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  一瞬の間の後すぐにセージはボクの上からどいて、乱暴につかんでいた髪も離して、ボクはそのままベットに突っ伏して泣いた。この年になって泣くことなんか滅多にない、しかし、泣き出してしまうと、滅多にない分、じわじわと溢れてくるのがうまく止められなくて、流れ出るまま、シーツを濡らした。

「……、」

 セージはまさか、ボクがこんなに情けないことになるなんて思っていなかったのか、すこし黙ってそれから、ボクの頭を撫でる。

「ごめんね、ユキ。怒りすぎたね……」
「スン……、ふ、」
「今日はやめとこうか」

 そういって、ベットが軋む、咄嗟にボクは振り返って、離れようとしているセージの手を掴んだ。

「っ。や、だ」

 そうして、今やめるのは優しさじゃない。ボクはここでやめたら、後ですごく気になる。それで、不安になるのだ、嫌われたかもしれない、次もボクはまた何かやらかすかもしれないって思うんだ。

「ごめ……、怒らせて、ぅ、でも、やめないで。不安になんの、優しくして、なあ、せーじ」

 起き上がってボクは、彼の手に頬をこすりつけて様子を伺う。どんな表情なのかは暗くて見えない。けれど暫くして、ボクに掴まれているだけだった彼の手は、緩慢なしぐさで、優しくボクの頬を撫でる。

「……いいの?俺、ユキを怖がらせちゃっただろ」
「いい、から。もとはといえば、ボクが、悪い。から」
「違うよ。ユキ。……」

 罪悪感で言っているのか、それとも、もうボクなんか抱く気にならないから言っているのかわからない。後者だったらどうしようかと思う。どうしたらその気になってくれるだろう。

「ごめんね。ちゃんと、言っておけばよかった。って、……ユキ、っ」
「セージ、しながら、話そ。ボクもう、喋るな、ん。なんて。言わない……から」

 頬を撫でる彼の指先を、口に含む。それから、舌でぺろぺろなめてみたり、軽く噛んだりしてみる。

「ん。」

 軽くキスもして、これがボクにできる最大の懇願だった。

「おねがい、セージ」
「……、……はー、……かわいい」

 そんな、噛みしめるみたいな声が聞こえてきて、柔らかく抱きしめられる。そのまま持ち上げられて、彼はベットの淵に座っていて、ボクと向き合うみたいな形で、彼の腿に跨るように乗せられる。

「ん、ン」

 それから優しくキスされながら、パジャマの上着を脱がされて、あっという間に全裸になってしまう。セージも上を脱いで、それからボクを抱きしめた。お互いの肌が触れあって、少しの汗のにおいと、シャンプーの香り。

 触れ合ってる部分が暖かくて心地いいのに、それだけではなく、艶めかしい感触に欲情する。

「俺はね、多分、人より独占欲が強いんだよ。挿れていい?」

 何の話か分からないが、挿入を拒否するつもりはなく、ベットに膝をついて、少し腰を浮かせる。

「ん。ありがと。力抜いてね……っ、そう。うまいよ」
「はっ、ぁ、ん」

 ゆっくりと熱を持ったセージのものがボクの中に入ってくる。入口は引き延ばされて少し、突っ張るけれど浅いところを何度か往復していれば、ボクの中に入っていたローションが溢れてきて、きつく無くなる。

「だから、いくら君でも、ユキを傷つけられるのは、嫌でね。ごめん、昨日会ったばっかりの奴にこんなこと言われて、気持ち悪いでしょ」

 ……独占欲。って、それ、他人に対してはっき、すんじゃねえの。あー。駄目だ。圧迫感が今日は、なんか、きもちいい。あたま、まわんね。

 考えて見てもセージに共感することは出来ないし、なにより、昨日以来の彼とつながってる感覚が、妙な彼に対する恐怖を取り払って、幸福感でお腹の奥の方がゾクゾクする。



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