【R-18】17歳の寄り道

六楓(Clarice)

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第1章、碧編

【13】少女の殻を脱いで *R18

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「誰か、いる……」

浅野君にしがみつくと、浅野君は動きを止め、息を潜めて窓の方を見る。
授業中だから、生徒が廊下を歩くことはまずない。

「いるな……先生かな。村上に見つかったらやべーな」

私は腰を浮かせて、今の騒動で硬さが和らいだ浅野君のものをぬぽっと抜き、パンティーとジャージを上げた。

「びっちょびちょなんだけど」と文句を言いながら、浅野君もジャージを上げる。

そして、廊下をそっと覗くと、そこには誰もいなくて、二人で廊下に出る。
教室の前は階段があったので、他のクラスの前を通らずに済む。
私たちは、念のため姿勢を低くして階段の踊り場へ出た。

「これからどーすっかなー、俺もう体育出る気ねぇけど」
「私もないよ……ひとりで怒られたくないよ」
「ふははっ。だよな~。藤田、女にも容赦ねぇもんな」

さっきまであんなにエロいことをしていたのに、気さくに話す浅野君に、ふふっと笑った。

すると、私の指をぎゅ、と握ってくる。
が、浅野君はまるで何もないようなそぶりを見せる。


「天文部の部室開いてねぇかな……」
「そこで時間終わるまで過ごす?」
「そーだな。そうしよ」

浅野君が走り出したので、私も走る。
部室は当然と言えば当然なのだが開いていなくて、撃沈した。

「体育館の裏行こっか。草むらになってるとこ。今はないみたいだけど、昔は生徒の隠れ喫煙所だったらしい」
「わ~、時代だね~。不良の元たまり場?」

運動場で体育をしている人たちに見つからないように走り、体育館裏まで来た。田舎の高校なので、広い敷地だ。
何段か下るような段差があり、そこに下りてしまうと周りから全く見えない、死角になる場所を見つけた。

「秘密基地みたいだね」
「そーだな、ガキん時ならもっとはしゃいでたかなー」

と、現不良の浅野君はいひひと笑って、段差に腰掛けた。


「碧、来て」

ずっと前から碧と呼んでいたかのように、自然に呼ぶなぁと感じた。
浅野君の前に立ったら、私の胸に顔を埋めて、ぎゅうと抱きしめてきた。

結愛ちゃんにも、こんなふうにしてるのかな……。
嫉妬でぐっと胸が苦しくなる。

浅野君が、ひとこと好きだと言ってくれたら、全ての心配から解放されると思うのに…そんな空気も見えない。
先に体から繋がってしまったから、今更好きだとは言いだせない、変な拘りに縛られてもいた。


浅野君の髪から、男の子の整髪料の匂いがする。

「白川とヤッたのが知れたら、みんな羨ましがるだろうなー」
「……最低。言いふらすんだ」
「嘘だよ。言わねぇよ。怒んなよ」

体が繋がってから浅野君は、人の心を弄ぶ発言が増えた。
それが、彼の不安の裏返しだとは気付けず、傷つきながらまた、さっきの続きで体を許す。

その秘密基地で、声を押し殺しながら足を開き、浅野君の律動に身を任せる。
彼は出るギリギリまで突き上げ、素早く抜いて、コンクリートの床にびゅっ、びゅっと出した。

くたりと脱力していたら、浅野君が太ももの間に入り、快感溢れているその場所を念入りに舐め上げてくれた。

「きれいにしてやるよ」

これが浅野君なりの愛情なのかな……と、丁寧に何度も舐めている顔をずっと見ていた。


体育の時間が終わり、戻ってきた千晴が、教室前で私たちを見つけて「あっ!」と声を上げた。

「どこ行ってたのっ」
「ごめん、調子悪くなっちゃって……」
「藤田先生には一応、保健室って言っといたけどさ」
「ありがと」

すぐ後ろに浅野君がいて、私と千晴の話を聞いている様子で、「白川、貧血で倒れたんだよ」と口を挟む。

「えっ、そうだったの?」
驚く千晴に、う、うんと頷いて話を合わせた。

「で、浅野君は、碧と一緒にいたの?」
「いや、保健室まで送ってその後はサボってた」

嘘がうまいなぁ~……と浅野君の顔を見上げたら、私にだけわかるように口の端を上げて微笑む。

これは嘘常習犯だな……。


無事、千晴と着替えを終えて、次の授業を受けた。

浅野君は教室にはいない。
さっきの秘密基地にひとりでいるんだろうなと、ぼんやり考えた。


嘘つきで、エッチばっかりの浅野君。
私もしたいから、浅野君だけのせいではないが、こんなこと、千晴には絶対言えないな…
まだ、そこが疼いてる。

ずっと浅野君と二人きりで裸でいられたらいいのに…と、覚えたばかりの快感を反芻していた。

放課後、図書委員会があった。
帰りのホームルームが終わって浅野君の席を見たら、彼も私の方へ歩いてきていた。

「今日は委員会だろ。行こうぜ」
「知ってたの?」
「さっき村上が言ってたじゃん」

私と一緒にいることが当たり前みたいな顔をして、図書室まで歩く。
図書室からは、サッカー部が見えた。
東野君の姿を見つけたが、窓越しで見えにくいし、彼も私がここにいることには気付いていないが。

ぱらぱらと他のクラスの委員たちが集まってきて、私と浅野君は自分たちの席に着いた。

図書委員の仕事は、昼休み当番と放課後当番があった。
司書の先生の休憩を取るためのお留守番と言ったところか。

クラス単位で、月2回ほど担当が回ってくることになった。
放課後は天文部もあるし、いい感じに時間を潰せそうだ。
義父とも二人きりにならなくて済む。

処女じゃなくなったと知られたらいつか、義父に襲われてしまいやしないかと、そればかりが頭にあり苦しんだ。
義父に犯されるくらいなら、浅野君がいい…


「碧、考え事してんの」

浅野君に肩を揺すられてハッと意識が戻る。


「あ、委員会終わった?」
「俺らは明日の放課後だって。暇みたいだぜ」
「そうなんだ……」

浅野君は伸びをし、くあっと欠伸をする。

「なんか借りて帰ろっかな、俺」
「え?本を?」

ここで借りるものなんて本以外ないのだが、敢えて口にする。
すると浅野君は、予想通り怪訝な顔。

「何だそれ、俺本好きなんだけど」
「そうなの?!」

そんなイメージなーい。読むとしてもエロ本とか……。

「あー、何思われてんのかすげわかる」
「エロ本なら読みそう、とかでしょ?」

「バーカ」
と言いながらも、彼はゴキゲンな微笑みを見せる。

さて、私はどうしよう。
浅野君は、私と一緒に帰るつもりかなぁ。

「……浅野君、本借りたら……一緒に帰る?」
「ちょっと待ってられる?じっくり選びたいから」
「ウン」

本当に本が好きなんだな。目が輝いていた。
どんな本を読むのだろう。将来、浅野君もお医者さんになりたいのかな……。



少しの時間、窓からサッカー部を見ながら浅野君を待った。
数冊の本を借りて戻ってきた浅野君は、私が何を見ているか察すると、見るからに憮然とした。

「本当お前男好きだよな」

サッカー部を見ていたら、男好きなの?
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