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しおりを挟むありきたりな誘い文句だと思った。けれどそんなものでも、本音で言われると、男としてぐっとくるものがあって、その物悲しいような顔は女性のように扇情的で、けれども女のように頭の中にいくつもの感情がどす黒く渦巻いてるような感じはしない。
「…………でも、酷くは、しないで。怖いのはやなんだ。ボク」
どうやら、嫌なことがあってめちゃくちゃにされたい欲求があっても、ブレーキは通常運転らしい。そのことがわかって、ユキらしいな、なんて思う。
「っあはは。……なんだ、てっきり壊れるぐらい酷くしてって、言われるのかと思ったのに」
「っ、嫌だ、そんなの、また涙腺がおかしくなちゃうだろ!」
「なぁに。そんなに涙もろいの?」
「そうだよ。セージがボクを泣かせるから」
そのせいで、帰ってきたときに偶然、感動するような動画でも見てしまって、泣いていただけだったらよかったのに。それなら、素直に君に俺が一つでも影響を及ぼしてることを素直に喜べたのに。
「……なんか、嬉しそうだな」
「あはは、そう見える?」
「なんか、たまに、セージは優しいやつだってわかってても、性格悪いんじゃないかって思うときある、っ、ふ、」
……ご名答。そして別に俺は優しくない。ユキにはわからない打算が多いだけだ。
けれど、彼からそう見えているのならそれでいい。せいぜい、酷くない程度に抱こうと思う。
「ン、んんっ!」
キスをして少し、強めに舌を吸い上げる。苦しそうに顔を歪めるユキは、変わらず可愛くて、優しく頬を撫でた。
「……ギブアップしてもいいからね、あんまり泣くと次の日頭痛くなっちゃうでしょ?」
「っ!……し、ない。っつ、ふっ」
強がってお気に入りのタオルをぎゅうっと握りしめる仕草に、いとおしくなる気持ちを抑えながら、パジャマのボタンを外していく。シャツを押し上げて、しっとりした肌に指を滑らせる。
ユキは、小柄で痩せて見えるが、脱がせてみると意外と細身ながらもきっちり筋肉がついてて、脂肪の少ない体つきをしている。普段からあまり活動的ではなく、さらにあまり食べない方のはずだが、このいい具合に引き締まった体がどこからやってくるのかは謎である。
その、健康的な躯体のすべての感触を確かめるように、指を這わせてキスを落とす。ゆっくり、ユキの興奮を高めるように、焦らしてそれから、胸を口に含んで、舌先でころころと転がす。
「っ、ぅ!……、ん、」
ぎゅっと目を閉じて快感を堪えようとしているところが、どうしても可愛くて、その小さな乳首を少し、痛みを伴うように噛む。
「っん!、……」
ユキはびくっと体を、反応させて、それから俺の様子をうかがうように、そろりと目を開けてこちらを見た。目が合ったので、笑顔を作って胸を心底、優しく愛撫してやれば、俺の魂胆に気が付いたのかユキは、子供のように頬を膨らませてきっと俺を睨む。
「あっ。や、う。ん、っ、……せーじ」
今度は反対側の胸をきゅっとつねると降参とばかりに、プルプル震えながら、俺のことを呼ぶ。その震えた声音が心底可愛くて、ついつい表情が溶けてしまう。
「あはは、かわいいねえ、ユキ」
「は、ぅ……く」
胸を愛撫しただけでこんなになって、扱いやすくて愛おしい事に、すこしだけ心配になる。出会ったの頃から割とリスク管理が、がばがばだとは思っていたけれど、こんなに簡単に、俺を心の底から信頼しているような態度を取られると、その期待を裏切るようなことをしたとき、一体ユキはどうなってしまうのだろうと心配になる。
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