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第1巻 異世界でもギターしかなかった ~迷わずの森とバーウの村~
「ライブへのお誘い②」
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「あっ!!
あの子達、バーウの悪ガキ6人組!」
キヨラが指を差しながら言う。
そこにいたのは、ツーヤ、ブーノ、カイセ、キーア、ロタン、そしてリーダー格のタックだった。
「お前ら何してんだよ。
何諦めてんだよ。
ライブするんだろ?」
タックが“サササッ”とステージに上がり腕を組んで見下ろしながら言う。
「君たちは……。」
幸がつぶやく。
「石投げて悪かったな。
これをわびってことにしてくれよ。
その紙切れをこの村中にばらまきゃいいんだろ?
そんなもん簡単だよ。
俺達も協力する。」
タックはそういうとチケットを“バッ”と奪い取り、仲間に数十枚ずつ配り始めた。
悪ガキ達も村人達に好かれているとは思えないが、どうするつもりなのか……。
「こうするんだよ。」
ブーノが大きく振りかぶり何かを投げた。
“バリン”
なんとチケットを石にくくりつけて家の窓に向かって投げたのだった。
「いいのそれ!?」
キヨラが叫ぶ。
良いわけはない。
「あっありがとうとは素直に言えない……。」
幸も結果的にチケットは村人の手に届く行為に複雑な心境。
「この村の奴らはビビりの逃げ腰野郎達ばかりだから、《《窓の側《そば》には絶対立たねぇ》》。
だからケガなんかしやしねぇよ。」
ツーヤがぶっきらぼうに言った。
「こんなやり方もあるぜ。
おいそこの鳥女!
俺を掴んで空飛んでくれよ。」
タックがピーネに言う。
「俺はピーネだ!!
なんだぁ?
そしたらチケット渡せるのか?」
鳥女と言われムッとするピーネ。
「そうだよ。
任せろって言っただろ。」
タックは胸をどんと叩き自信満々。
「分かった。
飛んでやる!」
ピーネがタックの背中を鷲掴み、タックはスーパーマンの様な形で空を飛ぶ。
「おおっ!!
なかなかいいじゃねえかぁ!!
たぁのしいー!!l」
気取った口調で通していたのに、空を飛ぶという初体験に、つい子供が出てしまった。
「おっといけねぇ……。
見とけよ、煙突に入れたいんだろ?」
“シュッ”
タックも何かを投げた。
それは綺麗な弧を描いて、“スポッ”と煙突に吸い込まれていった。
そしてその何かとは紛れもなくチケットであった。
「凄い!!
どうやって入れたんだ!?
俺がやってもちっとも入らなかったんだぞ!」
ピーネが驚きの声をあげる。
「これさ。」
タックがピーネに見せたのはチケット。しかし複雑に織り込まれている。
現実世界で言う紙飛行機であった。
「先端の重さ調整と羽の曲げ具合で簡単に煙突に入るんだぜ。
まぁ俺にしか出来ない芸当だがな。」
タックが“えへん”と自負する。
「さぁ、ピーネ!
このままじゃんじゃん投げてくぞ!
おら!
お前らもどんどん石投げろ!」
タックが仲間に指示する。
「「「「「おう!!」」」」」
“パリン”
“ガン”
“バリーン”
みるみるうちに窓からチケットが入って行く。
こんなに悪ガキ達にめちゃくちゃにやられているのに、村人は家から一人として出てこなかった。
この村の人々はピーネが村に入った時も部屋に閉じこもって出てこなかった。
何かの時の対処の方法がこういう慣習である村人なのだ。
こういう形で渡されたチケットに果たして意味があるのかという所であるが、それは後々分かることになる。
「チケット全部の家に渡せたね……。」
キヨラはあっけにとられいる。
「でも手伝ってくれようとする気持ちは嬉しいよ……。」
幸が言う。
「あははっ!!!
幸!!
タック凄かったぞ!!」
空からタックと降りてきたピーネは楽しそう。
「なんでもいいんだよ。
おまえの音楽なら。
伝わるから。
ライブ楽しみにしてるぜ」
タックが背中で語って行く。
6人は役目が終わると、さっさと歩いて消えて行った。
またライブの時には見に来るのであろう。
「とにかく!!」
「「「あとはライブするだけだー!!!」」」
3人は最高のライブにするために勇んでステージへ上がって行った。
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「あっ!!
あの子達、バーウの悪ガキ6人組!」
キヨラが指を差しながら言う。
そこにいたのは、ツーヤ、ブーノ、カイセ、キーア、ロタン、そしてリーダー格のタックだった。
「お前ら何してんだよ。
何諦めてんだよ。
ライブするんだろ?」
タックが“サササッ”とステージに上がり腕を組んで見下ろしながら言う。
「君たちは……。」
幸がつぶやく。
「石投げて悪かったな。
これをわびってことにしてくれよ。
その紙切れをこの村中にばらまきゃいいんだろ?
そんなもん簡単だよ。
俺達も協力する。」
タックはそういうとチケットを“バッ”と奪い取り、仲間に数十枚ずつ配り始めた。
悪ガキ達も村人達に好かれているとは思えないが、どうするつもりなのか……。
「こうするんだよ。」
ブーノが大きく振りかぶり何かを投げた。
“バリン”
なんとチケットを石にくくりつけて家の窓に向かって投げたのだった。
「いいのそれ!?」
キヨラが叫ぶ。
良いわけはない。
「あっありがとうとは素直に言えない……。」
幸も結果的にチケットは村人の手に届く行為に複雑な心境。
「この村の奴らはビビりの逃げ腰野郎達ばかりだから、《《窓の側《そば》には絶対立たねぇ》》。
だからケガなんかしやしねぇよ。」
ツーヤがぶっきらぼうに言った。
「こんなやり方もあるぜ。
おいそこの鳥女!
俺を掴んで空飛んでくれよ。」
タックがピーネに言う。
「俺はピーネだ!!
なんだぁ?
そしたらチケット渡せるのか?」
鳥女と言われムッとするピーネ。
「そうだよ。
任せろって言っただろ。」
タックは胸をどんと叩き自信満々。
「分かった。
飛んでやる!」
ピーネがタックの背中を鷲掴み、タックはスーパーマンの様な形で空を飛ぶ。
「おおっ!!
なかなかいいじゃねえかぁ!!
たぁのしいー!!l」
気取った口調で通していたのに、空を飛ぶという初体験に、つい子供が出てしまった。
「おっといけねぇ……。
見とけよ、煙突に入れたいんだろ?」
“シュッ”
タックも何かを投げた。
それは綺麗な弧を描いて、“スポッ”と煙突に吸い込まれていった。
そしてその何かとは紛れもなくチケットであった。
「凄い!!
どうやって入れたんだ!?
俺がやってもちっとも入らなかったんだぞ!」
ピーネが驚きの声をあげる。
「これさ。」
タックがピーネに見せたのはチケット。しかし複雑に織り込まれている。
現実世界で言う紙飛行機であった。
「先端の重さ調整と羽の曲げ具合で簡単に煙突に入るんだぜ。
まぁ俺にしか出来ない芸当だがな。」
タックが“えへん”と自負する。
「さぁ、ピーネ!
このままじゃんじゃん投げてくぞ!
おら!
お前らもどんどん石投げろ!」
タックが仲間に指示する。
「「「「「おう!!」」」」」
“パリン”
“ガン”
“バリーン”
みるみるうちに窓からチケットが入って行く。
こんなに悪ガキ達にめちゃくちゃにやられているのに、村人は家から一人として出てこなかった。
この村の人々はピーネが村に入った時も部屋に閉じこもって出てこなかった。
何かの時の対処の方法がこういう慣習である村人なのだ。
こういう形で渡されたチケットに果たして意味があるのかという所であるが、それは後々分かることになる。
「チケット全部の家に渡せたね……。」
キヨラはあっけにとられいる。
「でも手伝ってくれようとする気持ちは嬉しいよ……。」
幸が言う。
「あははっ!!!
幸!!
タック凄かったぞ!!」
空からタックと降りてきたピーネは楽しそう。
「なんでもいいんだよ。
おまえの音楽なら。
伝わるから。
ライブ楽しみにしてるぜ」
タックが背中で語って行く。
6人は役目が終わると、さっさと歩いて消えて行った。
またライブの時には見に来るのであろう。
「とにかく!!」
「「「あとはライブするだけだー!!!」」」
3人は最高のライブにするために勇んでステージへ上がって行った。
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