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第3部 私達でなければならない
私が臭いと言いましたよね?
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「それを狙って?」
「あっやっぱり気づいていましたね、だから耐えられた、と。そこはさすがは歴戦の勇士というところですね。はい。渾身の体当たりだったのですが、私は軽すぎなのですかね」
「あの……怪我をしたらどうするんだ」
「あなたが介護すればいいじゃないですか」
「随分と厚かましい介護希望者だな」
「口ではそう言ってもどうせしますよあなたは」
「どういう信頼感だ……」
ハイネはまだ首を抱く形のまま腕を離していない。おぶさっているというかもたれたまま右肩に顎を乗せ呼吸をしていた。すこぶる酒臭い。
酒どころか嗅いだことがない奇妙な臭いも発していた。
「あのな、その、聞きたいことが沢山あってどこから話していいのか」
「なら私から聞きますね」
なんでこんなにこいつは落ち着いているんだと思いつつジーナは頷いた。
「なんで行かなかったのですか?こんな言い訳はやめてくださいよ。私が待ってと言ったとか、待って欲しかったような顔をしていたとか、そういうのは、聞きたくない」
首にかかる腕が震えた。
「私が待っていたかったからだ。ハイネは関係ない」
腕が違う力で震えるのをジーナは感じた。
「だったら一人で行けば良かったのに」
「行くのならハイネと二人だ。ここにハイネを一人で残したくなかった」
ハイネの腕に力が入り、その震えは少し弱まった。
「よく、言いますね。自分はいつも一人だって顔をしている癖に。他人に対して一人にさせたくないとかおかしくないですか?」
「おかしくはない」
「どうして?」
腕の震えは治まるも、その声は壊れそうなぐらいに脆い響きで以って鳴っていた。
「……そんなの分かるものか」
「じゃあ私が教えてあげますよ。あなたは私であったから待ったのですよ」
囁く言葉は語られた途端に何かが崩れ砕け散るようにしてジーナの耳の前で次々と粉々となる音をたてた。
「それは自意識過剰じゃないのか?」
「なら他の人の場合でもあなたは待ちますか?」
呼吸が乱れたのか、息が詰まり、言葉が出ない。すぐに出さないといけない言葉が喉に絡み、切なげな息と共に言葉が出た。
「待っていた」
なんて苦しげな声だとジーナは言い直したくなったがハイネはそれを許さなかった。
「いいえ。あなたは待ちません。待つはずがないのです」
散々に砕けた言葉の破片が渦巻き何度も言葉を甦らせていた、あなたは私だから待っていた……そうだ、と言わないためにジーナは歯を噛み口を強く閉じた。
聞いていない、とする。そうすればいい考えなくていい、そうすれば……
「だって私だったらあなた以外は待ちませんよ」
聞き返すな考えるな……ジーナは彼方から聞こえて来る龍のための歌を聞くために耳を澄ました。
まだ聞こえる、まだそこにあの人がいる……ひたすら遠くを思え、そうしたら。
「あの、重いですか?」
不意に話が変わったことによって反射的にジーナは声をあげた。
「えっ? なにが? ハイネは特に重くはないが」
ハイネの笑い声が聞こえた。
「そういうことじゃ……いいえ、そうですね。私達はこうやってたくさん抱き合ってきましたからいい加減慣れましたよね」
「言い方が、その」
「恥ずかしいとかいわないでくださいよ。事実です。ジーナは私を抱き慣れました。私もあなたを抱くのが当たり前だと思うぐらいに、です」
語るハイネの口から漏れて来る酒の臭い、やはりどこからどう考えても
「もしかして酔っていないか?」
「もしかしてって……酔っているに決まっているじゃないですか。ジーナは鼻も悪いのですか?」
「鼻も、ってなんだ。いや最初から酒臭いなと気付いていたが、これは完全に酔っているな」」
「それはそうですよ。弱い私にあんなにお酒を呑ませて」
「お前が勝手に呑んでいただろ」
「あなただって三杯も注いだじゃないですか。それが決め手でしたよ。それのせいで私はこうなりました。あなたのせいです」
「勝手なことを言うな」
「ほらこのまま介抱しなさいよ……いつも私はあなたにしていますよ。このまま寄り掛かられるのを受け止める。これが私に対する看護ですよ」
さらに寄り掛かり来たために椅子が微かに浮き戻り二人は同時に揺れた。
「嫌ですか? だったら力づくで私を振り払ったらどうです? あなたならできますよ。そうですとも、できます。私を待たずに行けたし、背後から飛んで来た私を受け止めず避けることもできた」
前に後ろに揺れ動き、まだ収まらずに共に惰性で以って前後する。
「いまだってそう。こうやってしがみついているめんどうでムカつく女を振って、そう振り落して自由になれる。出来るのですよあなたは。どこまでも自由なのですから、やりなさいよジーナ……良いのですよ」
そうだ。私は動ける、自由になんでもできる。呪いも掛けられていない。
このしがらみのような手を振りほどくことができたのなら……それができないのは、そうしないのは、私が一人になることを、もしかしてハイネではなくそうなることを私がいま耐えられなくなっているのでは?
だからここにいるしかなかったとしたら……違う、そんな感情ではないはずだ。
「やらないよハイネ。私達は知り合いなんだ。酔っ払ったら世話ぐらいは義理としてやる」
「偉い! 私だったら投げちゃいますねこういうのは」
「えっ?」
「そういえばどうでもいいことですけどあなたさっき私のことを臭いとか貶しましたね。別に気にしていませんけど、ちょっと説明してくださいよ、納得できない」
この口調は絡み酒なのかな? とジーナの緊張感は増した。
こういう場合は、とジーナは息を吸った。普段のストレスが爆発して酷い方向に転がる。
特にこのハイネは私に対して異様な感情をよく向けて来る。こちらにとって預かり知らずな心がいっぱいあるはず。
ここはより丁寧に慎重に、刺激しないように。
「そのなハイネが臭いんじゃなくて酒の臭いがな」
「ちょっと! 酒臭いとだけ言えばいいのになんでそんな言い方するんですか! それじゃ私が臭いと言っているの同じじゃありません?」
意味不明。やはり私には賢い取り扱いは不可能なようだ、とジーナはすぐに諦めた。
「まぁな。あれだけ呑んだら臭いもするな」
「また言った。ちゃんと手は洗ってきましたからね」
論点がズレて行っているとジーナは思うも半ばあきらめ気味に言った。
「手の話じゃなくてな。そういえば酒以外にも妙な臭いもしたがあれは脂のかな」
「今度は獣臭いとか言いましたね。婦人を掴まえて酒臭いだの獣臭いだの、自害級の侮辱ですよ」
予想通りに言葉では最悪な方へ転がっているというのに、そのハイネの声はどこか呑気さと芝居っ気を感じられた。
「そういうつもりじゃなかったのが。自決はやめてくれ。ここは人の家だし、それと私に出来る償いってあるか?」
問うとハイネは腕を解き身を離れた。意外な行動にジーナは驚くも安堵の息が、出なかった。何故出ない?
「あなたが悪いのですからね」
また変なことを言うハイネの声に向かってジーナは振り向けなかった。
もしも去っていく背中がそこにあったとしたら、それを見るということは……との心配は無用とばかりにまた首に腕を絡めハイネがのしかかってきた、知らない匂いと共に。
「これが何か、あなたは分かりますか?」
「あっやっぱり気づいていましたね、だから耐えられた、と。そこはさすがは歴戦の勇士というところですね。はい。渾身の体当たりだったのですが、私は軽すぎなのですかね」
「あの……怪我をしたらどうするんだ」
「あなたが介護すればいいじゃないですか」
「随分と厚かましい介護希望者だな」
「口ではそう言ってもどうせしますよあなたは」
「どういう信頼感だ……」
ハイネはまだ首を抱く形のまま腕を離していない。おぶさっているというかもたれたまま右肩に顎を乗せ呼吸をしていた。すこぶる酒臭い。
酒どころか嗅いだことがない奇妙な臭いも発していた。
「あのな、その、聞きたいことが沢山あってどこから話していいのか」
「なら私から聞きますね」
なんでこんなにこいつは落ち着いているんだと思いつつジーナは頷いた。
「なんで行かなかったのですか?こんな言い訳はやめてくださいよ。私が待ってと言ったとか、待って欲しかったような顔をしていたとか、そういうのは、聞きたくない」
首にかかる腕が震えた。
「私が待っていたかったからだ。ハイネは関係ない」
腕が違う力で震えるのをジーナは感じた。
「だったら一人で行けば良かったのに」
「行くのならハイネと二人だ。ここにハイネを一人で残したくなかった」
ハイネの腕に力が入り、その震えは少し弱まった。
「よく、言いますね。自分はいつも一人だって顔をしている癖に。他人に対して一人にさせたくないとかおかしくないですか?」
「おかしくはない」
「どうして?」
腕の震えは治まるも、その声は壊れそうなぐらいに脆い響きで以って鳴っていた。
「……そんなの分かるものか」
「じゃあ私が教えてあげますよ。あなたは私であったから待ったのですよ」
囁く言葉は語られた途端に何かが崩れ砕け散るようにしてジーナの耳の前で次々と粉々となる音をたてた。
「それは自意識過剰じゃないのか?」
「なら他の人の場合でもあなたは待ちますか?」
呼吸が乱れたのか、息が詰まり、言葉が出ない。すぐに出さないといけない言葉が喉に絡み、切なげな息と共に言葉が出た。
「待っていた」
なんて苦しげな声だとジーナは言い直したくなったがハイネはそれを許さなかった。
「いいえ。あなたは待ちません。待つはずがないのです」
散々に砕けた言葉の破片が渦巻き何度も言葉を甦らせていた、あなたは私だから待っていた……そうだ、と言わないためにジーナは歯を噛み口を強く閉じた。
聞いていない、とする。そうすればいい考えなくていい、そうすれば……
「だって私だったらあなた以外は待ちませんよ」
聞き返すな考えるな……ジーナは彼方から聞こえて来る龍のための歌を聞くために耳を澄ました。
まだ聞こえる、まだそこにあの人がいる……ひたすら遠くを思え、そうしたら。
「あの、重いですか?」
不意に話が変わったことによって反射的にジーナは声をあげた。
「えっ? なにが? ハイネは特に重くはないが」
ハイネの笑い声が聞こえた。
「そういうことじゃ……いいえ、そうですね。私達はこうやってたくさん抱き合ってきましたからいい加減慣れましたよね」
「言い方が、その」
「恥ずかしいとかいわないでくださいよ。事実です。ジーナは私を抱き慣れました。私もあなたを抱くのが当たり前だと思うぐらいに、です」
語るハイネの口から漏れて来る酒の臭い、やはりどこからどう考えても
「もしかして酔っていないか?」
「もしかしてって……酔っているに決まっているじゃないですか。ジーナは鼻も悪いのですか?」
「鼻も、ってなんだ。いや最初から酒臭いなと気付いていたが、これは完全に酔っているな」」
「それはそうですよ。弱い私にあんなにお酒を呑ませて」
「お前が勝手に呑んでいただろ」
「あなただって三杯も注いだじゃないですか。それが決め手でしたよ。それのせいで私はこうなりました。あなたのせいです」
「勝手なことを言うな」
「ほらこのまま介抱しなさいよ……いつも私はあなたにしていますよ。このまま寄り掛かられるのを受け止める。これが私に対する看護ですよ」
さらに寄り掛かり来たために椅子が微かに浮き戻り二人は同時に揺れた。
「嫌ですか? だったら力づくで私を振り払ったらどうです? あなたならできますよ。そうですとも、できます。私を待たずに行けたし、背後から飛んで来た私を受け止めず避けることもできた」
前に後ろに揺れ動き、まだ収まらずに共に惰性で以って前後する。
「いまだってそう。こうやってしがみついているめんどうでムカつく女を振って、そう振り落して自由になれる。出来るのですよあなたは。どこまでも自由なのですから、やりなさいよジーナ……良いのですよ」
そうだ。私は動ける、自由になんでもできる。呪いも掛けられていない。
このしがらみのような手を振りほどくことができたのなら……それができないのは、そうしないのは、私が一人になることを、もしかしてハイネではなくそうなることを私がいま耐えられなくなっているのでは?
だからここにいるしかなかったとしたら……違う、そんな感情ではないはずだ。
「やらないよハイネ。私達は知り合いなんだ。酔っ払ったら世話ぐらいは義理としてやる」
「偉い! 私だったら投げちゃいますねこういうのは」
「えっ?」
「そういえばどうでもいいことですけどあなたさっき私のことを臭いとか貶しましたね。別に気にしていませんけど、ちょっと説明してくださいよ、納得できない」
この口調は絡み酒なのかな? とジーナの緊張感は増した。
こういう場合は、とジーナは息を吸った。普段のストレスが爆発して酷い方向に転がる。
特にこのハイネは私に対して異様な感情をよく向けて来る。こちらにとって預かり知らずな心がいっぱいあるはず。
ここはより丁寧に慎重に、刺激しないように。
「そのなハイネが臭いんじゃなくて酒の臭いがな」
「ちょっと! 酒臭いとだけ言えばいいのになんでそんな言い方するんですか! それじゃ私が臭いと言っているの同じじゃありません?」
意味不明。やはり私には賢い取り扱いは不可能なようだ、とジーナはすぐに諦めた。
「まぁな。あれだけ呑んだら臭いもするな」
「また言った。ちゃんと手は洗ってきましたからね」
論点がズレて行っているとジーナは思うも半ばあきらめ気味に言った。
「手の話じゃなくてな。そういえば酒以外にも妙な臭いもしたがあれは脂のかな」
「今度は獣臭いとか言いましたね。婦人を掴まえて酒臭いだの獣臭いだの、自害級の侮辱ですよ」
予想通りに言葉では最悪な方へ転がっているというのに、そのハイネの声はどこか呑気さと芝居っ気を感じられた。
「そういうつもりじゃなかったのが。自決はやめてくれ。ここは人の家だし、それと私に出来る償いってあるか?」
問うとハイネは腕を解き身を離れた。意外な行動にジーナは驚くも安堵の息が、出なかった。何故出ない?
「あなたが悪いのですからね」
また変なことを言うハイネの声に向かってジーナは振り向けなかった。
もしも去っていく背中がそこにあったとしたら、それを見るということは……との心配は無用とばかりにまた首に腕を絡めハイネがのしかかってきた、知らない匂いと共に。
「これが何か、あなたは分かりますか?」
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