言い分も決して間違ってはいないのだ。
仮に、この世界をRPGに当てはめた場合、村の周辺にはモンスターが溢れ、街道だろうと奴らはお構いなく現れる。ベルシュローブから出た時に一度荷馬車を経験したが、本当に平和そのものだった。それが、頻繁に魔物と遭遇するようになれば十分脅威足り得る。そうなれば、彼女の説明通り町の外に出ることも容易ではないだろう。
そこで勇者の登場なのだが、例え勇者が存在したとして、彼らが魔王を滅するまでにどれだけの被害が出るかは想像に難くない。と言うか、魔王と呼ばれる存在を倒したとして、この世界の魔物が鳴りを潜めたりするだろうか? 彼らの行為が生きるためならば、魔王の有無にあまり意味は無いのかも。そんな風に、様々な角度から考えてみると、ゲームはあくまで娯楽なのだと痛感させられる。
ゲームバランスを加味すれば、迅速なリスポン、無限に湧く魔獣という形が理にかなっているのだろうが、現実的に見るとスクルドの意見が正しく、世界は絶妙なバランスで回っているのだなと思わされた。
「と言いましても、あくまでそれは町の周囲限定の話となります。このような森の奥地、山や洞窟など、人里離れた未開の地では独自の生態系が確認され、一歩でも足を踏み込んだ時点で命の保証は出来かねます。その点におきましては、ゲームの内容も間違いとは言えず侮れぬものと感じました。特に、古のRPGなるものは、その一歩で凶悪な魔物に惨殺されるものと聞き及んでおります故、一歩の危険性を知るという意味では、とても理にかなったシミュレーターだと私は考えます。少々長くなりましたが、この様な解釈でいかがでしょうか?」
間違いは指摘し、褒める箇所はしっかりと褒めるその手腕、流石女神と言ったところだろうか。仕事モードの彼女はとても威厳に溢れていて、普段のポンコツとは見違えるほど神々しく輝いている。
ただし、先程から俺へ向けてドヤ顔オーラを放出する様は、やっぱりスクルドなんだなとも思わせてくれた。そういう間の抜けた所、嫌いじゃないけどな。
「なるほど……よくわからないけど、町の近くにいっぱいいるのはおかしいんだね」
そして、この問題を提起したはずの本人は小難しい説明に思考を停止し、笑顔を浮かべながら考えることをやめてしまっていた。
「そういうことになりますね」
スクルドもスクルドであまり天道に興味が無いのか、二つ返事で返している。このパーティー、仲が良いのか悪いのか少し不安だ。それに、目に見えない所での女の子同士の戦いって、やっぱりちょっと怖いかも。
(あー、シャーリー。二人の言葉は戯言だと思って、あまり気にしなくていいからな)
更にこちらも、余計にわけがわからなくなったらしく、渦目になるほど悩み続けたシャーリーが心配で、俺は優しく声を掛けた。しかし、あまり効果はないようで、うなされるように大丈夫を繰り返し続けている。変に考えすぎて知恵熱でも出さなきゃ良いけど。
にしても、町の周囲で治安維持が行われてるってことは、人間が襲われないよう、定期的に魔獣を間引いてるってことだよな。まるで、向こうの世界の害獣駆除みたいだ。しかも、人里離れるほど魔物は増え、自己進化を遂げていくなんて部分も、動植物の関係ととても似ている。
なるほど、世界が変わっても、理は似てるんだ。女神の話に感じた妙な親近感、それが俺にはとても面白く思えて、自然と心がほころぶ。だって、生まれた世界は違えども、今は種族も違うけど、大切な彼女の事をとても近くに感じられた、そんな気がしたから。
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