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「ユキ、膝たてて、うん、ありがと。ゆっくりほぐすから、休憩してていいよ」

 そう言われるが、女性がバックでするときのようななんとも恥ずかしい体勢のまま、休憩と言われても困ると思った。しかし腹とベットの隙間に高さのあるクッションを入れられて、それに体重を預けることができて、随分と体が楽になる。

「体勢、つらくない?」
「う、ん。だいじょぶ」
「そっかよかった。あんまりリラックスして眠っちゃだめだよ?」
「さ、すがに、それは、ねえ、……、ぅ、」

 冗談交じりにいわれて、否定しようとすると、その時にはすでに、ゆっくりと指が入れられて、言葉が途端にたどたどしくなる。割合、すんなりと彼の男性らしい、太い指を受け入れられて、それほど苦しくもない。

「昨日の今日だからね。流石に体が覚えてる」
「……ゃ、……っつ」

   指を素早く抽挿されて、背筋が粟立つ。

 ……昨日は、こんなに、楽じゃなかったのに、体が覚えてるって、そういう、もんなのか?

 昨日はもっと、内臓を使われている事がありありとわかる鈍い痛みがあったのに、今はもとから、そういう用途で作られているみたいにすんなり、後孔は形を変えて、二本に増えた指も飲み込む。

「ここは、こうやって使ってくとどんどん簡単に気持ちよくなれるから、いっぱい使おうね、ユキ」
「ン、……。は、……セージ」
「なぁに。ユキ」
「おま、え、あんまり、ん。……はずか、しこと言う、な」

 教えてくれるのはいいが、素直にそうなんだ、と納得できるような話ではない。というか、今に限ったことではなく、セージはこういう事をしているときでも、よく喋る。なんだかそれが、あやされているように感じて、どうにも落ち着かない。

 ぬちぬちと緩く指がボクの中を動く。

 中をゆっくり探ってみたり、抽挿してみたり、暗闇で視界が遮られている分、おのずと触覚が敏感になって気持ちいい所に少し掠っただけで、自分のものはすぐに熱を取り戻し、クッションに先がこすれて、じんわりと快感を生む。

「……セックスしてる時にお喋りなのは、嫌い?」
「、あ、……きらいって、いうか、」
「少し、静かにしていようか。その方がよかったってユキが言うなら、次からもそうするし」
「ンっ。うん、そ、して」
「わかった」

 ボクが了承すると、それきりセージは喋らなくなる。

 無言のなか、部屋にはボクのぐぐもった喘ぎ声と、身じろいで出る擦れ布の音、それから、ボクの中をかき混ぜる水音だけが響く。

「……、ぁ、う。く、……。んんっ、ん」

 彼の声がないと、ボクの喘ぎ声はより大きく聞こえてくるようで、いまさらこんな女みたいな、よがった声を出しているのかと思ってしまう。男の指を腹の中に飲み込んで、快感を感じて、ベットの上でびくびく震えているのが情けなく思えてくる。

 そして、その声をセージに聞かれて、どう思われているだろう。ボクは変じゃないだろうか。こんな劣情におぼれた声は聞くに堪えないと思われていないだろうか。

「っう、ぁ、……。ぅう!あ、あっ」

 気になってしまえば、どうしようもなく、聞くに堪えない声に思えて、我慢しようと思うのに、だんだんと、刺激が強くなっていって、気持ちいい所を指でトントンとノックされて、そのたびにがくがく足が震えて、思わず快感から逃れようと、足を引こうとする。

「ああ!、や、だっ。く、う」

 否定の声も、すぐに嘘だとわかるような、女の声だ。心では本音として言ってるつもりなのにそうは聞こえない。その事実がたまらなく嫌で、気持ち悪い。



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