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第14章、碧編
【2】夢の途中
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お互いの親には、同棲を始める前に挨拶に行っていた。
短大生の時で、就職が決まった頃だ。
遥のおばあちゃんはすごい迫力だったけれど、お手製のお鍋はすごくおいしくて、みんなで食卓を囲んだ。
遥のお母さんは、ふわっと笑う儚げな人で、小さいころの遥の話をしてくれて、アルバムも見せてくれて。
病室で抱っこされて、笑顔で写っている遥とお母さんを見ていると、大変でも、そこにはちゃんと幸せがあったんだなぁと胸が熱くなった。
「碧ちゃんは保育士さんになりたいんだってね」
「はい……保育の仕事がしたいです。働くお母さんのサポートができればと思っていて……」
「いい先生になりそうだわ」
にこりと微笑むお母さんに、迂闊にも涙が出そうになってしまった。
「大丈夫だよ。あんたは図太そうだし、逞しそうだからね」
と遥のおばあちゃんに言われ、「もう、おばあちゃん。失礼よ」と遥のお母さんが窘める。
……どうやら、図太さがにじみ出ているようだ。
その後は、タイミングが合わなくて、お母さんにもおばあちゃんにも会えていなかったけど――。
遥にぎゅっと抱きつくと、遥は私を抱きしめながら言った。
「うちにも戸籍謄本取りに行かないとな。郵送はめんどくさいし」
「そうだね。でも、お母さんたちにいきなり結婚って言ったらびっくりしない?」
「え?うちの親にはさっき電話で伝えたけど。反対されなかったよ。小言は言われたけど」
「えええ……!小言って何…?」
「いつもの心配性だよ」
同棲するぐらいなら籍は入れた方がいいけれど、まだ一人前でもないのに、と言われたようだ。
「碧の母ちゃんの承諾を得ているならいいよって言ってたから。明日許しを請おう」
「いや、うちのお母さんは反対しないと思うよ。反対するなら同棲する時点でアウトだと思う」
「そうだよな!俺もそう思う」
遥は改めて私の肩を抱き寄せ、優しく唇を重ねた。
何度もしてきたキスが、特別なものに思えた。
その後、無表情で私の手を下腹部に導く遥。
「なんか興奮してきた。」
「もう~。プロポーズしてくれて、感動してたのに……」
途端にムードがなくなったけど、遥らしい。
私はじろりと遥を睨んで、キスを続けた。
熱を帯びる唇が愛おしく、もどかしげに服を下ろされる。
「……碧」
胸をまさぐられて、体が火照る。
遥の、鋭い目線に捕らえられて、全てを脱ぎ捨てて冷たい床に横たわった。
「……俺と結婚したいと思ってる?」
瞳を覗き込むようにして遥が尋ねる。
「うん。思ってる。ずっと、遥の奥さんになりたかったよ」
そう答えたら、遥は嬉しそうに微笑んだ。
鎖骨から足の先まで、遥は全てに唇を当てがっていき、自分も全てを脱ぎ捨てる。
脱いだままの衣類が散乱している中で、遥に全身を差し出す。
東野君のお陰で遥と再会できた、18歳の夏。
やっぱり私には遥しかいないと確信した。
顔を見ただけで心が掴まれて、会いに来てくれた事が奇跡だと思った。
もう、私になんて会いたくないだろうと思っていたから。
義父の未遂事件のあと遥の心を踏みにじったことを、何度も謝った。
遥は、私の手にあったネイビーのハンカチを取り上げると、尚も涙が止まらない私に、ポケットからスモーキーブルーに白のドットが入ったハンカチを差し出した。
……これ、私のハンカチ?
「結愛が、碧ちゃんに会うなら渡しといてって強引に持たされて…。自分で返せって言ってたんだけど。本当に碧に会う日が来るとは思わなかった」
その時、遥の目にもうっすら涙が浮かんでいた。
意外と涙腺が弱い遥に、私は泣きながら笑った。
結愛ちゃんにも、東野君にも。千晴にも。遥にも。
そして、私の自立を願ってくれた、村上先生にも――。
今でも、みんなに感謝している。
「……碧?なんかぼーっとしてねぇ?」
「なんか……再会した時のこと思い出したの。夢みたいで、嬉しくて、胸がいっぱい」
遥は私を抱き上げて、ベッドに移った。
白いシーツの上で、すっかり大きくなっているそれに手を伸ばして、両手で包んで先にキスをした。
遥が大きく息を吐くと嬉しくなって、夢中で続けて絶頂へと誘う。
「ちょっと、待って。俺もする」
奥まで口に含んでいる私を止めて、脚を開かせた。
遥の指が熱く潤う私にぐっと入ってきた。
すでに遥を求めるかのように蜜が滴っている。
そこに躊躇なくキスをされて、私の体は快感に震える。
慈しむようにお互いを愛撫して、終わりのない快感を与え合う。
愛してることが伝わればいいな。
「碧。好きだよ」
愛の言葉が降ってきて、遥と繋がる。
何度言い合ったかわからない愛の言葉は、今日も私の心を満たし、隙間なく遥とひとつになった。
テーブルの上には、私と遥の未来を結ぶ一枚の紙がある。
この人と、ずっと一緒にいたい。
果てるまで抱き合い、将来を誓って、愛を伝える。
「愛してる。私と一緒にいてくれてありがとう」
短大生の時で、就職が決まった頃だ。
遥のおばあちゃんはすごい迫力だったけれど、お手製のお鍋はすごくおいしくて、みんなで食卓を囲んだ。
遥のお母さんは、ふわっと笑う儚げな人で、小さいころの遥の話をしてくれて、アルバムも見せてくれて。
病室で抱っこされて、笑顔で写っている遥とお母さんを見ていると、大変でも、そこにはちゃんと幸せがあったんだなぁと胸が熱くなった。
「碧ちゃんは保育士さんになりたいんだってね」
「はい……保育の仕事がしたいです。働くお母さんのサポートができればと思っていて……」
「いい先生になりそうだわ」
にこりと微笑むお母さんに、迂闊にも涙が出そうになってしまった。
「大丈夫だよ。あんたは図太そうだし、逞しそうだからね」
と遥のおばあちゃんに言われ、「もう、おばあちゃん。失礼よ」と遥のお母さんが窘める。
……どうやら、図太さがにじみ出ているようだ。
その後は、タイミングが合わなくて、お母さんにもおばあちゃんにも会えていなかったけど――。
遥にぎゅっと抱きつくと、遥は私を抱きしめながら言った。
「うちにも戸籍謄本取りに行かないとな。郵送はめんどくさいし」
「そうだね。でも、お母さんたちにいきなり結婚って言ったらびっくりしない?」
「え?うちの親にはさっき電話で伝えたけど。反対されなかったよ。小言は言われたけど」
「えええ……!小言って何…?」
「いつもの心配性だよ」
同棲するぐらいなら籍は入れた方がいいけれど、まだ一人前でもないのに、と言われたようだ。
「碧の母ちゃんの承諾を得ているならいいよって言ってたから。明日許しを請おう」
「いや、うちのお母さんは反対しないと思うよ。反対するなら同棲する時点でアウトだと思う」
「そうだよな!俺もそう思う」
遥は改めて私の肩を抱き寄せ、優しく唇を重ねた。
何度もしてきたキスが、特別なものに思えた。
その後、無表情で私の手を下腹部に導く遥。
「なんか興奮してきた。」
「もう~。プロポーズしてくれて、感動してたのに……」
途端にムードがなくなったけど、遥らしい。
私はじろりと遥を睨んで、キスを続けた。
熱を帯びる唇が愛おしく、もどかしげに服を下ろされる。
「……碧」
胸をまさぐられて、体が火照る。
遥の、鋭い目線に捕らえられて、全てを脱ぎ捨てて冷たい床に横たわった。
「……俺と結婚したいと思ってる?」
瞳を覗き込むようにして遥が尋ねる。
「うん。思ってる。ずっと、遥の奥さんになりたかったよ」
そう答えたら、遥は嬉しそうに微笑んだ。
鎖骨から足の先まで、遥は全てに唇を当てがっていき、自分も全てを脱ぎ捨てる。
脱いだままの衣類が散乱している中で、遥に全身を差し出す。
東野君のお陰で遥と再会できた、18歳の夏。
やっぱり私には遥しかいないと確信した。
顔を見ただけで心が掴まれて、会いに来てくれた事が奇跡だと思った。
もう、私になんて会いたくないだろうと思っていたから。
義父の未遂事件のあと遥の心を踏みにじったことを、何度も謝った。
遥は、私の手にあったネイビーのハンカチを取り上げると、尚も涙が止まらない私に、ポケットからスモーキーブルーに白のドットが入ったハンカチを差し出した。
……これ、私のハンカチ?
「結愛が、碧ちゃんに会うなら渡しといてって強引に持たされて…。自分で返せって言ってたんだけど。本当に碧に会う日が来るとは思わなかった」
その時、遥の目にもうっすら涙が浮かんでいた。
意外と涙腺が弱い遥に、私は泣きながら笑った。
結愛ちゃんにも、東野君にも。千晴にも。遥にも。
そして、私の自立を願ってくれた、村上先生にも――。
今でも、みんなに感謝している。
「……碧?なんかぼーっとしてねぇ?」
「なんか……再会した時のこと思い出したの。夢みたいで、嬉しくて、胸がいっぱい」
遥は私を抱き上げて、ベッドに移った。
白いシーツの上で、すっかり大きくなっているそれに手を伸ばして、両手で包んで先にキスをした。
遥が大きく息を吐くと嬉しくなって、夢中で続けて絶頂へと誘う。
「ちょっと、待って。俺もする」
奥まで口に含んでいる私を止めて、脚を開かせた。
遥の指が熱く潤う私にぐっと入ってきた。
すでに遥を求めるかのように蜜が滴っている。
そこに躊躇なくキスをされて、私の体は快感に震える。
慈しむようにお互いを愛撫して、終わりのない快感を与え合う。
愛してることが伝わればいいな。
「碧。好きだよ」
愛の言葉が降ってきて、遥と繋がる。
何度言い合ったかわからない愛の言葉は、今日も私の心を満たし、隙間なく遥とひとつになった。
テーブルの上には、私と遥の未来を結ぶ一枚の紙がある。
この人と、ずっと一緒にいたい。
果てるまで抱き合い、将来を誓って、愛を伝える。
「愛してる。私と一緒にいてくれてありがとう」
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