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禁断の一言 (アカイ32)
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俺は背中越しに聞えた指弾の言葉を鼻で笑った。笑わなければならない。余裕たっぷりとな。
「ふっ演技だよ、演技」
「いやいやいやいや絶対に嘘よ。完全に堕ちていたじゃない」
鼻で笑って一蹴しようとするもカオルに押し戻された。先ほどまでの醜態をスレイヤーに知られてはならない。絶対にあんなカッコ悪いことを憎っくきこの敵に知られたくない。年下の男に対してこれ以上見下されたくない。俺のプライドに掛けて絶対に、誤魔化してやらねばならぬ。
「だから演技だって、わからないかなぁ」
「わかるか! そもそも演技なわけないでしょ! あんなに簡単に罠にかかる男なんていままで見たこと無かったわ」
「ふふっ……それが逆におかしいと思わないところがまだまだだな」
「なに変なことをいっているのこいつ!」
背後から突き立てられる鋭い真実に対して俺はスレイヤーを睨みながら答え続ける。そうだ振り返ってはならない。カオルの身体を見てはならない。おっぱいに見惚れてはならない。そうしたら俺はたちまちのうちに元通り崩れ去って蕩けてしまうだろう。敵の前でそんなだらしのない顔などできない見てはならない! 幽霊と同じで見なければ怖いものではないのだ。頼むから前に来ないでください。
「ふむ……するとこちらの到来のタイミングと合せていたわけか」
「つまりはそういうことだ。正しい」
「絶対に嘘だって! スレイヤーも妙な助け舟を出さないで」
「しかしタイミングは合っていたぞ。俺が窓から入ったと同時に隣室から俺の名を呼ぶ声が聞こえた」
「そんなの偶然だから偶然! 私がちょっと内情を漏らしちゃったら、そいつがすごく反応しただけよ」
「いいや必然だスレイヤー」
「むっ!」
俺が一歩前に出るとスレイヤーも前に出た。
「俺達は戦う運命にあるのだからな。覚悟は良いか? 俺はもう出来ているぞ」
「アカイ、違うんだ。覚悟もなにも俺達はそういう関係ではない。俺はただあなたを」
「黙れ。よく言うぜ……御自慢の嫁をわざわざ俺に派遣してハニトラを用いるだなんて、そんな卑劣な手段を使った癖に。俺を軽く見ていたようだが、甘いとろけるように甘すぎるぜ。巨乳の無駄遣い御苦労さまだったぜ」
「待て! 違う、それはだな」
スレイヤーが弁明しようとするとカオルが言葉を被せてきた。
「うん、そうなのですよアカイさん。私の旦那様が、おいお前ちょっくらあのアカイとかいう愚かなオッサンを誘惑して来いと命じてきたの。あいつはおっぱい星人なはずだから、ちょっとチラチラさせたり揺らしたりして身体を密着させたらすぐに落ちるってね」
「やっぱりそうかああああああ! おめぇみてぇな悪人をおれぁみたことねぇえぞおおお」
「カオリ! お前は何を言ってるんだ!」
「ふん! 私の言葉を信じないからだよ! なによそんな男を信頼してさ!」
再び炎に包まれ出した俺はスレイヤーを指差す。
「いいか? よく聞け! 俺がお前に対して怒っているのは美人な嫁を自慢しにきたことについてじゃあない」
「いったい何を言っているんだ?」
「黙って聞くんだ。俺は別に汝の巨乳嫁を羨ましがっているわけではない。俺は自分を弁えている。そういった素敵な存在は俺には無縁で関係ないものだからな。だからお前の配偶者がどうであろうと俺はちっともムカついてはいない。そう認識しろ、はい、返事!」
「あっああそうするが」
「ふっ! なに言っているんだか」
俺はスレイヤーの戸惑いの同意を聞きながら背後のカオルの失笑に対して失笑し返した。
「ふぅ所詮はお遊びだったんだよお前とはな」
「絶対に本気だった癖に」
「聞こえない。それでスレイヤー。俺がお前に対して怒っているのはただ一点。シノブを俺の元から奪おうとしていること、それだけだ。それだけは許せん。俺は弁えている。若くて美人な巨乳嫁を手にいることなど夢のまた夢だと弁えている。だからしっかりと現実だけを見る。それは冒険の果てに十代の美少女と結ばれること。俺に相応しい弁え先だ」
「どこも弁えていないでしょうが!」
カオルの悲鳴にも似た糾弾に対して俺は叫び返す。
「うるさあああい! 俺は他の中年男とちがって、弁えて、いるんだ、よ! 苦難を共にし試練を乗り越えたらその可能性が芽生え実を結ぶと思わないのか? 思え! 思え、思うのであれ! それが人情だろうがよぉ! そうであるから俺はこの世界にやってきたのだ! そうでない世界は滅びたんだから、ここはそうである世界なのは必然なんだ! それともなんだ? また俺に滅ぼされたいのかこの世界もよぉ!」
アカイは錯乱したかのように大の字となってその全身にまといし炎を更に輝かせていった。
「完全に頭おかしいよこいつ! スレイヤー! こいつに水をぶっかけてあげて!」
戸惑うばかりのスレイヤーは混乱しながらも大事なことをアカイに言った。
「あっあのなアカイ! そのシノブは王子を心の底から愛しているのだぞ!」
アカイの身体はピクリと反応しそれからカオリは手を打って微笑んだ。
「ふっ演技だよ、演技」
「いやいやいやいや絶対に嘘よ。完全に堕ちていたじゃない」
鼻で笑って一蹴しようとするもカオルに押し戻された。先ほどまでの醜態をスレイヤーに知られてはならない。絶対にあんなカッコ悪いことを憎っくきこの敵に知られたくない。年下の男に対してこれ以上見下されたくない。俺のプライドに掛けて絶対に、誤魔化してやらねばならぬ。
「だから演技だって、わからないかなぁ」
「わかるか! そもそも演技なわけないでしょ! あんなに簡単に罠にかかる男なんていままで見たこと無かったわ」
「ふふっ……それが逆におかしいと思わないところがまだまだだな」
「なに変なことをいっているのこいつ!」
背後から突き立てられる鋭い真実に対して俺はスレイヤーを睨みながら答え続ける。そうだ振り返ってはならない。カオルの身体を見てはならない。おっぱいに見惚れてはならない。そうしたら俺はたちまちのうちに元通り崩れ去って蕩けてしまうだろう。敵の前でそんなだらしのない顔などできない見てはならない! 幽霊と同じで見なければ怖いものではないのだ。頼むから前に来ないでください。
「ふむ……するとこちらの到来のタイミングと合せていたわけか」
「つまりはそういうことだ。正しい」
「絶対に嘘だって! スレイヤーも妙な助け舟を出さないで」
「しかしタイミングは合っていたぞ。俺が窓から入ったと同時に隣室から俺の名を呼ぶ声が聞こえた」
「そんなの偶然だから偶然! 私がちょっと内情を漏らしちゃったら、そいつがすごく反応しただけよ」
「いいや必然だスレイヤー」
「むっ!」
俺が一歩前に出るとスレイヤーも前に出た。
「俺達は戦う運命にあるのだからな。覚悟は良いか? 俺はもう出来ているぞ」
「アカイ、違うんだ。覚悟もなにも俺達はそういう関係ではない。俺はただあなたを」
「黙れ。よく言うぜ……御自慢の嫁をわざわざ俺に派遣してハニトラを用いるだなんて、そんな卑劣な手段を使った癖に。俺を軽く見ていたようだが、甘いとろけるように甘すぎるぜ。巨乳の無駄遣い御苦労さまだったぜ」
「待て! 違う、それはだな」
スレイヤーが弁明しようとするとカオルが言葉を被せてきた。
「うん、そうなのですよアカイさん。私の旦那様が、おいお前ちょっくらあのアカイとかいう愚かなオッサンを誘惑して来いと命じてきたの。あいつはおっぱい星人なはずだから、ちょっとチラチラさせたり揺らしたりして身体を密着させたらすぐに落ちるってね」
「やっぱりそうかああああああ! おめぇみてぇな悪人をおれぁみたことねぇえぞおおお」
「カオリ! お前は何を言ってるんだ!」
「ふん! 私の言葉を信じないからだよ! なによそんな男を信頼してさ!」
再び炎に包まれ出した俺はスレイヤーを指差す。
「いいか? よく聞け! 俺がお前に対して怒っているのは美人な嫁を自慢しにきたことについてじゃあない」
「いったい何を言っているんだ?」
「黙って聞くんだ。俺は別に汝の巨乳嫁を羨ましがっているわけではない。俺は自分を弁えている。そういった素敵な存在は俺には無縁で関係ないものだからな。だからお前の配偶者がどうであろうと俺はちっともムカついてはいない。そう認識しろ、はい、返事!」
「あっああそうするが」
「ふっ! なに言っているんだか」
俺はスレイヤーの戸惑いの同意を聞きながら背後のカオルの失笑に対して失笑し返した。
「ふぅ所詮はお遊びだったんだよお前とはな」
「絶対に本気だった癖に」
「聞こえない。それでスレイヤー。俺がお前に対して怒っているのはただ一点。シノブを俺の元から奪おうとしていること、それだけだ。それだけは許せん。俺は弁えている。若くて美人な巨乳嫁を手にいることなど夢のまた夢だと弁えている。だからしっかりと現実だけを見る。それは冒険の果てに十代の美少女と結ばれること。俺に相応しい弁え先だ」
「どこも弁えていないでしょうが!」
カオルの悲鳴にも似た糾弾に対して俺は叫び返す。
「うるさあああい! 俺は他の中年男とちがって、弁えて、いるんだ、よ! 苦難を共にし試練を乗り越えたらその可能性が芽生え実を結ぶと思わないのか? 思え! 思え、思うのであれ! それが人情だろうがよぉ! そうであるから俺はこの世界にやってきたのだ! そうでない世界は滅びたんだから、ここはそうである世界なのは必然なんだ! それともなんだ? また俺に滅ぼされたいのかこの世界もよぉ!」
アカイは錯乱したかのように大の字となってその全身にまといし炎を更に輝かせていった。
「完全に頭おかしいよこいつ! スレイヤー! こいつに水をぶっかけてあげて!」
戸惑うばかりのスレイヤーは混乱しながらも大事なことをアカイに言った。
「あっあのなアカイ! そのシノブは王子を心の底から愛しているのだぞ!」
アカイの身体はピクリと反応しそれからカオリは手を打って微笑んだ。
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